窪美澄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「はたらけど はたらけど猶 わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」
という石川啄木の短歌は教科書にも出てくるくらい有名な国民的短歌らしい。(知らなった。)
この小説は恋愛小説だが、主人公の日奈と海斗は介護士の仕事をしており、この石川啄木の歌は二人の生活をまさに言い表している。恋愛だけでない色んなことを伝えてくれる小説だと思う。
狡くて滑稽だけど、優しくて愛らしい、すごく矛盾した、一筋縄ではいかない人間の姿が書かれている。恋愛の胸キュンというよりも、日々の暮らしと労働をメインに、誰かに支えてもらわないと生きていけない矛盾だらけの男女の様子を描いている。
海斗の日奈への一途な想い -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性は、長らく、自分の人生を自ら選択して歩むことが難しかった。できるよ、と言われても、多くは慣習や前例によって阻まれた。時代が流れて、できる女性とできない女性、しなくてもいい女性とせざるを得ない女性、ときに分断が生まれることもあり、主体的に人生を歩むことに対する否定的ななまなざしはなかなか減少しなかった。
その理由のひとつにロールモデルが少ないことはあるけれど(できる女性とせざるを得ない女性がいるのでいるはいる)、それ以前に自分が置かれてる状態への違和を感じるきっかけがなかなかないことも理由のひとつだと思う。主人公のように、夫の風俗のカードを見つけたりしない限り。また、違和を感じても、自ら選択 -
Posted by ブクログ
窪美澄さんの直木賞受賞作。
巧く作られた話だし、丁寧な描写で読みやすいし、だけどもなんだろう、最終話にはしんみりしたが、「窪美澄さんの直木賞受賞作」ってことで私の中ではかなりハードルが上がったのか、全体的にはもうひとつガツンと来るものがなかった。
■夜中のアボカド
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との顛末&早世した双子の妹の彼氏との交流の行く末。
そっちから電話かけてくるなんて珍しいじゃないと言いながら、どんな生き方をしてもいつもあなたの人生を応援するよと言ってくれる母親の存在がありがたい。
麻生さんがベッドの中でおどおどしていたのは何がなせる業だったのだろうかとか、亡くなった彼女 -
Posted by ブクログ
主人公の智晴は自分の学生時代のうちに父親の浮気による離婚、母の再婚相手候補との話し合い、さらには自分自身の初恋により勉強に手がつかなくなることなど、恋心によって人生が大きく左右される経験をする。
智晴の両親の離婚時には双子の弟二人がおり、母親が仕事に出ている間は二人の面倒を見る必要があった。
その頃から恋愛沙汰や弟二人の面倒を見ていたこともあり、良くも悪くも早くから大人びた視点を持つようになる。
そのように責任感を強く持ちつつも、弟たちとともに大人になるにつれて、彼らには彼らの人生もあるということで、過度に干渉するのはやめようという考えになるが、現実にそのような考え方に移行するのはなかなか難