窪美澄のレビュー一覧
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職場に 「忌引休暇」って制度があって たとえば配偶者が亡くなったときは何日、父母の場合は何日、兄弟は何日って就業規則で決められているんだけれど、まぁ 身内が亡くなると 葬儀のあとも役所に届けを出したり 遺品を整理したり あるだろう、とは言え 本人任せで際限なく お仕事休んだら収拾がつかないし きりがないでしょ、ってことで日数が機械的に決められているんだろうなって 頭では理解している。文句を言おうと思ってはいない。
思ってはいないけれど、なんだか違和感というかモヤモヤは ずっと感じている。人が 大切な誰かを亡くしたときの 喪失感・精神的なダメージというのは 人それぞれで 親が亡くなっても葬儀終わったら出勤したい人もいれば、幼なじみの突然の死に2週間休みたい人、あるいは 飼っていたにゃんこやわんちゃんが亡くなって クリニックに行って薬もらわなきゃいけないほどの喪失感を感じる人もいるわけじゃないですか?
そういう風に、本来 人それぞれであるはずの 「喪失」が 制度として むりくり その「重さ」や「尺」を決めつけられているように僕にはどうしても感じちゃうわけなのです。
あれ?これ 本のレビューとぜんぜん関係ないですね すみません
窪美澄さんの「喪失」「別れ」をめぐる超絶 読みやすい文体で書かれた短編集、ぜんぶ素敵だけれど個人的には 「湿りの海」と「星のまにまに」が 特によかった。数年内に再読することになるだろうと思う。 -
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ネタバレ【あらすじ】
恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!
島本理生 『最悪よりは平凡』特別な名を持つ平凡な容姿の私。唯一無二の存在になるにはどうすれば。
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘の結果は?
波木銅 『フェイクファー』大学の手芸サークルで知った着ぐるみの魅力。数年後……
一穂ミチ 『カーマンライン』日米で分かれて育った双子のケントとアサミが19歳で再会した。
遠田潤子 『道具屋筋の旅立ち』容姿に関して隠したい過去を持つ優美は、初めての彼氏の言いなり。
桜木志乃 『無事に、行きなさい』アイヌの人気デザイナー・ミワと、シェフの男。レストラン改装を境に二人は。
窪美澄 『海鳴り遠くに』夫を亡くし海辺の別荘地ですごす私は、彼女に出会ってしまった。
【個人的な感想】
島本理生 『最悪よりは平凡』
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』
窪美澄 『海鳴り遠くに』
の3作が好きだった。
それ以外の話はよく分からなかった。 -
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ネタバレ『晴天の迷いクジラ』
というタイトルに驚いた。
迷いのクジラでもなければ、晴天に迷ったクジラ、でもない。
どういうこと??
そう思いながらページをめくっていきました。
最初は、ChatGPTに聞いた。
持っている積読をいくつかピックアップして、この何冊かの中で、自分が今読むべき本はどれか、と尋ねた。
その問いを尋ねた時の私はびっくりするくらい弱ってた。
元気が取り柄なのに、どう頑張っても元気ではいられない。
自分の意見は決まっていたはずなのに、外から入ってくる声に耳を傾けていたら、自分の気持ちがわからなくなってしまった。
自分の思うように生きれればいいと思ったのに、それすら出来なくなってしまった。
せっかく決めた、自分の生き方すら見失って、息が苦しくなった。
そんな私だからなのだろうか、この本をおすすめされたのは。
暗闇に沈んだ3人が、1匹のクジラに会いに行く物語。
それぞれが、深い闇を抱えながら生きている。
他の人の闇って、普通に生きてたらどう頑張っても見ることはできない。
みんな、他の人には見せないように、必死に自分の中に抱え込んでその闇と向き合うからだ。
それでもなんとか自分の限界まで突き進む。
でも、自分が限界だと思った時には、どうに限界を超えていて、立ち直ることすら立て直すことすら難しくなっている。
それでも、そんな3人が出会う。
