窪美澄のレビュー一覧

  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    自分ではどうしようもない不幸な境遇の三人。湾に迷い込んだ、死を待つクジラのようにもがいて生きている。一緒にクジラを観に行かなければ、それぞれ死んでいたかも知れない。
    窪美澄さん作品は究極を迫ってくる。

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    2024年08月17日
  • やめるときも、すこやかなるときも

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    ネタバレ

    久しぶり純愛本。主人公・壱晴は高校時に恋愛し、大学受験前、彼女が交通事故で亡くなる。それから12月になると声が出なくなる。壱晴は家具職人となり結婚式で知り合った女性と一夜を共にする。数日後、仕事相手として壱晴の前に現れたのがその女性・桜子だった。この作品は、不器用ながら惹かれあう壱晴と桜子の対比が面白い。また、壱晴の悲しい過去のカタルシスがメインのテーマで、どう過去を清算するか?ラストの壱晴VS.桜子の父、桜子VS.桜子の父に全て集約された。予定調和を感じたが、2人のパワーが過去からの脱却に成功した!⑤

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    2024年08月07日
  • よるのふくらみ

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    出来事そのものはあくまでもフィクションの範囲で自分の身の回りでは聞かないような話ばかり(だし、端からみれば結構トンチキな背景だろうし)でしたが、登場人物の考えていることがしっくりとなじむ、なじみすぎる。
    アスリートでいうところのゾーン状態と同じように、自分の気持ちや考え方なんてごくごく限定的な条件で成り立っているもので、それは例えば自分の仕事や体調であったり、周囲の人にも同じように何かしらの変化があったときにそのことをどう認識するかであったり、とにかく自分も他人も移ろい行くなかで、莫大な数の変数(しかもそれぞれ独立してないし)によって刹那的に出力されているものなんじゃないか、その出力結果って簡

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    2024年07月31日
  • 朔が満ちる

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    ぶっ刺さった。この本、私の心にぶっ刺さった。梓目線で私は読んでた。だって私と同じだから。だからまた私の過去や過去の時の考え方が蘇ったりしたの。
    【この物語を必要としている人に、どうかこの本が届きますように】
    届きました。読んで自分が必要としてる人だった事に驚いた本。
    本屋さんで迷わずこの本を手にした時から出会う本だったんだな。

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    2024年07月29日
  • ぼくは青くて透明で

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    ネタバレ

    よかった、最後はハッピーエンドでよかった

    章ごとに、登場人物の視線で描かれてて読みやすかったり、皆の思いが知れてよかった


    母親が5歳の時に家を出てしまい、父親も出ていってしまい父の恋人とその後くらす

    その恋人、美佐子さん(継母)
    血の繋がらない幼い海をおぶって、病院へ駆け込んだり高校を卒業まで海と暮らす
    海のことが大好きで、本当の親になりたいと願い海のお父さん緑亮と籍を入れる
    海の本当の母が出てきても海を取られないために

    海の父親、緑亮
    父親の顔も知らず、保育園児の時にある日とつぜん母は消えてしまう
    そんな辛い思いは、絶対子どもにはさせないと思いながらも海の前から消えてしまう
    海は

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    2024年07月22日
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース

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    ネタバレ

    みかげ姉妹にぜんじいがいてよかった。ぜんじいは娘さんは救えなかったけど、いろんな人を救ってると思った。屋上でぜんじいが泣くところで私も号泣してしまった。夜の学校で友達ができて良かった。お姉ちゃんがいいお姉ちゃんすぎる。むーちゃんの家族もむーちゃんも素敵。

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    2024年07月19日
  • ぼくは青くて透明で

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    普段専門レーベルのBLを読んでいるので、一般書で同性愛がどのように描かれているのかと気になり購入。
    BL小説では基本男性2人の話が中心ですが、こちらは男性2人の周囲の話もあり、より広く深いお話でした。
    BL読者でない人にも読んで欲しい本です。
    年齢的に学生よりも大人側の美沙子さんの章に感情移入してしまい、泣いてしまいました。
    窪美澄さんの本は初めてでしたが、文体が好きだったので他の本も読んでみたくなりました。

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    2024年07月15日
  • ご本、出しときますね?

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    出てくる作家さんが、すごく豪華!
    性格の悪さもさらしていて、楽しかった。
    最後の光浦靖子と尾崎世界観との鼎談が一番笑った。

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    2024年06月18日
  • 偏愛小説集 あなたを奪うの。

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    「略奪愛」をテーマに紡いだ、書き下ろし恋愛小説集。彩瀬まる/窪美澄/千早茜/花房観音/宮木あや子、好きな作家しかおらん…。好きな作家しかおらんと思ったら好きな話しか収録されていない…。どれも好きで読んでてぐわああっとした感情でいっぱいになった。略奪愛というテーマで薄暗いようなイメージがあるかもしれないけど、でもどの話もピュアでまっすぐでだからこそ「略奪」って可能なのかもしれない。てらいなく自分に素直になれるからこそ手元に愛を引き寄せることができるんだなあとそのエネルギーに溺れそうになった。どの話も読み応えがあって幸せな読書体験だった

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    2024年06月17日
  • たおやかに輪をえがいて

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    最近は三国志や三体など大作めいたものを読み耽っていた私だが、夫の風俗通いを見つけてしまったとこから始まる小説を楽しめるのか不安だったけど、やっぱり窪美澄さんは最高である。

    登場人物がそれぞれ抱える悩みが身近で、家族や友人、街ですれ違う人や電車で向かいに座った人、全員が大なり小なり悩みを抱えているんだと再認識させられた。

    窪美澄さんの小説は、穏やかに始まって、気づいたらドカ雪が降って、暖かい日差しで雪解け、そこは元の形に戻らないけど、一歩前進した新しい場所になっているみたいな、最後はすごく温かい気持ちになれる。

    大好きな作品になりました。

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    2024年06月15日
  • 私は女になりたい

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    『女』のあなたにお聞きします。

     “あなたは、『女』になりたいですか?”

