窪美澄のレビュー一覧
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登場人物それぞれが悩みを抱え、生きることに痛みや苦しみを感じながら、それでも小さな希望を探し生きていく物語。
人それぞれ事情があってどうしようも立ち行かなくなり、過ちを犯してしまうこともある。みんな決して綺麗じゃない。清廉潔白な人などいない。
犯した過ちだけを切り取って見てしまえば、人は嫌悪し、断罪してしまうかもしれない。しかしこの作品では、そうせざるを得なかった状況や心情が丁寧に描かれていて、読みながら「自分だったらどうしただろうか」と何度も考えさせられた。
人は簡単に救われないし、きれいに立ち直れるわけでもない。それでも周りは関係を断ち切ろうとせず、側にいようとする。小さな世界の中で助け -
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「魔が差す」ようなかたちであふれだす欲望や衝動。それらは性欲や嫉妬などに絡んでいた。人間だからこそのどうしようもない部分だろう。「魔が差す」とは言っても、誰かや何かに追いつめられたりしたことで見つけた逃げ道としての行為であったりはする。そしてその行為の前後、主要人物たちは苦しみに見舞われていたりする。そういった人物ばかりではないけれど、それぞれすべての主要人物が、それぞれに割り切れない事情を抱え苦しんでいた。そういった連作長編だった。
人は、苦しんでいるのは自分だけで、他人は深い悩みもなく楽しい日々を送っていると思いがちではないか。たとえば「隣の芝生は青い」という言葉のように。でも、少なくな -
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強烈に目を引くタイトル。
目を引くということはどこか共感している自分がいるということで(それを恥ずかしいこととは思わないものの)自分の中にある普段見ないようにしている気持ちを覗くように読んだ。
恋愛に年齢は関係ないとか、結婚はお金じゃないとか、綺麗事はいくらでも言えるけど、
この本の中で起きることや葛藤は全く綺麗事ではなくて、うまくいかない痛みや、生活を守るために向き合う必要がある現実から目を逸らさせてくれない。
それでいて愛することが人に与える輝きのとんでもなさも描いていて、少し都合のいいように感じるラストがわたしはとても好きでした。
主人公は、同じ女性だから贔屓目にみてしまうのかもしれな -
Posted by ブクログ
先月からパートナーと一緒に暮らし始めた。
一ヶ月が経ち、お互いに体調を崩した。気候の変化や仕事の忙しさ、慣れない新生活。考えられる要因はいくつもある。
けれど、ここ数年を一人で生きてきた者同士が一緒になるということは、それだけではないはずだ。相手の人生や、これまで抱えてきた背景を共に背負うこと。その「重み」が、疲れとなって身体に現れたのかもしれない。
この本を読みながら、ふとそんなことを思った。
主人公のように身体に異変が出るほど辛い過去の出来事はないけれど、誰かと生きていくことは、大なり小なり、今まで持っていなかった荷物を背負うことでもある。
「この人の分なら、背負ってもいい」と思える相手 -
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Posted by ブクログ
何故かたまに窪先生の本が読みたくなる。買って積読していた本を見つけて呼ばれた様な気がする。植物の名前は余り知らないのですがポーチュラカはよく目にしていたので知ってたしゲンノショウコは(現の証拠)直ぐ効果が出るからゲンノショウコだったなんて目からウロコです。サンカヨウは雨に濡れて透明になるなんてなんて素敵な花なんでしょうか。
「かそけきサンカヨウ」と「ノーチェ.ブエナのポインセチア」は登場人物が同じだったのでとても読み応えがあって私が一番好きな物語りでした。窪美澄と言えば女の為の女の文学だと思って居たけど男性側から描くと「サボテンの咆哮」になるんですね。男性のおれが主人公で何をやってもダメで我慢 -
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綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。