窪美澄のレビュー一覧
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「私たちが日本の社会に受け入れてもらうために、どんな苦労を乗り越えてきたか、おまえにわかるか?少しずつ積み上げてきたものを同じ国の仲間が蹴り崩していく、そのくやしさがわかるか?」
様々な国にルーツを持つ人が住む巨大な団地で暮らす、中学2年生の女の子とその母、
そしてクラスメイトでベトナム人の男の子の物語。
団地や学校の閉塞感、
多国籍な環境で過ごす中学生の鬱屈としたままならなさ、外国の人が日本の学校で学んだり働いたりすることを難しくする貧困や差別。
細やかな描写に、胸が苦しかった…
国籍の違いはもちろん、
学びに来ている人、働きに来ている人、
移民として海を渡った人、
二世三世として日本で生まれ育った人、
帰る国がある人ない人。
「日本に住む外国人」とひとくくりに言っても
抱えているものは、その人の数だけある。
分断が深まっていくなかで、
少しの想像力を働かせて、
背景や構造を見ることを
自分はサボっていないか?
省みずにはいられない本でした。
今、読む意味のある1冊だと思います。 -
Posted by ブクログ
少し欠けていても生きているだけで十分価値があると伝えてくれるお話し。
殻にこもってしまいがちだけど、ゆっくり時間をかけることで人の優しさに触れることで、人と関わるのも悪くないと思える瞬間くる。
まさにその通りだと思う。
それぞれのペースで生きていく。
心温まる優しさで溢れた本でした。
◾️心に残った文章
人間は完全な丸ではない。
完全な丸なんて目指さない。僕は欠けた月のまま生きていくのだ。
欠けた場所にはきっと恋人が光を投げてくれる。
僕も光を投げかける。
どんなに仕事をしていても珈琲いっぱい飲む余裕がないと続かない。
突っ走ってばかりだといつかポキっと折れてしまう。 -
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ふがいなさを抱えながら生きていく、5人の視点で語られる物語。
動揺、平穏、再び訪れる憂鬱。その繰り返しを、受け入れるでも、拒絶するでもなく、なんとかやりこながら過ごしている。
ジェットコースターのようなアップダウンで幸せと不幸がやってくる訳ではなく、それらはマーブル模様のように渦巻いて暮らしの中に共存している。
その渦の中に、一緒に漂ってくれる存在が5人それぞれにいることで、心救われる思いがする。一方で、救う側の人間にも渦巻く過去や思いがあることが明かされていく。(リウ先生の過去は仄めかされていた程度で続編が気になるところ)
視点が変わることで、立体感をもって描かれる登場人物の姿や、安易な結末に陥らないストーリーのリアルさが、新しいタイプの読後満足感をもたらしてくれた。 -
Posted by ブクログ
「自分が求めていた安心」をこんなにも包み込むように与えてくれる人が現れたら、好きになってしまうのも当然だと思いました。
読み進めていく上で、主人公の奥深い気持ちを知るほど、2人の恋愛は誰も踏み込んではいけない2人の世界のように感じます。
何かに囚われながら束縛されて、自分の気持ちのままに恋愛ができないことは、とっても辛くて苦しいこと…! 恋愛は、自分の自然な気持ちと向き合いながら進んでいくものだと思うからこそ!!
籍を入れているかどうかに関係なく、これからの未来2人が生涯一緒に幸せに暮らしていると願いたいです。
P149 新しいものがいつも美しいとは限らない
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今作が是非同性愛を語る書籍であらないことを願います。
読む人を本当に選ばないです。あまたある作品の中でジャンルに縛られることなく、ただ読書だと思って読んでいただきたいです。
同性愛が、BLが、いろいろ言われて避けられるにはもったいないほど恋愛の残酷さ、社会の残酷さ、人間関係の醜さを描くんです。
窪美澄という作家を今回が初めてなのですが、何故あなたはわかるのでしょう?
主人公はもちろん、登場人物全てが社会と闘って生きているんだなとよくわかります。
ある人は己の個性に悩み、ある人は愛着に苦しみ、ある人は己の無知や行動に取り返しが付かない人もいる。
当事者だけが悩めるのではなく、1人1人が悩まされ、世界を一つ大きくしようとする、誰もが社会問題として背負える中でそんな人の努力を全くもって意識しない者もやはり社会問題だと思います。
1人の人間として、関係をどう持つか?どう意識できるのか?
環境を作るのは、社会を作るのは、彼らではなくそれを読むあなただと思います。 -
Posted by ブクログ
職場に 「忌引休暇」って制度があって たとえば配偶者が亡くなったときは何日、父母の場合は何日、兄弟は何日って就業規則で決められているんだけれど、まぁ 身内が亡くなると 葬儀のあとも役所に届けを出したり 遺品を整理したり あるだろう、とは言え 本人任せで際限なく お仕事休んだら収拾がつかないし きりがないでしょ、ってことで日数が機械的に決められているんだろうなって 頭では理解している。文句を言おうと思ってはいない。
思ってはいないけれど、なんだか違和感というかモヤモヤは ずっと感じている。人が 大切な誰かを亡くしたときの 喪失感・精神的なダメージというのは 人それぞれで 親が亡くなっても葬儀終わったら出勤したい人もいれば、幼なじみの突然の死に2週間休みたい人、あるいは 飼っていたにゃんこやわんちゃんが亡くなって クリニックに行って薬もらわなきゃいけないほどの喪失感を感じる人もいるわけじゃないですか?
