窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「生きるのぜーんぶ、誰かに決めてもらったらいいのに」という手作りポップを見て購入。初めて読む著者だった。
なんとなく、翻訳版の韓国小説のような雰囲気があった。主人公らの語りがほとんどだからだろうか、登場人物の口調が現代人風ではないからだろうか。いずれにしても、あと数年あとの2030年がこんな感じなら文化というのは一瞬で廃れるんだろうなと思った。
「アカガミ」という制度自体は面白いと思う。妊活している自分としては、手厚い健診やらサポートやらはありがたい。実際にこの名前で紹介されたら引くが……。
個人的には、解説を読んでやっと読み終えられたと感じた作品だった。とても今風で面白いとは思うが! -
Posted by ブクログ
様々な形の恋愛が描かれた、
6編の短編集
《海鳴り遠くに》
同性を好きという気持ちを隠しながら
結婚した女性。夫を亡くして一人で
住んでいるが、ある日、画家の若い女性と
出会い、押さえていた自分の気持ちに気づく
《風は西から》
学校を休みがちな高校生、陸の家に、
夏休みの間だけ食事を作りに来てくれる
はとこの桃子さんとの話。チェシャ猫みたいな
顔をした桃子さんがとても素敵。
この話が一番好きだった。
《パスピエ》
行きつけの店の、足がとても綺麗な
バイトの女の子が、ストーカーに遭って
いるらしい。自分の家で匿うつもりで
彼女を呼び、奇妙な同居生活が始まるが‥
最後が、何それ?!
《赤くて冷たいゼリーのように》
学校の清掃員として、働く老人。
昔想いを寄せた友人に、驚くほどよく似た
少年、結に出会う。彼は男女と言われ、
いじめられていた。ひと時の彼との交流。
やがて結は老人の前から去り、老人は再び
いじめられている少年を見つける‥老人の
取った行動は‥?彼のそれまでの悲しみと
孤独、怒りが伝わってくる。印象に残った話。
《天鵞絨のパライゾ》
お互い好きで結婚したはずなのに
少しづつ気持ちがずれていく
彼にはもう、自分への気持ちはない。
自分のどこが嫌いになったのか、考えても
分からない‥そんな時、側にいてくれた
異性の友人。お互い恋愛感情は無いが、
静かに寄り添ってくれた大切な存在。
《雪が踊っている》
家柄が違うという理由で、好きだった人と
結婚出来なかった主人公。
違う人と結婚し、子どもを出産。
成長した子どもが通う塾で再会した、
かつての恋人。
ひどい男だ。自分の子どもの気持ちは
考えないのだろうか。主人公のモヤモヤした
気持ち、何となく分かる。
宙色とは、空や宇宙の広がりを感じさせる、
青や紫、あるいは様々な色が混ざり合った
幻想的な色合いらしい。この小説もそんな
様々な人の恋愛の色が混じり合った作品に
仕上がっている。
人を好きになることの怖さと喜び
きっと誰もが経験している
恋の始まりと終わり。
読みながら、いろいろと思い出した。
苦い辛い想いも、やがて時間を経て
思い出となっていく。
地味だけれど、丁寧に描かれていて
あとからじわじわくる、
そんな物語だった。 -
Posted by ブクログ
窪美澄さんの恋愛短編集
収録作は以下の6作品
海鳴り遠くに
夫亡き後で知り合った女性に惹かれていく女性のお話
風は西から
初めて出来た彼女が自分の友人に心変わりしたお話
パスピエ
逃亡癖のある女性に翻弄された男性のお話
赤くて冷たいゼリーのように
定年後のある少年との出会いで己を知る男性のお話
天鸞絨のパライゾ
出会いと別れのなかで自分を見つめ直していくお話
雪が踊っている
子供の塾で再開したかつての恋人のお話
どのお話もときめくような恋愛ではなく、一筋縄ではいかない内に秘めた思いを紡いだ大人向けの恋のお話だった。私は特に「赤くて冷たいゼリーのように」が印象的だった。
短編でもそれぞれに趣が異なり、じっくりと静かに読みたくなる味わい深い作品。
これは、読む時期や置かれている環境によっても、共感する箇所や、心に響く部分が変わってくると思う。
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Posted by ブクログ
