窪美澄のレビュー一覧

  • 給水塔から見た虹は

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    『小説すばる』2024.3〜2025.1に大幅に加筆・修正

    とても丁寧に紡がれた物語。各々の登場人物の内面が、丁寧に描かれていると感じた。

    昨今、在留外国人が大きな問題になっており、政治の世界でもそれが大きな影響力を持っている。外国人が起こす犯罪は怖いと思う反面、この小説のような外国人たちの実態を知ると、彼らだけの責任でもない事例もあるのかなと思ってしまう。

    この小説は、在留ベトナム人の少年ヒュウと、母親が外国人ばかりに寄り添っている桐乃の物語。ヒュウやヒュウの母親のように、二世、三世であっても、読み書きがままならず、それが原因でいじめられる人もいることを知った。

    ただ、最後が、どう進

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    2025年10月22日
  • 夜に星を放つ

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    4.0/5.0

    恋愛や、子供からみた大人、を通してこの世の中で懸命に生きる人の苦悩と優しさが、決して大袈裟ではなく、等身大で描かれていると感じた。

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    2025年10月20日
  • じっと手を見る

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    久しぶりの窪さん。人は弱いものだ。
    誰かに頼らなければ生きていけない。

    日奈の人生も、海斗の人生も、宮澤さんの
    人生も、どこか孤独を感じさせる。
    窪さんの作品はいつも、人の不完全さを
    つきつけられる。
    それと同時に、みんな器用にたやすく
    生きてるわけじゃないんだと安心もする。
    日奈の「そばにいてほしい」という素直な
    言葉に救われる。

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    2025年10月15日
  • 給水塔から見た虹は

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    ぜひティーンズに読んでほしい本。
    日本にも多様なルーツをもつ人が住んでいて、それぞれの暮らしがあり、様々な思いを抱えながら生きている。桐乃のように、そんな環境のなかで生きづらさを感じながら過ごしている日本人もいる。
    桐乃とヒュウの行動は、親目線でみると胸がヒリヒリと痛むことばかり。それでもきっとこれから2人が生きていくうえで、必要なことだったんだと思う。
    自分の人生は、自分だけのもの。2人の未来が明るくありますようにと願わずにはいられなかった。

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    2025年10月15日
  • 給水塔から見た虹は

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    日本で暮らす外国人の生活を助けるボランティアにのめりこむ母と暮らす中学生の桐乃と、日本で生まれたけど馴染めないベトナム人の中学生ヒュウがいじめ、犯罪、不法滞在などがうごめく社会の隙間に落ちそうになりながら過ごした夏を描いた作品。ヒュウの祖父が戦争がない場所で過ごせているだけで幸せだろうとか、桐乃の母親が苦労している外国人と比較して自分の子供は幸せな方だ、と考えることはわかる。ただ、そうであっても苦しいと訴える二人も理解できる。手を差し伸べる桐乃の母親のような人がいるからこそまわっていく社会なのかなと思った。

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    2025年10月15日
  • 給水塔から見た虹は

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    中学生の桐乃とヒュウが愛おしくてたまらない。
    古い団地に住むふたり。
    桐乃のお母さんはスーパーでパートしながら夜は自宅で外国人(主にベトナム人、ブラジル人、フィリピン人)に日本語を教えたり困ってることの相談を受けたり病院に付き添ったり(もちろん無償で)ほんとに素晴らしい人格者だと思う。
    でも、どうしても家庭にことはおざなりになり桐乃にいつも留守番させてひとりでレンチンしたご飯を食べさせ寂しい思いをさせてる。
    優しいお父さんは桐乃にとって救いの存在だけど仕事であまり家にいない。
    桐乃は頭も良くてバスケも得意で正義感もある。
    けど意地悪なケヴィンと喧嘩したことがきっかけでクラスでも浮いた存在に。学

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    2025年10月14日
  • 夜に星を放つ

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    昨日『秒速5センチメートル』を観たところで、なんだか星に縁があります。

