【感想・ネタバレ】水やりはいつも深夜だけどのレビュー

あらすじ

セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。仕事で子育てになかなか参加できず、妻や義理の両親から責められる夫。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母を受け入れきれない女子高生……。思い通りにならない毎日。募る不満。言葉にできない本音。それでも前を向いて懸命に生きようとする人たちの姿を鮮烈に描いた、胸につき刺さる6つの物語。

小説で誰かを救う。そんな大それたことは言いづらい。
だけど、それに本気で挑戦している作家は確かにいるのだと、
窪美澄を読むといつもそう思う。
――朝井リョウ(作家)

文庫化に際し、オリジナル短編、一編追加!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

誰かの人生を垣間見する感覚だった。
それぞれ結末も、単なるハッピーエンドではなく個人個人の納得解をみつけているような印象でとても自然に心に馴染んできた。
また行動や感情が繊細に描かれていたためとても自然に情景を想像した。

0
2025年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作部分もある短編集。読んでいて苦しくてたまらない。心の内側を描くのが本当に上手い。
「ちらめくポーチュラカ」田舎育ちで現在は豊かな暮らしをする妻が、ブロガーとして人に認められつつも他人の目を気にしてしまう…妻の名前が出てこないところも、話とリンクしていて辛い。
「ゲンノショウコ」娘、風花の知的障害を疑う美幸。障害を持つ妹が自分を追いかけ線路で事故に遭った経験があり、上辺だけで大変だね、という人に対して我慢ならない気持ちと、実際の苦しみの間で揺れ動く。
「かそけきサンカヨウ」父が幼い子連れの女性と再婚。自分がその年齢の頃、すでに産みの母親がいなかったこともあり、早くから大人になるしかなかった主人公の事を思うときゅっと胸が締めつけられる。それなのに、あんなに大人の態度をとれる陽はステキだ。
せめて陸の前だけでも心のうちをさらけ出してほしい。
家族って自然体では成り立たない。
水をやり育てていかないと枯れてしまうもの。どんなに忙しくても時間が合わなくても、みずやりを忘れちゃいけないのね。

0
2024年10月04日

Posted by ブクログ

子育て中の私には共感することが多く、一気に読みました。
ノーチェ・ブナエのポインセチアの「自分が選んだわけじゃないのに、同情めいた言葉をかけられたり、行動を見せつけられるのは嫌なのだ。だったら、大人になれば、僕はそのカタチを選べるようになるんだろうか。」の台詞には、考えさせられることが多く、大人になっている自分も選ぶことができていないように思いました。

0
2024年02月03日

Posted by ブクログ

まだ結婚を経験したことがない自分でも、「サボテンと咆哮」の主人公の憤りに深く共感しました。
何をしても上手くいかない、行動が伴わない、伴えない、そんな行き場のない感情がとても丁寧に、情緒的に描かれていて、ひどく感銘を受けました。

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

タイトルと装丁に惹かれて手に取った。5つの短編の中にちょっとした植物の要素が入っていてタイトルとの関連性に唸らされた。閉塞感のある状況で小さな光を見つける人々のお話、だと思う。
5人の主人公それぞれに大して共感できることが多くて入りこんでしまった、、、過去のトラウマから人の目を気にしすぎる主婦を描いた「ちらめくポーチュラカ」の主人公の自分の人生への当事者意識の薄さ、妻が自分への関心を抱かなくなるのを寂しく感じる「サボテンの咆哮」の主人公の居心地の悪さとか…感情表現が生々しい。

全部、同じ街での話なのかな。この物語の中では一人称視点が語られることのなかった人たちも同じような葛藤や違和感を抱えながら生きているんだろうなと思わされるような立体感があったな。

