【感想・ネタバレ】タイム・オブ・デス、デート・オブ・バースのレビュー

あらすじ

とある団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い定時制高校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備員を名のる奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――刊行前から全国の書店員さんたちの熱い感想が続々。新たな夜明けをもたらす、温かさあふれる長編小説。

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Posted by ブクログ

昭和の東京オリンピックのときに建てられた古い団地で生まれ育った、15歳のみかげ。父親は病死、母親は男と出ていき、夜の仕事をする姉の七海と暮らしています。

読み終えた後、何事にも立ち向かう強さを得た成長を感じました。味方になってくれる人達と出会いと様々な出来事を通して、これからの未来に向けて大きく成長していく期待を感じる物語でした。

ぜんじろうさんから無理矢理、団地警備員にさせられたことが、みかげの大きな成長に繋がりました。そして、夜の学校で出会った素敵な友達二人。同じようにいじめにあっていたからか、さりげない気遣いとやさしさがありました。そして何よりも姉の七海の妹に対する責任感と思いやりに、胸がうたれました。

小説のなかでは、弱い立場の人たちに現実に起こっているつらい出来事が多く描かれていました。その張本人だけが悪いわけではないのに、起こってしまう出来事。全くの他人事として考えてはいけないと思いました。

さらに、弱い立場の人が同じような人のために頑張っていることが描かれていました。痛みを知るからこその優しさ、つまりぜんじろうさんの後悔が突き動かしたことが、お互いが生きることに繋がっていたことが印象的でした。

もう一つ、みかげが興味津々だった遺体への思いが、心を許せる人たちと出会ったことで、死は悲しいものだと気づけたことに安堵しました。

最後は、団地警備員の星のバッジをつけた3人の姿に、これからの未来を切り開いていく強さを感じることができました。ただかわいそうと思うだけではなく、色々なことを考えさせられた小説でした。




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2025年09月16日

Posted by ブクログ

みかげの成長を感じる一冊でよかった。
団地警備員も面白かったし団地の良さみたいなものが凝縮されてる感じがして興味深かった

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

幼い頃に父を亡くし、母も家を出ていき、姉と二人だけで古い団地で暮らしている主人公。

ストーリーは主人公の一人称で、特に章区切りもなく、悪く言えば“だらだらと“語られている。でも、それが逆に主人公が自分で抱え切れないほどの思いが頭から溢れ出ているようで、どんどん引き込まれて一気に読んでしまった。

辛いシーンもあるけれど、姉妹がお互いを思い合う気持ちや、主人公の「夜の学校」の友達や団地の人たちとの関わりが温かくて、ホッとする。

私も団地に住んでいるので、「団地警備員」というものがあったら参加してみたいと思った。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

宮崎夏次系さんの装画が主人公みかげにピッタリ。
タイトルにも惹かれる。
各々、事情をかかえて暮らしている団地の人々と関わりながら主人公が成長していく姿、姉妹の絆が丁寧に表現されていて良かった。しかも読みやすかった。

窪美澄さんは三冊目。
じっと手を見る、夜に星を放つ、とはまた違う文体が読めて嬉しかった。
度々出てくる擬声語?が可愛らしくて、重くなりがちなシーンを柔らかく優しくしてくれた。
しっかり人の生き方について考えることのできる物語でした。

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2025年04月10日

Posted by ブクログ

両親なしで乏しく子供姉妹生活する辛い環境が主人公の精神的な幼さが故辛く描かれていないところ含めて辛く感じた。その中でも夜間学校の友達と会う楽しみや団地警備員の経験が未来への希望を見出す主人公。自分が本当に好きな時間ってこうだったよなと思い出させられた。
でもそういった環境は実際は七海ちゃんのような年以上に考えが大人びてしまった子供を作るもので(体の弱い妹がいるのも相まって)七海視点になったら全く見え方が変わるだろうと思うし、物語が終わった後を考えても辛いことが待ちうけているだろうと思う。
けれどそれを感じさせずその時のみかげとしては希望的な終わり方をするのが自然で良い。

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

窪さんのファンタジー感ありつつ
日常を描いてるんだけど、
比喩の使い方がすごい。
(自分の語彙力ゼロ)
感情が揺れ動く作品ではなかったけど
のんびり読み込めた。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

