窪美澄のレビュー一覧
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奥田英朗の小説が読みたくてググったら出てきたアンソロジー。
日本の文芸界の最先端を駆ける5人の共演は、美しい交響曲のようだった。
「あなたが大好き」奥田英朗
自他友に認める平凡なOL・渡辺彩子、28歳。
結婚を真剣に考えている。
つきあって3年にもなる恋人香坂真二は、勝手に会社を辞めて放浪の旅に出てしまう。
親友に相談すると、さりげなく素敵な男性を紹介される。
誠実で堅実な彼に惹かれていくが、ある出来事をきっかけに自分の本当の気持ちに気がつく。
「銀紙色のアンタレス」窪美澄
夏と海が大好きな高校1年生の真(まこと)は、海沿いの祖母の家に泊まり込む。
そこに幼なじみの同級生 -
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何となくの不穏さを感じながら読み進めていたら、突き落とされるようなラストに出くわす。
5つの短編のうちの3つがそういう形で、1つが不穏なまま終わり、残る1つだけが少しの救いを感じた。
読み終えたあと心がざわつく。良いとは言えない後味に戸惑う。でも現実にも、こういう理不尽な出来事は時に起こってしまう。そういう、自分の身にも降りかかるかもしれないという恐れを感じるような物語が並ぶ。
様々な形で“雨”が登場する。
出産を控えた妻に恐れを感じ始める男が主人公の表題作では、産まれてくる子どもに雨にまつわる名前を付けようと妻が言い出す場面があり、年下の男に一方的な恋をしてしまう主婦が出てくる「記録的短時 -
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続きが気になって一気に読んだ。
東日本大震災の年に妊娠している真菜。
母親との確執があり、父親のいない子を妊娠し自暴自棄になっている。
75歳で現役のマタニティスイミングの講師である晶子はそんな真菜を気にかける。
地震、そして原発事故がふたりを結びつける。
真菜の抱えているトラウマのようなものは、わかる気がするし、晶子の存在がうざったいことも理解できる。でも結局は晶子に救われたんだなと思う。
晶子のお節介がなかったら、真菜はつぶれていたと思う。
子どもを生んだ今、読むからこそ響く言葉もたくさんあったし、共感できる部分もとても多かった。
真菜が出産したことによって、悩みながらも -
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小さな商店街の中で育った3人。文房具屋の娘のみひろに、酒屋の兄弟・圭祐と裕太。
みひろの母は男が出来て家を出ながらまた舞い戻ってきた経過を持ち、兄弟の父は浮気性で妻に隠れて他所に通った過去を持つ。
夫婦の契りを結びながら、ひとりの人に添い遂げることが出来ない人の性を、間近に見ながら育った3人の三角関係。
圭祐と同棲しながら裕太に思いを残すみひろの中で迸る明け透けで赤裸々な女の生理が生々しい。
みひろに思いを残しながら他の女性と交わる裕太もよくある男の生態なら、みひろの欲望を取り違えて不妊治療に励む圭祐も切ない。
ひとりの人に決めて結婚しながら他の異性に気が行くのはよくあることで、人間ってどうし -
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血が繋がってるからいつかはわかりあえるとか、我が子は可愛いから愛せるとか無責任なことばかり言う人への嫌悪感。その善意が、無邪気さが人を苦しめることもある。素直にそれを受け入れられない自分を責めてしまう人がいる。窪美澄はそんな者を救う。無理なものは無理でええんやで、と。だから尊い。
窪美澄を読むと初めはグサリと突き刺さり穴が開いたり傷口が開いてしまう。しかし結果的に風通しが良くなり、楽になってる自分がいる。「アニバーサリー」を読んだ後はまさしくそういうかんじだった。
傷を治すのではなく、傷痕をコンプレックスと思わないようになる。自分の一部なんだと認めることができるようになる。それこそが生きていく -
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心が疲れてしまった人たちを、一軒の喫茶店と一軒のメンタルクリニックが寄り添い、少しずつ癒していく物語。
キラキラした大学生活を頑張りすぎた女性「キャンベルのスープ缶」
自分はADHDではないかと悩み、自己肯定感の低い青年「パイプを持つ少年」
恋愛に依存し、「愛されたい」という思いに囚われる女性「アリスの眠り」
不妊治療を経て高齢出産した後、産後うつに苦しむ女性「エデンの園のエヴァ」
生まれたばかりの子どもを病気で亡くした母親「夜のカフェテラス」
産後うつの末、幼い子どもを置いて家を出てしまった女性「ゆりかご」
こうして箇条書きにすると、どこか創作として整理されすぎた印象を受けるかもしれませ -
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小説宝石に掲載された5篇の連作短編集。
神奈川のハズレにある、古い団地のある町が舞台。
連なっていくのは、今年55歳となる同級生たち。
古い団地に漂う、少し淀んだような空気。
日常に暗部を抱えた彼らが、いや 日常の多くが暗部の彼らが ほんの一瞬だけ光る。
「トワイライトゾーン」
黄昏の境界に埋もれる数学教師。
「蛍光」
小学生の頃の記憶とともに、沼に引き込まれる主婦。
「ルミネッセンス」
これは不倫なのか、自分でもわからなくなり、車の光に引き込まれるような最期を迎える男。
「宵闇」
顔に残った傷のためにいじめを受ける中学生は、暗闇から宵闇へ。
「冥色」
過去から団地へ逃げてきた男