あらすじ
同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが――。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
ありきたりな展開のようでここまで繊細に登場人物の言い表せないドロドロとした感情を鮮明に写している作家さんだなあとしみじみ。
窪さんの作品を読むのは初めてだったので、どんな展開が待ち受けているのか予想ができずとても面白かった。
登場人物のキャラ設定が実際に存在する人物と言っても過言ではないくらいに的を得ている気がする。
私はとても共感できた。
自分のことを女性だと認識している私は、主人公のような欲に駆られることがあるのだろうか。あそこまで思い切った行動をできるのだろうか。妄想を現実にすることは恐怖も伴うのだと知った。
自分が一緒にいて幸せな人はやはり一緒にいて笑顔になれる人なのだろうか。自問自答してたことに対しての一つの答えをくれた気がする。
Posted by ブクログ
出来事そのものはあくまでもフィクションの範囲で自分の身の回りでは聞かないような話ばかり(だし、端からみれば結構トンチキな背景だろうし)でしたが、登場人物の考えていることがしっくりとなじむ、なじみすぎる。
アスリートでいうところのゾーン状態と同じように、自分の気持ちや考え方なんてごくごく限定的な条件で成り立っているもので、それは例えば自分の仕事や体調であったり、周囲の人にも同じように何かしらの変化があったときにそのことをどう認識するかであったり、とにかく自分も他人も移ろい行くなかで、莫大な数の変数(しかもそれぞれ独立してないし)によって刹那的に出力されているものなんじゃないか、その出力結果って簡単に更新されるものなんだから、そんなに大事にしなくてもいいんじゃないか、と思うときがあります。
それでも登場人物たちのように、周囲のことも自分のことも考慮して、出来るだけの幸福を願い判断し続けること、考え続けること、自分の気持ちに折り合いをつけられないところはすごく生き生きとしているように見えるし、その結果事態が好転しなかったとてだれがそれを責められるんだろうか、と思ってしまうし、彼ら彼女らの弱さには同調もできてしまう。
クリープハイプの尾崎さんが書く解説のなかの、「どんなに繋がっていても相手を疑ってしまう瞬間がある。繋がっていることすら信じられなくなってしまうとき、信頼が甘えに形を変えて裏切りや憎しみに取り囲まれるとき、どうしても楽をして孤独に逃げてしまう。」という一節。
すごく分かるけれど、結局また戻ってきちゃうんだろうな。
タイトルが目を引いたから、という理由だけで買って、初めてこの方の文章を読んだのですが凄まじくよかった。個人的に大当たり、これがあるから書店でのタイトル買いは止められないですねー。
Posted by ブクログ
みんなが幸せハッピー!で終わる話が大好き。
だって現実にはそんなこと絶対無いから。
それを突きつけられる読後感。
登場人物みんな間違いを犯しまくり。
逆説的に間違いを犯さない人なんていないということに気付かせてくれる。誰かを傷つけても傷ついても、一人ひとりの物語は終わらないわけで。兄弟が出てくる物語では、何故か兄に肩入れしてしまう私。その兄が意外すぎる着地点で驚いた。予想もできないことが起こり続ける人生。過去と痛みは消えないけど、それでも人肌を求めてしまう本能に感謝しながら。誰かに許され誰かを許しながら生きていくことを余韻の中で味わいました。
大人の恋愛漫画を読み終えた気分。おもしろかった!!!