近年、若者による凶悪事件が多発していますが、そんな事件を引き起こすような人はこのような良書には出会えなかったのでしょう……。
人の死、真の友情、家族の愛など多くのことについて考えさせてくれる素晴らしい作品でした。人とつながるということの尊さを感じることができました。

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2024年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家事の合間に少しずつ
読み進めました。

後半はページをめくる
たび涙が溢れて、

泣いてるとこを家族に
見られたくなくて、

誰もいない部屋に何度
か緊急避難しました。

他人に無償の愛を捧ぐ
ぜんじいの横顔は、

家庭を顧みず娘を死に
追いやってしまった、

死んでも死にきれない
後悔の顔。

他人への献身はそれが
娘に対する贖罪であり、

娘が生きた証を感じる
ものだったからかしら
・・・

だれも訪れない独りの
部屋で、

お茶菓子を揃えて子供
たちの訪問を心待ちに
してた、

浪江さんの淋しい笑顔
は冬の夜空に瞬く星の
ようで・・・

ねえ、聞こえますか?
ぜんじい、浪江さん、

御二人が人生の最期に
みかげたちと過ごした
時間は、

紛れもなく家族の時間
でしたよ。

みかげたちにとっても。

そして、私にとっても。

いつもの星の代わりに
星型の黄色いバッジを
五つ掲げます。

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2024年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

みかげ姉妹にぜんじいがいてよかった。ぜんじいは娘さんは救えなかったけど、いろんな人を救ってると思った。屋上でぜんじいが泣くところで私も号泣してしまった。夜の学校で友達ができて良かった。お姉ちゃんがいいお姉ちゃんすぎる。むーちゃんの家族もむーちゃんも素敵。

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2024年07月19日

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とある団地で「団地警備員」として見回りする女の子の話。生と死について考えさせられる話。お姉ちゃんの事が心配になるけど人は1歩ずつ進んでいかなければいけない。しんみりした話を読みたい人に。

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2024年03月10日

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両親に捨てられた姉妹が、辛い思いをしながらも古い団地でなんとか暮らしている。そんな中で夜間学校で友達ができたり、団地を警備するおじいさんと出会ったり、だんだんと世界が広がっていくようすに救われる。
主人公がひたすら素直で真面目ないい子なのが泣ける。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

辛い境遇の中で、本音での友情、人情に救われた。
近しい人との別れは本当に辛いけれど、健やかな気持ちで読み終えられてよかった。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

かつて、この国では庶民の殆どは貧しかった。
貧富の差が激しくなってきたのはいつごろからだろうか。

父が亡くなり、母はまだ10代の娘二人を置いて家を出ていった。
体の弱い妹はパン屋のアルバイトをしているけれど、そんなにお金にならない。結局は姉の働きで生活している。
ある日、妹がおじいさんに声をかけられて団地警備員になる。
二人で、団地に住んでいるお年寄りを見回るのだ。
やがて妹の二人の友人も団地警備員に加わる。
友人もそれぞれに訳ありだ。
一人は在日韓国人で、もう一人は吃音者。

おじいさんの存在が、彼らが今後生きていく上で大きな力になるだろうと思う。

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2024年12月10日

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久々に読んだ窪美澄さんの本。
団地で姉妹だけで暮らしていた中、団地警備員としていろんな家に関わっていく。それはぜんじろうさんも3人にしても、その家の人のためじゃなく、自分のためであることを各々意識しながらやっているのがいいなと思った。
未来はキラキラしていそうで、現実にまみれていることを感じた。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

時代を外れた団地
親に捨てられた姉妹
夜間の高校
何となく暗い背景…
重いテーマで進むストーリーだが
登場人物たちが それぞれ個性的で
色んな辛い事情を抱えてる子たちだけど
頑張っていて
応援しながらどんどん読めた

