窪美澄のレビュー一覧
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郊外の古い団地には外国人が多く住むようになり、そんな団地で育つ中2の桐乃、ベトナム人のヒュウ、桐乃の母里穂の3人の視点から描かれた小説。
桐乃の抱える寂しさや孤立、ヒュウの受けるイジメや生きづらさ、外国人を助けるために奔走して娘を見ていない里穂。全体的に苦しくなるような状況。
桐乃とヒュウの中で共鳴する何かがあったから近づいたのだと思う。団地での息苦しさ諸々で夏休みに団地を出るふたり。そこで出会う技能実習生やヒュウの祖父から聞くボートピープルの話。本当に過酷で考えさせられる。
桐乃の母との関係はこの件をきっかけに好転する兆し。外国人をほっておけない気持ちを見るとやっぱり親子なのだなぁと思う。
ヒュウの厳しい状況はそう簡単には変わらないだろうし、現実は甘くないと感じさせられます。
胸が苦しくなる内容ではあるけど、読んで良かったと思いました。
子どもと大人の間にいる桐乃とヒュウの柔らかい心が、傷を負いながらも少しずつ動き出しそうな気配に希望をつなぎます。幸せになれなすようにと願って止まない。 -
Posted by ブクログ
少年同士の恋と、それを取り巻く登場人物の視点で描かれるオムニバス形式の恋愛小説。
普通とは何なのか、普通でない生き方とは。
きっと普通なだけの人なんていない。
だけど、普通じゃない生き方に当然ついてまわる葛藤がある。
だからこそ、出会える何かがある。
そんなことを感じさせてくれた小説。
窪美澄という作家、凄く好きなのである。
どうしても窪さんの作品となると色眼鏡をかけてみてしまい★4つにしそうになったけど
冷静に★3つ。
というのも、窪美澄が好きな理由は、
『リアルな感情を活字で表す圧倒的天才』だから。
もう窪作品、読んでるだけで「天才かよ…窪美澄…怖いよあなた天才かよ…わかる。ほんとわかる…」とかブツブツ言いながら読まされること多いんですよほんと。
今作もしっかりとその手腕と才能は遺憾無く発揮されており、特に二人目の語り手の話は(5人の視点で一話ずつ描かれる群像劇)もはやそれ1つで名作短編を読んだ気になるほど良かった。
だが、しかし。
この物語に出てくる二人の少年、こちら二人が当然主人公とその恋愛相手なのだからメインキャラクターなんだけど、ここのキャラクターがリアルじゃない。
描きたいことはわかる。
存分にわかる。
設定も展開も、二人の違いも差も、
すれ違いも良かった、良かったんだけど、
キャラクターがリアルじゃなかった。
もはや周りの登場人物、ここで言うなら他の視点3人の方がよりリアルなのである。
窪美澄は感情をリアルに活字化できる天才である。
だけど、登場人物がリアルでなければその感情もまたリアルさを欠いた、そんな風に思う。
作品として登場する人物は一風変わったキャラクターたちばかりである。
そもそもそれが作品のテーマであり、「普通とは違う」とカテゴライズされてしまう人たちの物語である。
女の子みたな趣味嗜好を持つゲイの少年だったり
自分の子どもではない子を育てる女性であったり
夢の為に子を捨てる父親だったり
腐女子でいじめられてる泣き虫の女子だったり。
変わってると言われる人物のその変わってると言われる所以をリアルに描写できれば窪美澄の才能をもってすればもっと心に深く染みるような作品になったのではないかと思う。
どうも主人公カップルの少年のキャラクターが、作られた枠の中から飛び出して生きてなかったなと感じる。
とはいえ、
作品としておもしろくなかったかと言えばそんなことはなく。
やっぱり窪美澄の作品はいいなと思えるものではあった。
あと、作中に何度か、やはり窪美澄だなと思わせる強烈なセリフや文章があり、
まぁ結局窪美澄好きだわやっぱり。
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Posted by ブクログ
『週刊文春WOMAN』掲載。2024年1月、文藝春秋より単行本化。
コミカライズもされている作品です。
幼い頃から、自分の性的な嗜好に違和感を抱いてきた少年。恋愛対象が同性であることも、自分では認識しています。
そして、彼を取り巻く家庭環境もまた複雑です。彼の実の母親は家庭を離れ、父親は再婚相手に少年を預けたまま、自分のやりたいことのために家を出てしまう。
そんな少年を育てる義母、彼に想いを寄せる同級生男子、友人となる少女、そして父親。それぞれの視点から描かれる連作短編集です。
LGBTQを主題に据えながらも、それだけにとどまらず、傷ついた少年たちの気持ちをどうにか救い上げようとする物語です。
ただ、私には全体的に焦点がぼやけた印象でした。LGBTQを描くのか、家族の再生を描くのか、それぞれの人物の物語を描くのか、どれも少しずつで終わってしまったように感じます。特に主人公の父親はあまりにも身勝手で、その存在が最後まで引っかかりました。
それでも、二人の少年が最後に見つけた将来への目標には希望があり、良いラストとなりました。 -
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高校の同級生5人。
一番の美人で頭の良い小説家希望の菜乃子が自殺したのをきっかけに5人のそれぞれの関係をあぶりだす?