介護士として働く地方民を石川啄木の短歌「働けど働けどじっと手を見る」に重ねて読んだ。一生食いっぱぐれない職と地方では謳われているけど、一生安泰かと言われたら違うもんなぁ。介護についても色々考えてしまう。正直、自分よりも未来のある若者になけなしの給料で介護されるのなら、自分の力で生きて行けなくなった時点で人生の終止符を打ちたいなぁと本気で思う。自分が年取るまでに日本で安楽死制度はできるのかな。
地方民と都会民の超えられない壁の描写も胸に沁みた。人生はいくらでも変えられると言う人もいるけど、結局は生まれた環境が自分の人生の基盤で、どう頑張ってもそこは覆せないんじゃないかなぁと思う。そこを覆すのではなく、その基盤でどう幸せを見つけていく事が、長い人生を過ごす上で大切なんじゃなぁかな。一人一人基盤が違うのだから、自分の価値観を人に押し付けるのは何とも烏滸がましい事なのだと思った。 -
Posted by ブクログ
直木賞受賞作の本作は、全5篇からなる短編集。
どの物語も“大切な人との別れ”や“もう会えない寂しさ”を静かに描いており、読後には胸の奥にじんわりと温かくも切ない余韻が残ります。
始まったばかりのコロナ禍を背景にしたエピソードもあり、あの頃の先の見えない不安や孤独を思い出しながら、登場人物たちの感情に自然と寄り添ってしまいました。
それでも彼らの心の奥には、希望のような小さな光が確かに灯っており、その光こそが“星”として描かれているように感じます。
タイトルの通り、物語の中には星座や夜空が繰り返し登場します。読んだあとには、ふと空を見上げたくなる。
そんな静かな力を持った作品で優しさと哀しさが共存する一冊です。 -
Posted by ブクログ
2030年代の日本が舞台だが、その頃の若者は他者との繋がりも希薄化し、結婚はおろか、恋すら遠い存在になってしまっていた。
そこに国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に参加することになったミツキは、国に管理された生活の中、出逢った相手サツキと国が推奨する「まぐわい」の末に子を成すのだが、、、。
読んでいて、どうにも胡散臭さがいっぱいなのに、それに気がつけない(疑問に思わない)若者たち。
生きることにも未来にも、あまり意思や欲求が感じられない、言われることにも受け入れるばかりの子たちが、子供を持ち、恋をしり、だんだん私の知っている「人らしさ」を持ち出すのだが、そこで徐々に今の手厚い生活に疑問が生じてくる。
なるほど、だから「アカガミ」なのか!
と思ったあとのドキドキ。
せっかく人らしくなった2人はどうなっちゃうんだろうと心配したが、ラスト本当にほっとしました。 -
Posted by ブクログ
ちょっぴり切ない5話からなる短編集。
ただ生きているだけで、思いもよらない哀しみがやってくる。
・真夜中のアボカド
ーーー婚活アプリで恋人を探す。
フリーでプログラマーをしているという麻生さんは、妙に女慣れしていなくて、前に出会った人みたいに食事の後すぐに、ホテルに行こうとも言わなかった。
・銀紙色のアンタレス
ーーー 16歳の夏。僕は田舎のばあちゃんちで、泣いてるような顔で赤ちゃんを抱えたあの人に出会う。
幼馴染の朝日は言う「水着着たわたし、かわいかった?」
ーーー真珠星スピカ
酷いイジメにあっている私は、今日も保健室にいる。
亡くなった人は話すことができないのだと知ったのは、死んだ母さんが私の前に現れるようになってからだ。
・湿りの海
ーーー遠いアリゾナで新しいパートナーと暮らす妻とそのパートナーをダディと呼ぶ娘。彼女らが去った後も、僕はまるで彼女たちがまだこの部屋にいるように生活していきたかった。
そんな僕の日々の中に現れたのは、幼い娘さんを連れ隣に越してきた船場さんだった。
・星の隨に
ーーー渚さんを「お母さん」と呼ぶのに、僕はまだ少し頑張らないといけない。
渚さんとことも生まれたばかりの弟、海くんのことも僕は好きだけど、本当のお母さんほどではない。
ある日、学校から帰ると玄関の内鍵がかかったままで僕は家に入ることができなかった。
共感できる話はなかったのだけど、辛い時にふと星空を見上げてしまうことはあるなと思う。
傷付いた彼らがこの先、幸せでありますようにとそっと本を閉じた。
今年の16冊目