窪美澄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全体的に物静かで報われない話が多い。現実的すぎる。
確かに人生は不幸の後にどんでん返しも大団円も必ずあるわけではない。淡々と家事や仕事をし、解決しない悩みや葛藤に折り合いをつけて、淡々と日常を過ごす。他人の生活が幸せに見える。そんな人が大多数だろう。
僕が気に入った「記録的短時間大雨情報」でもそんな生活を過ごす主婦を描いている。
夫婦間での会話はなく、認知症の義母の介護と子育てに追われる。誰も自分を認めてくれない。鬱屈した自己完結的な生活。そんななか非日常を与えてくれる存在がいたら…。例えそれが自分を"女"として見ていないパート先の大学生だとしても、現実逃避のために相手を -
Posted by ブクログ
舞台は2030年代の日本。
若者が他人への興味を失い、恋愛や結婚をしなくなり、どんどん進んで行く少子高齢化。
この辺はリアリティもあり、実際今の日本が少しずつ近付いている未来に思えた。
「アカガミ」という国の制度自体も突拍子もないものには感じられない。
「アカガミ」を通じて主人公ミツキとサツキが少しずつ心を通わせて行く過程や、妊娠した後のサツキの変化、またそれにとまどうサツキの気持ちの描写も良かったと思う。
そこまで丁寧に描いていた分、ラストに起きる急転直下と終わり方については、少し雑というか、放り出されたカンジがした。
謎も多く残ってるし、「アカガミ」側の対応も合理的なものとは思えなかった -
Posted by ブクログ
<内容紹介より>
人気、実力とも当代随一の作家5人が腕を競う、恋愛小説アンソロジー。3年越しの恋人が無断で会社を辞めてショックを受け、結婚を焦るOL。夏の日、大人の異性との出逢いに心を震わせる少年と少女。長年連れ添った夫婦の来し方、そして行く末。人の数だけ、恋の形はある――。人の心が織りなす、甘くせつない物語の逸品。
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どの作品の程よいボリュームですらすらとよむことができました。甘酸っぱい「有川浩」的な恋愛要素を求めて読むと、少し肩透かしを食うかもしれません。
もちろん、恋愛特有の甘酸っぱさはあるのですが、「ベタベタ」した感じはなく、どの作品もスッキリとしています。
大きなどんでん返し -
Posted by ブクログ
表題作の「雨のなまえ」の感覚がすごくよくわかるのだけど、相手に対してこれといった不満もないし、傍から見れば幸せなのはわかるけど、それが逆に不満というか、そういう完璧に近いようなものへの息苦しさの結果、相手を裏切る行為をしてしまう感覚って、ちょっとわかるな~という風に読んでいた。いろいろなしがらみから、解放されたいのだろうか、結果携帯をポイ捨て同然のごとく扱ったり。
ほかの短編だと、「ゆきひら」の結末が少し衝撃を受けた。そんな終わり方って・・・という印象。窪さんの作品の印象にこのタイプの終わり方がなかったので面食らった。
やっぱり窪さんの本は長編のほうが面白い。その都度打ちのめされたり