窪美澄のレビュー一覧
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『小説すばる』2024.3〜2025.1に大幅に加筆・修正
とても丁寧に紡がれた物語。各々の登場人物の内面が、丁寧に描かれていると感じた。
昨今、在留外国人が大きな問題になっており、政治の世界でもそれが大きな影響力を持っている。外国人が起こす犯罪は怖いと思う反面、この小説のような外国人たちの実態を知ると、彼らだけの責任でもない事例もあるのかなと思ってしまう。
この小説は、在留ベトナム人の少年ヒュウと、母親が外国人ばかりに寄り添っている桐乃の物語。ヒュウやヒュウの母親のように、二世、三世であっても、読み書きがままならず、それが原因でいじめられる人もいることを知った。
ただ、最後が、どう進 -
Posted by ブクログ
中学生の桐乃とヒュウが愛おしくてたまらない。
古い団地に住むふたり。
桐乃のお母さんはスーパーでパートしながら夜は自宅で外国人(主にベトナム人、ブラジル人、フィリピン人)に日本語を教えたり困ってることの相談を受けたり病院に付き添ったり(もちろん無償で)ほんとに素晴らしい人格者だと思う。
でも、どうしても家庭にことはおざなりになり桐乃にいつも留守番させてひとりでレンチンしたご飯を食べさせ寂しい思いをさせてる。
優しいお父さんは桐乃にとって救いの存在だけど仕事であまり家にいない。
桐乃は頭も良くてバスケも得意で正義感もある。
けど意地悪なケヴィンと喧嘩したことがきっかけでクラスでも浮いた存在に。学 -
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昨日『秒速5センチメートル』を観たところで、なんだか星に縁があります。
コロナに寄せた話は映画も本もあまり得手ではないのですが、これはその寄せ加減が絶妙。尤も、いちばん好きだったのはコロナの「コ」の字も出てこない3つめの『真珠星スピカ』だったのですけれど。
いずれの話も主人公は大切に思っていた人をさまざまな形で失っています。なかなか歩き出せないのが伝わってきて切ない。本作を読んだら『秒速5センチメートル』を観ることをなぜだか薦めたくなりました。
乗り越えなくてもいいし、忘れる必要もない。心の傷を糧にして、揚げたてコロッケにビールで乾杯。 -
Posted by ブクログ
著書初読み。
「真夜中のアボカド」がとっっっても好きなお話だった。胸にぐっときて泣きそうになった。
双子じゃないから、双子の妹を亡くす辛さはわからないけど、小さい頃から一緒に育ってきた自分の半分のような存在が突然いなくなってしまったら相当な辛さだろう。
弓ちゃんの死を受け入れられない主人公と村瀬さん、その対比のように描かれるアボカド。
「あれが双子座の星だよ。あの星は弓ちゃんと私」
そう思えた主人公は村瀬くんとの別れとともに、弓ちゃんの死を受けいれて、成長できたんだと思う。
弓ちゃんの分まで生きて、結婚して子供も産むという主人公に対して、「そんなことは考えなくていいの。綾は綾の人生を生きなさい -
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ネタバレおまえが死んだら、僕はどうやって生きていけばいいのか!
ありふれた言葉なのになぜか沁みてしまった。
橘だけでなく、水本もそう思ったんだろうと。
なのに男たちは礼子を悪く書く。愛しているのに悪く書く。
今の男たちも、自分の愛している人の悪口を友達に言うのだろうか。
女たちも自分の愛している人の悪口を言うのだけれど。
愛していることをいうと場が白ける。
馬鹿らしいなと思う。
悪口を言うとほんとうになるかもしれないのに。
あいつは毒婦だとか。
そんなことはないのに。そばにいたらわかるのに。
そう思い込みたいだけ。
愛は思い込み。
思い込んだまま、自分に暗示をかけて、愛しきって欲しい。