窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
窪美澄さんの恋愛短編集
収録作は以下の6作品
海鳴り遠くに
夫亡き後で知り合った女性に惹かれていく女性のお話
風は西から
初めて出来た彼女が自分の友人に心変わりしたお話
パスピエ
逃亡癖のある女性に翻弄された男性のお話
赤くて冷たいゼリーのように
定年後のある少年との出会いで己を知る男性のお話
天鸞絨のパライゾ
出会いと別れのなかで自分を見つめ直していくお話
雪が踊っている
子供の塾で再開したかつての恋人のお話
どのお話もときめくような恋愛ではなく、一筋縄ではいかない内に秘めた思いを紡いだ大人向けの恋のお話だった。私は特に「赤くて冷たいゼリーのように」が印象的だった。
短編でも -
Posted by ブクログ
介護士として働く地方民を石川啄木の短歌「働けど働けどじっと手を見る」に重ねて読んだ。一生食いっぱぐれない職と地方では謳われているけど、一生安泰かと言われたら違うもんなぁ。介護についても色々考えてしまう。正直、自分よりも未来のある若者になけなしの給料で介護されるのなら、自分の力で生きて行けなくなった時点で人生の終止符を打ちたいなぁと本気で思う。自分が年取るまでに日本で安楽死制度はできるのかな。
地方民と都会民の超えられない壁の描写も胸に沁みた。人生はいくらでも変えられると言う人もいるけど、結局は生まれた環境が自分の人生の基盤で、どう頑張ってもそこは覆せないんじゃないかなぁと思う。そこを覆すのでは -
Posted by ブクログ
いろいろな恋愛のかたち。
けっして一筋縄ではいかない。
そして胸が苦しくなる、熱くなる、哀しくなる。
六つの短編集。
「海鳴り遠くに」〜夫を亡くして三年、彼女が胸を熱くしたのは画家の女性。
「風は西から」〜冒頭のばあちゃんの口癖が「禍福は糾える縄のごとし」が頭に残る。
彼女にふられた傷心の僕の家に来たはとこが作る料理に癒される。
「パスピエ」〜行きつけの居酒屋に新しく入ってきたバイトの足の綺麗な女の子は、とんでもない子だった。こんなに簡単に騙されるのか…
「赤く冷たいゼリーのように」〜妻を亡くし年金とバイトで生活している初老の男が助けた男子高校生は、亡くなった同級生に似ていて気になる -
Posted by ブクログ
直木賞受賞作の本作は、全5篇からなる短編集。
どの物語も“大切な人との別れ”や“もう会えない寂しさ”を静かに描いており、読後には胸の奥にじんわりと温かくも切ない余韻が残ります。
始まったばかりのコロナ禍を背景にしたエピソードもあり、あの頃の先の見えない不安や孤独を思い出しながら、登場人物たちの感情に自然と寄り添ってしまいました。
それでも彼らの心の奥には、希望のような小さな光が確かに灯っており、その光こそが“星”として描かれているように感じます。
タイトルの通り、物語の中には星座や夜空が繰り返し登場します。読んだあとには、ふと空を見上げたくなる。
そんな静かな力を持った作品で優しさと哀し