あらすじ
女は小さな声で、マリモ、と言った――。家具ショップで働き、妊娠中の妻と何不自由のない生活を送る悠太郎。ある日店に訪れた女性客と二度目に会った時、彼は関係を持ち、その名を知る。妻の出産が迫るほど、現実から逃げるように、マリモとの情事に溺れていくが……。(「雨のなまえ」)答えのない「現代」を生きることの困難と希望。降りそそぐ雨のように心を穿つ5編の短編集。
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Posted by ブクログ
何の気なしに読み始めたが、ものすごくおもしろくて2日で一気読み。
どの短編も雨がキーワードで出てくる。
全てがハッピーエンドで終わらないところとか、アッと言わされるような物語の展開がおもしろかった。
Posted by ブクログ
すっきりとしない梅雨空のような、曖昧でそして生々しい心情描写がリアルで鋭かったです。
それぞれに雨が登場する5つの短編。震災に触れる章もある。
突拍子もないというわけでなく、自分に沸き上がったかもしれない感情、身近に起きてるかもしれない、という分かる気がする物語。結末というより、いつの間にか心情を解釈して入り込んでいたというか。決して明るくない話、出口が見えない現実だけれど、目を反らさず、やっぱり幸せを求めようとしている姿に救いをみたようでした。
逃げたい思い、もっとすっきりしないものか、人間臭さとか、人の純粋な感情から、著者の気迫が伝わりました。一編一編がずしりとくる。個人的には窪美澄さん、短編好き(連作が多い中、こういうの)です。ラストの章、主人公の気持ちが読み込めず二度読みしました。
それぞれラストの一文にぐっとくる。雨の音とともに、静かに感情を揺さぶられた一冊でした。
Posted by ブクログ
雨に纏わる5つの独立した短編が収録されています。
窪 美澄さんの描く不穏な空気、鬱屈した人々、暗くて気怠げで救いがない独特な世界観、頻繁に出て来る性描写、終始陰気で限りなくブラックに近いグレーな色合い、そしておまけに読後感も非常に悪い けれど、どの登場人物もどこかに存在しそうでリアリティがあって惹き込まれます。
ポップでポジティブな物語が好きな方には向きませんが、人間の持つ闇の部分、リアルな人間の本質が微細に表現されている作風が好きな方にはオススメです。
Posted by ブクログ
何となくの不穏さを感じながら読み進めていたら、突き落とされるようなラストに出くわす。
5つの短編のうちの3つがそういう形で、1つが不穏なまま終わり、残る1つだけが少しの救いを感じた。
読み終えたあと心がざわつく。良いとは言えない後味に戸惑う。でも現実にも、こういう理不尽な出来事は時に起こってしまう。そういう、自分の身にも降りかかるかもしれないという恐れを感じるような物語が並ぶ。
様々な形で“雨”が登場する。
出産を控えた妻に恐れを感じ始める男が主人公の表題作では、産まれてくる子どもに雨にまつわる名前を付けようと妻が言い出す場面があり、年下の男に一方的な恋をしてしまう主婦が出てくる「記録的短時間大雨情報」では、ゲリラ豪雨のように、ほんの短時間に激しく恋心を燃やしてしまう様が描かれる。
その他の3つも合わせて、うまくいかない現実や理不尽な出来事、もがいたり、時に逃げ出したり、罪の意識に苛まれたりという人々の日々の物語が綴られている。
1つだけ異質なのは「雷放電」というお話で、幻想的で、ミステリ的な要素もあって、怖面白かった。
つまらない日常を捨てて逃げ出したい。決まりつつある未来に恐れを感じる。過去の過ちから逃れられずこの先罰が当たるような気がしてしまう。
誰もが不意に抱えてしまうかもしれない感情たちは、とても現実的で、身近に感じた。
ラストの「あたたかい雨の降水過程」は希望を感じる物語だったから、理不尽だらけの短編集でも、読後感は悪くなかった。
そういう意味で、物語を並べる順番ってけっこう大事なのだと分かった。
