窪美澄のレビュー一覧

  • アニバーサリー

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    とても重く、そしてとても温かい物語だった。窪美澄さんの小説はいつもそう。
    娘として育ち、そして自分もまた母親になった人ならば、さらに思うことが多いかもしれない。

    母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠し、たった一人で出産を迎えようとしている30歳の真菜。妊娠中友人に連れられて行ったマタニティスイミングの指導員である75歳の晶子との出逢いが、出産後の真菜の人生を変えて行く。

    3.11の震災直後、放射能を避けるように自分が住んでいた土地を離れた人々がいた。今や遠い記憶になりかけているけれど、この小説を読んで、あの時の不安な状況を思い出した。
    売れっ子料理研究家として忙しく働く母親を持った

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    2016年01月07日
  • クラウドクラスターを愛する方法

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    母と子のはなしと、父と子のはなし。現代的で地に足がついててリアルなんだけど、多分二十年後に読んでも読み応えがある本だと思う。

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    2015年11月29日
  • クラウドクラスターを愛する方法

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    自分の周りを眺めたいときに、読み返したい本。
    中編2本だけど、どちらも内容が濃くて読み応えがある。

    家族というものに対して、自分の中でじゅくじゅくに膿んで、でも外に出せず言葉にできない傷を、ぴったりくる表現であらわしてくれた。
    傷は治せないし、そう簡単に癒せないけど、「ここが傷ついているよ」と教えてくれて知ってくれるだけでも、とても救われた気持ちになるのだなぁと思った。

    救われない気持ちの人に出会ったら、下手な言葉をかける前に、そっと差し出したい一冊。

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    2015年11月22日
  • 給水塔から見た虹は

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    主人公の桐乃と、その同級生でベトナムにルーツを持つヒュウの物語。

    2人とも境遇は違えど、親から見放された存在で読み進めるのが辛かった。

    家出をして、元技能実習生と暮らしていく中で、お互いが成長していく。

    ヒュウがつぶやく。僕の人生は僕だけのものだ。誰のものでもない。それがどんな人生でも僕は自分の人生を愛し、生きる。

    桐乃もヒュウも幸せになってほしい。

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    2025年12月15日
  • トリニティ(新潮文庫)

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    雑誌編集者で一時期共にした3人のそれぞれ違う生き様を描く。女性としての幸せとは、三者三様。専業主婦の幸せを選ぶ人、仕事に生きがいを持つ人、それぞれの道を懸命に生きる。3人が最後に残したもの、引き継がれるものとは。

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    2025年12月14日
  • 宙色のハレルヤ

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    様々な形の短編恋愛小説6編。
    世代もジェンダーも飛び越えて描かれる窪美澄さんらしい世界。恋愛って本当に色々なんだなと思った。
    人を好きになることって、こんなに切なく苦しくて、ままならないものだったっけと遠い目になってしまった。決してハッピーな話ではないのに、それでもキラキラしていて…恋愛って悪くないよねと思えてしまうのが不思議。

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    2025年12月12日
  • よるのふくらみ

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    高校生くらいのときに一度読んでいて、その時はなぜだか難しかった。頭に入ってこなかった。だけど、最近同じ作者さんのアカガミという本を読んで、面白いと感じたのでこれは今どうだろう?と思って読んでみた。昔よりも文章がすんなりと入ってきて、ところどころ笑える場面もあった。当時よりも私自身たくさんの経験をしてたくさんのことを学んだからなのかなと思う。昔はあまり好きではなかったり、難解だったり、共感できなかったものが読み返すと逆になっている。それがまた小説の面白いところだな

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    2025年12月07日
  • 宙色のハレルヤ

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    人を好きになることに生きづらさを抱える人々の物語。
    人を好きになれば、本当は幸せな気持ちになるはずなのに、理解されにくい気持ちが先立って、苦しんでしまう人々。
    短編集ではあるが、どれも読後かいい。窪ん自身が、主人公に優しく寄り添っている。

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    2025年12月07日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    すごくリアルで心が抉られた…
    窪先生はいつもきれいごとばかりじゃなくて、ちゃんとリアルを伝えてくれる。それはとても辛くて虚しくて儚くて…でも最後には少しだけど喜びがある。その喜びを自分のなかで消化し、現実世界を生きていく糧にして私は生きている。
    今回窪先生が見せてくれた世界は、自分には背負いきれず消化までに時間がかかるかもしれないが、必ずこの物語の登場人物たちみたいに、自分なりの答えを見つけていきたいと思う。

    主人公桐乃は団地で暮らす中学2年生。彼女の学校や団地には、外国にルーツを持つ人がたくさんおり、言語や価値観が全く通じないのが当たり前の世界。そんな彼女は日々の生活にうんざりし、団地を出

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    2025年12月08日
  • 水やりはいつも深夜だけど

