窪美澄のレビュー一覧

  • 君の不在の夜を歩く

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    何者かになりたい気持ちの時と、自分が生きていた痕跡など何も残さずに消えたい気持ちの時とを行き来し、今はそういうことをほとんど考えずに生きていられる。
    他者のことを背負いすぎず、他者に期待をしすぎず、他者と自分を比較しすぎず、自分のあり方に期待しすぎずに生きることのなんと難しいこと。
    これが死ぬまで続くなんて。

    それにしても、生理前は本当によくない。
    人の身体は今の社会を生きていくのにそんなに適していないと思うけれど、その中でも一二を争うくらい不都合な性質だと思う。

    私にとっても、今読めてよかった一冊。

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    2026年07月15日
  • 給水塔から見た虹は

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    ネタバレ

    夏休み、学生の桐乃とヒュウが家出を決行したなかで、日本での外国人の問題に向き合うお話でした。「ボートピープル」この言葉を初めて知りました。外国でつらい思いをしてきた人が、日本に逃げてきて、それでも怖くつらく感じている。僕はニュースやドキュメンタリー見て分かっている気がしてました。でも、この本を読んでよりリアリティを感じました。ラストの終わり、僕はしっくりきました。

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    2026年07月14日
  • ぼくは青くて透明で

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    恋愛のチリっとした胸の痛みと、家族愛の温かみを得られる本。解説者の方が言う通り、この本のジャンルをLGBTQにしたくない。
    海の伸び伸びとした無邪気さと残酷さ、忍の若さゆえの繊細さ、璃子の感受性がもつれ、絡んでいるのになぜかサラリとした読感。
    一番感情移入したのは美佐子さんだった。美佐子さん、緑亮じゃなくて、海に一目惚れ(親子愛という意味で)したんだろうな。可愛い子だったんだろうな。

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    2026年07月12日
  • ルミネッセンス

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    夏におすすめの本ᵕ̈*
    暗くて静かでちょっと怖い短編集。
    それぞれ読後感がスッキリしない,,,,
    その中でも【宵闇】は良かったなᵕ̈*

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    2026年07月11日
  • 食べて、寝て、しあわせ?

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    これは、昨年のNHKのドラマのタイトル「しあわせは食べて寝てまて」をヒントにしてるよなぁと思いつつ、読み進める。
    アンソロジーだが、作家陣も好みの作家さんばかり。等身大の話でほっこりさせてもらった。

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    2026年07月11日
  • 給水塔から見た虹は

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    多国籍な人たちが住む団地が舞台のお話。
    中盤からは引き込まれ、目が離せなくなった。
    中学2年生の心理描写が、ありのまま真っ直ぐで胸が痛くなる。
    それにしても、里穂にはモヤモヤさせられた。そこまでする理由、もっと深い何かがあるの、と思ったが。読み終えても、ヒュウの事情が辛く、気持ちが晴れなかった。桐乃が必死にもがく姿に救われた。
    ボートピープル、多国籍の文化の違い、貧富の差、戦争がもたらしたもの、とても勉強になった。見てくれている人がいることは、こんなにも心強いと感じられた。
    辛いけれど、目を反らしてはいけないと、突き付けられるようだった。

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    2026年07月10日
  • じっと手を見る

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    めっちゃ良かったーーーーー初、窪美澄さん。
    朝井リョウさんの『一万円で本を買う』YouTubeより推薦されていて、同期でよく話題に上っていた窪美澄さん。千早茜さんを読み出してから内面を抉るような恋愛小説とか少しずつ読めるようになって、窪さん気になってた。
    描写は意外と温かみはあるけど生々しすぎず読みやすかった。
    それよりもなんか、登場人物たちの不完全な部分が曝け出されていて読んでいる最中「ううぅ…」となるんだけど痛すぎないというか…殴られて痛いはずなのに、抉られて泣きたいはずなのに、ものすごく分かるから抱きしめたくて。

    不完全なものが不完全なものに頼り、頼られる、という危うく柔い世界。
    外に出ると多くの人が鎧のように、着飾って、尖った靴を履いて真一文字に口を結んで早足で歩いてるけど、
    みんなどこか不完全で脆くて柔いのだと思えば
    少し見方が変わるかもしれない。

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    2026年07月07日
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)

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    読み応えが凄まじく、3人の人生や、クジラや町の人との関わりを読んでいる間、退屈する暇は一瞬もなかった。
    一人一人の人生の問題はかなり深刻だけれど、不思議と全員の苦悩に共感できる部分があり、現実離れした雰囲気はなく、悶え苦しむリアルな質感に驚かされた。
    何でもっと早く読まなかったのかと後悔するほど、私の人生の中でも大切な1冊になった。

