窪美澄のレビュー一覧
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最近は三国志や三体など大作めいたものを読み耽っていた私だが、夫の風俗通いを見つけてしまったとこから始まる小説を楽しめるのか不安だったけど、やっぱり窪美澄さんは最高である。
登場人物がそれぞれ抱える悩みが身近で、家族や友人、街ですれ違う人や電車で向かいに座った人、全員が大なり小なり悩みを抱えているんだと再認識させられた。
窪美澄さんの小説は、穏やかに始まって、気づいたらドカ雪が降って、暖かい日差しで雪解け、そこは元の形に戻らないけど、一歩前進した新しい場所になっているみたいな、最後はすごく温かい気持ちになれる。
大好きな作品になりました。 -
Posted by ブクログ
大人の事情、子どもの事情。
どちらも互いの事情に巻き込まれざるを得ないのが、家族だ。
現在は母であり、かつては子どもだった私には、母・由紀子の第1部も、息子・智晴の第2部も、どちらも刺さりまくる。
でも、どちらも相手を思いやっているのが痛いほど伝わるので、あたたかい気持ちになる。
感情のちょっとしたゆらぎが丁寧に丁寧に描写されているので、心をほんの少し突かれただけで、なにかが決壊してしまいそうな読書だった。
ぐっとくるシーンはたくさんあるのだけれど、個人的に一番良かったのは、智晴が自分の進路を自分で決めるところ。
由紀子も智晴も、ずっと人のために生きてきた。自分のこれからを自分の思いだけで決める、その清々しさが尊かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレみんなが幸せハッピー!で終わる話が大好き。
だって現実にはそんなこと絶対無いから。
それを突きつけられる読後感。
登場人物みんな間違いを犯しまくり。
逆説的に間違いを犯さない人なんていないということに気付かせてくれる。誰かを傷つけても傷ついても、一人ひとりの物語は終わらないわけで。兄弟が出てくる物語では、何故か兄に肩入れしてしまう私。その兄が意外すぎる着地点で驚いた。予想もできないことが起こり続ける人生。過去と痛みは消えないけど、それでも人肌を求めてしまう本能に感謝しながら。誰かに許され誰かを許しながら生きていくことを余韻の中で味わいました。
大人の恋愛漫画を読み終えた気分。おもしろかった!!! -
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恋愛小説のアンソロジー。
著者ラインナップが『一穂ミチ・窪美澄・桜木紫乃・島本理生・遠田潤子・波木銅・綿矢りさ』こんなの全員海老の天ぷらじゃん。海老天しかない天丼じゃん…。
私はれんこんの天ぷらが一番好きだけど。文芸誌の恋愛特集のために書き下ろされた作品をまとめたもの。
どれもほんとーーーによかった。全部好き。
なんか恋愛ってどうしても自分の生きてきた環境から受け取った価値観がインストールされて、それがよくも悪くも作用してるよなあと読んでいて思うのだった。
あとけっきょく他人と深く向き合うことは自分と深く向き合うことでもあって、そらつらいわあ…。
ヒリヒリしてて苦しくて、でも文字からそれを体感できるところが小説のおもしろさだよなあ…!名手たちの恋愛アンソロジー超おもしろかった -
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読んでみたいけど、なかなか手が伸びなかった作家さんばかりのアンソロジー。思わず買ってしまった。
『最悪よりは平凡』 島本理生
主人公の和田魔美ってどんな女性なんだろうか?会ってみたいと思った。とても魅力的らしい。読んでて、真面目でしっかりとした女性だと思うんだけど、なぜか下心がある男ばかり寄ってくる。本人はそんなつもりは全くないのに。身体が魔性の女みたいに言われてるし。最後はいい感じに終わって良かった。
『深夜のスパチュラ』 綿谷りさ
バレンタインデーは恋する女子にとっては戦いだねって改めて思った。主人公の可耶ちゃんがチョコを買いに行くところから渡すまでの奮闘が読んでて面白かった。ガトーショコラが出来た時、良かったね、よく頑張ったと声を掛けたくなった。読んでて自分の事を思い出した。チョコレートケーキを作って大失敗した事がある。お菓子作りって材料の計量をちゃんとやらないといけないのに、私はとても適当に計量して大失敗。ものすごく言い訳をしてから食べてもらった覚えがある。
『フェイクファー』 波木銅
波木銅さんはこの本で初めて知った作家さん。着ぐるみに魅せられた人たちの話。自分で作ったり、着ぐるみの写真を撮るのが好き、など好きな理由は人それぞれ。なんとなく現実逃避をしたい人達が集まっている気がした。読んでて二つほど謎があったんだけど、分からないまま終わってそこがモヤっとする。でも面白いと思った。「裁縫は暴力の逆」、「裁縫は、誰かを傷つけたりしない」、「誰にだって秘密はある」という言葉が印象に残った。
『カーマインライン』 一穂ミチ
5歳で家庭の事情で離ればなれになった双子の話。14年ぶりに再開し、2ヶ月一緒に過ごす。14年という時間は関係なく、すぐ馴染むんだけど…。一穂ミチさんの作品はこれで二つ目なんだけど、"人の想い"に何か隠されてる、そんな印象を持ちました。2人の子供の頃の思い出に、天井に星のシールを貼るっていうのがあるんだけど、このシーンが作品で重要かな。
『道具屋筋の旅立ち』 遠田潤子
ずっとイライラ、ムカムカしながら読んでた。真相が分かって同情もするけど、それにしても主人公の優美に対する態度はダメだよね。美味しいものを食べて幸せになると思ってたけど、この作品は食べ物で苦しめられる。読んでて苦しくなってしまった。でも最後は食べる事で吹っ切れたみたい。「自分の身体は自分のもの」と気付けて良かった。
『無事に、行きなさい』 桜木紫乃
大人な恋愛小説。ミワと倫彦の関係をミワが自分の作品で表現したというのが、さすがアーティストだなと思った。その作品でお互いの道を決めたって事だと思うんだけど、う〜ん大人だね。
『海鳴り遠くに』 窪美澄
主人公の中野恵美が気持ちを佐伯絹香に伝えることが出来て良かった。こんなの本当の自分ではない、でもその事は言えない。これは辛い事だと思う。
題名の『二周目の恋』って人によって捉え方が違うんだなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄く良かった。
主人公が章ごとに変わるので分かりやすかった。
心と身体は切っても切り離せない関係であり、好きには理由は要らないが愛には理由が必要だとも教えられた。
人に良いように見られたいお兄ちゃんの事を嫌う人も居るだろうが、ダメだよ。と言ってくれる人が此れ迄居なかったのだから仕方がない。
其々が自身の罪に向き合い成長していく姿は心地よかった。
お兄ちゃんは、最後まで自分の欠点に気づかずに中学生の時に愛した女性の名前と其の店の名前を思い出さなかったのは悲しいことだ。
登場人物の内面ご的確に描写されていて良かった。此の作者が書かれている他の作品も読みたいと思った。
勧善懲悪と言うわけではないので、苦手な人は出てくるかもしれない。
しかし、己の罪と向き合って幸せに生きていくことは素晴らしいということに気づかされる物語だ。