Posted by ブクログ
ちょっとだけ勇気を出して自分の気持ちに素直になる。頑張ってないわけじゃない。けど全てを真面目にこなしていくのも限界がある。
それぞれの立場が抱える困難と希望は現実には中々上手くはいかない。
そんな短編集でした。
なんだかあまり明るい結末ではないお話が多かったですが、上手くいかなくてもどこかスッキリしている主人公に少し救われる気持ちになりました。
失敗しても情けなくても叱られても人はまた生きていける。そんな気持ちになりました。
Posted by ブクログ
人の嫌な部分が
雨のじとじとっとした感じと相まって
どんよりした気持ちになる読後感。
嫌な気持ちになるのに中毒性ある感じがして
私は好みでした。
Posted by ブクログ
書店に平積みされていて帯も作者も見ずに手に取った。完全にタイトル買い。なんといっても雨が好きで雨とタイトルにつ本はとりあえず手に取るし曲も聴いてみる。
雨が好きだという認識を持ったきっかけになった本が、「雨の名前」という写真集だった。
この短編集のなかにその本が出てきたのは創作だろうか、それとも作者もひょっとしてその写真集を見たのだろうか。
とにかくその本(のタイトル)が出てきた場面ではほくそ笑んでしまった。冒頭のちょっと刺激的な描写に最初は引いたけれど。
窪美澄さんは初めてだけど、そうか、「女による女のためのR-18文学賞」受賞作家なのか。ちょっと納得。
きっとワタシと同世代の女性に違いない、だって「記録的短時間大雨情報」のスーパーでパートで働く主婦の、若い男の子寄せる思いや「あたたかい雨の降水過程」でのママ友との会話などリアルすぎる。ときおり切ない、というか、こころに刺さる、というか、自分のことを責められているようで目をそむけたくなる、というような感情に襲われる。文庫本の裏表紙にあった「心を穿つ短編集」。「穿つ」ってなんとなく意味もわからず使っていたような気がして改めて辞書をひいてみたら、「人情の機微に巧みに触れる、物事の本質をうまく的確に言い表す」とあった。ああ、それだ、そのとおりだ。
短編集は久しぶりに読んだ気がするけれど、とても、よかった。
ただ、「ゆきひら」はつらかった。いじめや虐待の描写はただただ胸が苦しい。
Posted by ブクログ
どこにでもいそうな普通の人たちの、でもどこかしら歪んだ感情や欲望を淡々と描き出した短編集。
なぜそこでそんなことをしてしまうのか、そんなことを言ってしまうのか。
自分でもわからないけれどそうしてしまうことってあるよな、と思った。
Posted by ブクログ
雨のなまえ。と言うタイトル通り悲しいお話の短編集。最後のお話は少し温かいお話でよかった。他のお話は悲しいしどろどろしているけれどリアルで本当に起こっていそうな物語だった。続きをもう少し読みたくなった。
Posted by ブクログ
奥行きのある描写がは流石です。
いろいろな人生・生き方を感じました…が、
さらに最後のあとがきがまたすばらしい。
「人生の幸福なイベントのさなかに存在として根源的な不安と恐怖が紛れ込み、・・・」(あとがきより)
そうそう。
全体に通じてあるのは、人生は表向き幸福にみえても、(ひとは言わないだけで)背景には不安や恐怖が見え隠れしている。
そして、それははたから見て修復不能かもしれない、修復するつもりがないかもしれない、等々思いつつ、私たちははらはらしながら読むわけだ。
そのどきどきがいいわけね。
凄い本かもしれない。
そんな何十年も幸せが続くわけがないよな~
そんなところはお金持ちも貧乏人も、お隣も一緒かもしれない。
お隣の芝生は青いのだろうか。
Posted by ブクログ
この人に恋をしたことも確かにあった二人の間に生まれた子供を二人で育てた。それほどの縁があった。それなのに、心は近づいては失望し、それでもまた近づいて、離れていく。時間をうしろに辿って、二人の心が違ったどこかのポイントまで戻れば、私たちは元の二人になれるんだろうか、どう考えたって無理だもう戻れない、こういう生活が死ぬまで続くのだ
