【感想・ネタバレ】よるのふくらみのレビュー

あらすじ

同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが――。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ありきたりな展開のようでここまで繊細に登場人物の言い表せないドロドロとした感情を鮮明に写している作家さんだなあとしみじみ。
窪さんの作品を読むのは初めてだったので、どんな展開が待ち受けているのか予想ができずとても面白かった。
登場人物のキャラ設定が実際に存在する人物と言っても過言ではないくらいに的を得ている気がする。
私はとても共感できた。

自分のことを女性だと認識している私は、主人公のような欲に駆られることがあるのだろうか。あそこまで思い切った行動をできるのだろうか。妄想を現実にすることは恐怖も伴うのだと知った。

自分が一緒にいて幸せな人はやはり一緒にいて笑顔になれる人なのだろうか。自問自答してたことに対しての一つの答えをくれた気がする。

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2024年10月15日

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ネタバレ

みんなが幸せハッピー!で終わる話が大好き。
だって現実にはそんなこと絶対無いから。
それを突きつけられる読後感。

登場人物みんな間違いを犯しまくり。
逆説的に間違いを犯さない人なんていないということに気付かせてくれる。誰かを傷つけても傷ついても、一人ひとりの物語は終わらないわけで。兄弟が出てくる物語では、何故か兄に肩入れしてしまう私。その兄が意外すぎる着地点で驚いた。予想もできないことが起こり続ける人生。過去と痛みは消えないけど、それでも人肌を求めてしまう本能に感謝しながら。誰かに許され誰かを許しながら生きていくことを余韻の中で味わいました。

大人の恋愛漫画を読み終えた気分。おもしろかった!!!

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2024年02月26日

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ネタバレ

凄く良かった。
主人公が章ごとに変わるので分かりやすかった。
心と身体は切っても切り離せない関係であり、好きには理由は要らないが愛には理由が必要だとも教えられた。
人に良いように見られたいお兄ちゃんの事を嫌う人も居るだろうが、ダメだよ。と言ってくれる人が此れ迄居なかったのだから仕方がない。
其々が自身の罪に向き合い成長していく姿は心地よかった。
お兄ちゃんは、最後まで自分の欠点に気づかずに中学生の時に愛した女性の名前と其の店の名前を思い出さなかったのは悲しいことだ。
登場人物の内面ご的確に描写されていて良かった。此の作者が書かれている他の作品も読みたいと思った。
勧善懲悪と言うわけではないので、苦手な人は出てくるかもしれない。
しかし、己の罪と向き合って幸せに生きていくことは素晴らしいということに気づかされる物語だ。

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2023年11月18日

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ネタバレ

・お兄ちゃんはお兄ちゃんで大変だったんだな
・作者はこの小説の舞台となるマイルドヤンキー的地方都市で暮らしたことがあるのではないかと感じさせるほどのリアリティ.作家ってすごい.

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2025年05月28日

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ネタバレ

同じ商店街の中で育った圭佑•裕太の兄弟とみひろ。3人が交互に主人公となる短編が繋がって一つの話になっていた。圭佑と裕太の父親は不倫を繰り返して家庭不和になる。みひろの母親は浮気相手と家出したかと思ったら3年後にちゃっかり戻ってくる。狭い商店街の中でそれぞれが親の異性問題で悩まされたことが自身の人生にも大きく影響する。そのトラウマも影響し圭佑とみひろは別れてしまう。双方が大きく傷ついてしまったが、みひろは裕太と、圭佑は京子と幸せになれそうな終わり方で良かった。

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2023年11月06日

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ネタバレ

大人3人の恋愛のお話。あっという間に読んでしまった。そして読み終わってからも、あの人の何がいけなかったのか、どうしたら上手くいってたのかな、とか色々考えてしまった。
同じ商店街で生まれ育った圭祐と裕太の兄弟とみひろ。設定は少女漫画にありそうだけど、この物語はそんな爽やかなものじゃなくて、人間のずるいところや汚い部分もたくさん出てる。こういうタイプのお話って、最終的に誰もくっつかないことが定番だと思っていたので予想外の展開に驚いた。個人的には裕太を応援してたので嬉しいけど、圭祐の苦しさも想像しきれない。
単に組み合わせが悪かったのかな。自分の思いをちゃんと伝えていたとしても、それでも上手くいかない場合ってあるしね。3人それぞれの目線でお話が進むので、他の視点からは見えないそれぞれの抱えるトラウマや苦悩が理解できて、すごく苦しかったけどどんどん読んでしまう。
尾崎世界観さんの解説を読むといろんな才能があるって羨ましい、、と思ってしまった。「みひろと圭祐と裕太の言葉は自分の奥底に押し込めたものによく似ている」という言葉に心の中で頷きました。

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2023年10月06日

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ネタバレ

ふがいない~を読んでから気になるなあと思って買ってた積読のうちの一冊。
幼なじみや新しく出会った人の中でぐるぐると関係が変わっていくのが印象的なお話。個人的に圭祐がみひろに水をかけた時ヤゴの水かと思って怯えながら読みました。笑
もちろん違った。
クシャリの音もヤゴかと思った。
もちろん違った笑

最初から裕太とくっついてればよかったけれど、そういうのって気づかないもんなんだよなあとしみじみ。ふがいない~と比べると衝撃的な事は無かったけらど、読んで損はないなと。

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2023年07月20日

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ネタバレ

ある商店街で暮らす人たちにはその人の数だけストーリーがある。
1つの事実に対しても人の数だけ見方がある。

どんだけ近しい相手でも言えない、人間のうちに秘める思いが暴露されるような感覚。
人に隠している自分の嫌な部分が吐露するようで、終始胸に使えるものがあるが、読み終わると謎の爽快感。