Posted by ブクログ
凄く良かった。
主人公が章ごとに変わるので分かりやすかった。
心と身体は切っても切り離せない関係であり、好きには理由は要らないが愛には理由が必要だとも教えられた。
人に良いように見られたいお兄ちゃんの事を嫌う人も居るだろうが、ダメだよ。と言ってくれる人が此れ迄居なかったのだから仕方がない。
其々が自身の罪に向き合い成長していく姿は心地よかった。
お兄ちゃんは、最後まで自分の欠点に気づかずに中学生の時に愛した女性の名前と其の店の名前を思い出さなかったのは悲しいことだ。
登場人物の内面ご的確に描写されていて良かった。此の作者が書かれている他の作品も読みたいと思った。
勧善懲悪と言うわけではないので、苦手な人は出てくるかもしれない。
しかし、己の罪と向き合って幸せに生きていくことは素晴らしいということに気づかされる物語だ。
Posted by ブクログ
一人の女性を好きになってしまったきょうだいのお話。大人の恋愛でやはり体の関係は切っても切れないものだ。相手と自分と切実に向き合うことになるのかもしれない。心と体はつながっているから。
Posted by ブクログ
同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。
同棲している圭祐とのセックスレスで悩むみひろ。
みひろの気持ちを繋ぎ止めようとEDの治療を始める圭祐。上手くいっていない2人に感づき みひろへの想いが抑えきれなくなっていく裕太。
これはあれですね。
アルコール飲みながら 女友達と何時間も語れるあれですね。
心と体は必ずしも同じ反応をするのか
どこからが浮気なのか
男女の友情はあるのか
理性を失うような場面に遭遇した時 ブレーキをかけられるのか
あの時 誓った愛は永遠に続くのか…
100人に聞いたら 100通りの答えがあるだろうし、正解なんてないし
浮気されたことがあるか、したことがあるか。これによっても 登場人物の誰に共感できるか違ってくるし。
わたしアルコール飲めないけど 語れると思う。
窪美澄さん やっぱり面白くて読みやすくて好きです。文章かな?設定かな? 内容は不妊治療や不倫やなんだけど少女マンガを読んでいるような感覚で
サクッと読み終えました。
そうだ!優等生でイケメンメガネ男子の圭祐と、自由奔放でカワイイ系イケメン男子の裕太の2人から好かれているみひろって…少女マンガみたいな設定じゃん。うらやま ( *¯ ³¯*)笑 そして不憫すぎる圭祐に幸あれ!!!
それにしても この商店街の人達 みんな浮気しすぎ笑
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恋愛なんてしない方が身のためだと心の底から思うのに、その何にも変えられない甘さを知っているからやめられないのだ。この作品において「ふくらみ」とは、性欲、不安、好意、妊娠、性器そのもの、疑惑…様々なことに当てはまる。夜を中心に進んで行く物語、じっとり蒸し暑い6月にぴったりであった。
Posted by ブクログ
小さな商店街の中で育った3人。文房具屋の娘のみひろに、酒屋の兄弟・圭祐と裕太。
みひろの母は男が出来て家を出ながらまた舞い戻ってきた経過を持ち、兄弟の父は浮気性で妻に隠れて他所に通った過去を持つ。
夫婦の契りを結びながら、ひとりの人に添い遂げることが出来ない人の性を、間近に見ながら育った3人の三角関係。
圭祐と同棲しながら裕太に思いを残すみひろの中で迸る明け透けで赤裸々な女の生理が生々しい。
みひろに思いを残しながら他の女性と交わる裕太もよくある男の生態なら、みひろの欲望を取り違えて不妊治療に励む圭祐も切ない。
ひとりの人に決めて結婚しながら他の異性に気が行くのはよくあることで、人間ってどうしようもない動物だとは思うけど、そうした男女の情欲を描いて、それぞれの狂おしい心持ちは自分に当て嵌まるようでもあり、どうしようもない妄想が弾ける中、彼らがどうなっていくんだろうと頁を捲った。
感情の奔流の物語であったが、終章の話の落ち着け方に好感。
Posted by ブクログ