     (*˙ᵕ˙*)え?

    う〜ん、なんとも意味不明でいて、それでいて意味深な質問から始まったこのレビュー。そもそも性別=『女』であるにもかかわらず、『女になりたい』という言葉が一般的な言葉としておかしいとも言えないところにこの言葉の奥深さがあるように思います。

    今の世にあっては、人の人生を簡単に示すこと自体難しいものだとは思いますが、『女』としてこの世に生まれた人の一生を敢えて綴るとした場合、『女』として生まれ、恋をして『女』になって、結婚して『妻』になって、子を産んで『母』になる。このような言い方はできると思います

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    2024年06月15日
  • じっと手を見る

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    性描写があるのは好きではないけど
    各話の心情をあらわすには必要なことで
    幸せな読後感があるわけではなかったけど
    頁をめくり続けてしまった

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    2024年06月10日
  • ははのれんあい

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    大人の事情、子どもの事情。
    どちらも互いの事情に巻き込まれざるを得ないのが、家族だ。 
    現在は母であり、かつては子どもだった私には、母・由紀子の第1部も、息子・智晴の第2部も、どちらも刺さりまくる。 
    でも、どちらも相手を思いやっているのが痛いほど伝わるので、あたたかい気持ちになる。

    感情のちょっとしたゆらぎが丁寧に丁寧に描写されているので、心をほんの少し突かれただけで、なにかが決壊してしまいそうな読書だった。
    ぐっとくるシーンはたくさんあるのだけれど、個人的に一番良かったのは、智晴が自分の進路を自分で決めるところ。
    由紀子も智晴も、ずっと人のために生きてきた。自分のこれからを自分の思いだけ

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    2024年04月30日
  • いるいないみらい

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    窪先生の読者になって結構長いですが、私の中で凄いと感じたのは今までずっと繰り返しテーマにしてきた生殖に対していくら考えても答えは出ないと言うことが答えなのだと教えてくれた作品だと思います。アカガミは私にとって最も衝撃的な作品でした。こんな世界がやがて来るのではないかと一瞬でも感じたのですから...その後はドンドン色々読みましたが答えの出ないテーマを一貫して描いている窪先生自身も答えを探しているんだろうと言う事。でもこの作品を読んで悩んでいる人に安心や励ましを与える事にはなるだろうと感じたのは読んだ人だけなのだから未来は変わるかも...

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    2024年04月27日
  • ルミネッセンス

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     嫌な気持ちになるのに面白い。登場人物たちは、どこにでもありそうな日常だったり、そうした日々を積み重ねているだけなのに、連鎖して闇の中に呑み込まれていった。そして、その闇に抗うことなく、どこか受け入れている様子が不可解なのに、共感できるところもあって心にズシリときた。

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    2024年04月21日
  • いるいないみらい

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    子供が欲しい、欲しくない、それによって夫婦の考え方も変わってくる。
    それに正解も無くて、それに夫婦が悩んでいく所がリアルな感じがしました。

    僕もまだ子供がいなくて、夫婦で妊活をしていてこの小説を読んで、それぞれの物語がズシンと来て凄く参考になりました。

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    2024年04月20日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    読めば読むほど物語の世界に入りんでいき、一人一人に感情移入し、読み終えるのがさみしくなってしまう本だった。

    この本を読んでから、平気そうに振る舞ってるあの人にもこの人にも、きっといろいろあるんだろうな…と想像してしまう。

    人は一人では生きていけなくて、問題を一人で抱えこんだり、がんばり続けるのは、信号が点滅してる状態なんですね。

    自分の弱さや欠けたところに気づき、受け入れ、誰かやどこかに助けを求め、少しずつ強くなっていく。

    でもその人も、知らず知らず誰かを助けていたりする。

    “避難所みたいな人や場所をいくつか作っておくといいよ。”

    さおり先生の言葉。

    そんな人や場所がいくつかあっ

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    2025年05月14日
  • ははのれんあい

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    素敵な作品でした。
    働く母の葛藤、複雑な家庭と家族の中で抱える子供の葛藤や揺れ動く感情がひとつひとつ丁寧に描かれていて、とても説得力のある文章でした。
    長い年月を経て、家族の形は変わっても家族であることは変わらない、という言葉がじんわりと体の中に染み込んでいくような感覚でした。

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    2024年04月13日
  • いるいないみらい

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    読みやすいけど、1つ読み終える毎に余韻に浸ってしまう。家族の在り方、幸せとはなにか、そんなことを思いながら読んだ。

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    2024年04月09日
  • アニバーサリー

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    孤独な若い妊婦の真菜と大家族育ちのおばあちゃんコーチ晶子。
    マタニティースイミングスクールで薄い縁を繋いだだけなのに、震災という大きな困難が二人を引き合せる。

    昭和で平和も戦争経験した晶子、平成で豊かな地獄を送ってきた真菜。

    女性が働きたいと願う動機も、働く事で抱え込む困難も理解できる。
    女性には勿論ダイレクトに刺さるが、敢えて男性に読んで欲しい。読書こそエンパシーだと思う。

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    2024年04月03日