窪美澄のレビュー一覧
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6編の短編集。年齢も性別も、環境も違う各々の恋の道。でも、みんな、真剣に人を愛し、溺れ、時には傷つき、それでも人生は続いていく。
どれも、せつない話ばかり。自分的にはラストの「雪が踊っている」が沁みたなぁ。会話がない分、よけいにつらい。けど、人生ってこういうもんだよねって思っちゃう。
あのときと今は違うし、どんなに望んでも「あのとき」には戻れない。なのに、ひょんなことから交差してしまい、「やっぱり運命なの?」なんて言いたくなる。
人生には、運命も奇跡もないのにね。人生にあるのは「偶然」だけ。それ以上でも、それ以下でもない。だから、涙も出ないほどせつないんだ。 -
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団地で暮らす日本人と外国人。ちょうどこれを読みながら乗った電車を降りたところで「前のガイジンが」「いやガイジンがさー」と言っている若い身なりの良いサラリーマン二人組に遭遇し、そっちがやっぱ大勢なのか、と先日駅前でヘイトスピーチを聞いてしまったときの気持ち悪さを思い出して、ゾッとした。ヒュウのおじいちゃんが問いかける「日本は平和だろう」という言葉が私の頭の中にまで反響してくる。もちろん内戦や極度の貧困はない。けれども、心を無事に保って幸せに生きられる国だろうか。
技能実習生とボートピープルで来た人と、日本で生まれた子と。その中で最も自分の意思で選んでいないのが、最も弱い立場の日本生まれの子供達。いまの中学校ってこんな感じなのかな…いやあそうでないことを切に願うばかり、この本の描く学校は一昔前前のものであってほしいし、ブラジル人の子がいじめっ子という設定にしたのはなぜなのか…(本当に幼稚園から外国にルーツのある子がいるのが当たり前の環境で育っている子たち。そこに変な考えを植え付けるのは十中八九親である。立派に子育てしてますみたいな顔して突然ヘイトぶちまく人が多くてギョッとするのだけど、それに比べると子供の方はもっと心広いんだけどなあ)。
その子供に自分の人生は自分で掴み取るのよって言うにはあまりに酷な気もするし、そう簡単に人生を掴ませてくれない今の日本にどうやって居場所を与えてあげられるのか。なにがいいのか何ができるのかグルグル考えてしまう。 -
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良い。
人間ってもっと不可解で、全部が全部、
まっすぐ線が引けるように世の中はできてない。
登場人物から見た「当たり前」が、
視点を変えるとそうではなくて。
どこか答えのない輪っかの中をぐるぐると
回り続けているような感覚。
1人の母親の人生を
見届けてきたが、もっと人間は自由に、
好きなことを好きなようにやって、
周りに縛られずに、自分らしく生きていけばいいんだと、学ぶものがあった。
いろんな人がいていいのだ。
いろんな考えがあっていい。
答えを必ず、見つけなくてもいい。
窪美澄先生からの愛のあるメッセージだと感じた。
これでこそ、
人生。
定期的に読み返したいと思える小説。 -
Posted by ブクログ
第167回直木賞受賞作品。孤独とか誰かを失うとかの主題としている、ひっそりとした短編集。
第1話 綾には弓ちゃんという双子の姉妹がいた。でも脳出血で亡くなってしまった。今、綾には麻生さんという彼氏がいる。弓ちゃんにも村瀬くんがいた。
第2話 真は高校1年生の夏、おばあちゃんのうちに行った。母は父の単身赴任先の京都に行こうと言ったが、京都には海がない。海で思い切り夏を満喫したいのだ。お隣の相川さんの娘さんが離婚して赤ちゃんを連れて帰ってきている。幼馴染の朝日もやってくる。
第3話 みちるのおかあさんは亡くなっているが、しゃべれないけどいつもそばに居る。おとうさんには見えないみたいだ。おとうさんと2人だと、沈黙が痛い。おかあさんは家から出ないので、みちるは1人で学校に向かう。
第4話 希里子が希穂を連れてアリゾナに行ってしまった。きっかけは希里子の浮気だったのに。後輩の園部と女性との2×2の飲み会にでかける。結婚指輪のあとを指摘されてしまう。隣にシングルマザーが越してきた。
第5話 想は父と渚さんと、弟の海くんと住んでいる。学校から帰ってきても、5時まで家に入れてもらえない。下の階の佐喜子さんの部屋で油絵を描いているのを眺めながら過ごすようになった。本当のお母さんにはなかなか会えない。 -
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音楽がお好きなかた、特にドビュッシーがお好きなかたには親しみやすい(?)かもしれません。。。