高校生くらいのときに一度読んでいて、その時はなぜだか難しかった。頭に入ってこなかった。だけど、最近同じ作者さんのアカガミという本を読んで、面白いと感じたのでこれは今どうだろう?と思って読んでみた。昔よりも文章がすんなりと入ってきて、ところどころ笑える場面もあった。当時よりも私自身たくさんの経験をしてたくさんのことを学んだからなのかなと思う。昔はあまり好きではなかったり、難解だったり、共感できなかったものが読み返すと逆になっている。それがまた小説の面白いところだな
Posted by ブクログ
特に後味いいとか悪いとかないですが、まあリアルな物語進行と感じました。
言葉にできない違和感をうまく解消できるかできないか、よりよく生きていく上では重要なのかなと思うなど。
Posted by ブクログ
いまだに女性には性欲があることを認められずにないものにされたりする
つるっとしたプラスチックみたいに思われがちだ。そこに生々しさはざらついたものがあると認識されない
窪美澄さんの小説に出てくる女性たちはみんな生でざらついてて、汗ばむ皮膚の下に血がどくどくと流れているのを感じる
自分の性欲に振り回されて、もがいている女たちが愛おしい。性に主体的な女性はいまだに奔放では好意的に受け取られることが少ないと思う
だからこそ、こうして自分のなかにある性欲の存在を認めたうえでそこにもがいている女たちの生き様を読めることがうれしい
Posted by ブクログ
倫理観のために感情を抑えなくてはいけない息苦しさを感じた。ポリアモリー(複数愛)という概念を聞いたことがある。人間普通に生きてたら一人の人しか好きにならないなんてことないと思う。いけないことなのか。
Posted by ブクログ
同じ一人の女性を好きになってしまった兄弟。
他の登場人物も含めて、人を好きになるってことに少し考えたり。
アーケードの商店街、幼なじみ、、。
温かい気持ちになれた小説でした。
Posted by ブクログ
・お兄ちゃんはお兄ちゃんで大変だったんだな
・作者はこの小説の舞台となるマイルドヤンキー的地方都市で暮らしたことがあるのではないかと感じさせるほどのリアリティ.作家ってすごい.
Posted by ブクログ
同じ商店街の中で育った圭佑•裕太の兄弟とみひろ。3人が交互に主人公となる短編が繋がって一つの話になっていた。圭佑と裕太の父親は不倫を繰り返して家庭不和になる。みひろの母親は浮気相手と家出したかと思ったら3年後にちゃっかり戻ってくる。狭い商店街の中でそれぞれが親の異性問題で悩まされたことが自身の人生にも大きく影響する。そのトラウマも影響し圭佑とみひろは別れてしまう。双方が大きく傷ついてしまったが、みひろは裕太と、圭佑は京子と幸せになれそうな終わり方で良かった。
Posted by ブクログ
大人3人の恋愛のお話。あっという間に読んでしまった。そして読み終わってからも、あの人の何がいけなかったのか、どうしたら上手くいってたのかな、とか色々考えてしまった。
同じ商店街で生まれ育った圭祐と裕太の兄弟とみひろ。設定は少女漫画にありそうだけど、この物語はそんな爽やかなものじゃなくて、人間のずるいところや汚い部分もたくさん出てる。こういうタイプのお話って、最終的に誰もくっつかないことが定番だと思っていたので予想外の展開に驚いた。個人的には裕太を応援してたので嬉しいけど、圭祐の苦しさも想像しきれない。
単に組み合わせが悪かったのかな。自分の思いをちゃんと伝えていたとしても、それでも上手くいかない場合ってあるしね。3人それぞれの目線でお話が進むので、他の視点からは見えないそれぞれの抱えるトラウマや苦悩が理解できて、すごく苦しかったけどどんどん読んでしまう。
尾崎世界観さんの解説を読むといろんな才能があるって羨ましい、、と思ってしまった。「みひろと圭祐と裕太の言葉は自分の奥底に押し込めたものによく似ている」という言葉に心の中で頷きました。
Posted by ブクログ
ふがいない~を読んでから気になるなあと思って買ってた積読のうちの一冊。
幼なじみや新しく出会った人の中でぐるぐると関係が変わっていくのが印象的なお話。個人的に圭祐がみひろに水をかけた時ヤゴの水かと思って怯えながら読みました。笑
