窪美澄のレビュー一覧
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「女」を主人公にした物語は、寂しくて、ヒステリックで、戦いの連続だ。
戦後の混乱の中女性の社会進出を当事者として目指した晶子、美人料理研究家として確固たる地位を築こうと奔走する真希、真希の娘で父のいない子どもを東日本大地震直後に出産した真菜。この話は三世代の女性たちが抗いようのない世界の大波に揉まれ、懸命に息をし、明日へ手を伸ばす様を描いている。
晶子はテレビの仕事に忙しい夫との間に二人の子を持ち、子育てがひと段落した後に自分の役割を社会に求めるようになる。得意な料理と天性のおせっさい焼きを武器に妊婦や新米ママを支えるマタニティプール講師という天職を得る。定年を超えてもなお続けるクラスで出 -
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17/05/18 (35)
クラウドクラスターはつまりはお母さんのことなのね。お母さんを愛する方法、か。むつかしいね。
・私にも守護の天使がいるだろうか。
ベッドに横になって左手を天に向けた。守護の天使がいるのなら、手を握ってと心のなかで思う。ベッドの上には天井の木目模様があるばかりだ。目を閉じると目の端から涙が流れて、耳の穴を濡らした。頭のなかに銀色のきらきらしたものが充満する。(P47 クラウドクラスターが愛する方法)
・「誰がどんなことを言ったって、さとちゃんが感じたことだけがほんとなんだよ。さとちゃんはね、もっとまわりに怒ったり怒鳴ったりしてもぜんぜんいいと思うよ。ときには荒れ狂 -
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80歳間近のマタニティスイムのインストラクターとその人の気になる妊婦さんそれぞれの生涯のお話し
東日本大震災のタイミングの出産なので、原発とかそれに関する内容も含む
前半で晶子さんの幼少期からの戦争体験とか、自分の子供に関する事がしっかり描かれているので、現代の行動に説得力がある
真菜さんは何というか、偏見というかフィクションの設定の王道通りの生き方なので、なんとも感情移入しにくい
最後の方での共同生活の描写は何だか心が動かされる
同情してるわけじゃないんだけどね、何だか感動したのです
僕も昔は「こんな時代に自分の子を世に誕生させるのは可哀想だ」とか思ってた事もありましたが
実際に自分の -
Posted by ブクログ
窪さんの本は何冊か読みましたが、、いつもどこか揺さぶられる様な感覚を覚えます。
主人公のさとちゃんと同世代で、この物語も年末年始で、だから何かとてもリアリティを勝手に感じてしまいました。
元彼と一緒に住んでいた頃に「食器を洗ってくれるかな?」という一言さえ言えなくて思い悩み。
今の彼氏にも同じ様に小言に口をつぐみ、嫌いになるポイントが日々加算されはじめ、元彼の時と同じことを繰り返すことを危惧し。
何だか見に覚えがある気がしました。笑
家族という複雑な存在には私もけっこーひねくれた思いを持っているので、本文中の
自分が重そうに抱えている荷物を「ほかに、もっと重い荷物を持っている人はたくさんい