5人5様の人生、みんな一筋縄ではいかない悩みを抱えてる。
それぞれの好きな相手が男が男だったり(健太が達也)、女が女だったり(倫子が菜乃子)を死んだ菜乃子が俯瞰して語る章が好きだった。
死んだ理由はホルモンのバランスかもなんて言ってたけど、案外そんなものなのかもしれないって思った。
あんなに毛嫌いしてた健太は宗教の幹部になっていてそこに到達するまでの話しが読みたかったかも。
老人になった達也、最期は穏やかに逝けて良かったね。
菜乃子はずっと見ていたんだね。 -
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〈菜乃子が死んだってよ〉
そんなたった一言のLINEメッセージがきたのは五月の連休中のこと。
高校の元同級生の男女五人。
いつも五人の中心にいた菜乃子が自死した。
どうして死んだの-。
そして自分はどうして生きているんだろう-。
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読み始めは、大人の恋愛小説かと思ったんです。なんて狭い範囲で好きだ嫌いだ言っとるんだ、めんどくさいわーって笑 (おい!)
しかし、菜乃子の人生がプツリと終わりを迎えても 残された4人の人生は続いていく。
「なぜ死んだの。あなたが放り投げたかっこ悪い生を私はこれから何十年も過ごしていかなくちゃならない。」
これは、40代を目前にした男女が、親友の死をきっかけに それぞれが持つ傷や生きずらさと向き合う物語でした。
「菜乃子が本当は何に悩んでこの世を去ったのか知らないし、わからない。けれど、自分だって、もうこの世はうんざりだと思う瞬間は幾度もあるのだ。今だってそうだ。」
もう若くはないけれど、それなりに年齢を重ねてきた。
結婚や出産。介護。誰にも言えない恋。宗教二世。仕事に忙殺される日々。そんな中 大切な人が突然 この世から消えた。
何もかもが儘ならない世の中で自分が生きてる意味とは何なのか。各章は四人それぞれの視点から語られ、菜乃子の「不在」を想いながら自身の「存在意義」を問います。
いやー、そういう時期ってあるのよね。
なんだかいっぱいいっぱいの時。不幸なことや不運が重なって、ある日 突然ぷつんっと糸が切れちゃう時。私がパニック症になったのも、妹に同じことが起きたのも たしか36,7歳。登場人物たちと同じ歳。きっとそういう年齢なのよね。(どういう?)
いやしかし、窪美澄さんは「儘ならない」を書く小説家としてナンバーワンですな。そしてやっぱり読みやすぅい。すいすいーっとね。
最後の章はなんと死後の菜乃子目線。
残された四人は どんな人生を歩んで老いていったのか…。
「人間は ただそこにいるだけで 十分なのだ」
そうなのだ。結局そうなのだ。
窓から優しく朝陽が射し込む。そんな景色が浮かぶ読後感でした。
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もうひとつのテーマとして「小説を書くということは」っていうのが書かれているんじゃないなぁと感じたので その感想も。
小説家になれなかった者、小説家になった者。それを見守るひと。売る人。その小説を読む人。後半は そういった視点から人生を見つめ直す物語にもなっていきます。
小説とはその一文字一文字に作者の魂が宿っていて、読み手がしっかりとそれを受け止めた時に、作者が込めた怒りややるせなさは昇華され、喜びや希望は 次の創作意欲に繋がるんだなと改めて感じました。
生きていくことの厳しさも、生きていることの尊さも、どちらも等しく味わえる。それが「小説を読むこと」…かな (*´`*)ナンテナ
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Posted by ブクログ
増え続ける外国人労働者とその家族。特にイジメを受ける子供達は、好きで来た訳でもなく、なぜこんな辛い思いをしなければならないのかと苦しんでいる筈。
日本人は日本人で、なんで来るの?帰れば?と思う人もいる。
結局、一人一人の人間の抱く思い、嬉しさ、悲しさ、など世界中大差ないのに、その人の事を知らないから、コミュニテケーションが無いから彼らの辛さ、悲しさを想像出来ずに酷い言動が生じてしまっている。これまた世界共通。
どこの国の人々も、良い人もいれば、悪に手を染めてしまう人もいる。それは日本人だって一緒。
言葉も分からない異国で暮らす彼らへの理解、援助は、我々日本人の為にも必要である事を改めて感じさせてくれる本。