    0
    2026年06月26日
  • 君の不在の夜を歩く

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    ネタバレ

    【あらすじ】

    夜の底は、いつもあなたの香りがするから。
    いくつもの悔恨と、ささやかな光を抱えて僕は。
    高校の同級生五人、四十歳目前になった彼らの人生は、ひとりの自死をきっかけにして、さまざまな挫折や変貌や再出発を強いられていく——。
    宗教二世、小説家、主婦等々、五人それぞれの生きることの迷いと歓びと傷、そして再生への切なる希望を深い声で語る。


    『女性にとって、妊娠や出産や子育てがどんな重さを伴うのか、自分は知ろうともしなかった。それは漠然と喜ばしいことなのだ、と思いこんでいた。』

    「この世に生まれてきたとしても苦しみしかない。そんな人生を負わせたくはない」

    『日本の未来は暗いし、台風は必ず東京を直撃するし、大地震は間違いなく起こる、自分が子どもを産めばなんらかのトラブルが起こる・・・・・・。心がニュートラルな状態にある人間にとっては笑い話になってしまうほど、菜乃子の心は悲観的であらゆることに怯えていた。』

    「・・・・死にたい気持ちがあっても別に死ななくてもいいんだよ。....死にたいって思うことは、お菓子が食べたいとか、水がのみたいとか、そういう気持ちのひとつでしかない。その気持ちを特別な感情だと思わなくていい。呼吸をして、それが過ぎ去るのをただじっと待つんだ。死にたい気持ちと闘わなくていい。死にたい気持ちを抱えて生きていくのは、ちっともおかしなことじゃないから」

    【個人的な感想】
    安定の窪さんの世界観。
    好きだな〜と思いながら最後まで一気に読んだ。

    菜乃子の子供を産むことに対する考え方が、すごく自分と近くで「わかる〜、、、」と思いながら読んだ。

    でも、最後は別に特別なことを成し遂げなくてもそれなりに生きていけばいいんだと思わせてくれた作品。

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    2026年06月25日
  • 宙色のハレルヤ

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    恋愛というより、人生の苦み、傷と対峙する主人公から目が離せず読み入ってしまった。
    特別ではなく、人の揺れ動く感情がリアルに描かれ、刺さって仕方なかった。
    海鳴りの遠くに。この主人公が、夫を想う気持ちは何だろう。しみじみとした大人の気持ち。
    風は西から。こうやって傷を負いながら大人になっていくのだなと。甘酸っぱさの中にも教えはありそう。遠い目になった。
    赤くて冷たいゼリーのように。主人公が自分の人生を振り返りながら、今、葛藤する姿に感情移入してしまった。

    誰かがふと生活に入り込んで来ることで、気付かされることってあります。
    さりげないようで、深くて胸がギュッとなった。
    独立した短編、やはり良いなと心動かされた作品でした。

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    2026年06月07日
  • 食べて、寝て、しあわせ?

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    食にまつわる6つの物語。日々の暮らしの中で食事の役割ってとても大切なんだと思った。誰かと楽しく食卓を囲む事、ご褒美に大好きな物を食べる事の必要性が心に染みた。どの物語も温かな余韻が残る作品だった。

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    2026年06月03日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    欠けた月たちって、物語りに出てくる人たちのことなんだな〜とか考えてたらすごい素敵なタイトルじゃんってなりました。
    誰かの拠り所になれるような大人になりたい。

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    2026年06月03日
  • 朱より赤く 高岡智照尼の生涯

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    最初の数ページは「う~~ん。」って思いながら読んでたけど途中から知らん間にギュンって引き込まれて「どうなるん?どうなるん?大丈夫?」の連続。
    ドキドキハラハラで、、、。
    第五章の途中から、やっと少しだけ安心して読めたかな。
    それくらい、ドキドキハラハラ。
    ラスト、主人公が心の中で聞こえた伯母さんの「あんた、いままでようけがんばったなぁ。」の声、、、。
    この一言に尽きる。

    ☆第一章 Nine-fingered girl
    ☆第二章 ブロマイドの少女
    ☆第三章 女と女
    ☆第四章 スクリーンの女
    ☆第五章 髪を断つ女

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    2026年05月30日
  • 私は女になりたい

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    自分の人生から性が消えていく
    表面だけは年相応ではない美しさを保ちながら
    私は女ではない何者かになりつつある。
    私は一体どこに向かっているんだろう

    美容クリニックに通う女性たちは
    年配も多く、身体的に女の役割を終えても
    美しくなりたいという気持ちに終わりはない。


    いくつになってもずっと女でいたい
    という気持ちと、そうではなくなっていってしまう現実に戸惑い、焦り、蓋をする

    共感しかない一冊であっという間に読み終わった

    でも結局、本能や本心には逆らえないし
    もっとそれに素直になっていいんだと思った

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    2026年05月28日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    前半は思わず官能小説?っと思ってビックリした。高校生と主婦の不倫。しかもコスプレ。ちょっと予想外で驚きと読めない展開。連作短編集でどの話も先が見えない生きづらさを感じるでも、いつかきっと反転するかもしれない。まだ先は見えないけど、なんとなく光が見えてきそうな。そんな感じる作品。2011年本屋大賞2位なんですね。

