あらすじ
一人の男を好きになった。
自分にとって最後の恋になるだろう、という強い予感があった。
人として、女として、生きるために。
直木賞作家が描く「最後」の恋。本当の、恋愛小説。
「素直な感動に満たされた。窪さんがこんな小説を書くなんて」ーーー唯川恵「解説」より
赤澤奈美は四十七歳、美容皮膚科医。
夫と別れ、一人息子を育て、老母の面倒をみながら、仕事一筋に生きてきた。
ふとしたことから、元患者で十四歳年下の業平公平と嵐に遭ったかのように恋に落ちる。
頑なに一人で生きてみせようとしてきた奈美の世界が、色鮮やかに変わってゆく。
直木賞作家、渾身の恋愛小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
一気読み!!!ハッピーエンドでよかったああ、、そしてめっちゃ泣いたああ、窮地を救ってくれる人、寄り添ってくれる人(その人が全部をわかってなくても)、過ちを犯しちゃうこと、わがままなこと、それでも頑張ってること、頑張ってることが辛い時に微笑んでくれることに泣いた。頑張れ自分!
Posted by ブクログ
『女』のあなたにお聞きします。
“あなたは、『女』になりたいですか?”
(*˙ᵕ˙*)え?
う〜ん、なんとも意味不明でいて、それでいて意味深な質問から始まったこのレビュー。そもそも性別=『女』であるにもかかわらず、『女になりたい』という言葉が一般的な言葉としておかしいとも言えないところにこの言葉の奥深さがあるように思います。
今の世にあっては、人の人生を簡単に示すこと自体難しいものだとは思いますが、『女』としてこの世に生まれた人の一生を敢えて綴るとした場合、『女』として生まれ、恋をして『女』になって、結婚して『妻』になって、子を産んで『母』になる。このような言い方はできると思います。しかし、そこに不思議なことに気づきます。『女』として生まれ、『女』であり続ける人生を送っているにも関わらず、結婚、出産によって『妻』、『母』という新たな立場が『女』に置き換わってしまっていることです。当たり前のようであってどこか不思議なこの立場の変化。改めて考えるとなんとも興味深いものです。そして、そんな変化の中でその人自身の心にはどのような思いの変化があるのでしょうか?
さてここに、『一人の男を好きになった』という先に『私は女としてもう一度生きてみたい』、『もう一度、女になりたい』という思いを募らせていく一人の女性が主人公となる物語があります。そんな女性の心の内の変化を具に見るこの作品。そんな女性の変化に生命の芽吹を感じさせるこの作品。そしてそれは、『これが自分にとって最後の恋になるだろう、という強い予感』の先へと突き進む『女』の思いを感じる物語です。
『痛みがあったらおっしゃってくださいね』と、患者さんの『左頬から光をあてていく』のは主人公の赤澤奈美(あかざわ なみ)。『渋谷の高級住宅街と呼ばれるこの場所にクリニックを開いて三年近くになる』と、三人のスタッフと共に『美容皮膚科』で『雇われ院長』を務める奈美は、『今夜会う』オーナーの佐藤直也のことを思います。そんな奈美は午後から『over40』が読者層の女性誌の取材を受けます。『人気美容皮膚科のおすすめ施術!』という見開きに『二、三ヵ月に一度は登場』している奈美。そんな取材の中に『先生、本当に綺麗。本当に本当に四十七なんですか?』と『女性ライター』に問われ『正真正銘の四十七です』と返す奈美は、『レーザー治療、ボトックス…』と『半ば、自分の顔を実験台にして生きてきた』過去を思います。