【感想・ネタバレ】ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年04月20日

人間の多面性が垣間見えて
みんなぐちゃぐちゃで苦しいけど
人ってそういうもんだよなぁ、と。

誰しも「やっかいなもの」を抱えて生きているし、
ふがいない。けど、それが愛おしい。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

窪さんの、こういう読後感とても好き。
4作目ということもあって信頼と実績で安心して読めました。

誰しもが持っている、どうしようもない弱さと歪みとをこんなにも誠実に描き出すのすごすぎる。
それを受け止めながらも、自分らしさをあきらめずに顔を上げるようなイメージで、ゆっくりジワジワと心に温かいもの広が...続きを読むり、心からのエールを送りたくなる気持ちになる。
うまく言葉にできないけど、解説が素晴らしく言葉にしてくれていた・・・(大感謝)

ここだけの話、結構生々しい性的な表現はあるんだけど、それがあるから読み進めやすい気がしました。笑 ページ数も少なめだし半日で読破。

最後のシーンでは卓巳と一緒に号泣!!
勧めにくいけど、大オススメ!読んで!

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Posted by ブクログ 2024年02月23日

ふがいない。みんなふがいないんだな、と思った。厄介なものがあって当たり前だし、そこから逃げられるけど逃げられないっていうのも当たり前なんだな、と思った。
登場する人たちがみんな優しくて、そんなことまでしなくていいのにと思う場面が何度もあった。とんでもないものがある人はそれ以外をよくしていかないといけ...続きを読むないのか。
いろんな人の深いところまで感情や思考を知ることができた。

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Posted by ブクログ 2023年11月25日

セイタカアワダチソウの空がよかった。
良太の抱える家庭問題、田岡さんの光と闇、その後の世界線を想像したくなるような奥深さ。
花粉・受粉では心身ともにボロボロな斎藤くんが気の毒だったけど、リウ先生の悪い出来事も抱えていればいつかオセロのように反転する、斎藤くんの災難は花粉が受粉したようなものと斎藤くん...続きを読む母に伝えるシーンが好き。
そして読み切ってから、タイトルのふがいない僕は空を見たという言葉を反芻。
斎藤くん、立ち直ってまた恋ができますように。

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Posted by ブクログ 2023年10月26日

最初は性描写がリアルで官能小説を読んでいるような気にもなったが、読み進めていくうちに登場人物の暗い背景に現状を重ねることで物語の深みが出た。各章ごとに登場人物が変わり、同じ出来事を視点の違う人物が読み進めていく展開は驚きも多く、読みながら思わず声が出てしまった。登場人物も多く複雑な関係ではあるものの...続きを読む、人物相関図を今すぐ書き出せるほど内容が鮮明に頭に入ってきた。そういう点では読みやすい本だと思う。
最後に解説を書かれていたのが重松清さんで驚いた。丁度この本を読む前に重松さんの小説を読んでいたのもあるが、比較的易しい表現で温かなストーリーを書くことの多い重松さんがこの本を手に取り、どんな考察をし感想を抱いたのか気になって仕方なかった。過剰な部分に焦点を当てた表現に着眼しており、思わずそのシーンを読み返した。

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Posted by ブクログ 2023年10月14日

連作短編集だけど、タイトルと同じ名前の作品はない。でも、タイトルみたいな気分になる、いい意味で泣きそうになる読後感でした。

初めは性の表現がストレートだなぁと思って読み進めてたけど、それだけじゃない。それぞれにつらいことを抱えながらも、生きていく登場人物に引き込まれます。

2011年くらいに発刊...続きを読むされてるけど、今読んだらなんかリアルで響きます。

文庫版読んだんですが、重松清さんの解説も秀逸です。

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Posted by ブクログ 2023年09月27日

めちゃ面白かった
ストーリー自体はあんまし明るい話ではないし、R18指定もあるしですが
それぞれの話がそれぞれの色で面白かった
登場人物の人たちが次の話では主人公になり、切ないストーリーを連なっていく
特に気に入ったのはセイタカアワダチソウでした
堪らないほど切なかったです
気に入ったのは「あくつさ...続きを読むん」主人公にはなっていないんですが、名バイプレイヤーとして存在感出しまくりですごく良かったです

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Posted by ブクログ 2023年09月05日

いいところも悪いところもある、矛盾して相反するように感じる性質も人の中に共存しうるのが事実
一部を見て決めつけるのももったいないのかな
厄介なものを持って、それを捨てられなくて持ち続けていても肯定も否定もせず一瞬一瞬の気持ちをただの現象として受け止めたい

