森見登美彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ古典のかぐや姫を現代小説に翻訳した作品であった。
森見さんは、原作を忠実に再現することを心がけていたため、いつもよりも森見節が少ないように感じた(勿論森見節はあるが)。
しかしながら、森見さんが読者にとって読みやすいような工夫が散らばれてるし、ここはこういう風に解釈するからこのように翻訳する、という解説も読める点が面白かった。
最後のワークショップで、古語を翻訳してみようと言う箇所があったので解釈をした。自分の文章と比較した結果、森見さんのよりキャラが際立った翻訳していたのが驚いた。今後、作品をピックアップし、現代の小説っぽく翻訳するのも面白そうだと思った。 -
匿名
購入済み最初から最後まで不気味でした。ホラーに近い感じがしました。不思議な気配にいつの間にか絡め取られて、もう一つの世界に紛れてしまったような心細さも感じましま。
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Posted by ブクログ
高嶺の美女を描くのがほんとにうまい人だなと実感。主人公も含め狸同士の争いの中に天狗(元人間)の弁天が関わるとどうなるのか。「金曜倶楽部」では毎年暮れに狸が一匹狸鍋にされるが、主人公が恋している弁天も参加者の1人であり、彼女が狸を食べる理由が「食べちゃいたいくらいかわいい」から本当に食べちゃう、というところがおもしろい。ただ弁天はそれ以上に「おもしろきこと」が大好きなので、イタズラ好きの主人公とはウマが合い、弁天に気に入られていられてしまうということは文字通り身の危険にも繋がると同時に狸間の争いに一石を投じることにもなる、という構造が「どう転ぶかはすべて弁天次第」という感じがありワクワクした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ行方不明になった長谷川さんの仲間を10年ぶりに大橋くんが集めて、長谷川さんこ行方不明になった鞍馬の火祭りに行くことにする。
仲間たちの、岸田さんという銅版画家の「夜行」にまつわる偶然と思われる話が続く。
最後になり、大橋くん以外の人にとっては、大橋くんが行方不明になっていることがわかる。その世界では「曙光」という大橋くんの世界では存在が未確認だった連作が存在した。
長谷川さんがいなくなった大橋くんの世界と大橋くんがいなくなった長谷川さんの世界との関わりがよく分からないまま終わってしまった。鞍馬の火祭り、長谷川さん、大橋くん、岸田さんがポイントだったのだろうけど、読み解けないまま読み終わってしま -
Posted by ブクログ
私の本棚より。
ざっくりとしか読んでいないので、細かいことは書けないのだけれども、本書の場合は、それでちょうど良いのかもしれない。
森見登美彦さんのシリアスなホラー寄りの作品という情報を聞いて、大分前に古書店で購入していたのだが、読んでみると、単純にホラーと位置付けていいのかどうか分からない曖昧さが強く、それが物語の展開の意味合い的にも同様であるところが、好みの分かれるところとは思われるけれども、それ故の面白さも感じられて、特に「果実の中の龍」の先輩の存在感には、物語の生み出される源が、あくまでも人間の心の中にあることを教えてくれながら、その手段が異なるだけで、こうも印象が変わって