そして、取材が終わり、『先生、もう少し貪欲になってくださいよー』、『先生の顔写真の善し悪しで患者さんの数も変わるんです』と三十八歳で子育てをしながらスタッフを続ける柳下に言われた奈美は、雑誌が発売されると『私と三人のスタッフではさばききれないほどの患者さんの予約が殺到』するという記事が掲載された後の反応を思います。そんなクリニックに七十代の常連の箕浦がやってきます。『いかにもおばあさんの手』をなんとかしたいと言う箕浦に『両手でヒアルロン酸を二本』、『施術料と併せて二十五万円』という料金を説明する奈美。それに『いいのよ、値段なんて。このしわくちゃな手が綺麗になるのなら』と答える箕浦に早速施術をする奈美。『先生は魔法使いね』と箕浦は上機嫌で帰っていきました。『女の、若返りたいという欲望には底がない』、『女たちの欲望に自分の技術を使って応えているというプライドと自負はある』と思う奈美。
場面は変わり、『指定された渋谷駅直結のホテルの高層階』を訪ねた奈美を『まあ、まずは飲もう…おつかれさま』と迎えたのは佐藤直也。『渋谷の高級住宅街にオープンするクリニックの美容皮膚科医を探している』と友人から紹介され知り合った佐藤から『毎月、いくら欲しいのか』と訊かれ希望を超える額を支払ってもらえるようになった奈美。『月に一度、仕事の話のあとに僕とつきあうのなら』という条件の下指定された場所で会うことを続けています。しかし、『君が考えているようなことを僕が君にすることはない』と言う佐藤からは『何かされる』こともなく『いつ終わるともしれない佐藤の会話を』『ただ黙って聞』くということを続けています。『僕の言うことを聞きなさい。君は一流の美容皮膚科医になるんだ』と言う佐藤。
再度場面は変わり、『患者さんからの強い要望』の先に『内服薬と外用薬を使った薄毛治療をスタートさせ、一ヵ月が過ぎた』というある日、『三十三歳、会社員』の業平という患者がクリニックを訪れました。『十二月の結婚式までになんとかしたい』という希望に則り、早速施術を行う奈美は、さまざまに会話する中に『彼が三十三ということは私の十四歳下、ということか』と思います。そして、施術終了後、『じゃあ、二週間後にまた』と送り出した奈美は『結婚式を控えたただの患者さんの一人』としか業平のことは思っていません。『彼と深い縁を結ぶことなど想像もしていなかった』という奈美。そんな奈美が『私は女としてもう一度生きてみたい』、『もう一度、女になりたい』という思いの先に業平との十四歳差の恋に目覚め『女』として生きる奈美の姿が描かれていきます。
“赤澤奈美は四十七歳、美容皮膚科医。夫と別れ、一人息子を育て、老母の面倒をみながら、仕事一筋に生きてきた。ふとしたことから、元患者で十四歳年下の業平公平と嵐に遭ったかのように恋に落ちる。頑なに一人で生きてみせようとしてきた奈美の世界が、色鮮やかに変わってゆく”。そんな風に内容紹介に記されるこの作品。”直木賞作家が描く「最後」の恋。本当の、恋愛小説”という宣伝文句の”最後”という言葉が好奇心を掻き立てます。その一方で、「私は女になりたい」という書名の意味も考えてしまいます。“私は○○になりたい”という言葉は、子供が大人になってどんな職業に就きたいか、そんな将来の夢を語る場を思い起こさせます。しかしその一方で、”私は貝になりたい”という、かつて1958年に放送されたという伝説のテレビドラマのタイトルも浮かびます。この言葉を発する人物の強い意志を感じさせる“私は○○になりたい”という言葉。その”○○”に『女』という言葉が入る時、そこにはどんな物語が展開するのでしょうか?
