窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うつの今読んでよかったかもなあと思った。
野乃花の話が1番辛くてでも1番共感できて、どうしてと思いながら読んだ。繊細でか細く見えた野乃花が、あんな社長になっていたという事実に、彼女の強さとその美しさとたくさんのしんどい気持ちのその重さを感じた。
由人の話もよかった。かなりしんどい中生きてきて、自分もしんどいのに、人のことを考えちゃう優しい人だと思った。
語り口が特に好きで、魅力的な人だと思った。
ミカが泣いた時のセリフがすごく印象的だった。自分とは違って寂しくて死にたくなるか。
寂しくて死にたくなる。
正子の話は、現代の都会の毒親の子はこういう気分になりながら育つのかと思わされた。最初は私もお母さんのことが好きで読み始めたのに、だんだん首を絞められるようだった。正子という名前も途中からなるほどなと思わされるのもすごいと思った。
海老くんと忍がとっても素敵だった。実際に身近にいたら海老くんのこと好きになっちゃうだろうな。忍がいたらとても楽しくて幸せだろうな。
おばあちゃんがすごく素敵な人で癒された。
正子とアイスを食べながら自分の話をしてくれるところがすごくよかった。
もう若くないから孫のためにおいしいものを食べたり遠くに旅行したりはできないという語りには涙が出そうになった。
窪美澄の作品はどれもひとつひとつのシーンが味わい深くてよい。何度も頭の中でいろんなことを考える。
最後の一文がとてもよかった。
私も野乃花のようにこのしんどさを強さにして美しく生きたいと思った。 -
Posted by ブクログ
高校時代仲が良かった男女五人のグループのうち、もっとも聡明で美しかった菜乃子がODで自死したことから溢れ出す、残された者たちの続きの人生。
当時から五人のあいだであちこちに矢印が向き合っていたことが分かり、それが二十年後の今もなお一方通行である事実にもどかしさを感じながら読んだ。
話の主人公が入れ替わっていく連作短編で、まさか五番目となる最終章は亡くなった菜乃子の視点ではあるまいなと冷や冷やしていたらそのまさかで、はじめ若干白けたのだけれど、蓋を開けたら五つの中では一番良かった。
クールでわりと物静かな印象を他人に与えながらも、実は彼女が「小説家になりたい」という野心や、才能ある他者への嫉妬を煮え滾らせていたところは意外だった。
〈私はまだ若かったけれど、余生、という言葉が浮かんだ。負け犬、という意識は十分にあったし、そう思うことがメンタルの不調を引き起こしているのは確かだった。自分、という人間の幼さや愚かさを抱えながら、私は地味な仕事を続け、余生を生きた。〉
この感覚はなんか他人事と思えない。
彼女が生きた余生の先にあったのは、理想と現実の乖離に苦しんで、飽和した憂鬱のもとに起こった衝突事故のような死。
本を読みすぎた者の末路かもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ梓が史也の家に流れ込んでくる強引さ(普通追い出す)と、2人の実家が青森でしかも近い偶然、青森へ行く好都合さ(ちょうど史也の仕事で出張決まる、都合よく先輩吉田さんの父が倒れる、梓の育ての父が追ってくる)、その出張先の保育園園長が梓の育った施設に偶然いた、という運の連続が気になる。
暴力を振るう方の父親にも、村議会議員の母の家で肩身が狭くて、しかも妻の不倫や息子が自分の子ではないと疑うなど一応背景があるのがよかった。
第一章
父を殺したような始まり。
カメラマンの仕事、キャバ嬢の水希。
↓
病院と夜道で梓と出会う
史也の学生期 DV父を斧で殴る
第二章
妹の結婚相手に会う
梓と水希の遺体発見、葬式、遺骨を母親へ
梓の育ての父親が史也の家に殴り込み、逃げるため青森へ
第三章
史也と梓の故郷青森へ。伯母の入院先へ
梓の乳児院と実家へ
第四章
梓の母に会いに→ちらし寿司ぶっかける
史也の実家へ
父が死にかけ、梓を残して一人帰る
父死亡、梓と結婚。