あらすじ
「ついに証明した! 俺にはやはり恋人がいた!」。二年間の悪戦苦闘の末、数学氏はそう叫んだ。果たして、運命の女性の実在を数式で導き出せるのか(「大日本凡人會」)。水玉ブリーフの男、モザイク先輩、凹(へこみ)氏、マンドリン辻説法、見渡すかぎり阿呆ばっかり。そして、クリスマスイブ、鴨川で奇跡が起きる──。森見登美彦の真骨頂、京都を舞台に描く、笑いと妄想の連作短編集。
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ぶっ飛んでいる。京都でぶっ飛んだ大学生たちが真面目に不真面目な取り組みを広げ、四畳半の下宿先で王国を開いているというぶっ飛んだ発想が繰り広げられている。案の定森見登美彦氏は京都大学の出身者であった。だからぶっ飛んでいるのか。
どうやったら数学的を好きすぎて証明した事物を具現化することができるだろうか。どうしたら阿呆神を讃える学生像が作れるだろうか。どうしたら黄色地に紫色のブリーフ、太った男で何の利益も生み出さないのに信仰される妙な神が生まれるだろうか。文学的な天才が京都大学という真剣に才能を無駄のベクトルに向けるフィールドでこのアイデンティティを得てしまったことを考えると、やはり京都大学の友だちを1人は作っておくべきだな、と思う。森見登美彦は京都大学産の文学的変態である。他の作品も読んで、彼の世界観を愉しんでみたい。
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四畳半のフロンティア、京都とシュレディンガーの阿呆たち…
何の益にもならないことにも全力で脚を突っ込んでしまう感じ、あゝ大学生かな。
つい声を出して笑ってしまった箇所がいくつか、楽しませていただきました。
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最後の話は森見登美彦の自伝、になるのかな、、?
小説には新しい次元を作る力がある
四畳半の中に新しい世界を作れる
そんなことを教えてくれた?作品
これを読んで妄想の楽しさを改めて感じたし、
自分も楽しい妄想をもっとしたいなと思いました!
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森見登美彦さん渾身のめくるめく阿呆と妄想だらけの短編集。
森見さんの描く阿呆な大学生たちはどうしてこんなにも愛おしいのか…
応援したいけどあまり関わりたくはないくらいの絶妙な個性なんですよね笑
過去の作品の登場人物と思しき人物も登場し、
森見さんファンは思わずにやにやしてしまう
こと間違いなしの1冊です
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短編集。森見登美彦とてもらしい、腐れ大学生モノで、いつも通り面白かった。
タイトルからも明らかだが、四畳半神話体系と似た印象の(スピンオフ的)な作品。各短編がゆるくつながっている模様。はっきりとした物語ではないので、多少読みにくさはあるかも。
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森見さんの本は、どれも面白いです。
読んでいるとグイグイ引き込まれ、一気読みしてしまいました。
京都が舞台になっていらるのがいいですねー。学生時代を思い出します!
