窪美澄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ不器用ながらも一生懸命に生きて、過ちを犯して、傷つけられて、傷つけた、察するに余りあるほどの3人(本当はおばあちゃんと雅治の2人も入れたい)が出会い迷いクジラを見に行く。
ク、クジラ、、?!?!
なんとも意表をつく展開で唯一無二のストーリー。そこをすんなり受け入れてしまえるのは、全てにおいてリアリティがすごいからだと思う。全ての登場人物が本当に実在するかのような、温度と痛みを抱えている。
もうダメかと思ったクジラが、もがきながらもう一度海へ帰っていく。その後、どれだけ生きるか、そんなことは分からない。クジラを人間と同じように考えてはいけないという、身近にいたらめんどくさそうなクジラ博士の言 -
Posted by ブクログ
とってもすてきな家族のお話。タイトルからしてお母さんが不倫?するお話(それにしては装画が明るい)かと思いきや、手のかかっていた長男が成長し、お母さんと家族を支えていくお話だった。
一章では、智久(夫)の不理解と由紀子(母)の必死さがグッと心に刺さった。甲斐性のない夫のくせに、逃げてんじゃねぇよ!と。由紀子が1人で保育園児を宥め、双子との3人の小さい子をワンオペしていた。ワンオペの苦労が目に見えるようにわかり、お母さんって本当にすごいと尊敬。
二章では、智春くんが成長し、お母さんも正社員になり、頼りになるケアラーと大黒柱のコンビになり、家族を支えていた。お兄ちゃんの胸にある、お父さんへの複雑 -
Posted by ブクログ
子どもがいる未来といない未来、妊活するかしないか、さらには、養子縁組みするかしないか、いろんな家族の形がある中で悩んだり支えあったりする人たちを描く短編集。夫婦のあり方、家族のあり方を考えさせられる。
妊活がうまくいかないときに、どちらかが傷ついたり夫婦関係がギクシャクしたりすること、子どもが嫌いでも、堂々とそれを言うことは憚られる社会の空気、職場で産休・育休を取る人がいると、その周辺に業務負担がかかりがちだが、それについて不満を言えない会社の雰囲気、
SNSでやたらと子どもの写真をアップする親も多いが、それにより静かに傷つく人もいることなど、共感することしきり。
そんな微妙な問題を描きなが -
Posted by ブクログ
子どもがほしい夫とそれを強く望まない妻や子どもが大嫌いな女性、子どもを亡くした男性などが主人公の、子どもに纏わる短編集。子どもがほしいと夫にお願いされても、妊娠から子育ても含めて負担がかかるのは女性の方なので、踏み切れない気持ちもわかるし無理しなくて良いと思う。産んでみてやっぱり無理でした、では済まない。『無花果のレジデンス』にあった妊活プレッシャーは夫と妻どちらの気持ちにも共感できる。望む人の元にすんなり来てくれるシステムだったらいいのに。『私は子どもが大嫌い』が1番好きだった。どんな価値観の人にも、その人の選択によって幸せな未来が訪れますように。
-
Posted by ブクログ
窪美澄さんによるダークサイドな短編集。
古い団地を舞台に、そこに住んでいたりそこに住む人と関わっている人物が主人公として登場する。
寂れた団地と、その側にある池がまたダークな雰囲気。
真っ当とは言えない過去や現在を生きる人物がたくさん出てくるので楽しいとは言えない小説だけど、私は好きでした。
1つ1つが短めだからさらっと読めるけど、後を引く感じ。ホラーっぽい読後感のものもアリ。
不倫(のような関係)、いじめ、記憶にない殺人などがテーマとして現れ、じめっと終わる作品群の中、1人の少女が主人公の「宵闇」だけは明るさというか光を感じる作品だった。
暗いしダークなのだけど、それで終始するわけではない -
Posted by ブクログ
読書備忘録781号。
★★★★☆。
軽い感じの表紙絵ですが、物語は現代日本が抱える大きな2つの問題を組み合わせている。
でも、決して暗いエンディングではないので読後感は全然良いです。笑
昭和、高度経済成長期に建てられたいわゆる団地。
建物の老朽化と住民の高齢化が進む。
そんな団地に、幼くして父親を亡くし母親は家を突然出ていき、その日その日を必死に生きる棚橋姉妹がいた。
姉の七海は生きるために収入の良いデリヘルで働く。妹のみかげは夜間高校に通い、昼はパン工場で働く。
みかげは、小中といじめに晒され、夜間高校に進学することにしたが、将来に何も希望を持てないでいた。
そんなみかげが夜間高校で初 -
Posted by ブクログ
「最悪よりは平凡」島本理生
顔は平凡だけど体がグラビアアイドルなみの魔美は、こんな名前をつける親に育てられたという心の傷と、しょっちゅう男性から誘いをかけられる体質。彼女にとっての幸せな恋愛は?
「深夜のスパチュラ」綿矢りさ
大学生の可那は気になっている男の子に手作りチョコ前日に思いつきあげようとするけど、料理スキルなく、買い物から四苦八苦。オチ秀逸だった。
「フェイクファー」波木銅
主に着ぐるみ作る手芸サークルに入っていた男子の回想。仲間が一人死んだという連絡入る。
「カーマンライン」一穂ミチ
私が五歳の時、母は父と死に別れたアメリカから日本に戻ってきた。双子のケントをアメリカの、父の実家に