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    何故かたまに窪先生の本が読みたくなる。買って積読していた本を見つけて呼ばれた様な気がする。植物の名前は余り知らないのですがポーチュラカはよく目にしていたので知ってたしゲンノショウコは(現の証拠)直ぐ効果が出るからゲンノショウコだったなんて目からウロコです。サンカヨウは雨に濡れて透明になるなんてなんて素敵な花なんでしょうか。
    「かそけきサンカヨウ」と「ノーチェ.ブエナのポインセチア」は登場人物が同じだったのでとても読み応えがあって私が一番好きな物語りでした。窪美澄と言えば女の為の女の文学だと思って居たけど男性側から描くと「サボテンの咆哮」になるんですね。男性のおれが主人公で何をやってもダメで我慢

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    2025年12月06日
  • ははのれんあい

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    ネタバレ

    おもしろかった
    1部は母由紀子目線のお話
    2部は智晴目線
    由紀子の結婚から出産、離婚、さらには再婚まで
    智晴が切ないほど、いいお兄ちゃんになって
    葛藤しながら頑張る。
    その後は立派に成長したところが嬉しかった。
    父智久はいい人なんだと信じてたのに裏切られた気がしていたけど、なんとなく憎めない
    なんかみんないい人。
    由紀子も智晴もお疲れ様、幸せになってね

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    2025年12月06日
  • 宙色のハレルヤ

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    ネタバレ

    【あらすじ】

    「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。

    恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
    目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。

    一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。

    ◆◇あらすじ◆◇

    夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。
    自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした

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    2025年12月05日
  • 給水塔から見た虹は

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    「僕の人生は僕だけのものだ。誰のものでもない。それがどんな人生でも僕はじぶんの人生を愛し,生きる」最後のページで、ヒュウが言った。強い決意だ。みんなが皆、いろんな人生。お互いに助け合い、支え合い生きていけたらいいのに。人種や性別,そんなあれこれに関わらず。桐乃、これからも頑張れ。

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    2025年12月05日
  • 宙色のハレルヤ

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    ずっと好きでいられる人と出会う事は、稀な事なのだろうか。沢山恋愛をして、失敗をして、本当に好きな人を見付けないとね!

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    2025年12月07日
  • 二周目の恋

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    綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
    一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
    遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
    窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。

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    2025年12月02日
  • 夜に星を放つ

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    切ない…読みながら何度胸がぎゅっとなったか…。
    だけど寂しさの中に優しさを感じられるような短編集で、タイトル通り暗闇の中に光が射し込むような救いのある作品でした。
    それと文章が澄んでて綺麗、他の作品も読みたくなった!

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    2025年11月29日
  • 恋愛仮免中

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    みんな、「好き」という感情が絶対的上等感情だと崇めがちだ。だが「ほしい」という感情がさらに純粋なものではないかと感じたことはないですか?比べたらことがなかった「好き」と「ほしい」の相対論。この2つは似ている感情だと勘違いしていました。小説の中では「好き」と「ほしい」のかけ違いや勘違いで恋愛に物語が発生し、「好き」と「ほしい」の合致で恋愛が成就していた。更にこの2つを掛け算で考えてみると複雑で面白い。「好き」だから「ほしい」と「ほしい」から「好き」は全然違う。例えば、メルカリをして世の中の欲に触れた時。「ほしい」から「好き」という感覚の存在に気づかされる。別に好きではないのにほしくなる!ほしくな

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    2025年11月27日
  • 宙色のハレルヤ

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    いまいちうまくいかない恋愛をテーマとした短編集。長い人生の中で、人は時に深く出会い、とあるタイミングでフェイドアウトしていく。ハッピーではないけれど、胸に手を当てれば近しいことはきっとあったはず。窪美澄さんらしい作品ばかりで、いずれもとても良かった。
    中でも、常連店の"足がきれい"な店員に惹かれ、紆余曲折を経て、ストーカーに怯えるその女性を家にかくまうが・・・という、ネタバレを避ける感想書いたら、いまいちよく分からない『パスピエ』が、個人的には印象深い。 ★4.0

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    2025年11月27日
  • じっと手を見る

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    生まれ育った故郷で仕事をして生きていくこと、故郷を出て暮らしていくこと、それぞれの生き方を肯定してもらえる作品だと思った。
    自分が登場人物に近い仕事をしてるから感情移入しやすかったし、自分の生き方は間違えていないと言ってもらえているようだった。
    人と深く関わることで生まれる辛さと、人と関わることで得られる幸せがどちらも丁寧に描かれていてラストはじーん、と胸にくるものがあった。
    朝井リョウさんの解説も、大好きです

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    2025年11月23日
  • 給水塔から見た虹は

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    母親がボランティアに精力的すぎて子どもが疲弊するというのは、時々聞く話。私が小学校の頃も外国にルーツのある子はいたけれど、今の時代はまたフェースが違うのかな、という質感。

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    2025年11月15日