めんどくさいけどしょうがない!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月02日

まさに自分ではどうにもならない渦の中で揉まれてる時に読みました。救いらしい救いもなく、重くて、何度か心折れそうになったけど…いつかリウ先生が仰ってくれたようになる日が来るのかもしれないと、仄かな希望が心に灯りました。不思議な感じです。

福田くんのバイト先の店長がいい人でよかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月01日

【映画を鑑賞】
失敗せずに生きていける人なんかいない。
しかし最近のSNS社会では毎日のように、いや、毎秒のように誹謗中傷が飛び交っている。
この作品のお陰で、人の失敗と自分の失敗を前よりも許容できるようになれた気がする。

不妊治療をしている里美は、姑に欠陥品だの言われて、子供がでてきない理由を全...続きを読むて押し付けられている。
その耐え難い現実があるからこそ、高校生(斉藤くん)とのコスプレセックスという現実から離れることができるものから抜け出せなくなってしまった。
しかしそれが夫にバレてしまい、その二人の過ちをどうしても許せなかった夫がそれを世間に広めた。

一方、斉藤くんの友人である福田もまた、痴呆の祖母との生活を抱えていて、どうにもならない現実の中を生きていた。
だからこそ、斉藤くんの主婦との不倫という大きな失敗を、おそらく同じように貧乏な団地住まいで鬱屈を抱えていたバイトの同僚と共にビラをばら撒いた。
この瞬間、つまり、誹謗中傷の最中にいる時の空の描写はとても美しくて、この瞬間だけ彼等は現実を忘れていた。自分はまだマシなのだと。しかしそう思えるのはビラを撒いている最中だけ。祖母は団地を水浸しにした。現実は決して変わらない。

しかしそんな福田くんに救いの手を差し伸べてくれる人がいた。バイト先の先輩だ。
彼は福田からみたら、病院の息子で頭も良くて自分とは違う人間だと思っていたと思う。しかし彼の「おれは、本当はとんでもないやつだから、それ以外のところでは、とんでもなくいいやつにならないとだめなんだ」という台詞は印象的で、わいせつ罪で捕まった。
人は誰しも言えない悩みを抱えていて、大きな失敗を犯す。それでも福田はバイト先の先輩のことを「寒い思いをしないように」と祈った。

そして斉藤くんは不登校の末、学校に行くことを決めた。結局、教室に入ったら「ムラマサさま〜」なんて揶揄われてしまうのだけれど、彼はそれを笑って過ごした。大きな失敗をしたことで、彼はきっと強くなれたんだと思う。

斉藤くんの母親の助産師の手伝いをしている女性の台詞で「間違った恋愛をしたことないやつなんていんのかよ」という台詞があるが、私はこの台詞がこの作品を表してくれる言葉の一つかなと思った。
彼女達の元には、間違った恋愛をして、命を授かってしまった女性が数多く訪れると思う。
しかし彼女達はそんな間違いを犯した男女とその子供の命を尊重しているからこそ、助産師という仕事に誇りを持っている。

だからそんな母親の姿を見て、最後斉藤くんはこの世に生を受けたばかりの赤子を見て「お前、やっかいなものくっつけて生まれてきたね」と言って笑えたのだと思う。

【余談】
斉藤くんを演じた永山さんが薬で捕まってしまいましたが、彼にもこの大きな失敗をどうか乗り越えてほしいと、そう思いました。

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Posted by ブクログ 2023年07月17日

5人の登場人物が、バトンを渡すように語り手が代わりながら綴られている短編集。

タイトルの"ふがない僕は空を見た"とあるように、人は皆「やっかいなもの」を抱えているけれど、それでも生きていくしかないというメッセージを感じた。

生きていくには、上手くいかないこと、人間としての弱さ...続きを読むが出てしまうことがあると思う。
それでも、空を見るように前向きに生きていけたらなと思った。

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Posted by ブクログ 2024年04月17日

生まれながらにどうしようもないバックグラウンドを抱えてしまった彼ら
あまりのやるせなさに胸ぐらを掴まれたような感覚になりながら読む箇所がいくつかあった。

やはり、これから生まれてくる子どもには、誰でもに望まれながら祝福されながら生まれてきて欲しいな、なんてことを考えた。

しかし、どんな人間でも、...続きを読むそこにその人だけのバックグラウンドがあり、その人の思考があり、
それだけでその人は尊く愛おしいのだ。
状況に抗おうとするのではなく、受け入れつつそこでもがく彼らをみて、そう思わされた。

