窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
窪美澄さんの5つの短編集
「こどもをもつかもたないか」ということに真っ直ぐに向かい合った物語で、それぞれの主人公なりの考え方や生き方が描かれていて、正解を導くことはなかった。ここには、生まれ生きていく中で、新しい命を成すかどうかは、誰でもない自分あるいは自分たちで決めて行くのだから・・・という作者の意志が強く感じられた。
妊娠・出産といったテーマを多く描かれている窪美澄さんらしく、多様な場面や人物設定だった。どの物語でも主人公の意志が、ごく自然体で表現されていた。読み手は、きっと主人公達の何処かに気持ちを寄り添わせることが出来る作品だとも思う。「こどもをもつ」ことに否定も肯定もしない姿勢は -
Posted by ブクログ
主人公にまったく共感ができず、序盤はかなりイライラした。
52歳の主婦絵里子は、夫と、20歳のひとり娘の3人暮らし。一見どこにでもいる家族だが、それぞれがフラストレーションを抱え、それが積もって絵里子は家を出る。
絵里子は言いたいことを言わず、怒らず、家族のためを思って家のことをこなしてきた。絵里子の内面が描かれているから、余計に思っていることがあるなら言って!と思ってしまう。
溜め込むタイプの人は爆発すると怖いな。
家族だろうと親友だろうといくら心が通っていると思っても、言いたいことはやっぱり口で伝えなきゃいけない。わかった気になっているのがいちばんダメ。
絵里子が家を出てからの変貌ぶり