0
2023年09月10日

Posted by ブクログ

何故かたまに窪先生の本が読みたくなる。買って積読していた本を見つけて呼ばれた様な気がする。植物の名前は余り知らないのですがポーチュラカはよく目にしていたので知ってたしゲンノショウコは(現の証拠)直ぐ効果が出るからゲンノショウコだったなんて目からウロコです。サンカヨウは雨に濡れて透明になるなんてなんて素敵な花なんでしょうか。
「かそけきサンカヨウ」と「ノーチェ.ブエナのポインセチア」は登場人物が同じだったのでとても読み応えがあって私が一番好きな物語りでした。窪美澄と言えば女の為の女の文学だと思って居たけど男性側から描くと「サボテンの咆哮」になるんですね。男性のおれが主人公で何をやってもダメで我慢して我慢してみたいな男。結局結婚をゴールと考えるかスタートと考えるかで向き合う姿勢が違って来ると思う。あるべき家庭の姿を押し付けようとするのも無理だと思う。現実は仕事も子育ても大変。でも言えないんですよね。本音を自分の言葉で伝えて話し合える夫婦又は家族は強くなれると思う。
そして最後に対談加藤シゲアキ×窪美澄
加藤さん曰く窪さんのこの小説には人が生きていくことの生々しさが描かれていて考えさせられましたとありました。私も同感です。

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

家族は何がどうあればうまくいっている、と言えるのだろうか。
当然のことながら人間が生まれて育っていく過程には教育だったり労働だったりその他いろいろなことに関わるし、その関わることのしわ寄せがすべていくのが家族という場なのだろうと思う
それだけいまのこの社会では家族や家庭で担わなければいけない役割が大きすぎる
求められる夫像や妻像、父親像、母親像、はては子どもの理想的な姿までもが社会から無言の圧力で求められ、そこから弾かれた場合のケアは家族がすることになる
それなのに労働時間は長く、各家庭の働き手は時間もきつくて余裕なんてない
家族にしわ寄せがいくとどうなるか、社会とのコンフリクトの狭間で揺れる人たちを窪美澄さんが描いた。社会への批判的な視座を保ちつつ、作中で生きている人物たちは必死で愛おしく映る。
背中を撫さすってあげたくなるような、この人の行く末を見守らずにはいられないというような人物だし、そういう物語が上手な作家だと思う

0
2025年08月31日

Posted by ブクログ

久々の窪さんの作品でした。それぞれの日常を淡々とかかれている作品。はっとするようなことがあるわけでないが少し幸せな余韻が残り良かったです。

0
2025年06月14日

Posted by ブクログ

感情の揺れから出る些細な動作を
すんごい的確に書いてて凄いの。

短編から成る本で、
最後の2つの短編がすっごく好き。
自分くらいの年齢の方に読んで欲しいな。

0
2025年04月12日

Posted by ブクログ

『夜に星を放つ』を読み終えて、ちょっとやるせない気持ちになっていたところ、窪作品で読みかけの本があることを思い出し、最後まで読み終えました❗️

最初の『ちらめくポーチュラカ』が余りイイ感じがしなくて、『夜に星を放つ』同様にちょっとやるせない作品なのかなぁと構えて読みましたが、全体を通して言えることは、家族あるあるが沢山描かれていて、少し息苦しい気持ちになることもあるけれども、前向きに明るい気持ちにさせてくれる、温かい家族小説でした❗️

特に印象的なのは、『サボテンの咆哮』、『砂のないテラリウム』で既婚男性ならそんな気持ちになることは一度位あるのではないか⁉️と思います。

好きな話しは、『かそけきサンカヨウ』と『ノーチェ・ブエナのポインセチア』の最後の2編で、陽や陸の関係がとても微笑ましく感じられました❗️

0
2025年02月24日

Posted by ブクログ

6つの短編。うまくいかない家族の毎日を描いています。

セレブママとしてブログを発信しながらも、周囲の評価を気にして怯える主婦。
子育てで、自分なりにできることをやっているつもりなのに、妻や義両親からうとまれる夫。
娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう夫。
父の再婚で突然やってきた義母と義妹。家族になることに戸惑う娘。
前編の連作。彼女の家族に刺激を受けながら、自分の歪んだ家族を受け入れて向き合おうとする息子。

夫婦や家族はうまくいくことのほうが少ないと思います。幸せそうに見えても綻びはあって、理想どおり、不満もなく暮らしている人はそんなにいないはず。だからこそ、その辺に転がっていそうな「うまくいかない毎日」にリアルさがありました。
1話ごとに1つの植物がモチーフとなっています。植物を育てる=家族を育てるというイメージなのかなと思いました。「水やりはいつも深夜だけど」のタイトルのように、水やりが深夜になっても、ギリギリだったとしても、家族を育てていこうということなのかなと勝手に解釈しました。うまくいかなくても読後感は優しかったです。

