窪美澄のレビュー一覧
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多国籍な人たちが住む団地が舞台のお話。
中盤からは引き込まれ、目が離せなくなった。
中学2年生の心理描写が、ありのまま真っ直ぐで胸が痛くなる。
それにしても、里穂にはモヤモヤさせられた。そこまでする理由、もっと深い何かがあるの、と思ったが。読み終えても、ヒュウの事情が辛く、気持ちが晴れなかった。桐乃が必死にもがく姿に救われた。
ボートピープル、多国籍の文化の違い、貧富の差、戦争がもたらしたもの、とても勉強になった。見てくれている人がいることは、こんなにも心強いと感じられた。
辛いけれど、目を反らしてはいけないと、突き付けられるようだった。 -
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めっちゃ良かったーーーーー初、窪美澄さん。
朝井リョウさんの『一万円で本を買う』YouTubeより推薦されていて、同期でよく話題に上っていた窪美澄さん。千早茜さんを読み出してから内面を抉るような恋愛小説とか少しずつ読めるようになって、窪さん気になってた。
描写は意外と温かみはあるけど生々しすぎず読みやすかった。
それよりもなんか、登場人物たちの不完全な部分が曝け出されていて読んでいる最中「ううぅ…」となるんだけど痛すぎないというか…殴られて痛いはずなのに、抉られて泣きたいはずなのに、ものすごく分かるから抱きしめたくて。
不完全なものが不完全なものに頼り、頼られる、という危うく柔い世界。
外に出ると多くの人が鎧のように、着飾って、尖った靴を履いて真一文字に口を結んで早足で歩いてるけど、
みんなどこか不完全で脆くて柔いのだと思えば
少し見方が変わるかもしれない。
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ネタバレ【あらすじ】
夜の底は、いつもあなたの香りがするから。
いくつもの悔恨と、ささやかな光を抱えて僕は。
高校の同級生五人、四十歳目前になった彼らの人生は、ひとりの自死をきっかけにして、さまざまな挫折や変貌や再出発を強いられていく——。
宗教二世、小説家、主婦等々、五人それぞれの生きることの迷いと歓びと傷、そして再生への切なる希望を深い声で語る。
『女性にとって、妊娠や出産や子育てがどんな重さを伴うのか、自分は知ろうともしなかった。それは漠然と喜ばしいことなのだ、と思いこんでいた。』
「この世に生まれてきたとしても苦しみしかない。そんな人生を負わせたくはない」
『日本の未来は暗いし、台風は必ず東京を直撃するし、大地震は間違いなく起こる、自分が子どもを産めばなんらかのトラブルが起こる・・・・・・。心がニュートラルな状態にある人間にとっては笑い話になってしまうほど、菜乃子の心は悲観的であらゆることに怯えていた。』
「・・・・死にたい気持ちがあっても別に死ななくてもいいんだよ。....死にたいって思うことは、お菓子が食べたいとか、水がのみたいとか、そういう気持ちのひとつでしかない。その気持ちを特別な感情だと思わなくていい。呼吸をして、それが過ぎ去るのをただじっと待つんだ。死にたい気持ちと闘わなくていい。死にたい気持ちを抱えて生きていくのは、ちっともおかしなことじゃないから」
【個人的な感想】
安定の窪さんの世界観。
好きだな〜と思いながら最後まで一気に読んだ。
菜乃子の子供を産むことに対する考え方が、すごく自分と近くで「わかる〜、、、」と思いながら読んだ。
でも、最後は別に特別なことを成し遂げなくてもそれなりに生きていけばいいんだと思わせてくれた作品。
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恋愛というより、人生の苦み、傷と対峙する主人公から目が離せず読み入ってしまった。
特別ではなく、人の揺れ動く感情がリアルに描かれ、刺さって仕方なかった。
海鳴りの遠くに。この主人公が、夫を想う気持ちは何だろう。しみじみとした大人の気持ち。
風は西から。こうやって傷を負いながら大人になっていくのだなと。甘酸っぱさの中にも教えはありそう。遠い目になった。
赤くて冷たいゼリーのように。主人公が自分の人生を振り返りながら、今、葛藤する姿に感情移入してしまった。
誰かがふと生活に入り込んで来ることで、気付かされることってあります。
さりげないようで、深くて胸がギュッとなった。
独立した短編、やはり良いなと心動かされた作品でした。 -
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文庫化を待っていた作品でした!
