窪美澄のレビュー一覧
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50歳をすぎると人生の残りを考えることが増えた。いわゆる定年という仕事の終わりが見えてくるのも大きい。そして比喩的な意味ではなく本当に体にガタが来始めることも影響している。今の生活がいつまで続けられるのだろうかと考えてしまうのだ。
それは男としての機能についての不安も含まれる。自分はいつまで性的な男でいられるのだろうと。女性はどんな思いを抱くのだろうと想像することもある。この本はその一つの答えと言えるかもしれない。
夫の風俗通いがわかりショックを受ける主人公の絵里子。彼女の感じた嫌悪、寂しさを男である自分は完全に理解することはできないかもしれない。でも、求められない悲しさやいずれ訪れる死との向 -
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書店に平積みされていて帯も作者も見ずに手に取った。完全にタイトル買い。なんといっても雨が好きで雨とタイトルにつ本はとりあえず手に取るし曲も聴いてみる。
雨が好きだという認識を持ったきっかけになった本が、「雨の名前」という写真集だった。
この短編集のなかにその本が出てきたのは創作だろうか、それとも作者もひょっとしてその写真集を見たのだろうか。
とにかくその本(のタイトル)が出てきた場面ではほくそ笑んでしまった。冒頭のちょっと刺激的な描写に最初は引いたけれど。
窪美澄さんは初めてだけど、そうか、「女による女のためのR-18文学賞」受賞作家なのか。ちょっと納得。
きっとワタシと同世代の女性に違いない -
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5人の作家による恋愛アンソロジー
奥田英朗 「あなたが大好き」
窪美澄 「銀紙色のアンタレス」
荻原浩 「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」
原田マハ 「ドライビング・ミス・アンジー」
中江有里 「シャンプー」
の5編が収録されています。
窪美澄さんの作品を楽しみにしていましたが2016/10/17に刊行された「すみなれたからだで」に収録されていた物で少し残念でしたが、それでも再び読み返したらやっぱり好きだなと感じました。
16歳の男女のすれ違う繊細な恋心にドキドキしたり、おばあちゃんの家や海、龍宮窟の風景が脳内映像に浮かんで来たり、おばあちゃんの作るおにぎりが食べたくなったり、終始無駄 -
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読み応えのある短篇集だった。
生きている限り切り離せない「生と性」がおそらくテーマで、そこに「死」のエッセンスが加わってくる。
自分自身歳を重ねて思うのは、まさに「すみなれたからだ」で何十年もこの身体と付き合ってきているのに、いまだに掴み切れない…というか、歳とともに変化してゆく部分を実感せずにはいられないということだ。
太りやすくなる、疲れやすくなる、など加齢とともに表れやすい一般的な変化もあるし、女性ならば生理や出産などでの変化は人それぞれで、同じ女性同士でさえ理解し合えないことも多々ある。
そこに男女の性愛が加わろうものなら、悩み、虚しさ、過去に対する思いなど、様々なものがないまぜにな -
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主要登場人物の中で、なんだかんだで一番安定してそうに見えた卓巳が、一番再浮上の兆しが見えなくてびっくりした(松永のお兄ちゃんや田岡は脇役なので除く)。
「妊婦である自分に気遣いを見せたので大丈夫だと思う」って発言があったんだけど、発言者が、あまり人間観察力があると思えないのっちーだからなぁ。
もちろん台風の際の松永邸でも、いざとなるとしっかりした一面は見せているのだが、それが卓巳の本質なだけに、傷はあまりにも深いように見える。
何より、本人の意思が見えないのだ。より過酷な環境にいる良太やあくつには、生き抜こうと言う意思が感じられ、上昇志向も芽生えてきた。七菜はズレているけど、深く悩まずしたたか -
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1960年代に出版社の新雑誌の編集部で出会った3人の女性たちのお話。
まだ女性の大半が結婚・出産を機に退職するのが当たり前だった時代にイラストレーターやフリーライターとして世の中を渡っていこうとする妙子と登紀子に、事務職で入社し編集職に誘われたものの結婚を選んで専業主婦になった鈴子。
3人の生活、結婚とその後、仕事振りが、昭和から平成の出来事とともに描かれる。
妙子や登紀子にはモデルがあると知ってググってみたが、大橋歩という人も三宅菊子という人もまったく知らなかった。雑誌は「平凡パンチ」のようだが、私は「平凡パンチ」よりも「週刊プレイボーイ」のほうが好きだったもんなぁ。
生まれも育ちも性格も