0
2025年01月20日

Posted by ブクログ

どの短編も読みやすいしおもしろかった。
共感できるというか、ウルッと涙ぐむくらいなところもあり、よかった。
いろんな人生を垣間見られる、スライスオブライフ系の作品です。

0
2025年01月17日

Posted by ブクログ

色んな家族の物語、人々の悩みや葛藤を描きながらもホロッとする内容だった
特にかそけきサンカヨウが好き

0
2024年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

水遣りはいつも深夜だけど

家族にまつわる短編集。

サボテンの咆哮 と かそけきサンカヨウ
がすごくすごくよかった。

サボテンの咆哮
自分の子育ての事や家庭の事、いろいろなことが心に浮かんで涙が流れた。
育児物の小説ってどうしても母親目線のストーリーになるが、この話は父親メインの話で、父親も母親同様に葛藤を抱えて悩み苦しむんだと知り、切なくなった。
奥さんの方も優しい人で、お互いに許し合うことができてよかった。

かそけきサンカヨウ、
これもとても良かった。
全体的にとても静かなトーンで話が進んでいくが、最後の美子さんの「陽さんのお母さんは素敵な絵を描く方なんだね」と言うセリフひとつに涙腺が崩壊した。美子さん本当に素敵な人。
心がとってもとっても広いんだと思った。
陽さんは、美子さんのようにもっともっと透明になりたい、と表現したけれど。私も透明で人に優しい強い人になりたい。
陽さん、最後、「お母さん」言えてよかった。ここでまた涙(;_;)

0
2024年06月07日

Posted by ブクログ

なぜか泣ける短編集。本書は同じ幼稚園に通う子供の家族を主人公にバトンタッチされていく短編集。それぞれの家族にそれぞれの悩み・苦しみ・葛藤があって、泣けるシーンがたくさんあった。家族小説たからこそ、現実離れした壮大なストーリーはなく、それぞれに心当たりがある読者の感情を揺さぶってくれるのだと思う。日常生活に疲れた気がする人に読んでみてほしい1冊。

0
2024年02月25日

Posted by ブクログ

そんなつもりないけど泣いちゃった。
淡々と進むけど知らないうちに自分も追い込まれる気持ちになるから上手いんだとおもう。
大人は勝手だけど、大人も子供だからね。ずっと。

0
2024年02月24日

Posted by ブクログ

家族に関する話の短編集。
昔読んで再読。
どの話も途中まではどうなっちゃうの??ってくらい不穏なんだけど最後はほっこりできるからすごい。
おもしろかったー!

0
2024年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度読んでもゲンノショウコとサボテンの咆哮で泣いてしまう。私にも重度障がいをもった妹がいて、状況や抱いている感情は違えど、線路でねーねの手を離そうとしなかった妹、線路で亡くなった妹、胸が締め付けられる。サボテンの咆哮は、お父さんの言葉が本当に心にくる。お父さんの息子への愛情、今まさに子育て真っ最中の自分、色々なものが重なって何度見ても涙が自然に溢れてしまう。家族の難しさ温かさをしみじみ思わせてくれる大好きな一冊。読後感◎!!

0
2024年02月07日

Posted by ブクログ

“家族”のあり方について、目を背けたくなる部分だけに焦点を当てたお話。自分の家族と他人の家族とを比べることは誰しも一度はある思う。血縁関係があるからといって仲良しなわけでは無い、裕福だからといって幸せなわけでは無い。その逆も然りで、あの子の家はお金がないから不幸だろうなと勝手に心配してあれこれしようとするのはありがた迷惑。

そこらへんの節度を自然と身につけられる人になりたいなと日々感じております。(まだまだ先は長い)

0
2023年12月23日

Posted by ブクログ

短編小説。みんな何かしら思い通りにいかなく葛藤を抱えている人のstory。どの物語も最後ほっこり(◍︎´꒳`◍︎)みんななんだかんだいろんな悩みはあるけど、懸命に生きよう❣️