もちろん違った。
クシャリの音もヤゴかと思った。
もちろん違った笑
最初から裕太とくっついてればよかったけれど、そういうのって気づかないもんなんだよなあとしみじみ。ふがいない~と比べると衝撃的な事は無かったけらど、読んで損はないなと。
Posted by ブクログ
ある商店街で暮らす人たちにはその人の数だけストーリーがある。
1つの事実に対しても人の数だけ見方がある。
どんだけ近しい相手でも言えない、人間のうちに秘める思いが暴露されるような感覚。
人に隠している自分の嫌な部分が吐露するようで、終始胸に使えるものがあるが、読み終わると謎の爽快感。
ミヒロは幼馴染だった圭祐と婚約している身とありながら、圭祐の弟である裕太と浮気をする。結局、圭祐と別れ、裕太と結婚。
この話だけ聞くとドロドロ悪女の話かと思うが、読む進めるとミヒロの気持ちも分かるような、これで良かったのではと思えるから不思議。
Posted by ブクログ
誰も悪くないのに、みんなが誰かを傷つけていて、読んでいてなんだか苦しい。
みひろの「からっぽ」は、誰にでもあるもの気がして、どこか他人事ではない。誰かに満たしてほしくて、でも本当は自分でもどうしたらいいのかわからない、ような。
綺麗じゃない感情ばかりなのに、そこにちゃんと人の温度があって、読後も余韻ばかり。
ーー
里沙さんは今まで会った人のなかでいちばんくらきにやさしい人だ。やさしくて、そして、だらしなく人を許す。
Posted by ブクログ
窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。
本作は2014年に発表された作品。
・・・
以前窪氏の作品『晴天の迷いクジラ』を読んで、余りにも自分のテイストと合わず、以降敬遠していた作家さんです。
で、老化の効果か、いい感じに前回読んだ作品も忘れてきて、再度チャレンジ?しようと購買に至ったものです(同じタイトルを買わなくって良かった)。
やはり、最近よく名前を聞くので、そらあ何か持っているんだろう、以前読んだものは「はずれ」なだけで、きっと「あたり」もあるはずだ、と手を伸ばしました。
・・・
結論からすれば、なかなかよかった。
ジャンルはまあ恋愛小説です。
構成は、7章で連作チックになっています。章ごとに視点が変わり、読み進めるに従い全体像が立体的に浮かび上がるという構造。
登場人物は、みひろ、圭祐・裕太の兄弟がメインキャラ。彼らの視点が入れ替わりつつ物語が進行します。
話の筋としては、簡単にいえば、やや薄幸なみひろを兄弟で取り合う、とまあこんな感じ。下町の小さい商店街という狭いコミュニティの中で、みひろの家はもちろん、二人の兄弟の家にも不和やらなんやら噂やらがある中、みひろと二人の兄弟が恋愛模様を描いてゆく、というもの。
狭いコミュニティの息苦しさ、そんな閉鎖性にも関わらず人は恋する生き物だということが良く分かる作品です。
そして家族として、家の中の不和を受け止めていく。その修羅場と受容のありようもじっくりと描かれていました。
くっついても、別れても、あるいは元の鞘に戻っても、家族はなかなか大変。そしてコミュニティが狭ければ狭いほど、外野もうるさい。それをどうやって受け止め、受け流すかは、やはり個々の家族次第ということですね。
・・・
ということで窪さんの作品は二作目でした。
恋愛小説というカテゴリのようですが、私としては恋のライバルとなった圭祐・裕太の兄弟を含めた家族の様子に焦点を当てて読んでいました。この家族が今後どうなるのか、と。
その点では、家族小説といっても良いかもしれないかもしれませんね。続編が出たりしたら是非読んでみたい。
きょうだいで同じ人が好きになったことが有る人、友人と同じ人が好きになったことが有る人などにはおすすめ出来るかもしれません。
Posted by ブクログ
けっこう、ミミさん(京子さん)みたいな女性が、僕は好きだ。あっけらかんとしているようで、自分のことを卑下せず、ちゃんと考えて生きている人。うむ。いいな、と思う。
読む前に想像していた物語とはまったく違った!なんの予習もしてなかったので、当たり前っちゃ当たり前なのだが。でも、よかった!
