窪美澄のレビュー一覧
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高校時代からの友達グループ。その一人が自死するところから始まる残された者たちのその後の人生。
こういう菜乃子のような気質の人は確実にいるんだろうね。でも生きることを突き詰めすぎるのはやめた方がいい。だって答えなんかないから。
そんな人たちに「ただそこに生きているだけでいいんだよ」と伝えるために書かれたような作品。
その言葉を身近な人に言われてもダメで、小説の中の言葉だからこそ響くということもあるんだろうな、彩音のように。
そのために窪さんは作家を続けているのかもしれないと、倫子の言葉を読んで思った。
何者にならなくても生きているだけでいい、死んでから何年も経った菜乃子がそのことに気づく…こ -
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差別はもう『ダサい』。今の子供たちのリアルが、物語の背景を追い越していく。
在日ベトナム3世の中学生・ヒュウと、同じ団地に住むクラスメイトの桐乃。二人の逃避行を通じて、在日外国人が抱えるルーツの葛藤や社会の不条理を描こうとした一作です。
しかし、読み進める間、どうにも「眉間のシワ」が取れませんでした。ヒュウの境遇はともかく、桐乃に関しては、クラスでの立ち位置の悪さが多分に「自業自得」に思えてしまい、純粋に寄り添いきれないもどかしさがあります。
何より、作中の「差別の描き方」に少し極端な印象を受けました。今の学校現場では外国にルーツを持つ子が当たり前に隣にいて、子供たちもそれを「普通」とし -
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ネタバレ第一部は頼りない由紀子が働き出して母になってたくましくなっていく間に自然と応援している。夫の智久も一瞬見直すけど最後の浮気に腹が立つ。
第二部は複雑な家庭育ちなのに智晴ができすぎ。でも第一部から読んでればあのかわいかった智晴がこんな立派に、となる。
解説 白石一文さん
小説家は善悪や利害で人間を描かない。本来、登場人物に完璧な役割分担などさせないし、作者本人にとっても手ごわいほどに複層的な人物たちを作中で絡ませることで一筋縄ではいかぬ物語を作り上げる。
それは小説家が、〜人生の残酷さと美しさとをよくよく承知しているからだ。
第一部 由紀子目線
第一章 かぞくのはじまり
縫製工場の智久の家へ -
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ネタバレanan創刊をテーマに、ライターから作家の登紀子、イラストレーター妙子、出版社を辞め専業主婦になった鈴子の三人の話がときに交差して(最初と最後は鈴子の孫奈帆のインタビューという形式で)描かれる。そこに戦争、学生・デモ運動、東京オリンピック、三島由紀夫の死、浅間山荘事件などの事件が併記される。
こういうモデルが明確な話、特にその人のエッセイまである話は、どこまでが創作なのだろうと思ってしまう。原田マハさんのアート小説より、まだ存命な方もいるし、あまり勝手なことは書けないのではと…直木賞の選評の年表風というのも、また特に専業主婦の描かれ方がステレオタイプではあった。
特に妙子の育ての親晴子とおばさ