あらすじ
「天から与えられた才能はどこへ消えた?」
舞台はヴィクトリア朝京都。
洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?
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この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。
いつの間にか迷いこんだその舞台裏において、私たちはかつて経験したことのない「非探偵小説的な冒険」を強いられることになったわけだが、世の人々がその冒険について知ることはなかった。スランプに陥ってからというもの、シャーロック・ホームズは世間的には死んだも同然であり、それはこの私、ジョン・H・ワトソンにしても同様だったからである。
シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。
-----(本文より)
謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!
目次
プロローグ
第一章 ジェイムズ・モリアーティの彷徨
第二章 アイリーン・アドラーの挑戦
第三章 レイチェル・マスグレーヴの失踪
第四章 メアリ・モースタンの決意
第五章 シャーロック・ホームズの凱旋
エピローグ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
寺町通221B、京都警視庁と書いてスコットランドヤードとルビを振る、意気投合するホームズとモリアーティ、ライバル探偵アイリーン、何も裏がなかった赤毛連盟、森見先生の書くほのぼのした京都の町のロンドン……いわば出オチ的なのだが気が抜ける面白さがあり、読み始めた最初はそういう趣向の小説かと思った。世の中にはホームズのパロディやフォロワー作、二次創作はごまんとあることだし。
途中から、ホームズの活躍を書くワトソン↔︎ドイル↔︎森見登美彦がリンクして入れ子構造やメタや暗喩が複雑になって「創作の人生」「創作と現実の関係」みたいな話になる。
ミステリってどんなに精巧にリアリティを極めているようでも結局創作物である以上、超常的だよなと思った。
千夜一夜ではなく竹取物語版熱帯のようなシーンがある。その熱帯でもスランプに悩む筆者が登場したが、シロートの感想としては「こんなに面白い話をいっぱい書いてるのに…!??」って思っちゃう。
感想を書くのが難しい。ただどんな作品の二次創作でも、お話の最後にはみんなで仲良くピクニックに行く、そんなハッピーエンドIFは好き。
ホームズファンがこの小説を読んだ感想を聞いてみたい。
(追記)詭弁論文ホームズ、森見設定すぎるのにしっくりきすぎ。たぶん二次創作ホームズ(ドラマとか)のイメージに影響されてしっくり感じてるんだろうけどわろた
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かったです!
ヴィクトリア朝京都が舞台になっていて、ホームズシリーズをあまり読んだことがない自分でも大丈夫でした、
きんぎょのワトソンを推します
Posted by ブクログ
これは傑作だと言わざるを得ない。とても面白かった。
森見ワールドそのままに、繊細な事象がたくさん盛り込まれており、コメディ、ミステリー、ヒューマンドラマも全て完璧に組み込まれている。微かな違和感を持ち続けて読み進めていくと、鮮やかな伏線回収もあれば、有耶無耶で読者をヤキモキさせるリード。森見登美彦という作家の真骨頂があった。
ラストあたりは確かにはちゃめちゃで、これでいいのかと思うところはある。しかし、本の中の結論に対して読者がなんと言おうと、その中で幸せに暮らしている登場人物たちに本来の暗い結末に還れとは自分は言えない。幻想の世界で生きて行くならそれでいいじゃないか。そもそもヴィクトリア朝京都ってなんやねん、さらに京都なのに登場人物は全員洋名。そんなあべこべではちゃめちゃな世界を体感してきたのだから、不思議な力で幻想の世界で幸せに生きることもいいのではないかと思える。
ページ数は多いがかなり読みやすく、そこまで読むことに苦戦はしないと思う。高校生からでも気軽に手に取って楽しんでほしい一冊です。
Posted by ブクログ
久々の森見小説だったが、想像以上に良かった。今までの森見小説の中で一番好きかも知れない。
ロンドンではなく、京都を舞台に活躍するホームズ&ワトソン。ベーカー街ではなく木屋町だし、テムズ川ではなく鴨川だし、宮殿と書いてあるがおそらく御所だし、でも登場人物は皆英名、ホームズ・ワトソン、だけでなくハドソン夫人、メアリ、モリアーティ教授、レストレーブ警部…。そこらのことは説明なしに物語が進行する。
それでも許されるのは森見小説だからね…という信頼というかブランドの積み重ね、良くも悪くも森見登美彦だからと思わせるのが良い。
ミステリーなのか、怪奇小説なのか、それもと四畳半シリーズのようなメタと箱庭構造の幻想譚なのか、どれともつかぬまま、洛西の竹林などという森見ならでは設定も使ってきて、物語の最終章に圧巻の動き。
ここのギアチェンジというか変調がこの小説の核心部。いやーすごい事するなぁマルチバースやん…で、見事な大団円を迎えるのだけど、冷静になると「いや、で、なんで京都なん?」は解決されてないという…
森見登美彦の描く古都はやっぱり面白い。最近読んだ万城目学の「八月の御所グラウンド」も京都を舞台にした小説だったが、エエ意味でも悪い意味でもクセの強さは森見だな、やっぱり。
Posted by ブクログ
舞台はビクトリア朝京都。
スランプに陥って謎を解決できないシャーロック・ホームズと研究に行き詰まったモリアーティ教授。
ホームズ譚を書く主人公のワトソンはどうにかホームズをスランプから脱出させたかった。
スランプの謎、リッチボロウ夫人の降霊、マスグレーヴ家の謎、東の東の間の謎。
街中の事件は出てこないが謎に満ち溢れていて物語にずっと引き込まれていた。
京都は裏側?ロンドンが表?と思いきややはり京都が表?
