窪美澄のレビュー一覧

  • よるのふくらみ

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    誰も悪くないのに、みんなが誰かを傷つけていて、読んでいてなんだか苦しい。

    みひろの「からっぽ」は、誰にでもあるもの気がして、どこか他人事ではない。誰かに満たしてほしくて、でも本当は自分でもどうしたらいいのかわからない、ような。

    綺麗じゃない感情ばかりなのに、そこにちゃんと人の温度があって、読後も余韻ばかり。

    ーー

    里沙さんは今まで会った人のなかでいちばんくらきにやさしい人だ。やさしくて、そして、だらしなく人を許す。

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    2025年05月22日
  • ははのれんあい

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    主人公の智晴は自分の学生時代のうちに父親の浮気による離婚、母の再婚相手候補との話し合い、さらには自分自身の初恋により勉強に手がつかなくなることなど、恋心によって人生が大きく左右される経験をする。

    智晴の両親の離婚時には双子の弟二人がおり、母親が仕事に出ている間は二人の面倒を見る必要があった。
    その頃から恋愛沙汰や弟二人の面倒を見ていたこともあり、良くも悪くも早くから大人びた視点を持つようになる。
    そのように責任感を強く持ちつつも、弟たちとともに大人になるにつれて、彼らには彼らの人生もあるということで、過度に干渉するのはやめようという考えになるが、現実にそのような考え方に移行するのはなかなか難しいことだとも思う。

    また、自分の人生を大きく変えた父親を最後まで完全に許すことはできなかったが、弟二人は父親が大好きであることと、母親の「たとえ形が変わっても家族」という言葉であった。
    これも現実と比べても仕方のないことではあるが、実際に受け入れるのはかなり難しいことだと思う。

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    2025年04月26日
  • よるのふくらみ

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    ネタバレ

    窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。

    本作は2014年に発表された作品。

    ・・・
    以前窪氏の作品『晴天の迷いクジラ』を読んで、余りにも自分のテイストと合わず、以降敬遠していた作家さんです。

    で、老化の効果か、いい感じに前回読んだ作品も忘れてきて、再度チャレンジ?しようと購買に至ったものです(同じタイトルを買わなくって良かった)。

    やはり、最近よく名前を聞くので、そらあ何か持っているんだろう、以前読んだものは「はずれ」なだけで、きっと「あたり」もあるはずだ、と手を伸ばしました。

    ・・・
    結論からすれば、なかなかよかった。
    ジャンルはまあ恋愛小説です。

    構成は、7章で連作チックになっています。章ごとに視点が変わり、読み進めるに従い全体像が立体的に浮かび上がるという構造。

    登場人物は、みひろ、圭祐・裕太の兄弟がメインキャラ。彼らの視点が入れ替わりつつ物語が進行します。

    話の筋としては、簡単にいえば、やや薄幸なみひろを兄弟で取り合う、とまあこんな感じ。下町の小さい商店街という狭いコミュニティの中で、みひろの家はもちろん、二人の兄弟の家にも不和やらなんやら噂やらがある中、みひろと二人の兄弟が恋愛模様を描いてゆく、というもの。

    狭いコミュニティの息苦しさ、そんな閉鎖性にも関わらず人は恋する生き物だということが良く分かる作品です。

    そして家族として、家の中の不和を受け止めていく。その修羅場と受容のありようもじっくりと描かれていました。

    くっついても、別れても、あるいは元の鞘に戻っても、家族はなかなか大変。そしてコミュニティが狭ければ狭いほど、外野もうるさい。それをどうやって受け止め、受け流すかは、やはり個々の家族次第ということですね。

    ・・・
    ということで窪さんの作品は二作目でした。

    恋愛小説というカテゴリのようですが、私としては恋のライバルとなった圭祐・裕太の兄弟を含めた家族の様子に焦点を当てて読んでいました。この家族が今後どうなるのか、と。