星は、0か3か5しか基本的にはつけないときめているので、3にしました。0ではないけど、5まではいかない、という感覚。
Posted by ブクログ
読みやすくてさくさく読んだわりには特に感想がなくて何を書こうか悩んでしまった。
この3人、あんまり好きじゃなくて。
えーーー!とツッコミたくなる場面が所々あり、そこがいまひとつのめりこめなかった理由だと思う。
でも幸せになりそうな感じで終わったので安心した。
Posted by ブクログ
1回目読んだ時、みひろって突拍子もない女だなと思ったけど、
ホルモンバランスで人格変わった感じとか経験してるとなんかそうだよね、、ってなった。
生々しく感じるけど、純愛ぽい要素もあってファンタジーだなって思う。
Posted by ブクログ
タイプの異なる兄弟から、愛され、兄を選ぶも、自分の気持ちが変化していく。小学校から大人になるまで、色々なことをへてつかんでいく幸せ。
これって純愛だよね。
と、思わせる作品でした。
Posted by ブクログ
性欲とは、処理しなくてはいけないもの、コントロールできるべきもの、あたり前のようにその不完全さを愛情で補完できるはずのもの。そういうふうに捉えてしまうが、その実、どうしようもなく「なすすべもない」もので、愛情だとか思い遣りだとかそういった感情とリンクさせて理屈で考えようとすればするほど、自分の欲望と感情との不一致に悩まされてしまう。
性欲に突き動かされて形振り構わず行動するのは、インラン、と軽蔑されるようなことかもしれないが、その必死さ、褒められた欲ではないからこその葛藤や罪悪感にも少し理解できるところはあると感じた。
「やめるときも、すこやかなるときも」を読んだ時にも感じたけど、登場人物が軽く恋に落ちる。どうしてこの人に惹かれたんだ?と若干引っかかる部分もありつつ、まあ現実もこんなもんかと。
Posted by ブクログ
窪さんのふがいない〜……は好きなのですが、
この話は生理的に受け付けない部分が多くて読むのが苦しかったです。しかし最後の結末には心が救われました。
恋愛するとIQが下がるらしいけど、みひろと裕太があんな狭い商店街という世界で生きていながらも本能のまま結ばれたのは、正直素直に祝福できませんでした……。
裕太はみひろへの気持ちが残ってるなら、なんでリサさんと結婚しようとした?ショウくんのお父さんになろうとした?
みひろも、レスの苦しさがあるといえども性欲を抑えられずに裕太に会いに行った時点からすごく嫌でした。この女のどこがいいんやろ……??と思いながら、でも商店街で昔から一緒に育ってきたら惚れるよなあ……はあ……と終始呆れてイライラしながら読んでいました。小説を読んでいてこんなにも感情が掻き乱されたのは初めてです。
裕太が圭佑に子供ができたと報告してきた時土下座なんてしてほしくなかったし、ごめんなんて謝ってほしくなかった。そんな風に悪いと思ってんならみひろと結婚なんてするなよ、圭佑に失礼だろ、と怒りが湧いてきた。でもそんな二人に「おめでとう」と言えた圭佑は大人だった。そして「おめでとう」と思えない(二人を許せない)私はまだ子どもなのかなとも思ってしまった。
最後の章で空っぽになってしまった圭佑の姿を追うのはとても辛かったけれど、圭佑はどんなに辛くても孤独でも生きて、京子という、おそらくみひろよりも圭佑のことを受け入れて大切にしてくれる女性に巡り合うことができた。「ちんちん治ったん?」と軽く聞いてくれることが、圭佑にとってどれだけ救いになるだろうかと思った。だから最後の最後で涙が出そうになった。
とんでもない話だったな……と思いつつ、現実は小説より奇なりというから、実際に兄弟で同じ女性を好きになってしまうことはあると思うし、こういうことって現実のどこかで起こっているはずだから勉強になりました。
圭佑、幸せになってね……!
Posted by ブクログ
何年も前に買って積読してた本。当時あんまり本を読まなかった私がなぜこれを買ったのかは不明。
内容は読みやすくやすくするする話は入ってきた。
みひろのセックスレスへの悩みに対しては理解出来るし、それで弟の裕太の所に行くのも理解は出来るがみひろから裕太の事が結婚するほど好きというのかあまり感じられない。この兄弟の母親は勝手に結婚の話を進めたりしてたりするような親なのに、今度は弟と結婚しますってなっても何も言わないのがすごいと思った。
最後、圭ちゃんが京子と付き合うのはドラマとかでみんなハッピーエンドみたいな感じで誰かとくっつくみたいな無理やり感を感じた。
最後はみひろと裕太の話がもうちょっと欲しかったなとは思ったけど、そこは小説ならではの想像でいいのかもしれない。
解説が尾崎世界観だったのはよかった。