窪美澄のレビュー一覧
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血が繋がってるからいつかはわかりあえるとか、我が子は可愛いから愛せるとか無責任なことばかり言う人への嫌悪感。その善意が、無邪気さが人を苦しめることもある。素直にそれを受け入れられない自分を責めてしまう人がいる。窪美澄はそんな者を救う。無理なものは無理でええんやで、と。だから尊い。
窪美澄を読むと初めはグサリと突き刺さり穴が開いたり傷口が開いてしまう。しかし結果的に風通しが良くなり、楽になってる自分がいる。「アニバーサリー」を読んだ後はまさしくそういうかんじだった。
傷を治すのではなく、傷痕をコンプレックスと思わないようになる。自分の一部なんだと認めることができるようになる。それこそが生きていく -
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ネタバレコロナウィルスが流行し出した時が舞台となっている。
こんなこともあったな、閉塞的な先の見えない時期だったな、皆がマスクをつけ、距離を取り、街から人が消えたような孤独感がそこにはあった。
この物語も別れや孤独感が充満しており、息苦しさを感じながらページをめくっていた。
一見救いがないような気もするが、このような時代だからこそ人の温もりを求める人間の性のような物が垣間見え、別れがあったからこそ変化していく人たちがいた。
星座にも物語はあるし、この世界にも人がいるだけ物語がある。皆苦しみを抱えつつも何かに縋り生きていかなければならない。
今ある幸せを大事にしなければならないと自分と向き合えた一冊。 -
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ネタバレはじめはかなり生々しくエロティックな描写に驚いたが、後半につれ、人々それぞれが持つ”性・恋愛”に対する欲求の果てしない”やるせなさ”に深く共感できた。
登場人物それぞれが、
誰かから見たら良い人生・生き生きとした人生
に見えても、個人個人のその”やるせなさ”
のせいで、人生が時に大きく変わってしまうことがある。
この本は、何か、元気づけたり・エネルギーをくれるようなメッセージ性があるかと言われると微妙なところではある。
しかしながら、
「人間って、そういうものだよね」と、
個人個人については、私も完璧でなく、あの人も完璧ではないことを改めて受け止めることができるように感じた。
”悪い出 -
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高校時代連んでいた男女5人組。約20年後、その中心的人物だった菜乃子が自死した。
残された4人が主人公となり、それぞれの人生に彼女の死が大きな影響を与えていく連作短編集。
残された人たちは、自分のせいじゃないか、あの時こうしておけば良かったのかも、などと永遠に正確な答えなどわからない問いを考え続ける。
本当に辛い。
残された4人が主人公となる連作短編集だが、最後の章はそう来たかと。この最終章があったからこそ、残された者のさらにその先がわかり、亡くなった菜乃子の気持ちも少しだけ理解できた。
最初から最後まで装画そのもの。とても寂しくて、切なくて悲しい物語だった。でも、こういう窪さんの作品 -
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男女5人の同級生の物語。一人の自死により、残された4人の人生にさまざまな変化が生まれていく。
単純そうに見えて、いくつもの要素が折り重なっている作品で、「何を描いているのか」は簡単には言い切れない。ただ、最終頁の一節から、自分なりに受け取ったのは、「死にたい」と思うような感情を抱えていても、ほんの少し力を抜いてもいいのではないか、という感覚だった。
個人的に年を重ねるにつれて、人生に強く求めるものは少しずつ減ってきた気がする。それを寂しく思うこともあるが、同時に、大きく期待しすぎないことで、穏やかに過ごせている実感もある。
いま「もう楽になりたい」と感じている人が、この物語のどこかに引っ -
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窪美澄さんの5つの短編集
「雨のなまえ」
「記録的短時間大雨情報」
「雷放電」
「ゆきひら」
「あたたかい雨の降水過程」
窪美澄さんらしい丁寧な描写で、人間の奥深い心理が描かれていた。
男女の性描写も多いが、その艶かしさだけでなく、背徳的であったり、おざなりで気怠さも感じさせる巧みな描写が際立っていた。
どの物語も共通して、表面的には見えない複雑で鬱積した心にフォーカスされているのに、読んでいると不思議と引き込まれてしまう。
「雨のなまえ」から始まる4作品は、どれもラストの余韻まで衝撃的だった。物語に表と裏がある構成は、ラストまで気が抜けず、主人公達の心の奥底に迷い込んだような心境になる -
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弱い者が更に弱い者達をたたく…ってこういう連鎖なんだろうな。
学校でも疎外され家にも居場所がなくて、良くないとわかってるけど受け入れてくれるグループに入って、抜け出せなくなったり。
いくら努力しても出生や国籍、親の環境とか変えられないなか、もがいて苦しんで、少しでも上にあがろうとするけど。
寂しくて情けなくて、どこか知らない別の場所にいきたい。別の新しい人生が始まるはず、って願うけど。
どんな人生でも己で選んで、その生き方に責任をもって、胸を張って愛せって。己で切り開くしかないのは、子供には辛い人生だよね。
最後、立ち向かうシーンで終わるのも、リアルでいいと思う。これからどう生きていくかは、ヒ -
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Audibleで歩きながら聞き始めてうっかりはまってしまった。
こんなに気になる物語はなかった。。私の小さな町にも技能実習生や、工事現場や水商売系で働く外国人がいて、その子どもたちもいる。で、やっぱり色眼鏡で見てきてしまっていた私自身もいる。
なせなら微笑ましい人やなぜか卑屈な人や傲慢すぎる人や慣れないことを慣れないままにしてしまい頼るばかりの人など様々な人がいるから。
なんか嫌だな、と思うこともいっぱいあったのけど、結局「知る」をしていなかったと改めて突きつけられた気がする。それは国籍やなんかは関係ないと思う。同じように見て見ぬ振りをすることも。それを思うと桐乃はかなりいい子だと思う。ヒュウ -
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誰でも心が病むことはありますよね。
でも病んでいる時は、自分だけがそうなんじゃないかと思ってどんどん深みにハマりますよね。
この本を読んでいて、見た目だけでは分からない、悩みでいっぱいで辛い人が自分以外にもきっとたくさんいるんだよな、と思えて少し安心しました。
そして、こんな素晴らしいクリニックとこんな優しい喫茶店があれば、本当に1人じゃないと思えるかもしれないと思いました。
自分でも悩んだことがあるような悩みも出てきたりして、読んでいて苦しいところもありましたが、みんな立ち直って元気になっていく姿をみてホッとしました。
そして、涙が溢れそうになったお話もありました。
とっても良い読書時間