主人公のみかげは
病弱で臆病だけど人に優しく、
かける言葉も素敵でハッとした。
地でぜんじろうさんと出逢い
少しずつ強くなっていくさまが とても胸熱だった。

この作品では死を連想させる団地だが
ここで生まれ変わった登場人物たち
最後は前向きに、清々しいラストだった。

窪美澄さんの作品は 本当にバリエーション豊かで すごいと感じた。

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2024年10月09日

Posted by ブクログ

淡々とした話しだったけど、嫌な気持ちになる訳でもなく、心がほんわかするような気持ちになった。
3人が良い友達になれて良かった〜

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2024年06月27日

Posted by ブクログ

表紙に惹かれて読んだ本だけどまさかの内容に驚きました。お姉ちゃんの妹想い、妹のお姉ちゃん想いに感動しました。

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2024年06月26日

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大都会の片隅で日常の中に身近にある死。それに気付かぬまま今を必死に生きるみかげ。いつか死体がみたいと思っていたのは死というものがわからなかったからなのかな。みかげ、素直でほんとうにいい子。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

15歳のみかげは、姉の七海と2人で暮らしている。生まれたときから住む家は、お年寄りが多い古びた団地だ。
姉と助け合いながら、工場でのバイトと定時制の学校で2人の友人むーちゃん、倉梯くんと穏やかに過ごす日々を送っていたみかげ。
ある日、団地警備員を名乗るおじいさん、ぜんじろうさんの半ば強引な誘いで、みかげは団地警備員に任命される。

今作ではそれぞれの登場人物の背景はあまり描かれていない。現在の悩みや苦しさも、主人公であるみかげ以外はあまり描かれない。
しかし、登場人物たちは皆それぞれ違った優しさを持っていることが、言動から伝わってくる。
それだけでなく、その優しさの背景にはこれまでに様々な傷や痛みがあったのだろう、今も苦しさを抱えているのかもしれない、ということが想像できた。
詳細な背景は描かずとも登場人物たちの傷や痛みを感じることができるのだと思ったし、それができる窪さんのすごさを感じた。
同年代の友人や、ぜんじろうさん、団地のお年寄りといった年配の方の交流を通して、みかげが成長していく過程が丁寧に描かれていたのも素敵だった。

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2024年04月23日

Posted by ブクログ

読みやすいし続きが気になりどんどん読めた。
父親は小さい頃に亡くなり母親からは捨てられてしまったみかげとそのお姉ちゃんの七海が団地で必死に生きる。
みかげは夜の学校に通っていてどんな状況の時にも仲間の存在は大切と思った。
団地警備員のぜんじろうさんとの出会いも大きい。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

読書備忘録781号。
★★★★☆。

軽い感じの表紙絵ですが、物語は現代日本が抱える大きな2つの問題を組み合わせている。
でも、決して暗いエンディングではないので読後感は全然良いです。笑

昭和、高度経済成長期に建てられたいわゆる団地。
建物の老朽化と住民の高齢化が進む。
そんな団地に、幼くして父親を亡くし母親は家を突然出ていき、その日その日を必死に生きる棚橋姉妹がいた。
姉の七海は生きるために収入の良いデリヘルで働く。妹のみかげは夜間高校に通い、昼はパン工場で働く。
みかげは、小中といじめに晒され、夜間高校に進学することにしたが、将来に何も希望を持てないでいた。

そんなみかげが夜間高校で初めて友達と呼べる仲間と出会う。在日コリアのむーちゃんと、頭は良いが吃音が激しい倉梯くん。どちらもいじめが原因で夜間高校に通う。
そして、団地ではぜんじろうさんというおじいさんが団地警備員として、高齢者住民の見回りを毎日行い、パンとポカリを手渡していく。そう、じいさんばあさんの生存確認が目的である。生きてるかぁ~!という感じで。

みかげはぜんじろうに誘われて団地警備員に。みかげに感化されたむーちゃんと倉梯くんも団地警備員に参加する。
じいさんばあさんとの係わり、じいさんばあさんの喜ぶ姿、みかげは生まれて初めて目的を持って行動することのやりがいを感じはじめる。

そんなある日。団地の取り壊しと退去の通知がポストに投函される。
そんなひどい話はないと、3人は取り壊し反対署名活動をやりながら、老人たちの引っ越し先を探し手引きしていく・・・。
そしてぜんじろうさんの明かされる過去・・・。