Posted by ブクログ
雨にまつわるタイトルの5つの短編集。
現実から目を逸らしたい時は、誰にでもあるかもしれないけど、そして逃げ場が脳内の妄想だけなら事無きを得るんだろうけど……。
まとわりつくような不穏さが秀逸。
性的な方面に逃げちゃった後の現実って、かなりホラーだよね〜?(^_^;)
Posted by ブクログ
最近になって急に窪さんが気になってきて、そういえばずっと読んでないあいだに何作品か出てるし、ひさびさにどれか読むかあ〜 なんて思ってた。
昨年窪さん自身がツイッターで自分の作品紹介をしてて、こういった気持ちで書かれたのか… と思うと心が揺れ動き、読みたくなってきたのもあった。
旅行中に古書店で、窪さんの、水やりはいつも深夜だけど、を発見。でもなんとなくやめた。手のひらの大きさの方をまた、古本屋で買うかな。と決めたけど、次の日旅帰りの駅付近で本屋があったのでふらりと入った。またなんとなく窪さんのコーナーへ。何冊かあり、水やり… はなかったので、雨のなまえ、を手にした。最初のページを読んだら、わっ、となった。そうそう、これだよー、みたいな。窪さんてロックしてる!と思える描写からのはじまり。それで胸ぐら掴まれて購入。読んだらやはりおもしろかった。
わたしはリリーさんや藤代冥砂さんの短編読んでたときも思ったのだけど、Hな… 18禁的な?描写をもりこんだお話のほうがリアルで嘘がない気がして好きになってしまう。読みたくなる。何故ならそれは窪さんもリリーさんも冥砂さんもエロ小説を書きたいのではなく、伝えたいものがある上でその描写を盛り込んでいることを知っているから。
窪さんの作品はいまとても読みたい気持ちだから、ガガガッと三作品くらい読みたい◎ハードなものもあるから、そのへんは気をつけて。。
短編の感想▽
・雨のなまえ
最初から引き込まれてグングン読んだ。かわいい純粋な奥さんと精神不安定だけど身体の相性がいいマリモのあいだで揺れる主人公。リアルやった。マリモと寝てるときが何より落ち着くって、男じゃないけど分かる気するし、ピュアすぎる奥さんやお金持ちの奥さんの家族に馴染めない気持ちも分かる。主人公の彼の性格がものすごくイメージできて、明るい話ではないけど楽しく読んだ。最後は、で、どっち?!てめちゃ気になった。
個人的にマリモは人間くさくて好き。極彩色に生きてる感じする。
・記録的短時間大雨情報
主婦が若い男子に恋してしまう&痴呆と一癖ある義母と冷めた旦那さんに悩まされる話。リアル。
特に若い男子に恋するのとか、わたしはないけど恋する気持ちは分かった。思わせぶりな態度や中途半端な優しさ見せやんといて欲しいけど、主婦なのに最後はまさかのアパート直撃でびっくりした。思い込み激しすぎー!さすがにそれは。でもおもしろかった。やけど胸痛い。年下男子は苦手なんよね。最近美容師さんも年下多くなってきてるし、、。わたし割と自然に話してたら相手に気があるように見えてしまうぽいから、好きなわけないの当たり前やのに、若い男性美容師さんに微妙に距離取られたように感じたり。わたしも自意識過剰やけど若い男性美容師さんてモテるから、そういうのに過敏で、好かれてるかも?て思いやすいこれまた自意識過剰なんよね。。嫌なことを思い出してしまったけど、窪さんのこのお話は誰でも何かしら引っかかるのではと思った。
・雷放電
最初は話の内容を信じて読んでたけど、最後、あ!なるほど~。。と納得がいく終わりだった。むなしい。。このむなしさの描写も窪さんうまいなと思った。
・ゆきひら