    コロナに寄せた話は映画も本もあまり得手ではないのですが、これはその寄せ加減が絶妙。尤も、いちばん好きだったのはコロナの「コ」の字も出てこない3つめの『真珠星スピカ』だったのですけれど。

    いずれの話も主人公は大切に思っていた人をさまざまな形で失っています。なかなか歩き出せないのが伝わってきて切ない。本作を読んだら『秒速5センチメートル』を観ることをなぜだか薦めたくなりました。

    乗り越えなくてもいいし、忘れる必要もない。心の傷を糧にして、揚げたてコロッケにビールで乾杯。

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    2025年10月13日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    心の埋まらない何かを埋めようとする時、人は性行動に出るのだろうか。性描写の多さや詳細さから、人間が持っている虚しさに一生懸命抗おうとする姿を感じた。

    独立した短編だと勝手に思っていたので主人公が変わるタイプの連作で驚いた。

    最後の主人公は誰だろう?と思ったら、卓巳母だったことに少しの驚きと、親側の弱さや葛藤も描いて締めてくれるバランス感になんとなくホッとした。


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    2025年10月12日
  • 夜に星を放つ

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    重松清さん大ファンの私だが、
    大人版重松清さんというか、
    結局解決はしないけれど、主人公たちが心のどこかで救われていく感覚がとてもよかった。

    特に最後の片親の男の子の話は
    本当に本当に切なくて
    『みんな大好きなのに、なんでこんなに苦しんだろう』という気持ちが痛いひど伝わる文章だった

    全て夜空、星がモチーフになっている。

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    2025年10月09日
  • 給水塔から見た虹は

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    日本に住む外国の方達の価値観が大きく変わる必要な小説

    日本でもあちらこちに外国の方を見受けられます。
    少し怖い部分も感じていましたが、相手側の都合もこちらの都合のいいように解釈していました。

    学ぶ場でも外国人の方がいる。いろいろな文化で噛み合わない部分もあるし、
    私たちはもっと外国人の方の立場を考えて接する必要があるのではとも感じました。

    価値観が大きく変わる今の時代には必要な小説だと感じました。

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    2025年10月09日
  • じっと手を見る

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    ネタバレ

    誰かに縋りたくて、寂しくて、どうしようもない時がある。本来はみんな孤独で死ぬ時も一人だ。それでも誰かと生きることを辞められない。すごくリアルだった。登場人物全員の気持ちが分かった。
    朝井リョウの解説も含めてラストはぽろぽろと涙が溢れてきた。
    手を握るところで終わるのも良かった。

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    2025年10月07日
  • 夜に星を放つ

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    単純ですが、ところどころ星に関する内容がちりばめられていて、好きな本でした。恋人や家族、同級生との人間関係について、婚活、いじめ、離婚、子育てなど、主人公たちの複雑な生活が描かれていて、心が鈍く痛んだり、どこか温かく感じさせてもらったり、200ページちょっとながら充実していて、読めてよかったです。個人的にはハッピーエンドが好きなので、もやっとした終わり方の短編もあったことを考慮して独断と偏見で星4つ(笑)。「星の随に」(読めない、、、)は、自分に刺さるフレーズがいくつも出てきて、一番好みでした。

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    2025年10月05日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    わたし自身、“ガイジン”の立場を経験したことがあるので、共感できる部分はたくさんあった。言葉がわからないと目の前で悪口言われてても理解できないし、むしろニコニコとかしちゃって、後から意味を知って落ち込むってことがあったなぁ……。

    それはさておき、桐乃ちゃんのお母さん酷すぎるよ。あんなに何度も何度も裏切られてちゃ、そりゃ子どもも心を閉ざすよな……。すったもんだあって最後は母子の関係が丸く収まった風に見えて、結局桐乃ちゃんが諦めた感じだったのも切なかった。

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    2025年10月05日
  • 朱より赤く 高岡智照尼の生涯