さて、この作品を見ていくにあたってまずは三点を挙げてみたいと思います。まず一つ目は、この作品の主人公が『美容皮膚科医』である点です。このことに関して〈解説〉の唯川恵さんがとても興味深いことを書かれていらっしゃいます。
“主人公・奈美の職業を美容皮膚科医に設定したことに、まず窪さんの意図を感じた。これがもし美容整形外科医だったら、物語に対する印象はまた違っていたに違いない”。
えっ?というのがこの〈解説〉を読んだ私の正直な感想です。テレビに散々にイメージ告知が展開される『美容』クリニックのCM。私は訪れたことがなく、そもそも論がわかっていなかったことに気づきました。『美容』”○○”には、『美容皮膚科』と『美容整形外科』がある…なるほど。そして、この作品の主人公・奈美は『美容皮膚科医』であるというこの説明。このレビューを読んでくださっているあなたは、何をそんな当たり前なこと言ってるのかしら?と呆れられているかもしれませんが、唯川さんはこの二者についてこんな風に語られます。
”どちらを選ぶかによって女の心の在り方が推察できる”
ドキッ!とされた方もいらっしゃるかもしれません。必ずしも全員が全員そんな選択で二分されるとも思いませんが、直木賞作家でもある唯川さんの言葉が強い説得力をもって伝わってきます。これから読まれる方には是非この唯川さんの〈解説〉も含めてこの作品をお楽しみいただければと思います。物語を読んだ読者の思いを一段深くするとてもよくできた〈解説〉だと思いました。そして、そんな物語は、『美容』”○○”のさまざまな側面に光を当てます。
『昔の女ならば五十が寿命だ。老人、といってもいいだろう。けれど、今は美容皮膚科や美容整形の施術で表面的な若さを保つことができる』。
『五十』を『老人』と言い切ってしまう一文には、暴動が起きないか?心配にもなりますが、『美容皮膚科医』視点で語られる物語は、『フォトブライトフェイシャルは、私のクリニックで一番人気のある施術だ』…と、今の世の中の最先端の施術を描写していきます。『肌の老化は二十五から始まる』とドキドキっ!とするような言葉もさらりと挟み込みながら物語は展開していきます。そんな物語の背骨の部分を支えるのが次の一文です。
『綺麗になりたい、という欲望には年齢など関係ない』。
それは、世の女性の切実な思いが根底に流れ続けているからこその説得力なのだと思います。しかし、『美容皮膚科医』としての強い説得力をもってこんな一文も綴られます。
『若くできるのは体の表面だ。内臓を若返らせることはできない。若くみえても、私たちは確実に老いている。外と内の年齢差はどうやっても埋めることはできない』。
これは紛れもない事実です。古の世から数多の権力者が手に入れようとした不老長寿は結局のところ夢物語でしかない現実がそこにあります。物語は、そんなすべての現実を知る『美容皮膚科医』の奈美が一人の男性との出会いをきっかけにそんな不可能に挑んでいく様を見る、言い過ぎかもしれませんがそんな感覚を見るのがこの作品だと思います。
次に二つ目は上記したように主人公を『美容皮膚科医』としたことに関連して、医療に絶妙に比喩した見事な表現が登場するところです。
『ひどい裂傷を自分の力で一針一針縫い、ガーゼで覆い、抜糸をし、赤みを帯びた傷が白くなるまで、それほどの時間が必要だった』。
これだけ読むと何かの医療行為をする場面のように見えますが、これは『あの人と別れてから五年の月日が経った』と、作品冒頭に触れられる『あの人』との別れによる心の傷を癒す奈美の心持ちを巧みに比喩したものです。非常によくできた比喩だと思います。
・『時間というのは残酷だ。魂がちぎれる、とまで思った痛みすら、研磨して滑らかにしてしまう』。
・『そう考えると、胸の奥深くに長くて細い針を刺されたような気持ちにもなる』。
他にもこのようにさまざまな痛みを絶妙に比喩していく表現も多々登場します。この作品は全編にわたって主人公の奈美視点で語られていく物語です。そうであるが故に一貫性のある美しい比喩表現が奈美という人物の心の内を暗示しているようにも感じました。