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Posted by ブクログ 2024年04月04日

はじめは、何だこりゃエロ小説か、、みたいな感じで始まったけど、それそれの人の深いところまで踏み込んでいくすごい小説だった。
よくある連作ではあるけど、文体やリズムも書き分けて、それぞれが読みやすい。最後の章は感動した。
この作家さんは初めて読むけど、この作家さんを発見できて良かった。久しぶりに読み応...続きを読むえのある小説でした。

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Posted by ブクログ 2024年03月06日

窪美澄の2冊目。これが2009年デビュー作だった。現在を切り取りながらこの人もいるよなと思わせる見事な人物描写。その中でも私には助産師の母親の現場に立ち続ける姿が心を打った。まさに今ここを生きていこうとする人が立ち上がっている。今後も読み続けたい作家に出会った気がする。

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Posted by ブクログ 2024年03月04日

性描写の多い作品だったが、若者の苦悩と大人の苦悩その2つの面が垣間見える良い小説であった。
きっと読む年代によって解釈や読後感が変わるのではないかと思う

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月14日

『夜に星を放つ』を読んで、窪美澄さんの他の本も読みたいと思って手にとった一冊。

この本に出てくる登場人物はそれぞれが人生の分岐点にいるように思えます。

その中で人生をどう捉えるかとなった時に、1人の人物が『良いことも悪いことも長くは続かない』
『オセロの色が反転するように突然変わる』という言葉が...続きを読むありました。

これは本の中だけに限らず、自分が生きてる人生にも同じことが言えるなと感じました。

人生の見方が変わったなんて言い方は大袈裟ですが、少し人生を楽に生きるヒントに出会えた一冊でした。


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Posted by ブクログ 2024年01月06日

思ったより官能的な表現が多くややお腹いっぱいになりつつ、、
「性」と「生」のテーマそのもの。
人間ってそれを抜いてはやはり語れないのよな、と感じた。

性に向き合い、逃げ、乗り越え、受け入れ、というところを描ききり、その上で読者に判断を任されているような、計算された余白を感じた作品。
映画もみたくな...続きを読むった。

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Posted by ブクログ 2023年12月23日

窪美澄さんのデビュー作である本作。窪さん特有の後ろ暗い事情を抱えた人物を繊細かつリアルに描く作風が見られ、この作品が改めて窪さんの原点であると感じました。

本作は助産院の息子である主人公と、その友達や関係者、家族の物語。構成としては5編からなる連作短編集。主人公は高校生でありながらも、バイトと称し...続きを読むて、人妻と不倫を行う。そんなある日、高校の同級生から告白され、改めてその関係性を省みるという流れ。

全編を通して、性的な描写やそれに関することが多いです。しかも、それが生々しくもあり、読む人によっては途中でギブアップしてしまうかもしれません。しかし、本作を通して、その生々しさこそがリアルであって、それを認めるってことも必要なのだなと思い知らされたような気がします。

みんな誰しも「やっかいなもの」や「後ろ暗いもの」を抱えているっていうことを強く意識させられる作品で、ドラマチックな救いや救済は描かれていないけれども、それらとの向き合い方を示してくれるようなそんな作品であるように感じました。

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Posted by ブクログ 2023年11月09日

各章ごとに主人公が変わり
いろんな角度からいろんな人の感情が見えて
一つの事柄にこんな多くの人が関わって
感情が絡んいるのがすごく楽しめた。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

きっと同じ町内でも扉の内側ではこんなことが普通に起こってるかのようにリアルで重い世界……でもスラスラと読める。
ただただ福田くんが笑える数年後を過ごしていて欲しいと願いました。

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Posted by ブクログ 2023年08月06日

手に取っては戻すを繰り返していたのは直接的な性表現が苦手だから。登場人物、それぞれの話は悪い方に進みがちだけど絶望ではない。戸惑いながらも前向きに話は終わったと感じました。生と性、許すこと、受け入れること、わかっていた気になっていた自分が見えて、そこは心苦しかったです。大きく心を動かされた作品でした...続きを読む

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Posted by ブクログ 2023年05月03日

心がぐちゃぐちゃになった。

読み始めて数ページ、刺激的な描写がされていて悶々とさせられた。しかし話が進んでいくうちにそんな気分は完全に忘れさせられた。登場人物達の人間としての愚かさやどうにも出来ない現状にまどろっこしさを感じさせられ心が重くなった。それぞれの登場人物が作中では完全に救われる事は無く...続きを読む、リアリティーも強かった。それでも、彼らの心情が少しだけでも前を向いているところに少し安心をした。本書はフィクションであるが、自分は恵まれているということを酷く痛感させられる。同時に自分の在り方をよく考えさせられた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月25日