このお話も、最後すこしだけどんでん返し系。わたし自身はこういう形で終わって欲しくなかった。哀しい。でも、積もり積もったものが、こういう形で仕打ちとして表れてしまう結末を思うと、人生こわいなって思ったりする。誰かにしたことは自分にも返って来る、というけど。。せっかく生徒であるみるくを助けに行った、先生である主人公臼井。なのに、最終的にはセクハラされた形になって周りからも妻からも白い目で見られる。みるくが嘘をついたのかと思ったけれど、無意識のうちに眠っているあいだに手を出していたようで。心のなかで思っていることはついつい出てしまうんだなって思った。わたしがこの話なかで少しシンクロするとすれば、職場で隣に座っている男性社員さんのことすこしいいなとか思ってしまっていて。それが態度に出てないか不安になってしまうこと。最近打ち解けすぎてきて、うれしそうに会話してしまう自分に内心引いてるときあるんじゃないかな?と不安になってしまったりする。「思ってることは出るよね」そう思わされる話だった。
「ゆきひら」というタイトルがまた素敵なんだよね。
・あたたかい雨の降水過程
このお話で終わってよかった。そう思った。5つの短編のなかでいちばんまだ救いがある方の話。
特に何をされたでもなく一緒に暮らせなくなり、旦那に離婚届を書いてもらうようにお願いしてもなかなか書いてもらえずキレられる主人公繭子。
離婚できずとも別居して、シングルマザーで男の子をひとり育てている。ママ友との複雑な関わり。息子がいつか自分の元を離れていくことへの不安、など。
最後、みつきちゃんのお母さんの一言があたたかかった。「うん。あんたばかだよ。あたしのことも、人のことも、みーんなばかにしてさ。でも、わかってるなら、まあいいか」そう。ばかにしてることも、ばれてるんだよね。でもそれさえも包んでくれた。
Posted by ブクログ
雨は止まってっていってもは降り続けていくもの.
人の気持ちと似てて、残酷.雨がもたらすものは潤いだけじゃなくて、その人の暗部をゆっくりと滲みさせてしまうものなのかもしれない.
Posted by ブクログ
5編からなる短編集ですが、どの短編も息苦しいような、じっとりと湿っているような閉塞感があり、暗い。主人公たちは出口が見えないような状態で停滞し、倦んでいる。そんな状況での性欲には、厄介なものという印象しか持てない。最終話『あたたかい雨の降水過程』だけは、明るい兆しが見えるような気がするけど、それ以外の話は「ここで終わり?」というところで終わっていて、その後の彼らの人生は暗いものしか想像できない。窪さんは、本当に人間の嫌な部分の感情とそれに伴う性の問題を描くのが上手くて、上手いだけに物語に入り込むと気分が滅入る。
Posted by ブクログ
希望も夢もなく、ただ一日を費やし成果を求めない日々を送る人たちを描く五編の短編集。
降り続く雨の季節のような鬱屈した気分になる。もどかしさややりきれなさが重くのしかかってくる。こんな感情を呼び起こすのも、窪美澄さんのテクニックのひとつだと思う。特に『ゆきひら』で一気に落ち込ませた後、最終話『あたたかい雨の降水過程』の意外なエンディングに至る過程は見事。
Posted by ブクログ
表題作と、「あたたかい雨の降水過程」はとても好きでした。
他の収録作は、人間の狂気を感じて、窪美澄さんってこういうのも描くんだという感想。
窪美澄さんの描く人間のどうしようもなさ、どうにもならなさが好きなので、それとは少し違う感じ。これはこれで好きではあるものの、いつも最後にある一握りの希望みたいなものが見つけられなかった。
Posted by ブクログ
まるで誰かの実体験を読んでいるかのような生々しさと人間の欲が表れている作品ばかりでした。
外野から見ると、その判断はどうなの?と簡単に言えてしまう一方で、仮に自分が当事者だったら…と考えさせられる描写がすごいなと。
因果応報だと言うほど行いが悪いわけでもない主人公たちに待っている結末が救いようのないもので、こちらまで苦しくなってくる。現実から目を背け、何かに依存するといい結末は迎えられないのかなぁ。
Posted by ブクログ
終始恐ろしかった。
登場人物がグロテスク。
あまりにも他人に期待しながら生きていて、もはや恐怖を感じる。
世の中のみなさんはこんな感情を携えて生きているのか?
