あらすじ
大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。欠けた心を抱えたふたりが出会い、お互いを知らないまま、少しずつ歩み寄っていく道のり。変化し続ける人生のなかで、他者と共に生きることの温かみに触れる長編小説。
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過去のことに囚われて、ある時期に声が出なくなる壱晴と家族に囚われている桜子2人がひょんなことから出会う恋愛小説といえば、簡単になってしまうがそれ以上の感動があった
1人で傷ついたことを抱えるよりも2人で抱えて支え合って生きていくというメッセージに感じた
哲先生も壱晴のことを息子同然に考えていてほんとうに愛おしく感じた
自分のキャパを超える辛いことが起きたら人にすぐに言えない壱晴の気持ちも共感できてとてもよかった
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(2023年4月14日、読み終わったのはバス停のベンチ)
壱晴が、余命幾ばくもない哲先生のもとを訪れるようになった場面から、看取った場面、桜子の家に行く場面、そしてその家での出来事、ずっと涙が止まらなかった。切実さが、必死さが、眩しくて切なくて。人の命はいつか消えるからこそ眩しい。
人の感情を貝のむき身だと例えた桜子、恋愛は傷つかずに済むものではないという解説、窪美澄らしく人間のダークサイドを書いているという解説、どれもこれも深く刺さってもう抜けそうにない。私も〇〇さん(※片思いしていた、バイト先の先輩だった方です)に、むき出しの自分を晒せるだろうか。逆に晒してもらえるだろうか。桜子の焦りも痛いほどにわかった。境遇は違うけどでも考えは痛いほどにわかる。私もそう。だけど桜子のように真っ直ぐとぶつかることが、やはり私には出来そうにない。傷つくのが怖い。平気なふりをして生きていけない。この小説に共感して泣けたことは少し誇ってもいいのかもしれない。むき身が晒されていたから、ピリリと痛かったのかもしれない。
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訳アリの過去を持つ男性と結婚できない所謂重い女性の話。あるあるっちゃあるあるな設定だけど、どんどん読むスピードが加速していった。
お互いに好かれていくスピード感にはちょっと違和感があったけど、ハッピーエンドで良かった。
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久しぶり純愛本。主人公・壱晴は高校時に恋愛し、大学受験前、彼女が交通事故で亡くなる。それから12月になると声が出なくなる。壱晴は家具職人となり結婚式で知り合った女性と一夜を共にする。数日後、仕事相手として壱晴の前に現れたのがその女性・桜子だった。この作品は、不器用ながら惹かれあう壱晴と桜子の対比が面白い。また、壱晴の悲しい過去のカタルシスがメインのテーマで、どう過去を清算するか?ラストの壱晴VS.桜子の父、桜子VS.桜子の父に全て集約された。予定調和を感じたが、2人のパワーが過去からの脱却に成功した!⑤
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かなりの人間不信な自分でも、一人の人とじっくり向き合いたいなぁと思わせるストーリーだった。各々の心理状況や生活環境の描写から二人の関係性を間接的に投影していく文章展開が心にしみた。
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桜子のように、これから恋人になろうとしてる人から思い過去を長く聞かされたら誰でも混乱するだろうが、壱晴が前に進むためには誰かの存在が必要だった…というどこか冷たい恋愛小説。最後は胸が暖かくなります。
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最後には澄み切った空気を感じながら読み終えた。まだ著者の作品は数冊しか読んでいませんが、失礼ながら営みの情景をストレートに描く運びが潔くて読みやすい表現に好感を抱いて選定させて頂いた。
今回は最初の数行で期待通りと思ったものの、その後の展開はストレートに恋を描かれていた。互いの衝動、迷い、羞恥を次々と認知して確固たる伴侶と認めながら心の奥底にある不埒が相手を突き放す。その距離を一気に詰めたのは、長年側に居続けた存在。
本人が強く思うしがらみは小さな刺激で動きが生じて大きな変化を遂げることで急激にほどけていく。・・のかもしれない。
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「やめるときも、 すこやかなるときも」
タイトルに惹かれました。この言葉、良く結婚式で耳にしますよね。タイトルが全部ひらがなというのも優しさやあたたかみ、幸せそうな物語の匂いがして手に取りました。
窪美澄さん、初めて読んだけど良かった!特に女性のというより桜子の描写、妄想が、いじらしかったり、勇ましかったり、ユーモアもあって。「私のなかの暴走列車はとっくに走り出してしまっていた」「大きな獲物を前にしたハイエナみたいに奮い立つような気持ち」とか、ちょっと面白いと思いませんか?
