窪美澄のレビュー一覧
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5人の作家による恋愛アンソロジー
奥田英朗 「あなたが大好き」
窪美澄 「銀紙色のアンタレス」
荻原浩 「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」
原田マハ 「ドライビング・ミス・アンジー」
中江有里 「シャンプー」
の5編が収録されています。
窪美澄さんの作品を楽しみにしていましたが2016/10/17に刊行された「すみなれたからだで」に収録されていた物で少し残念でしたが、それでも再び読み返したらやっぱり好きだなと感じました。
16歳の男女のすれ違う繊細な恋心にドキドキしたり、おばあちゃんの家や海、龍宮窟の風景が脳内映像に浮かんで来たり、おばあちゃんの作るおにぎりが食べたくなったり、終始無駄 -
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読み応えのある短篇集だった。
生きている限り切り離せない「生と性」がおそらくテーマで、そこに「死」のエッセンスが加わってくる。
自分自身歳を重ねて思うのは、まさに「すみなれたからだ」で何十年もこの身体と付き合ってきているのに、いまだに掴み切れない…というか、歳とともに変化してゆく部分を実感せずにはいられないということだ。
太りやすくなる、疲れやすくなる、など加齢とともに表れやすい一般的な変化もあるし、女性ならば生理や出産などでの変化は人それぞれで、同じ女性同士でさえ理解し合えないことも多々ある。
そこに男女の性愛が加わろうものなら、悩み、虚しさ、過去に対する思いなど、様々なものがないまぜにな -
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主要登場人物の中で、なんだかんだで一番安定してそうに見えた卓巳が、一番再浮上の兆しが見えなくてびっくりした(松永のお兄ちゃんや田岡は脇役なので除く)。
「妊婦である自分に気遣いを見せたので大丈夫だと思う」って発言があったんだけど、発言者が、あまり人間観察力があると思えないのっちーだからなぁ。
もちろん台風の際の松永邸でも、いざとなるとしっかりした一面は見せているのだが、それが卓巳の本質なだけに、傷はあまりにも深いように見える。
何より、本人の意思が見えないのだ。より過酷な環境にいる良太やあくつには、生き抜こうと言う意思が感じられ、上昇志向も芽生えてきた。七菜はズレているけど、深く悩まずしたたか -
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1960年代に出版社の新雑誌の編集部で出会った3人の女性たちのお話。
まだ女性の大半が結婚・出産を機に退職するのが当たり前だった時代にイラストレーターやフリーライターとして世の中を渡っていこうとする妙子と登紀子に、事務職で入社し編集職に誘われたものの結婚を選んで専業主婦になった鈴子。
3人の生活、結婚とその後、仕事振りが、昭和から平成の出来事とともに描かれる。
妙子や登紀子にはモデルがあると知ってググってみたが、大橋歩という人も三宅菊子という人もまったく知らなかった。雑誌は「平凡パンチ」のようだが、私は「平凡パンチ」よりも「週刊プレイボーイ」のほうが好きだったもんなぁ。
生まれも育ちも性格も -
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ネタバレ正直に言うと、後半は先が気になってどんどん読めた。でも前半は、重くて嫌な感じで、中々読めなかった。フィクションだとしたら、呆気なくて切ないけど面白いお話だと思う。
ただ確かに、本当にあったことと考えると、被害者家族は嫌だろうな。倫太郎も一緒に死ねてればいいのにって思ってしまったし、最後のなっちゃんの様子は、悲しみで気が狂っちゃったってことじゃないのかな?
職業柄は、晴信の成育史可哀想。親も人間で未熟だよなぁ、子どもができたらいきなりまともになれるわけじゃないし。血の繋がりって難しいな。
涅槃と因果。
私は、このタイトルは、輪廻からは良くも悪くも抜け出せないし、望んでしまった煩悩がやっぱり -
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鈴子、登紀子、妙子の一生を綴った壮大な物語だが、共通点は潮汐出版にいたことで、鈴子は事務員、登紀子はフリーライター、妙子は早川朔というペンネームのイラストレーター.鈴子の孫の奈帆が登紀子の話を聞き取る形で話が展開する.戦後の様々な事件が巧みに織り込まれており、その時代の空気を思い出しながら読めた.鈴子が最も一般的な女性の歩みを辿っていたが、妙子の幼年期からの苦労話が最も楽しめた.登紀子はライターの家系でそれなりの資産もあったので、お嬢様風の立ち回りを演じていたが、奈帆への振舞にもその生い立ちの名残が見えたのも、面白かった.妙子の息子 謙と奈帆の出会いがこの物語の発展性を示していると感じた.
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窪さんの小説を読んで、いつも思うのですが。
ほかの作家さんにない、奥行きというか心の動きというか、そういったものが怖いくらいに伝わってくるのです。
どうして踊るんだ?そこで触れたもの、見つけた物から感じたもの。そしてそれをどうして??とかね。
フィクションもあるけれど、ノンフィクションでもあるというようなことがあとがきにありました。
ひとはけして人には言わないけれど、いろいろなものを抱えて生きているんだ、誰にも言えないこともあるでしょう。きれいごとだけでは生きていけない。そうですね、孤独なのかもしれないなあ、と改めて。
うまく書けなくて申し訳ないのですが、すばらしい作家さんだと毎回思い