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    2026年05月27日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    文庫化を待っていた作品でした!
    窪美澄さんの作品は文章が本当に綺麗。そして読みやすい。
    今回の作品もどのお話も頭にスっと物語が入ってきて、疲れた心がとても癒された気がしました。

    お話の舞台は『椎木メンタルクリニック』と『純喫茶・純』
    学校に行けなくなってしまった女子大生や高齢出産で自分の子どもが可愛いと思えない女性、会社員として働きながらイラストレーターをする男性などなど様々な人々が悩みを抱え、身体に不調を抱えている。

    “避難所をたくさん作っておくこと”の大切さをこの本を通して学びました。
    ストレス社会の中で発散ができる場所、自分のことが癒される場所を作っておくことが大事だなと改めて思った。

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    2026年05月27日
  • ははのれんあい

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    久しぶりに号泣していまう本に出会いました!
    窪さんの文章はやさしい… まだ未読の本も読もうと思います。

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    2026年05月22日
  • じっと手を見る

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    ネタバレ

    朝井リョウが出版区で紹介してるのを見てから気になっていた作品。窪美澄初めて。

    富士山を常に眺望できる田舎で介護士として暮らす日奈と海斗を主軸に展開される連作短編。周囲を取り巻く人物主観の話を間に挟み、二人の寄る辺のない関係性が最終的にどのような形に収束していくのか、はたまた完全に崩壊してしまうのか。全体的に生命力の希薄な世界観のなか、物語は進んでいく。

    作品全体の評価はは朝井リョウの見事な過不足ないあとがきを参照いただきたい。

    私は海斗の人物描写の変化に注目する。
    最初の二章で描かれる海斗は、正直好きになれない。独りよがりで日奈に対する態度や扱いも粗暴で、言ってしまえばDVではないかという場面もある。こんなやつ日奈から切ってしまえという思いが募る。

    後半、新しい恋人の息子との交流がある。
    息子の特性上上手くコミュニケーションをとることは難しい。しかし、海斗は突き放すのではなく自分の立場を超えるほど寄り添う。心が通いあう瞬間が生まれる。
    ここで、海斗の本質が垣間見える。彼は、どうしようもない孤独に苦しんでいる人のSOSを察知し干渉してしまうのである。

    それは、優しさでもありおせっかいでもある。そんな彼に人は感謝することもあり、一定の距離を保ちながらその優しさに甘えてしまうことがある。そんなあいまいな人間関係を過ごしてきた海斗にとって、日奈は親密な嘘偽りない関係を築きたいと本気で思った唯一の相手だったのだろう。だから、制御がきかず暴走してしまうこともあったのだ。だからといって、日奈に対する扱いは肯定することはできないが。

    ここで余談を。
    トルストイ『アンナ・カレーリナ』の世界一有名な書き出しとは相反する会話がある。
    個人的に解釈すると、幸せも不幸も人間一人一人の人生は固有と共通が入り混じっているのだと考える。どの側面に焦点を当てるかによって、あなたと私は似た者通しでもあり、全く違う相いれない存在になるのだろう。

    全体的に重苦しい話が続くし、介護・自殺・子育てなど簡単ではないテーマが折り重なっている。しかし、読者は本作を通じて、今まで見過ごしていた他者の孤独や痛みに気づかせる。それは、あなたの視点を拡張し、あなたの人生にある種豊かさも与えてくれると確信している。

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    2026年05月14日
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)

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    とても良かった。

    最初はえぐい性描写と年齢差のある男女(しかも高校生と大人)という設定に読むのはしんどいかもしれないと思って本を閉じようかと思った。
    でも読み進めて良かった。

    タイトルにあるようにふがいなかったり、うまくやれなかったり、なんでだろうって思ったり、でもそれでもそれでいいと思わされた。
    苦しいと思いながら生きることについて考えさせられたし、自分を重ねることができた。

    斎藤くんの冷やさないようにねという言葉や体にやさしく触れることができる技術がとても素敵だと思った。
    最近立て続けに本を読んで思うけど、あまり喋らないけど何か考えている系の男の子像が好みらしい。特に斎藤くんは好きだなあと思った。

    良太は外から描かれる様と内面が違う人のように見えるのが不思議だった。誰も彼も明るく見えても心のうちではいろんなことを考えているってことなのかもしれない。

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    2026年05月13日
  • 夜空に浮かぶ欠けた月たち

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    ほんとにあったらいいなあ、椎木メンタルクリニック。そして純喫茶純も。
    うちには発達障害の二次障害で鬱気味な息子がいるので、どの話もひとごとではなかった。
    人は弱いよね~
    でも人はやさしい。
    心の形はいくらでも変化すると思う。

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    2026年05月08日