そして、三つ目は各章の章題です。物語は〈序章〉を含めた6つの章から構成されていますが、すべての章には花の名前がつけられているのです。正直なところ読んでいる途中には、これは花の名前だけど、さて?としか思わなかったのですが、まさか!と思い、読後にそれぞれの花の”花言葉”を調べてみました。
・〈序章 バイカウツギ〉: 思い出
・〈一章 アスチルベ〉: 恋の訪れ
・〈二章 アザレア〉: 恋の喜び
・〈三章 オシロイバナ〉: 恋を疑う
・〈四章 アネモネ〉: はかない恋
・〈五章 ユーカリ〉: 追憶、新生、再生
ご承知の通り、一つの花には複数の”花言葉”があると思いますが、物語に合いそうな言葉を選んで並べてみました。しかし、書いてしまってからヤバいことに気づきました。なんと、各章の概要を書いたわけでもないのに、物語の概要がここに浮かび上がってきてしまったからです。これは、ヤバいです。私は単に目次を転記して、花言葉をご紹介しただけですので、ネ、ネ、ネタバレの意図は全くございません。私は無実です(笑)。
それにしても窪さんが章題一つにものすごくこだわられていることが改めてよくわかりました。なお、〈五章〉につけられた『ユーカリ』についてはコアラが食べる植物という印象しかありませんでしたが、なんと立派に”花言葉”まであるんですね。ちなみに、『ユーカリ』の種は、山火事のあとの雨で発芽すると言われているんだそうです。なるほど、う〜ん、深い…(とこの作品を読まれた方はここにこの植物の名前を章題にされた窪さんの上手さに驚かれると思います)
さて、そんなこの作品ですが『私は雇われ院長』と、自虐的に語る『美容皮膚科医』の奈美がそんなクリニックでスタートした『薄毛治療』に訪れた一人の患者と繋がりを持つ先の物語が描かれていきます。『十二月の結婚式までになんとかしたいです!』と『つむじのあたりが薄くなっている』と説明する患者の業平公平。普段圧倒的に女性の患者に対応している中に現れた男性患者を施術する奈美はふとこんなことを思います。
『彼が三十三ということは私の十四歳下、ということか』
その時にはそれ以上でもそれ以下でもないこの思いがやがて奈美の中で大きな部分を占めるようになっていきます。
『懐かれてしまっている、というのが私の最初の公平に対する感情だった。年下の男に懐かれている。結婚直前でダメになった若い男になぜだか懐かれてしまっている。彼は寂しいのだ』。
そんな関係性からスタートした二人ですが、その時の奈美の感情を窪さんは絶妙な比喩を用いて表されます。
『鏡面の湖のような生活のなかに、ぽん、と小石が投げられ、その波紋が広がっていくようなそんな気がした』。
これは絶妙としか言いようのないものです。”花言葉”で”恋の喜び”を表す〈二章 アザレア〉に描かれていく二人の物語は本来若返ることなどできないはずの人の内面が芽吹いていく様子を強く感じさせます。そこにこんな思いに囚われる奈美。
『彼の前にいる私は、美容皮膚科クリニックの雇われ院長ではなく、大学生の息子がいるバツイチの母親でもなく、ただの一人の女だ』。
物語はそんな奈美が『私は女としてもう一度生きてみたい』、『もう一度、女になりたい』という思いの中に突き動かされていく先の物語が描かれていきます。息を呑むほどに奈美の内面の心の機微をリアルに描き出していく窪さんの筆致は最後の最後まで物語を読む手を止めさせてはくれません。そんな先に描かれるまさかの結末。〈五章 ユーカリ〉の”花言葉”を感じさせるまさかの結末に、窪さんの作品作りの上手さを改めて感じる物語の姿がありました。
『あの人と出会う前の私は仕事だけに生きる女だった』。
『美容皮膚科医』として『雇われ院長』を務める主人公の奈美。この作品では、そんな奈美の日常に突如現れた一人の男性の存在によって奈美の日常と感情が大きく変化していく様が描かれていました。巧みな比喩表現に酔うこの作品。絶妙な物語展開に窪さんの上手さを感じさせられるこの作品。
「私は女になりたい」と名付けられた書名の奥深さに、人生は誰のためのものなのか?、そんなことを考えてもしまう、素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
すごく良かったです!