斉藤卓巳
放課後に『むらまさ』のコスプレをしてあんずが書いた台本どおりにセリフをしゃべり、セックスする。友達に無理矢理連れて行かれたコミケであんずにナンパされた。あんずとのセックスに夢中になる。

岡本里美
あんず。何かのアニメのコスプレをして、『むらまさ』のコスプレをした卓巳とセックスをする。人妻...続きを読む。夫婦共に自然に妊娠しにくい体で不妊治療を受ける。中学も高校も女子校で、いじめららながら過ごしてきた。大学で初めてセックスをし、声をかけてくれた男の子全員とセックスをした。コスプレ衣装を作るようになる。

卓巳の母
助産師。家で助産院をしている。若い恋人ができたとあって出ていった夫とたまに会っている。

福田良太
卓巳の同級生。夏休みに市民プールで卓巳と監視員のバイトをする。認知症の祖母と団地で二人暮らし。父はくびをつった。母親は離れて暮らしている。新聞配達、コンビニバイトを掛け持ちしている。

松永七菜
卓巳の同級生。D組。卓巳が高校に入った時から好きな女。期末試験あとに卓巳に告白して付き合う。将来は助産師になりたいと言っている。
純子の友達。

木村
お料理ブログランキングで常に十位以内にランクインている。

岡本慶一郎
里美の夫。製薬会社でMRと呼ばれる営業の仕事をしている。大学のとき少しだけ演劇サークルにいて、衣装を自分たちで作っていたためミシンも裁縫もひととおりできる。

岡本マチコ
慶一郎の母。里美に早く子供を作れとプレッシャーをかける。

くるみ
コミケで知り合った友達。

あくつ
松永の友達。アニメオタクの姉からネットのコスプレ掲示板で話題になっている卓巳の写真を松永に見せる。良太のバイト仲間。同じ団地に住んでいる。

松永優介
七菜の兄。勉強ができる。フリーセックスの宗教団体の施設に行っていた。

日向
優介の同級生。

田岡良文
良太のバイトの先輩。二十代後半。過去は塾の先生をしていた。でかい病院の息子で高級マンションで暮らしている。

みっちゃん
助産院で働いている。お産の介助だけではなく、入院中の産婦さんたちの食事づくりを担当している。

リウ
駅前の古ぼけたビルの漢方薬局の先生。

野村千栄
卓巳の担任。家庭訪問に来たのに、妊娠を見破った。


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Posted by ブクログ 2024年02月16日

様々な家庭環境における親と子供それぞれの葛藤を描いた作品。

本作は短編集。
各話の主人公はそれぞれ近しい間柄であり、1つの大きな出来事をそれぞれの主人公目線で描いているため、実質長編のように1つの繋がりがある物語となっている。

冒頭はかなり過激な性的描写からスタートする。
その為「この内容最後ま...続きを読むで読めるかな、、」という不安もよぎるが、そういった描写は一時。
あくまで各主人公の心の葛藤などがメインとなっている。

人妻と不倫をしている男子高校生。
本人の葛藤やそれをとりまく親、友人の葛藤などややダークな内容が多いため読む事が辛い部分もあるとは思うが、それぞれの心情を細かく描いている。

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Posted by ブクログ 2024年01月31日

色々な感情を知って、がむしゃらに生きていく高校生の男の子の話だけじゃない。
結婚しても、助産師で成功してるように見えても、色々な出来事が自分に起きて、自分のふがいなさを感じるのが人生なんだと思う。
向き合って生きていく人間らしさが溢れている作品だった◎

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Posted by ブクログ 2023年10月15日

短編連作集。最初のミクマリがR18文学賞受賞作品。
性描写が多いので混んでる電車内では少し読みづらいかも。でもあまりエロスは感じなかったのは、それぞれかかえている事情があるからかな。
あとがきで重松清さんがかかれているように、性と生の話で、読後はなんとなく、せっかく生まれてきたのだから生きることを少...続きを読むしでもたのしもうと思えた

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Posted by ブクログ 2023年10月02日

5つの短編小説だけど全ての話がつながっているのが面白い!次は誰目線の話かな?と楽しみながらあっという間に読める。不器用だけど一生懸命生きている5人の主人公たち。どちらかというと、日陰で生きる彼らのなんともやるせない話なのだが、人生ってそういうものかもしれないなぁ。不思議と優しい気持ちになれるお話です...続きを読む

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月26日

読みやすかった!
こんな世代って今もいるのかな
私も田岡さんに勉強教えてもらいたかったな…

ふと思ったのは、こうはなりたくないとかって私が勝手に思ってレッテル貼りしてるだけで、正解も不正解もその人が決めることだし、それは本当に自分にも言えることだと思った
でも、みんな他人の噂が好きだったりするのは...続きを読むなんでなんだろう

