窪美澄のレビュー一覧
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これまで触れたことのない現実に入り込んだような怖さを感じた。登場人物たちは決して単純な善悪では語れず、優しさや正しさを持ちながらも、環境や立場によって犯罪や違法な状況に巻き込まれていく。その姿から、法律的な正しさと個人の感情や生きるための選択との間にある葛藤が強く印象に残った。
また、桐乃の家庭に見られるように、「善い行い」が必ずしも身近な人を幸せにするとは限らないという歪みも描かれていて、強い違和感が残った。
その中で唯一の救いは、桐乃とヒュウが誰かに頼るのではなく、自分の人生に責任を持ち、誇りを持って生きようとする姿。最後のティエン・母といえ、周りを取り巻く状況はあまり変わっていないにも関 -
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ネタバレ初の窪美澄さん作品。
直木賞を受賞された作品とのことなので、試しに読んでみた。
どの作品も少し寂しい読後感で、ちょっぴり尾を引く切ない余韻が心地よかったです。
•真夜中のアボカド
双子の妹を失った綾が、部屋でアボカドの種を育てつつ、マッチングアプリで出会った彼との付き合いに悩み…
結局浮気されてたー!っていうオチだが、妹との別れを受け入れアボカドの種の待つ部屋に帰るラストシーンはどこか爽やかですらあった。
•銀紙色のアンタレス
ザ•男の子って感じの高校一年生の真は、夏休みを利用しおばあちゃんの家に滞在することに。
海で泳いだり、スイカを食べたり、昼に素麺を食べたり、皆が頭に描くようなおばあ -
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ネタバレセイタカアワダチソウの空 がすき!
田岡さんが小児愛者である自分のことを
神様はオプションをつけたっていう言い方。
あの表現が上手だなって思った。
車内が甘い香りでぬいぐるみが下に落ちていた。が今でもその気が治っていないことの伏線で、話が進んでいくと
田岡さんが、俺はとんでもないやつだからとんでもなくいいことをしなきゃいけないんだっていうところが切ない。責めきれない。
小児愛者でありながら、ヤングケアラーの良太へは本当になんとかしてあげたいという気持ちが溢れているのが読んでるこっちが胸が痛くなった。
良太が最後に意地悪な神様(田岡さんが神様からオプションをつけられたと言ったから意地悪なを -
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少しずつ噛み合っていなくて、どこかうまくいかない、様々な恋の形を描いた6編の短編集。
「風は西から」
はとこのご飯で立ち直る高校生のひと夏の青春。唯一爽やかな物語。
「パスピエ」
足が綺麗な中野さんが転がり込んできた板倉が、告げられたまさかのラストを迎える。彼のこの先が心配。
「赤くて冷たいゼリーのように」
自分を普通でないと隠して生きてきた高校清掃員が、いじめにあっている少年に出会う。かつて好きだった友人に重ね、心を通わせるが‥。抑え込んできた思いと、身動きの取れない苦しさ、もどかしさが、赤いゼリーの鮮やかで残酷なイメージに重なる。
「雪が踊っている」
不本意な別れを強いられた元彼と -
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ネタバレいろいろな愛のかたちが描かれた短編集。
同姓愛や、淡い恋…過去に思いを馳せたり、戻ってこない恋を慈しんだり。
窪先生の恋に対する“どうしようもない想い”を詰め込んだ物語たちは、今回も私も胸に刺さりまくった。
『海鳴り遠くに』
夫と死別し、ひとり夫の海沿いの別荘に住む恵美。そこで出会ったのは、隣に一時的に越してきた絹香。恵美は絹香と出会うことで、再び女性を愛するという自分の性を自覚するも、困惑を隠せずにいて…
ドラマチックなラストに胸がときめいた作品。
『風は西から』
母子家庭で育った陸。そんな彼の日常に突然現れたはとこの桃子。陸は元カノを親友にとられたり、桃子との突然の出会いで困惑するも、 -
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恋愛小説集。
人を好きになるのって辛いなーキツイなーって思わされる話が多かったです。でも、読んでいて嫌な気持ちになる訳ではなく。過去の恋愛で感じたやるせなさとか悔しさとかそういう気持ちが昇華されるようなそんな読後感でした。
特に「天鵞絨のパライゾ」は、登場人物の一人が主人公に「そういうふうに巻き込まれてしまうことがあるでしょう。自分ではどうしようもないことに」というセリフに救われた気持ちになりました。好きになってもどうしようもなく上手くいかない恋愛はあって、それは自分が悪い訳ではないんだよと言われたような気持ちになりました。
他にも、両親の離婚後積極的に家事を分担する高校生の主人公が付き合っ -
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ネタバレ
ベトナムからの移民である中学生のヒュウと、そのクラスメイトの桐乃という女の子とその母親の里穂が主人公。
人種差別や移民問題等テーマが重いけどスピード感もあり、あっという間に読破できた。
自分の娘よりも外国人を助けることを優先してしまう里穂の人間性が桐乃同様に私も受け入れ難かった。
ヒュウはとってもいい子。
悪い仲間に流されつつも、流され切ることなくしっかりと罪悪感をもっている。優しくて一生懸命で愛情を精一杯に求めている。
ヒュウも桐乃もしっかりしているようでもまだ中学生。
まだまだ幼く、周りの大人達の庇護が必要な年頃だ。
それに対して父親と母親の責任は重い。
ヒュウ -
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重松清の世界を窪美澄が描いたら、という印象の短編集。新興住宅地の子育て主婦やステップファミリーの一員になってしまった女子高生など、一見すると裕福で満たされたように見える家族のしんどさが描かれている。
毒もある。それぞれの孤独も沁みだしている。
今すぐ死にたいような悩みではないが、一生緩解することのない病にかかってしまったようなしんどさ。
それでも本作の登場人物たちの結末は希望を感じさせる。
セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和