ぜひぜひ読んでみて下さい。
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再読。面白かった。実に面白い。それぞれの登場人物が動き回る短編も面白いな。それぞれに繋がりがあるのも一つの土地で同じ題材を組んでいる妙があるというもの。どの短編も阿呆で実に楽しませてもらった。文字を読んでいるだけ、文章の装飾を見ているだけで面白いという作家は中々いない。個人的に最終作品の流れや、それぞれの纏まりに物語的巧みさを感じた。押さえどころを分かっている。
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『四畳半神話大系』の続編だと思って読み始めたが、早々にそうではないと気づいた。しかし、森見作品のスピンオフ短編集のような位置付けで、これまでの作品と世界観や登場人物が重なる部分も多くあり楽しめた。
「蝸牛の角」では『四畳半神話大系』の樋口師匠や小津、私、明石さんなどのおなじみのメンバーや『新釈走れメロス』の芽野や芹名、『有頂天家族』の淀川教授まで登場し、旧友に再会したかのような懐かしく、うれしい気持ちを噛みしめた。「真夏のブリーフ」と「四畳半統括委員会」に出てくる真夏に四畳半で開催された鮨詰め鍋パーティーはたしか、『太陽の塔』で飾磨たちも参加したと言っていたような気がする。
これらが本を超えた大きな伏線だと考えるとわくわくする。いつか相関図を出してほしいと思った。他にも私が見落としている他作品との繋がりもあるかもしれないので、もっとたくさん森見さんの作品を読んでから再読したい。
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森見登美彦作品 7作目
毎度のことながら京都大学の大真面目不真面目学生がてんやわんやする話。
何がなんやら分からないし登場人物のことを整理する間もなく話が進んでいくのに、なんとなくの文体で楽しみながら読めてしまうのが森見作品の面白さだと思います。
個人的に出だしの四畳半王国建国史の下りの文章が好きです。
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森見登美彦作品をこの本で初めて読む人はきっと森見登美彦が苦手になるだろうな、と感じるほどの、いい意味でも悪い意味でも森見色の強い作品。森見登美彦好きの自分としては、鍋の底で煮詰めきった高濃度の森見登美彦色を摂取できて満足。今作でも愛すべき阿呆たちによる掛け合いや子気味の良い語りに惚れ惚れしてしまった。屁理屈と卑屈の塊のような考え方をもつ拗らせ大学生の語りは、現実にいればそれはそれはしちめんどくさく厄介だろうとは思うが、森見さんにかかればそれがむしろ愛おしく感じられるから不思議。ただ四畳半シリーズの中でもかなり高難易度であったことと、他四畳半シリーズのような最後の心ホカホカが少なかった分、他よりは個人的評価は落ちるかな、と思い星3で。
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面白かったが他の四畳半系の作品と比べたらそこまで惹かれるものはなかったかな。相変わらず個性的なキャラクターが登場してきて京大という魔境へ魅了されてしまった。個人的に一番面白かったのは、研究室の桃谷さんが母親から送られてきた水玉ブリーフを馬鹿にした次のページですでに履いているシーン。水玉ブリーフにはそんな魅力があるのか、
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最初から最後までよく分からないまま進み、変な夢を見ている気分だった。長編小説だと思いながら読んでいたから余計混乱したのかも…一応短編集らしい。
たぶん四畳半神話大系を読んでからの方が良かったのだろう…
森見さん構文は相変わらず面白かった。特に四畳半王国を築き上げた男の一人語り。
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東山にある男子たちが住まう一部屋四畳半の「法然院ハイツ」では、夏でも汗だくでキムチ鍋をつつく貧乏男子学生が住んでいた。ある人物は向かいのマンションに住む三浦さんと浅からぬ仲となり、女性と縁のないものは山を縦走し、実体を生み出す空想数学の式に熱中する。そんな魑魅魍魎の集まった四畳半の部屋とその周辺で生まれる短編集。
前作なのか全前作なのか、名作『四畳半神話大系』の続編だろうと読みかけたが、のっけから過去の文学のパロディらしきひとり語り、2本目でひとり語りのひねりが来るのかと思いきや全く別のスタイルで、登場人物の名前が出てこない。次には奥歯のギザギザが連なる山になりその山での出来事という、音楽ビデオというか、アニメ的な画面切り替えなど、全体に文体で遊んでいるなと思われる実験小説的な風合いの作品群である。
また一方で、「水玉のブリーフ」という単語をキーにぐるぐると視点を飛んでみたり、「四畳半統括委員会」なる謎の組織に寄る悪行を知る人へのインタビューで描くなど、どうしても筒井康隆のドタバタ作品群を想起させずにはいられないような作品が続く。
