窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すっきりとしない梅雨空のような、曖昧でそして生々しい心情描写がリアルで鋭かったです。
それぞれに雨が登場する5つの短編。震災に触れる章もある。
突拍子もないというわけでなく、自分に沸き上がったかもしれない感情、身近に起きてるかもしれない、という分かる気がする物語。結末というより、いつの間にか心情を解釈して入り込んでいたというか。決して明るくない話、出口が見えない現実だけれど、目を反らさず、やっぱり幸せを求めようとしている姿に救いをみたようでした。
逃げたい思い、もっとすっきりしないものか、人間臭さとか、人の純粋な感情から、著者の気迫が伝わりました。一編一編がずしりとくる。個人的には窪美澄さん、 -
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Posted by ブクログ
窪美澄さんの、日常に溢れた描写や感情が丁寧に繊細に言葉にされている感じ、そしてそれが優しく、時にガツンと胸を打つ感じ、とても好き。
島本理生さんの解説が今まで読んだ"解説"というものの中で1番好きだった。一気読みおすすめ。
p.71 誰かときっちり縁を切りたいときは、お金をたくさん払ったほうがいいんじゃないかな。身銭を切るって、本当はそういうことなんじゃない。
p.93 仕事に貴賎は無いのよ。それに仕事をしているからってえらいってもんでもない。自分以外の生き方や仕事を貶める人に、いい写真なんて撮れないよ。
p.98 しおりの体とは違う華奢な体に抱きしめられなが -
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Posted by ブクログ
ネタバレ久々にこんなに引き込まれる本に出会った。
戦後の激動の日本を生き抜く3人の女性。
ひょんなことから3人のうちの1人、鈴子の孫が3人の過去を知っていく話。
戦後の変わっていく日本 有名で事件の名前など知っていたがそれがより詳しく書かれてる場面などもある。その時の日本に自分もタイムスリップしてるかのように読んでいった。
3人の女性は共に出版社で働く
イラストレーター ライター 出版社の事務員
それぞれ異なるが人生の分岐点に3人が一緒にいる場面も多々ある。
けして明るい話ではないし、どちらかというと切なくなる場面の方が多い。死ぬもの狂いで働いて守りたいものを守った女たちが果たして幸せだったか -
購入済み
迷える者、含む私
いくら頑張ってもかなわないこともある。
都会でも田舎でもそれぞれに苦しみがある。
クジラもたとえ海に戻っても
生き延びられるかはわからない。
人間も遅かれ早かれ死ぬともいえる。
でも、たとえ死がすぐそこに近づいていても
別の生き物でも、
見知らぬ人でも
誰かが少しでも自分がいることを
ほんとに少しでも認めてくれたり
ちょっとでも意義を感じてくれたら
しのげる。
誰かに自分を否定されても
また誰かが自分の何らかの面の
良さに気づいてくれることもあって
しのげることがある。
人間は弱くて正しくないから
自分や他人を不幸にするけれど
そのくせ、また自分や他