主人公は2人で、壱晴はある事がトラウマで12月の1週間だけ声が出なくなる(記念日反応というらしい)。桜子は家族に問題があるのと、恋の仕方がわからない女性。この二人の出会いから心を通わせていくまでを描いた物語なんだけど、このある事がかなり衝撃的。壱晴の秘密は何なんだろう?その秘密を知ったとき桜子との関係は?先が気になり暴走列車のように読みつづけてしまった。話の流れで途中から何となく予想はできたけど、目の当たりにしたら、絶対に無理!これは重い、重すぎる。とてもではないけれど立ち直れそうにない。
壱晴の職業は家具職人で、椅子はその人を支えるものだから相手の事を良く知らないと良い椅子は作れない、家具は寄り添うものと壱晴は言っている。相手をよく知り、支え合い、どんな時も寄り添うということを、タイトルに込めたなのかなと思った。
壱晴は桜子からジャスミンの香りを感じていたのだけど、ジャスミンの花言葉は「幸福」「愛らしさ」「あなたについて行く」なにか意味深な感じがするのは気のせいだろうか?だって、「香りがした」ではなく「香りを感じていた」だよ。
全くのこじつけかもしれないが、主人公の名前、「壱晴」と「桜子」、ひらがなにすると「はる」と「さくら」。そう、春と桜!春といえば桜、桜といえば春。この二つは必要不可欠でペアなのだ。さらに、二人の新たなスタートを感じさせられる。
付き合い初めの初々しさとか、壱晴の事で桜子の気持ちが風船のように膨らんだり萎んだりと、喜びや切なさがじんじんと伝わってきて恥ずかしながら自分の若い頃を思い出し、恋とか恋愛っていいなぁ、若さっていいなぁ、と羨ましく思ってしまった。
次は、窪美澄さんの得意なダークサイドの作品を読んでみたいと思った
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「全部話してから始めたい」
なんのために?
過去の、自分を支配してる気持ちを整理したい?
始まらないかもしれないのに?
だけど気持ちの整理は誰かに言われることでもなく、期日を決めることでもなくちゃんと自分自身と向き合って乗り越えなくちゃいけないからね
純愛小説とあるけれど一番の純愛は哲先生じゃないのかなw
タイトル買いだったけど、もう少し深くても良かったかな?
結婚の誓いって多くの人は特別で、“一生に一度”と思ってするものだろうからね
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「やめるときも、すこやかなるときも」
結婚の誓いの言葉であることは最初は知らなかった。知ったあと、このタイトルの重み、そして結婚ということの重みが感じられる。
相手が病んでも、健やかであっても、一生添い遂げる覚悟があるのか?
盲目的になることではない。桜子のなかにも壱晴のなかにも、複雑で暗い部分がある。付き合うと決めたのは、各々の目的があり、必ずしも純愛ではない。激しい熱愛も持たなくて、会うたびに付き合い方を模索しているような恋愛模様。心の傷のかさぶたが剥がれるときは、試練が来るときである。
「やめるときも、すこやかなるときも」とは、結婚というものには、性格と習慣の調整もあれば我慢もあるが、「これから共に進みたい」という心情、そして相手に対する信頼、自分に対する信頼も要る、どれも欠かせないということ。と、読後考えた。
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ドラマのような展開だが、主人公の打算的・人間的な部分もあり、どこかリアリティのある作品だと感じた。
人の想いや願いが人と人とを繋げるんだなと改めて学んだ。最後の真織はずるい!
