森見登美彦のレビュー一覧
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ネタバレ「本というものが俺たちの人生の外側、一段高いところにあって、本が俺たちに意味を与えてくれるというパターンだよ。でもその場合、俺たちがその本が謎に見えるはずだ。だってもしその本が解釈できると思ったなら、その時点で俺たちの方がその本に対して意味を与えることになってしまう。」
「いろいろな本が含んでいる謎を解釈せず、謎のままに集めていけばどうなるだろうかということなのよ。謎を謎のままに語らしめる。そうすると、世界の中心にある謎のカタマリ、真っ黒な月みたいなものが浮かんでくる気がしない?」
沈黙読書会の店主が物語冒頭で語ったこの言葉。
まさに『熱帯』を表す言葉であった。
正直読んでいて謎が多いし、 -
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思わず唸る面白さ。言葉遊びが炸裂して、ページに1回は笑わされる。やはり森見登美彦はすごい。ほかの作家とは一線を画していると思う。
著者の文学や歴史に対する独特な造詣と知識、京都の街を肌で感じてきた経験を下地に、まこと人間臭いタヌキ達の冒険が織り成される。
タヌキと天狗なのに人間臭い主人公と師匠、対して人間なのに神々しい弁天。それぞれが愉快な4兄弟にへっぽこライバル、対して食われ死んでしまう事への切実な恐怖と悲しみ。母の愛に叔父の憎愛。コミカルな語り口の裏にこれでもかと言うくらい色んな要素が詰め込まれ、まさに混沌と言うべき様相を呈している。
そして、この作品の凄いところは、その混沌を読み進む中 -
Posted by ブクログ
千夜一夜物語になぞらえて、誰かの物語の物語の物語…が無限に続く構造になっていて、脳がバグっちゃいそうでした。自分がどこにいるかわからなくなるような夢の中にいるような感覚に襲われます。
1〜3章の熱帯に現実が侵食されていく狂気も好きだったし、4章以降がシンプルにファンタジー冒険活劇もので、自分が度々ありえないことが起こる世界を探索してるようで、ワクワクして一気読みしてしまいました。
読んでて「君たちはどう生きるか」を初めてみたときのあの意味分かんなさすぎて圧倒される感じが思い出されました。また読んだら、1〜3章とそれ以降のつながりがもっとみつけられるのかも。失踪した読書会メンバーはそれぞれの物語 -
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「黒髪の乙女」に恋焦がれる「先輩」は、彼女を追って京都を西へ東へ。
夜の木屋町を皮切りに、古本市に学園祭と追っては行くものの、乙女は「奇遇ですねえ」の一言。
そんな中で出会う、正体不明な老人に自称天狗の樋口さん、大酒吞みの羽貫さんに、象のお尻の精巧なオブジェを作る女性、果てはその名も強烈なパンツ総番長と、奇妙奇天烈な登場人物たち。
そんな彼らが居合わせるのだから、起きる出来事も珍事件ばかり。
はてさて、先輩の想いが彼女に届く日は来るのだろうか。
「キュートでポップな恋愛ファンタジー」とあるものの、ただの恋愛小説ではない。
先輩は恋焦がれているものの、その好意はストーカーと紙一重。
むしろ登場 -
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冴えない大学生の主人公が、バラ色のキャンパスライフを求めてサークルに参加するも、悪友や謎の自由人に振り回されて全くの逆方向に進んでしまう。そんなお話。
入学時にどのサークルを選んだかで、それぞれどんな経緯を辿って行くのか、それを独特の語り口で進めていく。
映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、そして秘密機関「福猫飯店」。
これらサークル名を並べただけでも、すでに言葉のチョイスが普通じゃない。
それら奇妙なサークルを選択したのをきっかけに、別れた同一世界観での平行世界を描いたお話。
例の独特の語り口かつ圧倒的な語彙を用い、1つの選択に -
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冴えない大学生の主人公に彼女が出来た。
しかし、振られた。
妄想力豊かな主人公とその友人知人が、クリスマス間近い今日の都で各々蠢き、文字通り「騒動」の幕が開く。
脳内活力が間違ったほうに旺盛な主人公をはじめ、奇妙奇天烈なれど魅力的な登場人物ばかり。
有名な「鴨川等間隔の法則」を「悲しみの不規則配列」にしたり、「まなみ号」なるものが登場したり(文庫解説は本上まなみ)、例のブツ「ジョニー」が出てきたりと独特の描き方は盛りだくさん。
ラストは文字通り「大騒動」が起きる。
発想自体面白いが、このシーンの描写が素晴らしく、我が脳内に鮮明に思い描かれ、余計に笑いを誘った。
文中に「騒動」が挟み込まれる -
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四畳半神話大系の事実上の続編。
タイムマシーンをどうもくだらないことに使おうと奔走する腐れ大学生の物語。
四畳半神話大系を読んだ後に読んでください。
ただそれだけでよろしい。
例のごとく四畳半に集う剽軽者どもの夏はどうも暑い...
なんといっても構成が見事、それでいて森見特有の阿呆ながら妙に達観した語りやキャラクター達、目まぐるしいドタバタが200ページ強に詰め込まれていて最高です。
彼らは無事宇宙を救うことが出るのか!!
そしてすべてが繋がったとき、この本の真の面白さに気づくはず...!!
感想を語り合いたい(投げつけたい...)作品の筆頭、是非ご覧ください!! -
Posted by ブクログ
森見ワールド全開、阿呆踊る愉快な名作。
とある四畳半に住む腐れ大学生の存在し得た幾ばくかの世界線の物語。
全4編、パラレルに進む世界では構成・手法がなんとも奇怪。
タネが分かってからも本番、ピッタリはまるデジャヴが気持ちいい。
キャラクターもなんとも奇怪、いや妖怪である。
奇妙な友情、恋情に四畳半の主は振り回されながらもどこか楽しそうなのは我々も底なしの阿呆であるからだろうか。
そして気になる彼らも登場、キャラクターがどんどん好きになる!!
色褪せない阿呆どもをぜひに...
「僕なりの愛ですわい」
追記:
「四畳半タイムマシンブルース」も併せて読んでいただけると200倍楽しめますので