窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文庫化を待っていた作品でした!
窪美澄さんの作品は文章が本当に綺麗。そして読みやすい。
今回の作品もどのお話も頭にスっと物語が入ってきて、疲れた心がとても癒された気がしました。
お話の舞台は『椎木メンタルクリニック』と『純喫茶・純』
学校に行けなくなってしまった女子大生や高齢出産で自分の子どもが可愛いと思えない女性、会社員として働きながらイラストレーターをする男性などなど様々な人々が悩みを抱え、身体に不調を抱えている。
“避難所をたくさん作っておくこと”の大切さをこの本を通して学びました。
ストレス社会の中で発散ができる場所、自分のことが癒される場所を作っておくことが大事だなと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウが出版区で紹介してるのを見てから気になっていた作品。窪美澄初めて。
富士山を常に眺望できる田舎で介護士として暮らす日奈と海斗を主軸に展開される連作短編。周囲を取り巻く人物主観の話を間に挟み、二人の寄る辺のない関係性が最終的にどのような形に収束していくのか、はたまた完全に崩壊してしまうのか。全体的に生命力の希薄な世界観のなか、物語は進んでいく。
作品全体の評価は朝井リョウの見事な過不足ないあとがきを参照いただきたい。
私は海斗の人物描写の変化に注目する。
最初の二章で描かれる海斗は、正直好きになれない。独りよがりで日奈に対する態度や扱いも粗暴で、言ってしまえばDVではないかという場面もある。こんなやつ日奈から切ってしまえという思いが募る。
後半、新しい恋人の息子との交流がある。
息子の特性上上手くコミュニケーションをとることは難しい。しかし、海斗は突き放すのではなく自分の立場を超えるほど寄り添う。心が通いあう瞬間が生まれる。
ここで、海斗の本質が垣間見える。彼は、どうしようもない孤独に苦しんでいる人のSOSを察知し干渉してしまうのである。
それは、優しさでもありおせっかいでもある。そんな彼に人は感謝することもあり、一定の距離を保ちながらその優しさに甘えてしまうことがある。そんなあいまいな人間関係を過ごしてきた海斗にとって、日奈は親密な嘘偽りない関係を築きたいと本気で思った唯一の相手だったのだろう。だから、制御がきかず暴走してしまうこともあったのだ。だからといって、日奈に対する扱いは肯定することはできないが。
ここで余談を。
トルストイ『アンナ・カレーリナ』の世界一有名な書き出しとは相反する会話がある。
個人的に解釈すると、幸せも不幸も人間一人一人の人生は固有と共通が入り混じっているのだと考える。どの側面に焦点を当てるかによって、あなたと私は似た者通しでもあり、全く違う相いれない存在になるのだろう。
全体的に重苦しい話が続くし、介護・自殺・子育てなど簡単ではないテーマが折り重なっている。しかし、読者は本作を通じて、今まで見過ごしていた他者の孤独や痛みに気づかせる。それは、あなたの視点を拡張し、あなたの人生にある種豊かさも与えてくれると確信している。 -
Posted by ブクログ
とても良かった。
最初はえぐい性描写と年齢差のある男女(しかも高校生と大人)という設定に読むのはしんどいかもしれないと思って本を閉じようかと思った。
でも読み進めて良かった。
タイトルにあるようにふがいなかったり、うまくやれなかったり、なんでだろうって思ったり、でもそれでもそれでいいと思わされた。
苦しいと思いながら生きることについて考えさせられたし、自分を重ねることができた。
斎藤くんの冷やさないようにねという言葉や体にやさしく触れることができる技術がとても素敵だと思った。
最近立て続けに本を読んで思うけど、あまり喋らないけど何か考えている系の男の子像が好みらしい。特に斎藤くんは好きだなあと思った。
良太は外から描かれる様と内面が違う人のように見えるのが不思議だった。誰も彼も明るく見えても心のうちではいろんなことを考えているってことなのかもしれない。
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Posted by ブクログ
