窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2030年代の日本が舞台だが、その頃の若者は他者との繋がりも希薄化し、結婚はおろか、恋すら遠い存在になってしまっていた。
そこに国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に参加することになったミツキは、国に管理された生活の中、出逢った相手サツキと国が推奨する「まぐわい」の末に子を成すのだが、、、。
読んでいて、どうにも胡散臭さがいっぱいなのに、それに気がつけない(疑問に思わない)若者たち。
生きることにも未来にも、あまり意思や欲求が感じられない、言われることにも受け入れるばかりの子たちが、子供を持ち、恋をしり、だんだん私の知っている「人らしさ」を持ち出すのだが、そこで徐々に今の手厚い生活に疑問が生じてくる。
なるほど、だから「アカガミ」なのか!
と思ったあとのドキドキ。
せっかく人らしくなった2人はどうなっちゃうんだろうと心配したが、ラスト本当にほっとしました。 -
Posted by ブクログ
ちょっぴり切ない5話からなる短編集。
ただ生きているだけで、思いもよらない哀しみがやってくる。
・真夜中のアボカド
ーーー婚活アプリで恋人を探す。
フリーでプログラマーをしているという麻生さんは、妙に女慣れしていなくて、前に出会った人みたいに食事の後すぐに、ホテルに行こうとも言わなかった。
・銀紙色のアンタレス
ーーー 16歳の夏。僕は田舎のばあちゃんちで、泣いてるような顔で赤ちゃんを抱えたあの人に出会う。
幼馴染の朝日は言う「水着着たわたし、かわいかった?」
ーーー真珠星スピカ
酷いイジメにあっている私は、今日も保健室にいる。
亡くなった人は話すことができないのだと知ったのは、死んだ母さんが私の前に現れるようになってからだ。
・湿りの海
ーーー遠いアリゾナで新しいパートナーと暮らす妻とそのパートナーをダディと呼ぶ娘。彼女らが去った後も、僕はまるで彼女たちがまだこの部屋にいるように生活していきたかった。
そんな僕の日々の中に現れたのは、幼い娘さんを連れ隣に越してきた船場さんだった。
・星の隨に
ーーー渚さんを「お母さん」と呼ぶのに、僕はまだ少し頑張らないといけない。
渚さんとことも生まれたばかりの弟、海くんのことも僕は好きだけど、本当のお母さんほどではない。
ある日、学校から帰ると玄関の内鍵がかかったままで僕は家に入ることができなかった。
共感できる話はなかったのだけど、辛い時にふと星空を見上げてしまうことはあるなと思う。
傷付いた彼らがこの先、幸せでありますようにとそっと本を閉じた。
今年の16冊目 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性は、長らく、自分の人生を自ら選択して歩むことが難しかった。できるよ、と言われても、多くは慣習や前例によって阻まれた。時代が流れて、できる女性とできない女性、しなくてもいい女性とせざるを得ない女性、ときに分断が生まれることもあり、主体的に人生を歩むことに対する否定的ななまなざしはなかなか減少しなかった。
その理由のひとつにロールモデルが少ないことはあるけれど(できる女性とせざるを得ない女性がいるのでいるはいる)、それ以前に自分が置かれてる状態への違和を感じるきっかけがなかなかないことも理由のひとつだと思う。主人公のように、夫の風俗のカードを見つけたりしない限り。また、違和を感じても、自ら選択したいと思える心の準備や選択するぞという意志の確立ができるタイミングも難しい。
いろいろな条件がそろわないと人生を自ら選択することが難しい環境で、それめも自分とは何者かを考え続け、どうやって主人公が「自分の」人生を歩んでいくかという物語でした。
久々の長年の幼なじみが女性をパートナーというエピソードがある。そのカップル2人の出会いエピソードは自然な感じでよかったし、その幼なじみはロールモデルが少なく自分の人生を歩まざるを得ない女性であるのは間違いなかったという意味で、とても重要なキャラクターである。
ただ、自分が同性に惹かれることに気付いたきっかけがアダルトビデオという女性同性愛者は少数派な気がする(いないとは言わないけれど)。あと、最後の方で「籍をいれてちゃんとしたカップルに」みたいなワードも出てくるけれど、まだ日本では同性婚できないので何を指していたのか謎。
パートナーシップ制度は自治体は認めてくれるけど国家レベルでの法的な保証は何もないし、同性婚のできる海外に脱出してその国の人になって婚姻するならギリギリわかるけど、日本に店を構えようとしているなら海外行く気ないと思うのでたぶんあまり正確な表現ではない。養子縁組を指してるのかなと思ったけど、籍は繋がって安定感はあっても表現に合う感じのちゃんとしたカップルと言い切るには代替案。親子になっちゃうし。
なかなか把握も難しいだろうけど、そこだけパラレルワールド化してしまったので最後急にスッと引く部分ができてしまった。主人公に言ってるのでわかりやすさを優先したのかもしれないが、そういうニュアンスに取れなかったので、ちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
窪美澄さんの直木賞受賞作。
巧く作られた話だし、丁寧な描写で読みやすいし、だけどもなんだろう、最終話にはしんみりしたが、「窪美澄さんの直木賞受賞作」ってことで私の中ではかなりハードルが上がったのか、全体的にはもうひとつガツンと来るものがなかった。
■夜中のアボカド
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との顛末&早世した双子の妹の彼氏との交流の行く末。
そっちから電話かけてくるなんて珍しいじゃないと言いながら、どんな生き方をしてもいつもあなたの人生を応援するよと言ってくれる母親の存在がありがたい。
麻生さんがベッドの中でおどおどしていたのは何がなせる業だったのだろうかとか、亡くなった彼女の双子の姉ってどのように見えるのだろうかなど、色々気になった。
■銀紙色のアンタレス
海の近くに住んでいる祖母の家で過ごした夏休み、そこで出会った人妻のことが気になる中学生。
なんで?朝日ちゃんがいるじゃないか。
■真珠星スピカ
学校でいじめを受けている女子中学生と交通事故で亡くなった母親の幽霊との、二人だけの秘密の同居生活。
こっくりさんで娘をいじめている女子を懲らしめたり、幽霊が見えない父親の思い出話の最中に腕をからめたりする、母親の幽霊がお茶目でいい感じ。
■湿りの海
離婚してアメリカに移り住んだ幼い娘とパソコン画面上での面会を心待ちにする一方、隣の部屋に越してきたシングルマザーの家族との交流に希望を見いだそうとする男性。
心情的には分からなくもないが、どちらかと言えば「勝手なもんだ」という感想のほうが勝ってしまう。
■星の随に
父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさ。
なんか、ひどいなあ、自分たちの事情を説明しない両親もだが、とりわけ生まれたばかりの子どもに手を取られ連れ子の想くんのことを考えられない新しい母親も、どうして、こんな子どもみたいな大人が増えたのだろう。
佐喜子さんのようなお節介な人はもはや希少だし…。
自分はどういう親だったのか、息子たちを育てた昔のことを思い出して切なくなった。