主人公の考えや行動に100%共感できる訳ではなかったけど、物語が進むにつれて幸せになって欲しいという気持ちが強くなりました。
文章が綺麗ですごく読みやすかったです☺︎
Posted by ブクログ
正直な話 あんまり共感できなかったなぁ
恋愛小説ってところだけを抜き出すとものすごく綺麗なお話だと思うけど、女性としての生き方の選択話としてみるとあのオチ含め、要所要所美化しすぎじゃないかなぁと感じてしまった。たぶんこれは私が男性として生きてるからなんだろうとは思うし、実はそこがこの小説の一番の罠であって、実はこういうとこにこそ嘘が書いてあって裏で舌ペロって出してたりするのかもしれない…くらいまでは考えた。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれた。
どういうこと?と。
恋から遠ざかってる40代以上の女性なら共感できることばかりだと思う。
戸惑いながらも女になっていく主人公が素敵だった。
心温まる展開もあってすごく良かった。
Posted by ブクログ
48才美容皮膚科医の主人公が14才歳下の男性と恋に落ちる話。こういう設定の本を初めて読んだので新鮮だった。
自分は成人さえしていればひとまわり以上歳下の男性を好きになってお付き合いしたっていいじゃないかと思ってしまうが、人によっては年甲斐もなく恥ずかしいと思うのであろうか。
短い人生。自分が好きになった人が自分のことを好きでいてくれることがどれほどの奇跡かと思うから、年齢になんてとらわれる必要ない。雇われ院長として仕事もバリバリ頑張る主人公に肩入れして、応援して読み進めていた。そのため、後半の展開がつらすぎて絶望、気分悪すぎて目眩してくる。わたしだったら立ち直れない、人生おしまいくらいの出来事が起こっていろんな人から好き勝手言いたい放題言われるけど、一言も言い返さず黙って耐え忍んだ主人公がやっぱり伊達じゃないなと…剛鉄の女って感じ。そりゃアナタ男なんていらんよとなった。でも最後、救いがあってよかったと思う。信じてくれる人は信じてくれるんだなと思った。
Posted by ブクログ
窪さんの抉られるような
火傷中のような
あの人物描写は感じず、
圧倒的な少女性を感じた
のめり込んで読んじゃった
絶対一緒になってほしかったので
最後はすごーく嬉しかったし、
映像がありありと浮かんだ
仮装した馬鹿たちの中心で愛を叫ぶ!2人の結婚式
ブーケトスやんね、あれは
Posted by ブクログ
窪美澄の文体が好きだけど、過度な性描写は求めていない人におすすめ。
40代後半の雇われ美容皮膚科医院長が、人として、ひとりの女性として、どう生きるのか。
言い訳せずに生きるのはたしかにかっこいいけれど、自ら苦しまなくてもいいんじゃない?と思うなど。
Posted by ブクログ
面白かった。
文章表現が素敵。
急展開が多く飽きない。
急展開も伏線がしっかりしていて不自然な感じが無くよかった。
ラストが、よく言えば余韻を残してスッキリ。
別な言い方をすれば、パッと終わってモヤモヤ。2人のこの後や、男性の身辺をもっと知りたいな〜と思った。
Posted by ブクログ
47歳バツイチ子持の美容クリニックの医院長のお話し。この人はとってもかっこいい。
想像していた女性像よりも、すっごく強くってかっこいい方のストーリーだった。
女性の女としての終わりっていつなんだろって考えさせられた。
章の名前がお花の名前になっているのもとっても良かった。きっと花言葉と繋がっている。