恋愛小説って良いですね♡
適度な緊張感の中に感情の押し引きが見え隠れして、関係性がどう変化していくかをドキドキしながら読み進める。 楽しい作業です。
一概に幸せに満ちたものばかりではないけれど、人それぞれの思いや事情があって。。。 相手を思いやったり、タイミングがずれたり。。。
なかなか一筋縄にはいきません。
けど、そんな経験のひとつひとつが、人生をキラリと飾る宝石のようなものになるのかもしれません。
ひと様に語りたいような、秘めておきたいような。。。
そんな経験を追体験できるのが読書の醍醐味です♡
楽しみましょう、酔わせてもらいましょう♡
作品の詳細は、さてさてさんのレビューをご覧いただくとよく分かります♡
〔作品紹介・あらすじ〕
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
◆◇あらすじ◆◇
夫を亡くし、10年間の結婚生活に終止符が打たれた恵美は、夫の残した別荘に暮らしている。心は悲しくもせつなくもないけれど、思い出すと目から自動的に涙が零れる。
自分が、女を好きなわけがない。そう納得させたくてした結婚だった。
ある日、隣に画家の女性が越してきた。絹香と名乗る彼女と行き来するうち、恵美は自分の胸の奥の痛みに気づく。絹香もまた、怒ったように言う。
「恵美さん、旦那さんという人がいた人だったんだ」(「海鳴り遠くに」)
高校を休みがちになった僕の家へ、夏休みの間だけはとこの桃子さんがやって来ることになった。両親の離婚により始まった母との2人暮らしにも慣れ、告白されて彼女もでき、〈幸福が加速している!〉はずだったのに……。(「風は西から」)
自分は「普通」ではない。だから木に化ける蛾のように擬態を続け、「普通」の人間なのだ、と思い込もうとした。
そうして70手前になった学校清掃員の老人はある夏、昔想いを寄せた友人によく似た少年に出会う。「男女(おとこおんな)」と呼ばれいじめられていた彼と関わるうち、自宅に招き食事をともにするようになる。だが、2人のひと夏の終わりはすぐそこまで来ていた――。(「赤くて冷たいゼリーのように」)
――直木賞受賞作『夜に星を放つ』を超える感動をもたらす全6編
読み終えた後、「いろいろあるけど、こんな人生も悪くないな」と顔を上げられる、至極の短編集です。 -
Posted by ブクログ
恋にまつわる短編集。展開が予想外で楽しい。わりと前向きになれる方向なので、読後感は悪くないです。
第1話 10年間連れ添った夫を亡くして3年。家にいると夫のにおいがするみたいで、別荘で暮らしている。
第2話 僕は彼女に告白されて、つきあいだした。ただ、爆速で「どこが好きなのかわからなくなった」と言われてしまう。
第3話 行きつけの居酒屋さんで、「新人さんが入ったんですよ〜。足の綺麗な子なんです。」と言われてみてみたけど、中野さんはパンツスタイルだったので、足が綺麗かどうかは不明だった。僕は恋に疲れている。
第4話 定年後、山の上の高校の清掃員をやっている。子供はいない。
第5話 住宅や店舗の内装デザインの会社で働いている。Yとはうまくいく気がしている。
第6話 息子の紡は小学校3年生になってもトラブルが多い。今日も塾から友達に手をあげたらしく電話がかかってきた。 -
Posted by ブクログ
人ってみんなそれぞれ悩み抱えてるんだよなって、いつも明るい友達も、幸せそうに見える友達も、心の中はわからないよなって。
心の中に厄介なものを抱えながら、登場人物はそれでもみんな前を向いて生きてゆく姿に胸が打たれる。
高校生と主婦のコスプレSEX不倫。
字面だけみると不埒だけど、卓巳は普通に恋をしただけなんだよな。体から始まる関係だったけれども…。高校生卓巳の純粋さとかが可愛くもある、助けてあげたい。
セイタカアワダチソウの空
の団地の子、良太とアクツの話もこれまた胸にくる。認知症の祖母の面倒を見ながら、バイトして、学校に行く。ふがいないなんて、思わないでいいのに、誰かに助けを求めてくれれば良いのにって、それくらいすごく頑張ってる子なんだけど、頑張ってることにも気づいてないのか、生活するのにいっぱいいっぱいで。たくましいし色んな可能性を持っているはずの彼が貧困のせいで夢も希望も持てないなんてね。セイタカアワダチソウって植物を調べると、これがまた要注意外来生物になってて、嫌われる要素が多いこと…。辛すぎる。
ラストは卓巳の助産師の母の視点になり、生命が誕生する神秘に、純粋に涙が溢れた。命は尊いよなって、最後の章にして原点に戻った。傷ついた卓巳だけど、この母の元で育った彼なら立ち直り前向くことができるって思えた。
性描写はわりと過激だけど、この小説には必要だし、人間の本能が生々しく描かれていたのは、生命の誕生に繋がる意味を感じ刺激的でした。