窪美澄のレビュー一覧

  • アカガミ

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    2030年代の日本が舞台だが、その頃の若者は他者との繋がりも希薄化し、結婚はおろか、恋すら遠い存在になってしまっていた。
    そこに国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に参加することになったミツキは、国に管理された生活の中、出逢った相手サツキと国が推奨する「まぐわい」の末に子を成すのだが、、、。

    読んでいて、どうにも胡散臭さがいっぱいなのに、それに気がつけない(疑問に思わない)若者たち。
    生きることにも未来にも、あまり意思や欲求が感じられない、言われることにも受け入れるばかりの子たちが、子供を持ち、恋をしり、だんだん私の知っている「人らしさ」を持ち出すのだが、そこで徐々に今の手厚い生活に疑問

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    2025年11月12日
  • 給水塔から見た虹は

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    外国人問題と言っても在日だったりポートピープルだったり元技能実習生だったりといろいろなケースがあり、それに問題を投げかけた小説。
    団地を舞台に貧しい日本人と外国人の息苦しさが伝わってくる。そして外国人を助けて娘がなおざりになってしまう母子関係のあり方にも問題提起。私はこちらの主題の方が気になって一気読み。

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    2025年11月11日
  • 夜に星を放つ

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    人は人との繋がりの中でがむしゃらに生きているんだなと感じた。
    人はずっと変わらない関係を築けなくて、たえず変わっていく関係の中で自分の立ち位置を探し続けている。
    不安定な人間関係の中で安心するために。人との繋がりを感じた記憶をつくっていくのかもしれない。

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    2025年11月11日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    生きていくのがつらいなと少しでも感じている人に、ちょっと立ち止まってこの本を読んでみて欲しいなと思った。

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    2025年11月07日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    読み進めるのが苦しかった。
    桐乃もヒュウも、その境遇の中で生きていこうとする姿が痛々しくて…。
    でも中学生だから自分の人生を受け入れて生きていくしかない。
    ヒュウがだんだん悪い方へ引きずられていってしまうのとか、もうどうしようもないなと側から見てて感じた。
    何かしてあげられたか?と言われると、もうそうなるしかなかったのかな、なんて。

    私自身はまだ外国人が身近じゃない世代、場所で育って、周りは日本人だらけが当たり前だった。
    桐乃みたいに、当たり前に周りに外国人がいて、言葉も通じない中一緒に学校生活を送って…ってこれから増えていくのかな。
    環境を選べない子供達が、辛い思いをすることがないといいな

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    2025年11月06日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    悪い意味ではなく、分かりやすい、疲れた人とそれを癒す人と場所の話。『精神科』なんて20年前なら敬遠されていただろうに、これまた悪い意味ではなく、良い世界になったもんだ。アメリカみたいになんかあればカウンセリング!みたいなのが当たり前になれば、少しずつでも疲れる人が減るのかな。
    題材が題材なので、しんどい話ではあるものの、着実に前を向いて歩こうとし始める短編集で良かった。

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    2025年11月03日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    主人公の桐乃と、同級生のベトナムルーツ日本生まれで日本語が苦手な少年ヒュウと、桐乃の母親の里穂の3人の主観から紡がれてゆく物語。
    在日外国人の問題はもちろんですが、個人的には母子の問題として読みました。

    里穂、ヒュウの母親、どちらも子供からしたらきついです。

    夫に捨てられたシングルマザーのヒュウの母親が、日本で朝から晩まで働いて子供に目を向ける余裕がないのは、現状から見たらやむを得ない部分はあるのかなと思いました。でもあと数歩で完全なネグレクト。

    対して桐乃の母の里穂は自分から、視界の中央に困っている外国ルーツの人達を置いて、やりすぎるお世話・お節介をするイネイブラーに見えます。
    グエン

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    2025年11月05日
  • 宙色のハレルヤ

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    様々な形の“愛”をテーマにした6篇の作品を収めた短篇集。
    「海鳴り遠くに」は夫を亡くした後、海辺の別荘で一人暮らしをする女性の話。「風は西から」は母子家庭の男子高校生の淡い恋物語。「パスピエ」は居酒屋で働く女性と据え膳食わぬはの関係になる男の話。「赤くて冷たいゼリーのように」は私立高校で掃除の仕事をする高齢男性の話。「天鵞絨のパライゾ」は仕事と結婚を両立しようとする女性の話。「雪が踊っている」は子供を通して別れた恋人と再会する話。
    どれも小説としての完成度は高いけれど、今のぼくにはまったく響かなかった。残念。

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    2025年11月03日
  • 宙色のハレルヤ

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    2025/08/11
    一般的に受け入れてもらうことが難しそうな恋愛ばかりの短編集。メンタル病んでる人が多い印象。出てくる食べ物がとても美味しそうで食い意地張ってる私はそっちに惹かれてしまった。

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    2025年11月03日
  • 給水塔から見た虹は

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    ルーツの違いからいじめや差別がなくならずまともに働いても生活が苦しいから悪い道へと進む…悪循環が繰り返されないためにはどうしたらいいのか…読んでいて何度も胸が苦しくなった。

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    2025年10月31日
  • 夜に星を放つ

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    ちょっぴり切ない5話からなる短編集。
    ただ生きているだけで、思いもよらない哀しみがやってくる。

    ・真夜中のアボカド
    ーーー婚活アプリで恋人を探す。
    フリーでプログラマーをしているという麻生さんは、妙に女慣れしていなくて、前に出会った人みたいに食事の後すぐに、ホテルに行こうとも言わなかった。