Posted by ブクログ
母親になったら、子どもが高校生くらいになったら女であることは許されないのか。
年相応に生きるしかなくて、年下の男性と恋愛をするなんて許されないのか。
誰が許さないのかはわからないけど、そういう人としてレッテルを貼られると生きづらいことは間違いないのだろう。
Posted by ブクログ
窪美澄さんの作品が好きで読みましたが、
この作品も非常に良い作品でした。
やはり、情事の描写は
想像に容易いが、いやらしくならないという
作者の得意なところなのかなと思います。
作品自体は女性が女性でいることの難しさを
自身が女性(恋愛対象)でありたいという気持ちと
周囲から女性(家庭での役割、職責、年齢)として見られている気持ちが
作品の中で相互に作用してその機微が描かれております。
Posted by ブクログ
audible52冊目。
好きな作家は?と聞かれた時に答えたことがなかったけれど、わたしは窪美澄さんが好きなのだと思う。
『ふがいない僕は空を見た』
『晴天の迷いクジラ』
『水やりはいつも深夜だけど』
『さよならニルヴァーナ』
特に、迷いクジラが好きだった。
そんなわけで、窪美澄ワールドのダークな感じが好みなのだけど、この作品はちょっと雰囲気が違いました。
純粋な(?)大人の恋愛小説、でした。
かつて母に、「どんなに近くにいても、縁がない人もいるでしょ。どんなに離れていても、縁がある人とは続いていくよ。」と言われたことがあります。
きっと、縁がある人とは、たとえば一度離れてしまったとしても、また続きが始まるものなのですね。
Posted by ブクログ
誰にでもある心の穴、何かの拍子にぽっかりと空いてしまって、タイミングよく埋めてくれそうな人がいたら頼ってしまう‥
難しいけど、恋は直感、フィーリング(だと私は思ってる)なのでね、仕方ないよね。
もう一度女になりたい。そんな風に思える最後の恋。
子供の目線で言ったらなかなかグロいけども、女目線でいったらすごく幸せな事だよね。
人を愛し、人に愛され、誰かと共に人生を歩む。
当たり前のように多くの人が営む図だけど、一つ一つが奇跡の集まりで、すごく素敵なこと。
Posted by ブクログ
窪美澄氏の著作を読むたびに性愛の小説が上手だなあ…と感じる。直木賞作家に向かってなんてことを言うんだという話だけど
理性ではわかっている、でも心が情動が泊まらない、止められないという人間が本当に愛おしい。窪氏の小説にはそういう人たちがよく出てくる
私は理性的な人間が好きだし自分もそうありたいと覆うが同時に感情も大切だと思うし感情こそが人間だと思っているので人間臭い登場人物がたくさん見られる作品は好きだ
直接的なタイトルもすごくいい。私はフェミニストだという自覚があるがこういう恋愛をする女性の話も大好き
たぶん嫌いな人も受け入れられないひともいると思う。主人公のように大人で自立もしている女性が一人の男性に身を焦がすどうしようもなさに私は少し安心する
私はフィクションだろうが女性には欲しいものは全部手に入れちゃえ!やったれ!と思タイプなのでラストのシーンはお気に入りだ
恋愛でぐだぐだしている人間が見たいときは窪美澄作品に限る
Posted by ブクログ
窪美澄さんの作品、久しぶりに手にした。
美容皮膚科で院長をしている、赤澤奈美が主人公。
夫と別れ、息子を育て、母の介護をして、仕事もこなす。
パワーが半端なく必要だと思うが、やりがいのある仕事が支えるのか、わけあり14歳年下の彼が支えるのか!