    その点では、家族小説といっても良いかもしれないかもしれませんね。続編が出たりしたら是非読んでみたい。

    きょうだいで同じ人が好きになったことが有る人、友人と同じ人が好きになったことが有る人などにはおすすめ出来るかもしれません。

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    2025年04月24日
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース

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    人はいつかみんな死ぬんだよなぁ。私も。建物も古くなれば建て替えが必要だし。だけど、新しい命も生まれてくる。生きている間、困った時は周りに助けてもらって、自分も誰かに手を差し伸べて、暖かい気持ちで過ごしたい。ちなみにこの団地のモデル、初台と新宿の間にあったのだと思う。

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    2025年04月23日
  • 私は女になりたい

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    なそこじゃないだろ、突っ込むとこ...って思う描写も多々ありつつ、自分が主人公の年齢に近いこともあって、感情移入してつらい部分もあった。恋愛感情って一生続くのかな。続くんだろうな。結婚して解放されたと思っても、チャンスがあればドキドキするし想像もするし、寝れないこともある。大人だからって、連絡来ないとか、相手の気持ちとか、頭から離れないもんな...それってやっぱり幸せだし、最後の...って死ぬまで更新されるのかも。自分が諦めなければ。

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    2025年04月13日
  • たおやかに輪をえがいて

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    最初は主人公に、いや言いたいこと全部とは言わんけど少しは言えよなんなん?って思って読んでいたんだけど、覚醒(?)してからが素晴らしかった。こんな人になりたいとまで思えるくらいには!
    ゆっくり読んだけど、時間さえあればサクサク読める感じだた!

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    2025年04月09日
  • 妖し

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    米澤穂信、小池真理子が面白く、朱川湊人はそれなりに思いました。元々読んでいる作者が、結局好みということです。

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    2025年04月05日
  • すみなれたからだで

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    「猫降る曇天」の英字ビスケットの入りが好き。
    窪さんの実体験なのかな?と思った。
    完全に創作ならその想像力に戦慄する。

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    2025年04月01日
  • アカガミ

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    設定はユニークだけどなんかずっと暗いな…主人公もパートナーもクヨクヨしてる。パキパキ北京の主人公がこの世界にいたらどんな感じだろうと思いを馳せた。

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    2025年03月26日
  • 水やりはいつも深夜だけど

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    途中から一気読みしました。
    特段変化がある訳じゃないのに、続きが気になって仕方ない短編たち。
    全部に色々と植物が出てくる。わたしはゲンノショウコの話を読んで凄く泣きそうになった。
    色々あるけど全部最後は前を向いている、そんなお話たち。

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    2025年03月21日
  • やめるときも、すこやかなるときも

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    ネタバレ

    桜子が壱晴に惹かれた理由はなんとなくわかるが、壱晴が桜子のどこに惹かれたのかイマイチよくわからなかった。やっぱりどこか桜子に真織を重ねているようにしか思えなかった。真織を忘れるための桜子みたいだなと思った。最後はいい感じで終わったけれど、桜子の家が心配だった。父親も桜子のことが大好きなのかも知れないが暴力をするし、母親は今度は妹に頼って暮らすつもり。妹が疲れ切ってしまいそうだと思った。

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    2025年03月20日
  • たおやかに輪をえがいて

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    『たおやかに』とは上品でしとやかな表現のこと。結婚二十年、52歳の主婦が主人公。一人娘は大学生、住宅ローンもほぼ完済。人生は穏やかにこれから収束するはずが…意外な展開に。

    真面目なだけと思っていた夫の風俗通いが発覚、大学生の娘がドラッグの売買に関係して警察に呼び出されたり、同窓会で久しぶりにあった友人が整形して同性愛だったり、自分の人生には関係の無かったような出来事に戸惑いながら自分自身の人生についても考えてゆく…そんな物語。

    僕が男だからかなあ。女性ってなんでそう考えるのかなぁ…とか、そんなことないのになあ…主人公の感情に共感するところと意外に思う部分はあったが、他に登場する女性たちか個性が強すぎて、なんだか腹が立ったりさほど魅力を感じなかった。ラストも、うーんという感じ。

