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Posted by ブクログ
書き出しから引き込まれた。DVの描写が非常に生々しい。青森の村では浮いていたモダンな建築の家で虐待を受けていた主人公が、家を撮影するカメラマンになるという筋書が面白い。彼が撮影をした家で出会った、笑わない男の子のその後に希望があることを願う。家というのは、場合によっては「外から侵入することができない」という本来安心するべき条件によって最も危険な場所になる。成人した主人公に謝罪する駐在さんの思いが切ない。主人公の史也と梓の二人、過去と向き合う青森の旅で、向き合うのが恐ろしい暗い記憶の中で心を通わせる二人の関係性が対比的に浮かび上がるようだった。史也にとっては伯母、梓にとっては新しい両親(すれ違いもあるが、あくまでも良い人たちであると思う)という救いがあったから、彼らはなんとか生きてこられたのだろう。人の過去はわからないことを心に刻みたい。また、被虐待児やサバイバーに気づいた、出会った際どうすればいいのだろう、ということも考えさせられた。
Posted by ブクログ
主人公の横沢史也の父親は、普段は物静かな性格なのだが、酒が入ると人格が豹変し、母親と息子の史也に暴力を振るっていた。
3歳年下の妹の千尋は、極度の恐怖からか原因不明の視力がなくなる症状が出てしまう程に、家庭は既に崩壊していた。
しかし母親はじっと耐えているだけで、子供二人を何とか守ろうとする姿勢は見えなかった。
史也はそんな母親に不信感を抱きつつも、父親の暴力から弱い母親と妹を守らなければと、子供ながらに使命感を感じていた。
ある日、父親の酷い暴力に反抗した史也は、その後に母親の姉宅で生活することになる。
その理由は、14歳以下の犯罪は罪を逃れることができるということを知っていた史也は、薪割りに使っていた斧を手にして父親に向かったことにあった。
父親は無事だったが、史也が幼少の頃からただ一人心を委ねることのできるのが叔母だったこともあり、生活環境を変える方法がとられたのだ。
叔母は高校を出た後には東京の大学へ進学し、少年期の出来事はは総て忘れ去り、新たに東京で生きろと史也を諭す。
Posted by ブクログ
窪美澄さん4冊目。重い話であり、結末は甘すぎるかもしれない。それでも理不尽に父親から暴行を受け続け殺しかけた男と生まれてすぐに乳児院の前に捨てられた女が、それぞれの痛みを分かち合う努力をしながら求め合う物語は少なくとも幸せな家族を予感させるものとして終わって、私にとってはよかったと思える。それなのに13歳の時に男を救ってくれた元駐在さんから、男の父が男の祖父から暴行を受けていたことを聞かされる必要はなかったと思う。暴力は連鎖するとの伝説をここで想起させることで男の血にも殺しかけた父の血が流れていると問いかける必然があると思えない。希望を語るのであればDNAの話は抜きにした方がよかったと思った。
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