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窪美澄3作目。それはありえないでしょうと思う最終場面での「真織ちゃん」と主人公の邂逅エピソードも、よかったねと感じられてほんわり暖かな気持ちになれる。それまでのプロセスが一つ一つ積み重なって成就した、そうあってほしかったエピソードと思わせるところがこの作家の筆力なんだと思う。
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解説にも書かれていたが、最初から最後まで「純愛小説」だった。
どこかで、落とし穴や、読者への裏切りがあるのかと心配(期待?)しながら読んだけど、そのままテレビドラマになりそうなキレイな恋愛ものだったな。
読んでスカッとしたい、気分よくなりたい、という時にお勧めだ。
Posted by ブクログ
心情描写がかっこつけていない、というか、素直というか、生々しいというか。固い決意と脆い自分とと、浮かれる自分と悩める自分が同居する。そんな矛盾してるけど、実際そう。というような2人の主人公をいつのまにか心から応援したくなってしまう物語。
言い換えると自分の家の椅子を確認してしまう話。
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このご本は結婚する前にみんな読んだほうがいい。
でも結婚してるかたにも読んでほしい。。
わたしは本って経験不足なところや考えの至らないところを補填してくれるものだと感じているんだけど、このご本はまさにそう。
結婚ってこんなに大変なことで、こんなに責任のあることなんだな、って考えの至らないところに気づかせてくれて、結婚してくれた旦那さんに感謝の気持ちと愛おしい気持ちがさらに強くなった。
最初は気軽な気持ちでしたらいいよ結婚みたいにさ、って結婚を軽く見てた壱晴が変わっていく様が印象的だった。
真織の話の部分を読んでる時、壱晴はこんなに真織に心が囚われているのに、これから壱晴と桜子はどうなってしまうんだろうと終盤までずっとハラハラした。
桜子が壱晴にこだわる理由はわかったけれど、
壱晴が桜子にこだわる理由がわからなかったので
これから解説とみなさんの感想を読むのを楽しみにしています!
Posted by ブクログ
桜子が壱晴に惹かれた理由はなんとなくわかるが、壱晴が桜子のどこに惹かれたのかイマイチよくわからなかった。やっぱりどこか桜子に真織を重ねているようにしか思えなかった。真織を忘れるための桜子みたいだなと思った。最後はいい感じで終わったけれど、桜子の家が心配だった。父親も桜子のことが大好きなのかも知れないが暴力をするし、母親は今度は妹に頼って暮らすつもり。妹が疲れ切ってしまいそうだと思った。
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丁寧なストーリー構成に好感が持てた。
ベッドで桜子さんの身体のサイズを測っていたシーンから桜子の椅子に桜子さんが座るまで、他人事ながら愛着を感じる、人間味の溢れた素敵な物語だなと思った。
桜子さんが壱晴さんを好きになる気持ちは分かったけど、壱晴さんが桜子さんを大事にしようと決めた時の気持ちがよく分からなかった。
性的接触の描写がなくなっていて感じたが、作者は人間の弱さをよく理解している人間好きな人なのかもしれない。
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主人公2人がなんだかわからない間に惹かれ合っていてちょっとその辺がモヤモヤしたし、壱晴は飲みに行った帰りによく女性を部屋に連れ込む人みたいに書かれていたが物語の中での言動は決してチャラくはなく、どちらかというと忘れられない過去から逃れられていない人だし、
なんか「?」と思う箇所はあるにはある。
でもそれを除けば純愛もの。
2人の真摯な向き合い方が浮ついてなくて好感が持てた。
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2024
本屋をぐるぐる徘徊して、ときめいた本の1冊。初めてこの著者の本を読んだけど、読みやすかった。内容はなんだかお父さんが暴力を振るう描写が多くて少しげんなり、、あとは土下座の安売り感、なんだかあまり読んでて気持ち良いものではなかった。
相手の中に忘れられない人がいる場合、それを越える人に出会わないと物事が進んでいかないよねえ〜。ふーー、恋愛って難しいねえ。
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いつかは必ず終わりを迎えるこの生活を、大切な人との時間を、もっともっと大切にしながら過ごしていきたい。そう思わせてくれる作品でした。
"貝のむき身みたいな自分"か〜。
26/2024
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再読。
出てくる人たちそれぞれに思惑がちらつくのがリアリティあった。でも壱晴さんも桜子さんも、早い段階からお互いを大切な人だと思ってるのは、あれ?いつの間にそんな感じになったんだろうと、追いつけない感じは少しあった。
全体的に話の流れが早くて読みやすく、苦しい出来事もあったけど、最終的には素敵な恋愛小説だった。
師匠と壱晴さんの造る椅子に座ってみたい。
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主人公二人の視点がから物語がすすんでいく構成。それぞれの過去や心情が読んでいくにつれてわかってきて、感情移入できる。自分的には桜子の方には共感できるところがあり、涙した。壱晴の方は、さすがに気持ちを想像することしかできないものの、大変なものを背負いながら、その切ないトラウマ経験の元となった人と似たような女性にまた惹かれていく、この男性の運命と、その人との結婚を決意することによって、過去と罪悪感と精神のカタルシスを得るという、ハッピーエンドな物語。これからの二人には、明るく幸せな未来があるはず!