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    2025年03月04日
  • さよなら、ニルヴァーナ

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    ネタバレ

    かなり胸糞悪いので、読んでるだけで、気持ち悪さはあった。よくもここまで、怒鳴り付けたくなるようなキャラクターを描けるもんだと感心するくらい。どこまで堕ちていくのか知りたくて読み進めた。

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    2025年03月04日
  • 朔が満ちる

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    窪美澄さん4冊目。重い話であり、結末は甘すぎるかもしれない。それでも理不尽に父親から暴行を受け続け殺しかけた男と生まれてすぐに乳児院の前に捨てられた女が、それぞれの痛みを分かち合う努力をしながら求め合う物語は少なくとも幸せな家族を予感させるものとして終わって、私にとってはよかったと思える。それなのに13歳の時に男を救ってくれた元駐在さんから、男の父が男の祖父から暴行を受けていたことを聞かされる必要はなかったと思う。暴力は連鎖するとの伝説をここで想起させることで男の血にも殺しかけた父の血が流れていると問いかける必然があると思えない。希望を語るのであればDNAの話は抜きにした方がよかったと思った。

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    2025年03月02日
  • いるいないみらい

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    すごいデリケートな話題。
    だけど全体的に嫌な話がなくて、読みやすい短編5つ、時間にして数時間で読みおわれた!
    最初と最後はどちらかが前後なんだろうか?気づかなかったけど連作だったのかもしれないなあ。
    わたしの年齢的にもそろそろ難しいし、彼氏とこういうお話をすることもある。
    でもこの小説は割と男の人が子どもを欲しがってる人が多いイメージだったなあ。

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    2025年02月28日
  • 私は女になりたい

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    わたしは女だ、に共感だった。

    母でもあり
    妻でもあり
    嫁でもあるけど
    その前に、わたしはわたしだ!って思って
    ずっと生きてる。
    だから、恋だってする。
    女である自分を優先だってする。

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    2025年02月14日
  • やめるときも、すこやかなるときも

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    ネタバレ

    丁寧なストーリー構成に好感が持てた。
    ベッドで桜子さんの身体のサイズを測っていたシーンから桜子の椅子に桜子さんが座るまで、他人事ながら愛着を感じる、人間味の溢れた素敵な物語だなと思った。
    桜子さんが壱晴さんを好きになる気持ちは分かったけど、壱晴さんが桜子さんを大事にしようと決めた時の気持ちがよく分からなかった。
    性的接触の描写がなくなっていて感じたが、作者は人間の弱さをよく理解している人間好きな人なのかもしれない。

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    2025年02月13日
  • いるいないみらい

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    独身だったり、子供を持つ、持たないの選択、考え方それぞれの物語。自分ごとの話で思うことはあるのにそこまで刺さらないのは強い思いがないからとかなんや感や言いつつ理想通りに動くだろうと思ってるからなのかもしれない。

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    2025年02月10日
  • よるのふくらみ

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    究極の恋愛小説と、背表紙には書いてある。
    そうか。。。
    ずっと重苦しいじっとりした感じで、気分が落ちてるときには読めないかも。

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    2025年01月25日
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    1〜3章目まで家族が崩れていく様子や、死にたくなる程の苦しみがこれでもかと盛り込まれていて息がつまった。家族というものは関心がなくても愛が強すぎても子供を持っても上手くいくものではなく、たくさんの境遇がある。最後の章で座礁した鯨を観に行き、そこで出会った家族に触れ合うことで3人の気持ちが少しづつ変化していく様子が人間的でとても良かった。「鯨が生死を彷徨っている=人間が生死の選択を迷う」ことがリンクしていて考えさせられる。
    死にたくなるような事は生きていたら必ずあるけど、それでも生きるしかないと思える作品。

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    2025年01月10日