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Posted by ブクログ 2023年09月24日

どこか失ったり苦悩した人たちの様を、見せつける連作長編。
中盤くらいまでは楽しめたけど、最後の方は食傷ぎみに感じてしまった。そんなの、あるのか?って。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月10日

各話が完全に独立した短編集だと思っていたら、全てリンクしていた。
卓巳とあんずだけじゃなくて、周りの登場人物がそれぞれ主役となって、物語が複雑に絡まり合っている。

本やドラマ等では主役と脇役に分けて描かれがちだけど、この作品では、確かに最初のエピソードはきっかけではあるけれど、それぞれに大きな問題...続きを読むを抱えた主役が次々と交代していく。
『ミクマリ』の裏ではこんなに色んな事が起きていて、悩みを抱えていたんだ…と。

そして最後まで読んでも特に問題は解決しない。良くて希望がうっすら見えたのか…?というところで終わる。それがとてもリアルだし、読者としては救われない気分にもさせられる。

『世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸』
弱い人(人間的、社会的に)同士の夫婦から生まれる子供はやはり弱いのだろうか。強いって何なんだろう。要領良く、図太く、賢く生きることだろうか。人間や動物は必ずしもそうでないと生きていけないのか。それならなぜ弱い人が生まれてくるのか…なんて考えてしまう。
でもあんずはなんだかんだ言って結構大胆な気もする。そこが面白い。
あと、私は女だけど女についてあまり考えたことも無かったので、この話を読んで改めて考えた。不妊治療については全く知識もない。知らないということを知らされた。

『セイタカアワダチソウの空』
団地の子供達の貧困ぶりがすごい。でもこの環境で生き延びられたら、それこそとても強く生きられるのではないかと思う。
田岡さんのように、その子に合わせた教え方ができる人、その子の目線まで下げられる人が、本当に教育に向いている人なんだろうなぁ。
大体の学校では、先生がどれだけ分かりにくい教え方をしていても、初めからできる子に合わせて授業が行われ、ついて行けない子はずっと放置なので、本当だったら良い学校に行けたかもしれない、良い職に就けたかもしれない子が、社会からはみ出したり、引きこもったりしてしまう。
それは長い目で見ると国民全員、国自体の損失なので、教育は本当に大事だし、もっと真剣に考えるべきではないのか。
「知らない」と「知ってる」は全然違う。今の教育は「知らない」人に優しくないと思う。いや、「知ってる」側の人間が、教え方を「知らない」のかもしれない。それが怖い。

もう一つ、自分が恵まれていないと考える人、特に人と比べて自分は下だと強く思う人は、恵まれているように「見える」人の足を引っ張ろうとする。
自分より上に「見える」人を妬んだところで、自分の環境は前より1ミリも良くならないどころか、更に自分の地位を低くしていることに気付かない。
人の表面しか見えていないこと、人と比べる事が無意味で損だと分からないことは、本当に愚か。


「そんな暇があるなら、あの団地から最短で抜け出す方法考えろよ」


『花粉・受粉』では、

「他人に悪意を向けるためだけに、用意周到に準備する誰かのことを思った。どうか、そのエネルギーを自分の人生のために向けてくれないか、と。」


まさにそうだなと思う。

ハッピーエンドとはいかないけれど、みんな少しだけ前進したのかな。
そんなお話たち。

★3.5ぐらい

20200724

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購入済み

ふがいない僕を見つめなおす

2020年03月30日

 色んな失敗をしてきた。悪いことも恥ずかしいこともしてきた。「ふがいない僕は空を見た」は、そんな僕を大きく手を広げて許してくれた。どの時点で僕の人生には終止符が打たれるのだろうか。その時、僕はどんな気持ちなのだろうか。もういいと満足しているのだろうか。それとも、反省しきりなのだろyか。
 「きょう...続きを読むという日を愛せよ」これは、僕が考えた自分自身のための座右の銘だ。生きていくための励ましの言葉だ。いろんな人と出会った。いろんな経験をした。いろんないいこともした。我が人生に悔いなしと思うために、僕はきょうという日を愛すように努めている。出逢った人を裏切らないように。
 「ふがいない僕は空を見た」空は果てしない。僕の夢と不安も限りない。人生の果てしない旅を、きょうも歩き続けていく。ふがいない僕をじっと見つめながら・・・。自分を見つめなおう機会を、この本によって与えられました。ありがとうございました。

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