6編の短編集。年齢も性別も、環境も違う各々の恋の道。でも、みんな、真剣に人を愛し、溺れ、時には傷つき、それでも人生は続いていく。
どれも、せつない話ばかり。自分的にはラストの「雪が踊っている」が沁みたなぁ。会話がない分、よけいにつらい。けど、人生ってこういうもんだよねって思っちゃう。
あのときと今は違うし、どんなに望んでも「あのとき」には戻れない。なのに、ひょんなことから交差してしまい、「やっぱり運命なの?」なんて言いたくなる。
人生には、運命も奇跡もないのにね。人生にあるのは「偶然」だけ。それ以上でも、それ以下でもない。だから、涙も出ないほどせつないんだ。 -
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団地で暮らす日本人と外国人。ちょうどこれを読みながら乗った電車を降りたところで「前のガイジンが」「いやガイジンがさー」と言っている若い身なりの良いサラリーマン二人組に遭遇し、そっちがやっぱ大勢なのか、と先日駅前でヘイトスピーチを聞いてしまったときの気持ち悪さを思い出して、ゾッとした。ヒュウのおじいちゃんが問いかける「日本は平和だろう」という言葉が私の頭の中にまで反響してくる。もちろん内戦や極度の貧困はない。けれども、心を無事に保って幸せに生きられる国だろうか。
技能実習生とボートピープルで来た人と、日本で生まれた子と。その中で最も自分の意思で選んでいないのが、最も弱い立場の日本生まれの子供達。いまの中学校ってこんな感じなのかな…いやあそうでないことを切に願うばかり、この本の描く学校は一昔前前のものであってほしいし、ブラジル人の子がいじめっ子という設定にしたのはなぜなのか…(本当に幼稚園から外国にルーツのある子がいるのが当たり前の環境で育っている子たち。そこに変な考えを植え付けるのは十中八九親である。立派に子育てしてますみたいな顔して突然ヘイトぶちまく人が多くてギョッとするのだけど、それに比べると子供の方はもっと心広いんだけどなあ)。
その子供に自分の人生は自分で掴み取るのよって言うにはあまりに酷な気もするし、そう簡単に人生を掴ませてくれない今の日本にどうやって居場所を与えてあげられるのか。なにがいいのか何ができるのかグルグル考えてしまう。 -
Posted by ブクログ
良い。
人間ってもっと不可解で、全部が全部、
まっすぐ線が引けるように世の中はできてない。
登場人物から見た「当たり前」が、
視点を変えるとそうではなくて。
どこか答えのない輪っかの中をぐるぐると
回り続けているような感覚。
1人の母親の人生を
見届けてきたが、もっと人間は自由に、
好きなことを好きなようにやって、
周りに縛られずに、自分らしく生きていけばいいんだと、学ぶものがあった。
いろんな人がいていいのだ。
いろんな考えがあっていい。
答えを必ず、見つけなくてもいい。
窪美澄先生からの愛のあるメッセージだと感じた。
これでこそ、
人生。
定期的に読み返したいと思える小説。 -
Posted by ブクログ
第167回直木賞受賞作品。孤独とか誰かを失うとかの主題としている、ひっそりとした短編集。
第1話 綾には弓ちゃんという双子の姉妹がいた。でも脳出血で亡くなってしまった。今、綾には麻生さんという彼氏がいる。弓ちゃんにも村瀬くんがいた。
第2話 真は高校1年生の夏、おばあちゃんのうちに行った。母は父の単身赴任先の京都に行こうと言ったが、京都には海がない。海で思い切り夏を満喫したいのだ。お隣の相川さんの娘さんが離婚して赤ちゃんを連れて帰ってきている。幼馴染の朝日もやってくる。
第3話 みちるのおかあさんは亡くなっているが、しゃべれないけどいつもそばに居る。おとうさんには見えないみたいだ。おとうさんと2人だと、沈黙が痛い。おかあさんは家から出ないので、みちるは1人で学校に向かう。
第4話 希里子が希穂を連れてアリゾナに行ってしまった。きっかけは希里子の浮気だったのに。後輩の園部と女性との2×2の飲み会にでかける。結婚指輪のあとを指摘されてしまう。隣にシングルマザーが越してきた。
第5話 想は父と渚さんと、弟の海くんと住んでいる。学校から帰ってきても、5時まで家に入れてもらえない。下の階の佐喜子さんの部屋で油絵を描いているのを眺めながら過ごすようになった。本当のお母さんにはなかなか会えない。