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    12歳で実の父親に売られたみつ
    舞妓、芸妓として生きる中で、男たちに傷つけられ翻弄される
    最後にみつが選んだ道

    女という性に生まれたがゆえに理不尽な目にあう
    それでも希望を忘れず、自らの道を切り拓く主人公に胸を打たれた
    高岡智照という人をもっと知りたくなった

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    2025年09月30日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    誰にでも生きにくさってある気がする

    重松清さんが書いている解説がとても興味深い文章だったし、今の自分に寄り添ってくれた

    「〈やっかいなもの〉を捨てられずにいるふがいない僕たちは、でも、その光がまぶたの裏に残っているうちは、人生や世界について少しだけ優しくなれるような気がする」

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    2025年09月29日
  • 夜に星を放つ

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    著書初読み。
    「真夜中のアボカド」がとっっっても好きなお話だった。胸にぐっときて泣きそうになった。
    双子じゃないから、双子の妹を亡くす辛さはわからないけど、小さい頃から一緒に育ってきた自分の半分のような存在が突然いなくなってしまったら相当な辛さだろう。
    弓ちゃんの死を受け入れられない主人公と村瀬さん、その対比のように描かれるアボカド。
    「あれが双子座の星だよ。あの星は弓ちゃんと私」
    そう思えた主人公は村瀬くんとの別れとともに、弓ちゃんの死を受けいれて、成長できたんだと思う。
    弓ちゃんの分まで生きて、結婚して子供も産むという主人公に対して、「そんなことは考えなくていいの。綾は綾の人生を生きなさい

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    2025年09月29日
  • 私は女になりたい

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    正直な話 あんまり共感できなかったなぁ
    恋愛小説ってところだけを抜き出すとものすごく綺麗なお話だと思うけど、女性としての生き方の選択話としてみるとあのオチ含め、要所要所美化しすぎじゃないかなぁと感じてしまった。たぶんこれは私が男性として生きてるからなんだろうとは思うし、実はそこがこの小説の一番の罠であって、実はこういうとこにこそ嘘が書いてあって裏で舌ペロって出してたりするのかもしれない…くらいまでは考えた。

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    2025年09月22日
  • 夏日狂想(新潮文庫)

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    ネタバレ

    おまえが死んだら、僕はどうやって生きていけばいいのか!

    ありふれた言葉なのになぜか沁みてしまった。
    橘だけでなく、水本もそう思ったんだろうと。

    なのに男たちは礼子を悪く書く。愛しているのに悪く書く。
    今の男たちも、自分の愛している人の悪口を友達に言うのだろうか。
    女たちも自分の愛している人の悪口を言うのだけれど。

    愛していることをいうと場が白ける。

    馬鹿らしいなと思う。

    悪口を言うとほんとうになるかもしれないのに。
    あいつは毒婦だとか。
    そんなことはないのに。そばにいたらわかるのに。
    そう思い込みたいだけ。

    愛は思い込み。
    思い込んだまま、自分に暗示をかけて、愛しきって欲しい。

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    2025年09月18日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    生きてるだけで充分なんだよ、ほんとに。
    人との繋がりって良いなと思える1冊
    誰でもなりえる心の病は周囲に理解されづらいのは事実かもしれない。
    人に優しくありたいなと思った

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    2025年09月16日
  • 夜に星を放つ

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    星にまつわる短編集。
    一番ぐっときたのは、最後の「星の髄に」。
    離婚した両親、弟を産んで間もない継母、近所の老婆との日々が小4男子の視点で描かれている。
    今後悲しいことが起きても大丈夫なように、僕はもっと強くなりたい、という小4の言葉に、胸が痛くなった。
    強くなるべきは僕の周囲の大人たち。
    戦時中とコロナ禍をうまく絡めていてよかった。

    「真夜中のアボカド」は窪美澄さんらしい展開。
    この男もしや、という読みが当たった。

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    2025年09月16日