出会って親子を演じて、どこか自分が演じきれなかったものに思いを馳せて、考えて、考える。
兄弟の気持ちがわからなかった人が、傷を負った兄弟をもって、子供を捨てた母親が自殺から救った子を育てようとする。
そんな中で、子は母親とは一緒に暮らせないことに気づく。
クジラの気持ちを分かろうなんて烏滸がましいと、そういう話が出る場面があった。
それは当然だと思う。
それに、人の気持ちは人にも理解できないと私は思う。
理解してくれる人じゃなくて、理解しようとしてくれる人の存在が大きい。
自分の悲鳴に耳を傾けてくれる人、自分の悩みを自分と同じ視点で考えてくれる人。
完全に理解し合える人がいないからこそ、寄り添ってくれる人に、拠り所を求める。
それが人間だなと思う。
私もそうだった。理解しようとしてくれる人に何度も救われてきたから。だからこの本を読む意味があったんだろう。
それに、あのくじらは見失ってしまった自分自身だったのだ。
酷く傷つきながらも、泳ぎ出していく姿に、各々が身を打たれる。
あのクジラは、何も言わなかった。
それでも、もう一度泳ぎ出してもいいんだと思わせてくれた。
もうひとつ。
この本の日本語が、私はすごく好きだった。
私は日常の景色を言葉に変える能力は人並みにあるかもしれないが、その言葉から情景を想像する想像力に欠けていた。
だけど、この本の日本語はすっと私に馴染んで、目の前に情景が浮かんだ。
いつまでも、いつまでも読んでいたいと思った。
だからこそ、他の人におすすめしたいなと思う。
人間誰しも自分の人生に疲れてしまう日がある。
周りの人の声に埋もれてしまう日もある。
自分の答えを見失ってしまう日もある。
そんなときは、クジラを見て欲しい。
クジラを救いたいと思った頃には、少しだけ自分も前を向けていた。 -
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多国籍な人たちが住む団地が舞台のお話。
中盤からは引き込まれ、目が離せなくなった。
中学2年生の心理描写が、ありのまま真っ直ぐで胸が痛くなる。
それにしても、里穂にはモヤモヤさせられた。そこまでする理由、もっと深い何かがあるの、と思ったが。読み終えても、ヒュウの事情が辛く、気持ちが晴れなかった。桐乃が必死にもがく姿に救われた。
ボートピープル、多国籍の文化の違い、貧富の差、戦争がもたらしたもの、とても勉強になった。見てくれている人がいることは、こんなにも心強いと感じられた。
辛いけれど、目を反らしてはいけないと、突き付けられるようだった。 -
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めっちゃ良かったーーーーー初、窪美澄さん。
朝井リョウさんの『一万円で本を買う』YouTubeより推薦されていて、同期でよく話題に上っていた窪美澄さん。千早茜さんを読み出してから内面を抉るような恋愛小説とか少しずつ読めるようになって、窪さん気になってた。
描写は意外と温かみはあるけど生々しすぎず読みやすかった。
それよりもなんか、登場人物たちの不完全な部分が曝け出されていて読んでいる最中「ううぅ…」となるんだけど痛すぎないというか…殴られて痛いはずなのに、抉られて泣きたいはずなのに、ものすごく分かるから抱きしめたくて。
不完全なものが不完全なものに頼り、頼られる、という危うく柔い世界。
外に出ると多くの人が鎧のように、着飾って、尖った靴を履いて真一文字に口を結んで早足で歩いてるけど、
みんなどこか不完全で脆くて柔いのだと思えば
少し見方が変わるかもしれない。
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恋愛というより、人生の苦み、傷と対峙する主人公から目が離せず読み入ってしまった。
特別ではなく、人の揺れ動く感情がリアルに描かれ、刺さって仕方なかった。
海鳴りの遠くに。この主人公が、夫を想う気持ちは何だろう。しみじみとした大人の気持ち。
風は西から。こうやって傷を負いながら大人になっていくのだなと。甘酸っぱさの中にも教えはありそう。遠い目になった。
赤くて冷たいゼリーのように。主人公が自分の人生を振り返りながら、今、葛藤する姿に感情移入してしまった。
誰かがふと生活に入り込んで来ることで、気付かされることってあります。
さりげないようで、深くて胸がギュッとなった。
独立した短編、やはり良いなと心動かされた作品でした。