0
2025年07月26日

Posted by ブクログ

6つの物語からなる短編集。

いろいろな家族のかたちが描かれている。

それぞれの物語が何となく、胸に突き刺さるというか、腑に落ちるというか…

最後の2編の陸くんと陽ちゃんのエピソードが、個人的には好きでした。

0
2025年07月21日

Posted by ブクログ

途中から一気読みしました。
特段変化がある訳じゃないのに、続きが気になって仕方ない短編たち。
全部に色々と植物が出てくる。わたしはゲンノショウコの話を読んで凄く泣きそうになった。
色々あるけど全部最後は前を向いている、そんなお話たち。

0
2025年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家族の形について問いを投げかけるような短編集。
なんとなく記憶に残ってるのは「ゲンノショウコ」
障害を持った妹をもつ女性が大人になって家族をもつが娘に障害があるのではないかととか不安に駆られながら生きていく物語。本人にしか分からない苦悩で、周りの人間とのすれ違いがすごく悲しい。
あとは「サボテンの咆哮」
バリキャリの妻が子供を産んで、産後うつになり、自分の意義について考える旦那を描いた作品。
これは、男女でだいぶ受け取りかだが違うと思う。
例えば、「育児を手伝う」という言葉が地雷を踏む可能性があるとか…。

0
2024年07月25日

Posted by ブクログ

自分の周りにいそうな人物たち、ありそうなリアルな描写で共感できた。
共感できるからこそ、ふわーっとしたまま終わってしまう話が多く、根本解決していないのでは?と消化不良なところもあった。

0
2024年06月21日

Posted by ブクログ

 読後少し心がザラつく、様々な家族の形を描いた短編集。植物には詳しくないので、各タイトルの植物にはほぼ馴染みがなく、うまく想像できず。『サボテンの咆哮』や『ちらめくポーチュラカ』は息苦しさがリアルに感じられた。特に『ゲンノショウコ』が良くも悪くも印象的。私自身障害を持つ姉がいたが、主人公にまったく共感できなかったのは、身体障害と精神障害の違いのせいだけではないはず。想像で書いたのだろうという印象が拭えなかった。親の立場、兄弟姉妹の立場で感じることは人それぞれとは思うけれども。

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

⭐️3.3

窪さんの作品は3冊目です。
ふがいない〜と夜のふくらみの2冊が
なかなか官能的だったので
自分に合うかな?と思ったけど
その2冊とは全然違う心温まるお話だった。
家族の形は人それぞれ。
うちの息子も障がいがあり兄弟児問題に直面してるので読んでて辛かったです。。
かそけきサンカヨウ と
ノーチェ・ブエナのポインセチアが
個人的に凄く好きだった!

0
2024年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ


不倫の話だけは、読んでいてきつかった...
他はとても面白くて
心あたたまる瞬間がたくさんあった。
様々な家族の形があるんだな。
わたしに家庭ができたら、どんな
家庭ができるんだろうか。
辛いことがもちろんあるだろうが、それを乗り越えて愛のある家庭にしたいと
思わせてくれる1冊だった。

0
2024年02月28日

Posted by ブクログ

子育て真っ只中なので、共感できる部分がたくさんだった。
端から見れば幸せそうで羨ましいあの人もこの人にも、それぞれ陰があって、まさに隣の芝は青いってこういうことだなぁと感じた。
劇的なハッピーエンドじゃなくて、日常が少し良い方向に傾いたような終わり方がリアルでそこもいいなと感じた。

0
2024年02月25日

Posted by ブクログ

家族にまつわる短編集

サボテンの咆哮よかった
産後鬱になった奥さん、精一杯仕事も家のこともやってるつもりだけどどんどん奥さんとの距離が開いていく感じとかリアルで読んでてしんどくなったからいい方向に進むかんじで終わってよかった

色んな家族の形があるけど、なんかこれを読むと結婚したり子供産んだりするの怖くなる感じある

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

どれも対話がテーマになりそう。ちゃんと話し合えばな、と端からなら何とでも言えるわけで。仕事もあって育児もあって、なかなかうまくはいかんよな。

「サボテンの咆哮」は涙。おもちゃを用意してたおじいちゃん、まだ距離がつかめない父と息子。
「ゲンノショウコ」重すぎる…。旦那さんが素晴らしい。言えないこともあるけど、彼なら受け止めてくれそう。
ラスト2話、沙樹ちゃん辛いなあ。

0
2023年09月10日

「小説」ランキング