しかしこんな気持ちにさせるほどの描写力がある作者のチカラは凄い。この本を読み返すことはないだろうけど他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
胸糞悪い。良い家庭環境とは言わないものの、素敵な人たちに囲まれて育った身としては悲しいお話ばかりだった。でもこの日本のどこかでは誰かがこんな気持ち、こんな経験をしているのだと考えると、誰とも分かり合えることなんか無いなと思う
Posted by ブクログ
雨、にまつわる5編の短編集。
ラストが絶望なのか解放なのか分からない終わり方をしているものが多く、胸がザワザワする。
最後の「あたたかい雨の降水家庭」はきっと救いだったけど。
Posted by ブクログ
場面展開が急で、ときどき戸惑う。
彼女の書くセックスは直情的ながらも全くエロくない。
果たして皆もそう感じているのか、感性の問題なのか男女の違いなのか。
同情とも、憐れみとも言えない、心にもない言葉が出てくるあたり、男心がよく分かるな。
雨の日は憂鬱だ。
一年にどれだけ雨が降るのか知らないけれど、
雨にはいつまで経っても慣れることはない。
Posted by ブクログ
全体的に物静かで報われない話が多い。現実的すぎる。
確かに人生は不幸の後にどんでん返しも大団円も必ずあるわけではない。淡々と家事や仕事をし、解決しない悩みや葛藤に折り合いをつけて、淡々と日常を過ごす。他人の生活が幸せに見える。そんな人が大多数だろう。
僕が気に入った「記録的短時間大雨情報」でもそんな生活を過ごす主婦を描いている。
夫婦間での会話はなく、認知症の義母の介護と子育てに追われる。誰も自分を認めてくれない。鬱屈した自己完結的な生活。そんななか非日常を与えてくれる存在がいたら…。例えそれが自分を"女"として見ていないパート先の大学生だとしても、現実逃避のために相手を求めてしまうかもしれない。ほんの少しだけハッピーエンドを期待して。
現実に満足せず、非日常を求めてしまうことは誰しもあると思う。不倫物を読むときはディズニーランドを想起する。(ディズニー好きの人にはごめんなさい)現実を一時的にでも忘れるためという意味では不倫とディズニーは似ている気がする。それが社会的に認められるかどうかの違いで、根本的な欲求は同じなのだと思う。そう考えたら一概に不倫をしている人を責めれなくなった。
それでもディズニーランドから帰って明日からまた仕事に行かなければいけないのと同じように、不倫もいつかは終わる。現実に戻らなければならない。禁断の果実はいつまでも味わえない。非日常を充足したらその反動で現実は辛いものとなる。やはり不倫はしないに越したことはない気がする。
Posted by ブクログ
窪美澄『雨のなまえ』光文社文庫。
5編収録の短編集。いずれの短編も男女の身勝手な不倫の断片ばかりで一つも心に響かない。余程この作家はセックスに飢えているのだろうかと思うくらい、やけに生々しい短編ばかりであった。
『ふがいない僕は空をみた』も似たようなテイストの物語だったが、清々しさを感じた分、救いがあった。
Posted by ブクログ
表題作の「雨のなまえ」の感覚がすごくよくわかるのだけど、相手に対してこれといった不満もないし、傍から見れば幸せなのはわかるけど、それが逆に不満というか、そういう完璧に近いようなものへの息苦しさの結果、相手を裏切る行為をしてしまう感覚って、ちょっとわかるな~という風に読んでいた。いろいろなしがらみから、解放されたいのだろうか、結果携帯をポイ捨て同然のごとく扱ったり。
ほかの短編だと、「ゆきひら」の結末が少し衝撃を受けた。そんな終わり方って・・・という印象。窪さんの作品の印象にこのタイプの終わり方がなかったので面食らった。
やっぱり窪さんの本は長編のほうが面白い。その都度打ちのめされたり、心が痛いけど長編のほうが好きだ。