売り文句も難しかったのであろう、腰巻きにも文庫裏にも、一番わかり易い『大日本凡人會』しか引用されていない始末で、正直なところ多くの読者は最初2本目くらいで頭を抱える可能性がある。
『四畳半タイムマシンブルース』や他の作品を先に読むべきだったのかもしれないが、そういう分からない部分をわからないまま許容するのがこの本の読み方なんだろうと思わせるのが最後の1本の感想である。
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短編ストーリーが終盤徐々に繋がっていく感じ。
四畳半メンバーとか、走れメロスメンバーとかチラホラと出てくるからキャラ知ってると尚面白いかも。
大日本凡人會の話が、やはり1番面白いかな〜
アホらしくて、笑
最後の方は四畳半を見過ぎで、ゲシュタルト崩壊してくる、、
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森見登美彦の四畳半シリーズ
今回は短編集だが数学氏や阿呆神、水玉ブリーフなど共通のモチーフがある
どなたかのレビューにもあったが「蝸牛の角」が「熱帯」につながるか
「大日本凡人會」が面白かった
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長く糸が伸ばされたと思ったら、急激に巻き戻されるヨーヨーのような小説。
ズームイン・ズームアウトが映画的で、映像映えしそう。
その緩急についていけず、なかなか読み進められなかった。
狭い世界をここまで拡張できるのは、さすが森見さんだなと思った。
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無意味かつ阿呆な行動の応酬に嫌気が差してくること請け合い。ナンセンスと言われればそれまでだが、本書はデフォルト阿呆大学生の面白さを上手く昇華できていないと思う。結局三浦さんが目撃した水玉ブリーフ男は誰で(阿呆神だろうが)何をしていたのか、など消化不良のしょうもない謎が多く残る。『大日本凡人會』の数学氏と無名君がお気に入り。あと三浦さんのバカンス(ぐうたら)満喫っぷりが素敵。
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なんだか全然訳が分からなかった笑
でもおもしろい。妄想力バクハツ!て感じ。
「蝸牛の角」が一番好きです。
なんだかよく分からなかったけれど、大学生のノリってこんな感じだったよなあ…と思い出す。
学生時代に戻りたくなりました。
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「四畳半王国建国史」
『四畳半王国見聞録』は短編集ではあるのだが、各短編は舞台を同じくしており、「阿呆神」という神様が共通して登場する。
この構成は『宵山万華鏡』と同じだ。
「四畳半王国建国史」は全体としてみるとプロローグにあたる。
「蝸牛の角」
『四畳半神話体系』の「私」や樋口師匠が登場する。
『熱帯』の物語の入れ子構造に近い構成。
「真夏のブリーフ」
柊と楓さんの寝言は、作中の雰囲気からすると面白く聞こえるかもしれない。
しかし、『夜行』などの作品に通ずる、はっきりと正体のわからないホラーっぽさを少しだけ感じた。
「大日本凡人會」
他作品でもよく描かれる阿保な大学生の話というジャンルに一番よくあてはまるのが本作。
もし私が能力を得るとしたら、モザイクを外す能力は捨てがたいが、妄想的数学証明の能力がかなり強いので魅力的。
「四畳半統括委員会」
人の話に振り回されて結局正体が掴めないこの感じは『新釈走れメロス』の「藪の中」に似ている。
「グッド・バイ」
一つの短編として区切られてはいるが、この短編だけでは何の話が分からないとおもうので、実際のところ「四畳半王国開拓史」に続く。
「四畳半王国開拓史」
エピローグにあたる。
作品全体を通してみると、いつも以上に他作品との関連や似ている構成が多く、過去作と最近の作品の中継地点にあるような短編集だった。
明らかにファン向けなので、著者のほかの作品を読んでからでないと楽しみは少し薄いかもしれない。
Posted by ブクログ
読んでいてニヤニヤが止まらない。それにしてもまぁ、よくここまで妄想力、もとい想像力を働かせることができるなぁと感嘆した。
「蝸牛の角」なんか、釈迦の掌みたいな設定が好きである。そして作中に登場する女の子の頭の中に、一連の動きが再現されるというところもツボだった。全ては釈迦の掌ではなく、女の子の頭の中で起きているのか。
登場人物達は日々、有能なポテンシャルと知力を無駄使いしているようには決して思えない。作中の言葉を借りれば、登場人物達は「なんでもない1日でも、常に何事かを学び立派な大人になっていく」のだろう。
Posted by ブクログ
森見さんの精神世界前回のような作品。
京都の阿呆どもが何かしたり、しなかったり、のたうち回ったりするもの。
当時、別の難しかったり、胸糞悪くなるようなものを読んでいた時期で、この本に大変助けて貰った覚えがある。
ためになるようなことは何一つとしてなかったが、気楽に読め、何も気負わずに楽しめることへの信頼があった。