Posted by ブクログ
これ多分去年から少しずつ読んでた!笑
安定の女の子視点はするする読めるんだけど、男の人視点だとなかなか読めないけど、やっぱり終盤の盛り上がりはさくさく読めた!
結婚したい女性と、ある時だけ声が出なくなる、結婚する気がない男性のお話。
搾取されまくっていた桜子が、幸せになれるといいなあ。きっとなるんだろうなあ。
不穏から始まるハッピーエンドだと思います。
Posted by ブクログ
タイトルは結婚式での誓いの言葉を彷彿とさせるものである。結婚とは、家族とは何なのかと考えたときに、登場人物の考えと自分自身の考えがあまりリンクせず、ピンと来なかった。暴力を振るう父親は最低。
主人公が、どうして桜子のことを好きになったのかよく分からなかった。大人の恋はそういうものなのか。
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私の感想としては星3.6。
最初のプロポーズから、え、そうなるの?それって運命なの?とか思ってしまったけど、なんだかんだいい方向に行ったり、ちょっと成長もあったり。小説ならではかな。
美しさが垣間見える文章だった。
ただお母さんにはモヤモヤするなー。
Posted by ブクログ
彼氏がいない女友達とうまく付き合うのが難しい感じがうまく出ていると思った。人生それだけじゃないのに、恋愛も結婚も「する人」がマジョリティだからみんなの当たり前になってしまっていて、自分のペースでって思うことは難しい…。
壱晴の女友達は、理由はなんであれ不倫はどうなのかと思う。友達が不倫をしていたらまずは諌める人間でありたい。
桜子について、心的外傷の理由を知りたいって思っていたのは自分なのに、いざ打ち明けられたら無理なのは身勝手すぎる。それを受けて壱晴が、2人で松江に行こう!ってなったのにもびっくり。
最終的にはハッピーエンドに落ち着いたけど、もうこの世にいない人と競うことはできないから、壱晴は真織と桜子は完全に別の存在として扱わないといけないし、桜子は壱晴の中に真織が存在し続けることを受け入れないといけない。自分だけが愛されることは永遠にないと知った上で一緒に生きていくことは、想像するだけでもとてもつらい。私は耐えられそうにない…。
恋愛って本当につらい。でもつらくない恋愛は、相手のことに別に興味がないような関係は、恋愛とは言わないんだよな…。
p430
結婚ってこういうものかとふと思う。誰かにとって大事な誰かを、誰かに大事にしてほしいと思う気持ち。
捻くれたことを言ってきたけど、人が結婚して家族になることは奇跡のようなことだと思う。
Posted by ブクログ
「やめるときも、すこやかなるときも」結婚式の常套句だ。だからこういう物語なのかなって思い込みが頭のどこかにあった。過去におっきな傷を負った二人が距離を測りながら、恐る恐る近づいていく物語だった。自分の中にある忘れたい過去。っていうのは大なり小なり誰にもある話なんだけど、窪さんはそういう誰にもある話を物語に織り込むのがうまい。人間不信の野良猫が保護されて懐くと例えるのは下手くそかもしれないけれど、印象としてはそんな感じ。