窪美澄のレビュー一覧
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窪美澄さんのBL小説。とはいえ、章ごとに主人公が変わり、様々な視点から浮かび上がる親と子の絆や確執、夢を追う生き方などの恋愛以外のテーマも盛り込まれており、シンプルなBL小説とは少し違うものだった(普段読まないので、推測ふくむ)。手に取るのにやや躊躇する方もいるかもしれないが、窪さんらしい、誰しもが弱さも持つ人間っぽさがしっかりと感じられるヒューマンドラマのような作品でもあるので、ぜひ多くの方に読んで欲しい。
それにしても、時代小説だったり、ディストピアっぽいテイストの作品を作ってみたり、様々な作品を届けてくれる窪さんは本当にすごい。次作はどんな内容の小説を届けてくれるのか。楽しみに待ちたい。 -
Posted by ブクログ
性欲とは、処理しなくてはいけないもの、コントロールできるべきもの、あたり前のようにその不完全さを愛情で補完できるはずのもの。そういうふうに捉えてしまうが、その実、どうしようもなく「なすすべもない」もので、愛情だとか思い遣りだとかそういった感情とリンクさせて理屈で考えようとすればするほど、自分の欲望と感情との不一致に悩まされてしまう。
性欲に突き動かされて形振り構わず行動するのは、インラン、と軽蔑されるようなことかもしれないが、その必死さ、褒められた欲ではないからこその葛藤や罪悪感にも少し理解できるところはあると感じた。
「やめるときも、すこやかなるときも」を読んだ時にも感じたけど、登場人物が -
Posted by ブクログ
ネタバレ本屋さんで文庫に目が止まり、あらすじを読んで興味を引かれ購入。
心に残ったのは、私は子どもが大嫌い。嫌いと言いつつ、子どものことが、みくちゃんのことが気になってしまう主人公。
みくちゃん、どうなっちゃうのかな。先が気になるお話でした。
読んでて辛い…ってなったのは無花果のレジデンス。もし自分が原因の不妊だとしたら…と考えるとあまりにも辛かった。自分が積極的に子どもを欲しがっていた訳じゃないけれども、落ち込んでしまう主人公の姿に同情した。奥さんの立場からしたら休もうか?ってしか言えないけれども、主人公の立場に立つとその言葉は無くない??気を遣ってるつもり???って腹を立ててしまう不思議。〆で -
Posted by ブクログ
ネタバレ彼氏がいない女友達とうまく付き合うのが難しい感じがうまく出ていると思った。人生それだけじゃないのに、恋愛も結婚も「する人」がマジョリティだからみんなの当たり前になってしまっていて、自分のペースでって思うことは難しい…。
壱晴の女友達は、理由はなんであれ不倫はどうなのかと思う。友達が不倫をしていたらまずは諌める人間でありたい。
桜子について、心的外傷の理由を知りたいって思っていたのは自分なのに、いざ打ち明けられたら無理なのは身勝手すぎる。それを受けて壱晴が、2人で松江に行こう!ってなったのにもびっくり。
最終的にはハッピーエンドに落ち着いたけど、もうこの世にいない人と競うことはできないから、壱晴 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「二度目の恋」でらなく、「二周目の恋」って何? と思いながら手にとった。
恋愛小説のアンソロジー。
同じ人にもう一度恋をする、というより、過去の恋の色んなものを乗り越えて、振り出しに戻って新しい恋をスタートさせる、というイメージかな。だからといって、すべての話がそうとは決まっていない。
もうすでに「付き合ってる」ような感じだけど、明確にするために頑張る女子大生や、結婚を経験したのちに自分らしい恋愛をする女性。脱皮して一回り大きくなった人たちが出てくることは間違いない。
昔は居心地が良かったけど、新しい世界で生きていると、なんだか昔のことを違う視点から見られるようになっている、なんてことはよく