待ったなしの高齢独居老人問題。
住民の高齢化に伴い修繕が進まない集合住宅問題。
そして、少子になっているにも関わらず増える一方のいじめ問題。
そんな暗い暗い問題にも明るい将来は描ける!
死亡時刻と誕生日。
死と再生。

3人の高校生が明るい将来を思い描いて成長していって欲しいです。
★5つにしたかったですが、姉の七海が気に入らななかった。ぜんじろうさんに散々お世話になっておきながらお礼のひとつもない。最初は怪しいじじいだったかも知れないが、まちがなく善人。それが分かったら謝罪とお礼を言うべき。いくら妹を守ることにすべてを捧げていたとしてもである!
あとみかげ。高1のくせに一般常識を知らなさすぎ。こんな奴はいないやろ。
この2点で個人的に★0.5マイナスになってしまった。

でも傑作間違いなしでした!

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

団地住みではなかったが、近所にはあまり穏やかでない住まいが密集する地域で幼少期を過ごしたこともあり、読んでいてとてもノスタルジックな気分になった。 あまりに不遇な環境の中、打ちのめされた姉妹が互いに思いやる中盤のやりとりは、深く胸に突き刺さる。
切なさとともに、まさに未来に続くような希望もあり、温かい気持ちで読み終えることができた。
宮崎夏次系さんの表紙も良かった。 ★4.5

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

人はいつかみんな死ぬんだよなぁ。私も。建物も古くなれば建て替えが必要だし。だけど、新しい命も生まれてくる。生きている間、困った時は周りに助けてもらって、自分も誰かに手を差し伸べて、暖かい気持ちで過ごしたい。ちなみにこの団地のモデル、初台と新宿の間にあったのだと思う。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

ちょっぴり辛いような中でのキラキラした出会いと生活。日々ってそういう感じだったりするのよね。 ぜんじいー!

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

軽く読めたけど、七海ちゃんに感情移入してしまってしんどかった。
類くんのお母さんとか。
近所にぜんじいみたいな人が居たらいいな。

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2024年08月19日

Posted by ブクログ

団地に住むみかげと姉の七海。
ネグレクト、貧困、いじめ、孤独死、自殺、夜の学校、夜の仕事
世の中の普段は見えてない、見ようとしていない暮らしにスポットを当てた話
決して不幸ではなく、友だちや助けてくれる人もいて救われた。

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2024年08月19日

Posted by ブクログ

社会の中での人との繋がりや、自分なりの役割を持って生きていくことは大切なことなんだと思いました。
その人がその人らしく力を発揮できることは素晴らしいです。

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2024年07月30日

Posted by ブクログ

浪江さんの「若い頃は、未来のずっと先まで光で照らされて明るくていい事しか起こらないと信じていたの」という言葉が沁みる。遠巻きに見がちな事も、できることからすると自分自身も新しい変化が起きるかも。生と死、終わりと始まりを経験して前を向いて生きる主人公にエールを送る。

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2024年04月15日

Posted by ブクログ

これほど過酷な状況に置かれている人と実生活の中でで会ったことがないので、とても勉強になりました。
この日本でもこんな世界があるんですね。

ぜんじいと出会って、団地警備員の活動を通してみかげはおおきく成長しました。
それぞれが異なるコンプレックスを抱えながらもお互いを思いやり、そして助け合う友情関係が眩しかったです。


自分がどれほどたくさんのものを持っていて、恵まれているか改めて思い知らされました。


We may sometimes need to help others to save ourselves.
I have to move forward with one step even though I’m in a strict reality.

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2024年03月15日

Posted by ブクログ

「死」について「死体」について「自殺」について、人より深く考えたことがある自分にとっては共感する場面が沢山あった。
全体的に暗い話ではあるけど、展開や状況が割とリアルで現実っぽいから読みやすかった。
大好きな人のために、大切な友達や周りの人間のために自分が出来ることはなんだろうか、無力な自分を必要としてくれる人はいるんだろうか、そんな風に悩みながら少しずつ変わっていく主人公がなんとなく素敵に思えた。
人生は何があるか分からないし誰がキーになるか分からないから、一瞬一瞬の選択を大事にしたいなと思った。

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2024年02月08日

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