中盤かなり心苦しくなる状況もあったが、最終的には、仕事に賭けることが奈美を強くする。
恋の再燃を感じさせるラストも良かった。
Posted by ブクログ
描写が素晴らしい。鮮明に状況が浮かび、かつ吸い込まれる。物語の世界でどんどんページを開きたいとの気持ちになった。最近感じたことのないようなときめきが湧き興味深く読めた名著だと思った
Posted by ブクログ
女はいくつになってもきれいでいたい。欲望には年齢など関係ない。☺ 美容皮膚科医の主人公の恋愛ストーリー。背負っているものが重すぎる。歳の差恋愛。憧れる。最後は、幸せになってほしい。
Posted by ブクログ
家族を捨てオーナーの財力に媚びて?生計を成り立てていた主人公の生き方に共感はできないけど何故か幸せになって欲しかった
序章と最後のくだりは読者の想像力を沸き立てる
Posted by ブクログ
わかりみがすぎる。深すぎる。
以前シングルマザーだった頃、年下の男の子に僕と恋愛してくれと迫られた事がある。
対象として見た事もなかったし、子供の方が年齢近いやんかと丁重にお断りしたけれど、やっぱり本音言うと嬉しかったなぁ。
セフレでもいいからと食い下がってきた時は笑ってしまったけど(笑)
(↑今思えば気まずくならないように笑わせてくれたのかなと…いやそもそもこっちが目的だったのか?笑)
お断りした後も何度か顔を合わせる機会があって、なんとなーく、ほんのちょーっぴりいつもより小綺麗にしていた私は、確実に女やったと思う(笑)
この件に関しては1ミリも後悔とかしてないけど
あの時こうしていたら…これを選んでいたらば…
振り返ると私もいろいろあったし、なんだかんだとすっかりおばさんになってきたなぁ。
間違う事もあるだろうけど、後悔しないように、大切に私の人生を歩んでいきたい。
Posted by ブクログ
自分の気持ちよりも立場を守らないといけない主人公。最後に希望は見えるが終盤にかけてかなりつらい。窮地に陥ったときに信じてくれる人には本当に救われる。
Posted by ブクログ
なそこじゃないだろ、突っ込むとこ...って思う描写も多々ありつつ、自分が主人公の年齢に近いこともあって、感情移入してつらい部分もあった。恋愛感情って一生続くのかな。続くんだろうな。結婚して解放されたと思っても、チャンスがあればドキドキするし想像もするし、寝れないこともある。大人だからって、連絡来ないとか、相手の気持ちとか、頭から離れないもんな...それってやっぱり幸せだし、最後の...って死ぬまで更新されるのかも。自分が諦めなければ。
Posted by ブクログ
わたしは女だ、に共感だった。
母でもあり
妻でもあり
嫁でもあるけど
その前に、わたしはわたしだ!って思って
ずっと生きてる。
だから、恋だってする。
女である自分を優先だってする。
Posted by ブクログ
奈美に同情した。
奈美が家庭を壊したという描かれ方をしているけど、もし自分がこの本のような人と暮らしたら、きっと奈美と同じ気持ちになると思う。子供にも恨まれてしまっているのは本当に切ない。お金を錆びる父親が良い人であるはずがない。
最後、恋人と再会するシーンは自分には要らなかったかな。思い出として美化したまま話が終わって欲しかったです。
Posted by ブクログ
取って付けたような理由をあれこれ並べて
女である事をやめてしまいたくなる時もあるけれど
それでもどうしようもなく女なんだよな私。
と、本を読み終わってぼんやりと思っている。
Posted by ブクログ
人としてどう生きるか?
難しい問題ですね。
仕事を取るか母親として生きるか、女として生きるか?
実際にこんなことがあるのかどうか知りませんが、自分の身のまわりでは起きないでほしいと願うのみです。
小説の世界だと思い読みました。
Posted by ブクログ
久しぶりの窪美澄作品
同じ女として奈美の気持ちもわかるし、周りの視線もわかる…それでも止められないのが恋なのかなぁ。すっごくふわふわして毎日幸せで…でも崩れるときって一気に崩れるんだよね。そこから立て直せたのは奈美が今まで仕事を頑張ってきたから。最後に残るのは自分のやってきたことなんだなとしみじみ
Posted by ブクログ
女が、努力して、辛抱して、仕事や地位、お金、美しさ、恋愛を手に入れた結果、バチがあたるような展開に、途中ちょっと絶望しかけた。
もっと軽やかに、女が、母が、幸せをつかめるような世の中になるといいな。