窪美澄のレビュー一覧

  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)
    【映画を鑑賞】
    失敗せずに生きていける人なんかいない。
    しかし最近のSNS社会では毎日のように、いや、毎秒のように誹謗中傷が飛び交っている。
    この作品のお陰で、人の失敗と自分の失敗を前よりも許容できるようになれた気がする。

    不妊治療をしている里美は、姑に欠陥品だの言われて、子供がでてきない理由を全...続きを読む
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース
    読友さん7人が既読、窪美澄作品、初読み。色んなメッセージが込められていたんだなぁって思う。1) 古い団地に住まざるを得ない社会的に弱い立場の主人公と姉。親から見捨てられた不条理。2) 社会的弱者に対する福祉サービスが行き届かない不条理。3) 人間1人では生きてはいけず、助け合いの精神が必要だが、今の...続きを読む
  • 私は女になりたい
    読みやすい文章だった。まだ20代の自分だが、女性として生きたいというのは歳を重ねても思うことなのだろうなと感じた。今結婚している彼と付き合いたての頃の一緒にいられて嬉しい胸が高鳴る感じ、性的に満たされるドキドキする気持ちを鮮明に思い出したと同時に、そういう時間は本当にかけがえのないものなのだと思った...続きを読む
  • じっと手を見る
    窪美澄はやはり好きだ。おもしろい。
    でも今回初めて思ったのは、地方に住む若者の閉塞感をリアルに描いてるようで、やはり地方出身者の感じているそれとは全然違うということ。
    私と同じ故郷をもつ辻村深月に感じた、あなたなぜ私のそのドス暗い感覚ぜんぶ知ってんの⁈見てた⁈というリアルさには到底及ばない。
    地方の...続きを読む
  • アカガミ
    惹き込まれた。ミステリーみたい。現代の若者の考え方や生き方、現代社会に警鐘を鳴らしているように読み取れる作品。
    好きだ。ラストがあいまいだけれど、読者に委ねられる感じが好きだ。
    不穏な空気が流れるあたりからがたまらない。
  • 恋愛仮免中
    プロポーズ待ちの彼女の悩み、長年連れ添った夫婦の行く末、中学生女子の甘酸っぱい初恋など、それぞれ異なるカットでちょっぴり切なくも朗らかに恋模様が描かれる。
  • よるのふくらみ
    恋愛なんてしない方が身のためだと心の底から思うのに、その何にも変えられない甘さを知っているからやめられないのだ。この作品において「ふくらみ」とは、性欲、不安、好意、妊娠、性器そのもの、疑惑…様々なことに当てはまる。夜を中心に進んで行く物語、じっとり蒸し暑い6月にぴったりであった。
  • 水やりはいつも深夜だけど
    いい意味で生々しいほどリアル。
    日常生活に驚くような奇跡は起こらない。180度の変化じゃなくて、ゆっくりゆっくりでも確実に日が差す方へ。どの話もそんな締めくくり方で、無理がなくて、とても現実的だった。

    特にゲンノショウコのお話は、胸に刺さるものがあって、短編小説なのに、、って思うほど号泣してしまっ...続きを読む
  • 私は女になりたい
    大人の恋愛ものが読みたかったので
    ドンピシャな内容でサクサク読めました。

    主人公は48歳の美容皮膚科医の女医さん。
    19歳の息子がいて、離婚歴がある。
    14歳年下の男性と付き合うことになるお話。
    それだけ聞くと、現実にもあり得そうな設定ですが
    クリニックで起こる事件や、息子との関係含めて
    小説なら...続きを読む
  • じっと手を見る
    なんと胸が詰まる話しであろう。

    この人の小説は、とんでもなく胸が苦しくなって、最後に少しだけ幸せの希望が見える感じか本当にクセになる。

    良さが上手く説明できない、自分の恋愛観がおかしいって感じてる人達はぜひ読んで欲しい。
  • 雨のなまえ
    すっきりとしない梅雨空のような、曖昧でそして生々しい心情描写がリアルで鋭かったです。
    それぞれに雨が登場する5つの短編。震災に触れる章もある。
    突拍子もないというわけでなく、自分に沸き上がったかもしれない感情、身近に起きてるかもしれない、という分かる気がする物語。結末というより、いつの間にか心情を解...続きを読む
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)
    死にたい人たちのための希望の本
    それぞれ思い悩んで、重い傷を抱えてある日死が身近に見えた時人間はどうやって行動するんだろう
  • さよなら、ニルヴァーナ
    窪美澄さんの作品の中で1番好き
    少年の持つ異常性癖で感情が顕になった時のシーンが今でも頭に残っている
    狂気じみて哀しい、だがその少年はとても美しい
    少年を崇拝する者がいる
    理解し難いことに魅力される者もいる
    バラバラだけど繋がっている
    こんな世界があるのだと撃ち抜かれた気分

    物語はスピーディーで終...続きを読む
  • トリニティ(新潮文庫)
    ギュンギュンに胸が締め付けられた。

    何かを得て何かを失うと言う事がしっかりと伝わった。
    人生に強烈な輝きを発する瞬間があって、ことあるごとにそこに立ち返る、良いんだか悪いんだか。

    でもそんな思い出があるから乗り越えられる今がある。

    もうやっぱり窪美澄さんは大好きです。
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)
    何でもいいから、とにかく生きてさえいてくれればって残された人の気持ちも、
    3人の主人公みたいに、過去の後悔は抱え続けるものなんだろうし、何かある都度思い出されるものなんだろう。
    しんどい時に、死ぬなよって言ってくれる人とか、そのままでいいって思える場所とか、これをやりたい!っていう情熱とか、
    そうい...続きを読む
  • ご本、出しときますね?
    オードリー若林さんと作家さんの対談のような感じで進むテレビ番組の書籍化。 作家さんってなかなか面白い人がたくさんいるものだなと感じられるし、心の中はちょっと黒い人が多いのかなと。 そして、意外と作家さん同士って交流あるものなんだなと。
  • じっと手を見る
    読みながら身も頭も心も重くなった。

    田舎と都会とでは
    暮らしていく上で触れる情報・刺激・見聞に
    圧倒的に差があるよな。
    日奈のように、
    そこまで欲がなく大人になってしまうと
    自分のやりたいこととか、目標、希望が
    育たず見つからないのかと思った。

    一方宮澤の感覚はすごくわかる気がする…。

    しがみ...続きを読む
  • さよなら、ニルヴァーナ
    ほんとうに恐ろしいのは、叶ってしまった夢に振り回されることだ。叶ってしまった夢を現実として継続させていくことだ。
    個人の魂を国家が管理して、国家に不都合な世界観や思想を持つ者に関しては、それを徹底的に改造する。これはファシズムの思想だ。本書で描かれているのは、「正常」「人権」という名で、知らず知らず...続きを読む
  • やめるときも、すこやかなるときも
    主人公2人の関係性がどのように進展していくのか、ワクワクしながら本作を楽しむことが出来たと思います。特に各章の終わりが、これから先の展開を予感させるような引きがあって、思わず作品にのめり込んでしまいました。

    本作は家具職人である壱春と、制作会社に勤める桜子の2人が主人公の物語。2人はそれぞれに大き...続きを読む
  • たおやかに輪をえがいて
    ひとりの女性の、折り返しの人生に起こる様々な出来事がとてもリアルに描かれていた。
    正直、途中までは、主人公の自分の人生を諦めたような考え方に共感できずなかなか読み進まなかったけど、中盤以降、一気に物語に引き込まれて、先が気になって夢中で読み終えた。前向きな気持ちになれる物語。