そういう風に、本来 人それぞれであるはずの 「喪失」が 制度として むりくり その「重さ」や「尺」を決めつけられているように僕にはどうしても感じちゃうわけなのです。
あれ?これ 本のレビューとぜんぜん関係ないですね すみません
窪美澄さんの「喪失」「別れ」をめぐる超絶 読みやすい文体で書かれた短編集、ぜんぶ素敵だけれど個人的には 「湿りの海」と「星のまにまに」が 特によかった。数年内に再読することになるだろうと思う。 -
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ネタバレ【あらすじ】
恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!
島本理生 『最悪よりは平凡』特別な名を持つ平凡な容姿の私。唯一無二の存在になるにはどうすれば。
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘の結果は?
波木銅 『フェイクファー』大学の手芸サークルで知った着ぐるみの魅力。数年後……
一穂ミチ 『カーマンライン』日米で分かれて育った双子のケントとアサミが19歳で再会した。
遠田潤子 『道具屋筋の旅立ち』容姿に関して隠したい過去を持つ優美は、初めての彼氏の言いなり。
桜木志乃 『無事に、行きなさい』アイヌの人気デザイナー・ミワと、シェフの男。レストラン改装を境に二人は。
窪美澄 『海鳴り遠くに』夫を亡くし海辺の別荘地ですごす私は、彼女に出会ってしまった。
【個人的な感想】
島本理生 『最悪よりは平凡』
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』
窪美澄 『海鳴り遠くに』
の3作が好きだった。
それ以外の話はよく分からなかった。 -
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ネタバレ『晴天の迷いクジラ』
というタイトルに驚いた。
迷いのクジラでもなければ、晴天に迷ったクジラ、でもない。
どういうこと??
そう思いながらページをめくっていきました。
最初は、ChatGPTに聞いた。
持っている積読をいくつかピックアップして、この何冊かの中で、自分が今読むべき本はどれか、と尋ねた。
その問いを尋ねた時の私はびっくりするくらい弱ってた。
元気が取り柄なのに、どう頑張っても元気ではいられない。
自分の意見は決まっていたはずなのに、外から入ってくる声に耳を傾けていたら、自分の気持ちがわからなくなってしまった。
自分の思うように生きれればいいと思ったのに、それすら出来なくなってしまった。
せっかく決めた、自分の生き方すら見失って、息が苦しくなった。
そんな私だからなのだろうか、この本をおすすめされたのは。
暗闇に沈んだ3人が、1匹のクジラに会いに行く物語。
それぞれが、深い闇を抱えながら生きている。
他の人の闇って、普通に生きてたらどう頑張っても見ることはできない。
みんな、他の人には見せないように、必死に自分の中に抱え込んでその闇と向き合うからだ。
それでもなんとか自分の限界まで突き進む。
でも、自分が限界だと思った時には、どうに限界を超えていて、立ち直ることすら立て直すことすら難しくなっている。
それでも、そんな3人が出会う。
出会って親子を演じて、どこか自分が演じきれなかったものに思いを馳せて、考えて、考える。
兄弟の気持ちがわからなかった人が、傷を負った兄弟をもって、子供を捨てた母親が自殺から救った子を育てようとする。
そんな中で、子は母親とは一緒に暮らせないことに気づく。
クジラの気持ちを分かろうなんて烏滸がましいと、そういう話が出る場面があった。
それは当然だと思う。
それに、人の気持ちは人にも理解できないと私は思う。
理解してくれる人じゃなくて、理解しようとしてくれる人の存在が大きい。
自分の悲鳴に耳を傾けてくれる人、自分の悩みを自分と同じ視点で考えてくれる人。
完全に理解し合える人がいないからこそ、寄り添ってくれる人に、拠り所を求める。
それが人間だなと思う。
私もそうだった。理解しようとしてくれる人に何度も救われてきたから。だからこの本を読む意味があったんだろう。
それに、あのくじらは見失ってしまった自分自身だったのだ。
酷く傷つきながらも、泳ぎ出していく姿に、各々が身を打たれる。
あのクジラは、何も言わなかった。
それでも、もう一度泳ぎ出してもいいんだと思わせてくれた。
もうひとつ。
この本の日本語が、私はすごく好きだった。
私は日常の景色を言葉に変える能力は人並みにあるかもしれないが、その言葉から情景を想像する想像力に欠けていた。
だけど、この本の日本語はすっと私に馴染んで、目の前に情景が浮かんだ。
いつまでも、いつまでも読んでいたいと思った。
だからこそ、他の人におすすめしたいなと思う。
人間誰しも自分の人生に疲れてしまう日がある。
周りの人の声に埋もれてしまう日もある。
自分の答えを見失ってしまう日もある。
そんなときは、クジラを見て欲しい。
クジラを救いたいと思った頃には、少しだけ自分も前を向けていた。