ミヒロは幼馴染だった圭祐と婚約している身とありながら、圭祐の弟である裕太と浮気をする。結局、圭祐と別れ、裕太と結婚。
この話だけ聞くとドロドロ悪女の話かと思うが、読む進めるとミヒロの気持ちも分かるような、これで良かったのではと思えるから不思議。

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2023年06月06日

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ネタバレ

窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。

本作は2014年に発表された作品。

・・・
以前窪氏の作品『晴天の迷いクジラ』を読んで、余りにも自分のテイストと合わず、以降敬遠していた作家さんです。

で、老化の効果か、いい感じに前回読んだ作品も忘れてきて、再度チャレンジ?しようと購買に至ったものです(同じタイトルを買わなくって良かった)。

やはり、最近よく名前を聞くので、そらあ何か持っているんだろう、以前読んだものは「はずれ」なだけで、きっと「あたり」もあるはずだ、と手を伸ばしました。

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結論からすれば、なかなかよかった。
ジャンルはまあ恋愛小説です。

構成は、7章で連作チックになっています。章ごとに視点が変わり、読み進めるに従い全体像が立体的に浮かび上がるという構造。

登場人物は、みひろ、圭祐・裕太の兄弟がメインキャラ。彼らの視点が入れ替わりつつ物語が進行します。

話の筋としては、簡単にいえば、やや薄幸なみひろを兄弟で取り合う、とまあこんな感じ。下町の小さい商店街という狭いコミュニティの中で、みひろの家はもちろん、二人の兄弟の家にも不和やらなんやら噂やらがある中、みひろと二人の兄弟が恋愛模様を描いてゆく、というもの。

狭いコミュニティの息苦しさ、そんな閉鎖性にも関わらず人は恋する生き物だということが良く分かる作品です。

そして家族として、家の中の不和を受け止めていく。その修羅場と受容のありようもじっくりと描かれていました。

くっついても、別れても、あるいは元の鞘に戻っても、家族はなかなか大変。そしてコミュニティが狭ければ狭いほど、外野もうるさい。それをどうやって受け止め、受け流すかは、やはり個々の家族次第ということですね。

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ということで窪さんの作品は二作目でした。

恋愛小説というカテゴリのようですが、私としては恋のライバルとなった圭祐・裕太の兄弟を含めた家族の様子に焦点を当てて読んでいました。この家族が今後どうなるのか、と。

その点では、家族小説といっても良いかもしれないかもしれませんね。続編が出たりしたら是非読んでみたい。

きょうだいで同じ人が好きになったことが有る人、友人と同じ人が好きになったことが有る人などにはおすすめ出来るかもしれません。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

窪さんのふがいない〜……は好きなのですが、
この話は生理的に受け付けない部分が多くて読むのが苦しかったです。しかし最後の結末には心が救われました。

恋愛するとIQが下がるらしいけど、みひろと裕太があんな狭い商店街という世界で生きていながらも本能のまま結ばれたのは、正直素直に祝福できませんでした……
裕太はみひろへの気持ちが残ってるなら、なんでリサさんと結婚しようとした?ショウくんのお父さんになろうとした?
みひろも、レスの苦しさがあるといえども性欲を抑えられずに裕太に会いに行った時点からすごく嫌でした。この女のどこがいいんやろ……??と思いながら、でも商店街で昔から一緒に育ってきたら惚れるよなあ……はあ……と終始呆れてイライラしながら読んでいました。小説を読んでいてこんなにも感情が掻き乱されたのは初めてです。

裕太が圭佑に子供ができたと報告してきた時土下座なんてしてほしくなかったし、ごめんなんて謝ってほしくなかった。そんな風に悪いと思ってんならみひろと結婚なんてするなよ、圭佑に失礼だろ、と怒りが湧いてきた。でもそんな二人に「おめでとう」と言えた圭佑は大人だった。そして「おめでとう」と思えない(二人を許せない)私はまだ子どもなのかなとも思ってしまった。

最後の章で空っぽになってしまった圭佑の姿を追うのはとても辛かったけれど、圭佑はどんなに辛くても孤独でも生きて、京子という、おそらくみひろよりも圭佑のことを受け入れて大切にしてくれる女性に巡り合うことができた。「ちんちん治ったん?」と軽く聞いてくれることが、圭佑にとってどれだけ救いになるだろうかと思った。だから最後の最後で涙が出そうになった。

とんでもない話だったな……と思いつつ、現実は小説より奇なりというから、実際に兄弟で同じ女性を好きになってしまうことはあると思うし、こういうことって現実のどこかで起こっているはずだから勉強になりました。

圭佑、幸せになってね……!

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何年も前に買って積読してた本。当時あんまり本を読まなかった私がなぜこれを買ったのかは不明。
内容は読みやすくやすくするする話は入ってきた。
みひろのセックスレスへの悩みに対しては理解出来るし、それで弟の裕太の所に行くのも理解は出来るがみひろから裕太の事が結婚するほど好きというのかあまり感じられない。この兄弟の母親は勝手に結婚の話を進めたりしてたりするような親なのに、今度は弟と結婚しますってなっても何も言わないのがすごいと思った。
最後、圭ちゃんが京子と付き合うのはドラマとかでみんなハッピーエンドみたいな感じで誰かとくっつくみたいな無理やり感を感じた。
最後はみひろと裕太の話がもうちょっと欲しかったなとは思ったけど、そこは小説ならではの想像でいいのかもしれない。
解説が尾崎世界観だったのはよかった。

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2023年05月15日

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