窪美澄さんの作品は文章が本当に綺麗。そして読みやすい。
今回の作品もどのお話も頭にスっと物語が入ってきて、疲れた心がとても癒された気がしました。
お話の舞台は『椎木メンタルクリニック』と『純喫茶・純』
学校に行けなくなってしまった女子大生や高齢出産で自分の子どもが可愛いと思えない女性、会社員として働きながらイラストレーターをする男性などなど様々な人々が悩みを抱え、身体に不調を抱えている。
“避難所をたくさん作っておくこと”の大切さをこの本を通して学びました。
ストレス社会の中で発散ができる場所、自分のことが癒される場所を作っておくことが大事だなと改めて思った。 -
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ネタバレ朝井リョウが出版区で紹介してるのを見てから気になっていた作品。窪美澄初めて。
富士山を常に眺望できる田舎で介護士として暮らす日奈と海斗を主軸に展開される連作短編。周囲を取り巻く人物主観の話を間に挟み、二人の寄る辺のない関係性が最終的にどのような形に収束していくのか、はたまた完全に崩壊してしまうのか。全体的に生命力の希薄な世界観のなか、物語は進んでいく。
作品全体の評価はは朝井リョウの見事な過不足ないあとがきを参照いただきたい。
私は海斗の人物描写の変化に注目する。
最初の二章で描かれる海斗は、正直好きになれない。独りよがりで日奈に対する態度や扱いも粗暴で、言ってしまえばDVではないかという場面もある。こんなやつ日奈から切ってしまえという思いが募る。
後半、新しい恋人の息子との交流がある。
息子の特性上上手くコミュニケーションをとることは難しい。しかし、海斗は突き放すのではなく自分の立場を超えるほど寄り添う。心が通いあう瞬間が生まれる。
ここで、海斗の本質が垣間見える。彼は、どうしようもない孤独に苦しんでいる人のSOSを察知し干渉してしまうのである。
それは、優しさでもありおせっかいでもある。そんな彼に人は感謝することもあり、一定の距離を保ちながらその優しさに甘えてしまうことがある。そんなあいまいな人間関係を過ごしてきた海斗にとって、日奈は親密な嘘偽りない関係を築きたいと本気で思った唯一の相手だったのだろう。だから、制御がきかず暴走してしまうこともあったのだ。だからといって、日奈に対する扱いは肯定することはできないが。
ここで余談を。
トルストイ『アンナ・カレーリナ』の世界一有名な書き出しとは相反する会話がある。
個人的に解釈すると、幸せも不幸も人間一人一人の人生は固有と共通が入り混じっているのだと考える。どの側面に焦点を当てるかによって、あなたと私は似た者通しでもあり、全く違う相いれない存在になるのだろう。
全体的に重苦しい話が続くし、介護・自殺・子育てなど簡単ではないテーマが折り重なっている。しかし、読者は本作を通じて、今まで見過ごしていた他者の孤独や痛みに気づかせる。それは、あなたの視点を拡張し、あなたの人生にある種豊かさも与えてくれると確信している。 -
Posted by ブクログ
とても良かった。
最初はえぐい性描写と年齢差のある男女(しかも高校生と大人)という設定に読むのはしんどいかもしれないと思って本を閉じようかと思った。
でも読み進めて良かった。
タイトルにあるようにふがいなかったり、うまくやれなかったり、なんでだろうって思ったり、でもそれでもそれでいいと思わされた。
苦しいと思いながら生きることについて考えさせられたし、自分を重ねることができた。
斎藤くんの冷やさないようにねという言葉や体にやさしく触れることができる技術がとても素敵だと思った。
最近立て続けに本を読んで思うけど、あまり喋らないけど何か考えている系の男の子像が好みらしい。特に斎藤くんは好きだなあと思った。
良太は外から描かれる様と内面が違う人のように見えるのが不思議だった。誰も彼も明るく見えても心のうちではいろんなことを考えているってことなのかもしれない。