    ・銀紙色のアンタレス
    ーーー 16歳の夏。僕は田舎のばあちゃんちで、泣いてるような顔で赤ちゃんを抱えたあの人に出会う。
    幼馴染の朝日は言う「水着着たわたし、かわいかった?」

    ーーー真珠星スピカ
    酷いイジメにあっている私は、今日も保健室にいる。
    亡くなった人は話すことができないのだと知ったのは、死んだ母

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    2025年10月31日
  • じっと手を見る

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    田舎の閉塞感と人間の弱さ•脆さ•不確かさみたいなものが真綿のように詰め込まれた本。

    地方は向上心を持たなくてもいいし、
    限られ、閉ざされたコミニュティのなかで
    やるせなさと共に傷を舐め合うんよな。

    故郷を思い出した。
    まあ流されるっていうのも一興なんですけどね。

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    2025年10月28日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    東京の、とある喫茶店とメンタルクリニック」。
    「純喫茶・純」は、昭和のレトロな雰囲気が漂う喫茶店。
    「椎木メンタルクリニック」は、医師の旬さんとカウンセラーのさおりさんが夫婦で開業している一軒家の病院だ。
    様々な心の不調を抱える人々が、訪れる「純喫茶・純」と「椎木メンタルクリニック」で癒されていく連作短編集。

    全体を通して登場人物たちが精神の不調から回復していく物語で、しんどい描写はあるものの硬くなった心が少しずつほぐされるような、優しい読み心地で良かった。
    読んでいて改めて、居場所や頼れる人がいること、そしてそれが複数あることが心の安定や回復には大切なのかもしれないと感じられた。
    しかし今

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    2025年10月25日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    大人から見たら何とでもなるような事が子供の世界ではとても困難なことに思えたり、未熟な子供ながらにたくさんのことを考えていたり。

    大人同士でも分かり合えないことだらけで上手くいかないこともたくさんあるけど、相手を理解しようと考えたり、他の選択肢を選んだり出来る。
    小さな世界観で生きてる人は大人でもとても窮屈で退屈。

    他者を変えることはできないから、自分が納得できる範囲で自分を変えたり選択していかなくちゃいけない。ってわかっててもちょっかい出してくる人はどこにでもいて面倒。

    私が日本で接するコンビニの店員の外国の人たちは皆んな笑顔で優しくて本に出てくるような苦労は微塵も感じないけれど、たくさ

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    2025年10月18日
  • じっと手を見る

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    自分にはもっと違う生きかたがあるんじゃないか、こんなはずじゃなかったと感じた隙間に出会う人や出来事、、、。
    登場人物は歪んだ一面を持ちながらも懸命に生きていて、愛しい気持ちで読み進めることができた。人間ってみんな戻るべき場所に戻っていくものかもしれない。
    根無し草のようにいなくなった畑中真弓と裕紀が幸せであれと、この先が気になってしまった。

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    2025年10月16日
  • 夜に星を放つ

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    別れや喪失感をもつ人たちのストーリーに星座をからめた短編集。
    全て切ない話だけれど主人公が前向きで、悲しみすぎないちょうど良い加減の描写だった。

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    2025年10月13日
  • 給水塔から見た虹は

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    中学2年の春から夏、期間にすればほんの数ヶ月。
    外国の人も多く暮らす団地に住む、同じクラスの桐乃とヒュウを軸に物語は進む。
    私が子供の頃よりは、外国にルーツをもつ人を町で見かける事も増えたけど、自分の生活にがっつり関わっているかといえば、地域差が大きいように思う。
    そこに住んでいない、当事者ではない私が、ヒュウや桐乃の気持ちを分かったつもりになるのは失礼かもな、って思いを持ちながら読み進めた。
    桐乃の母は手助けがライフワークになっていて、桐乃はそこに納得できないし、ヒュウの母は毎日の生活に必死でヒュウに向き合う時間も寄り添う気持ちも作り出せない。
    ヒュウや桐乃の気持ちも分かるけど、母親の気持ち

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    2025年10月11日
  • ぼくは青くて透明で

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    ネタバレ

    窪美澄さんの作品に出てくる登場人物が好きなので読み始めた。
    海は、繊細かと思いきや、幼少期のことがあり、さっぱりした性格。
    忍と恋に落ちる過程はこの2人が惹かれ合うの?ってびっくりしてしまった。

    緑亮さんは結局、海を捨てたけど、幼少期の海を受け入れ、肯定し続けた点は良い親だと思う。
    そして、みさこさんは素敵な人。
    海だけでなく、忍や璃子のことも大切にしてくれる素敵な人。
    みさこさんのセリフが心に残った。
    「海と緑亮さんと家族だった毎日は奇跡みたいな瞬間の連続だった。」
    家族って当たり前にあるものじゃないんだなぁと。
    みさこさんは自分にとって何が大切か、何が幸せか、ちゃんと理解できている人なの

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    2025年10月10日
  • じっと手を見る

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    「はたらけど はたらけど猶 わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」
    という石川啄木の短歌は教科書にも出てくるくらい有名な国民的短歌らしい。(知らなった。)

    この小説は恋愛小説だが、主人公の日奈と海斗は介護士の仕事をしており、この石川啄木の歌は二人の生活をまさに言い表している。恋愛だけでない色んなことを伝えてくれる小説だと思う。

    狡くて滑稽だけど、優しくて愛らしい、すごく矛盾した、一筋縄ではいかない人間の姿が書かれている。恋愛の胸キュンというよりも、日々の暮らしと労働をメインに、誰かに支えてもらわないと生きていけない矛盾だらけの男女の様子を描いている。

    海斗の日奈への一途な想い

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    2025年10月06日