東の東の間を通じて京都とロンドンが表裏一体。
その辺は理解できたのかわからないが最後まで面白かった。
私には舞台の京都が登場人物とどうにもミスマッチでそこだけが読みにくかったが、ロンドンと対にするには仕方がないのかな?
久し振りに森見作品で面白い作品だった。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、「シャーロック・ホームズ」を主題とした作品ですが、「ビクトリア朝京都」や「寺町通221B」など、一見すると不可解な舞台設定にすぐに引き込まれました。特に、「京都警視庁」を「スコットランドヤード」と読ませる発想には思わず笑ってしまいました。
森見登美彦さんらしく、京都を舞台にしたドタバタ劇だと思いながら読み進めていましたが、次第に様子が変わっていきます。「ビクトリア朝京都」は劇中劇の世界であり、「ロンドン」こそが本当の現実かと思いきや、実はその逆であった……という展開には混乱も覚えました。しかし、そう単純な構造ではないようで、最終的に何が現実だったのか、正直、私にははっきりとはわかりませんでした。
それでも、エピローグでスランプから脱出したホームズと「ビクトリア朝京都」の住人たち、そしてワトソンとメアリが穏やかな日常を過ごしている描写には心が温まり、心地よい読後感を得ることができました。
森見ワールド、森見節がめちゃくちゃ心地よく、
懐かしい下鴨神社や京都にすぐに心を連れて行ってもらえる。
そこにシャーロック・ホームズ、竹取物語の世界観、ミステリーも加わり、
神秘的だし、背筋がぞくっともするし、あたたかさも感じる、とても豊かな体験となった。
ロンドンと京都がこんな形でつながるとは…
読み返します!
匿名
ザ・森見登美彦ワールド!
シャーロック・ホームズも森見登美彦も好きなのでとても楽しめました。
そして、ならではの世界観と舞台設定。
混沌と不確かな世界が混ざりあって、摩訶不思議な感覚に陥り、面白かったです。
Posted by ブクログ
森見登美彦節たっぷりのわくわくファンタジー!
京都とロンドンと頭の中でふわふわ行き来している間に、我々も境目がわからなくなって、でも読み進められる不思議な感覚になる本だった!
日常のなかの非日常を読書に求める自分としては、読んでいてとても楽しかった。
私たちは誰かか作り上げた物語の、操り人形の一つでしかないのかもしれない。
この世界は虚空で、ほんとうの世界は別にあるのかもしれない。
ただ、自分という人間を、私は強く自認していて、確かにここにいて、誰かを愛し、愛されている。
Posted by ブクログ
京都のホームズ?となって
馴染んでいたころにあっという展開
森見登美彦さんの作品は大好きなのですが
パラレルワールド的な、事実ばかりではなく
他の世界へという物語で
森見作品を読んだ満足感がありました
Posted by ブクログ
パラレルワールド感満載で、世界観が楽しめた。
ホームズのスランプという設定の斬新さに感銘しつつ、反面、こんなホームズ見たくなかったという思いもよぎるw
トータル面白かった
Posted by ブクログ
タヌキやダルマが転がり回るような森見ワールドが大好きである。
京都の市街地図を片手に読むのが楽しい。
この話も京都を舞台にタヌキの代わりにイギリス人が出てきたのか、と思っていたら想像以上の壮大なファンタジーであった。
シャーロックホームズを読んでいてロンドンについても知識があればもっと面白かったのだろうな。
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝京都のホームズとワトソン。
スランプがこじれたホームズは、本家本元と違って、のんびりしているけど、やっぱり少しあやしい処に居た。
Posted by ブクログ
ホームズの日常やスランプからの脱却をただ書いた本だと思っていた。
まさかのSF?だった。
これはホームズについての事前知識ないと難しいかも。
京都を舞台にしていたけど、まさかのロンドンのホームズと絡めてくるとは。
いつもの森見先生節で話が進んでいき、前半は「森見先生のホームズだ!」と楽しく読んでいたのですが、後半からは登場人物が失踪し、サスペンスか?と思わせてからの、がっつりファンタジーで戸惑った。
原作者のコナンドイルがホームズ人気に嫌気がさした話も知ってるから、途中の作者がホームズを憎んでいる話はワトソンというよりコナンドイルか?とも思ったり。
どっちにしろホームズという存在自体が創作物なので、どっちが本物とか決めるものではないのかな?うーん、ほんとに難しい。
京都の方がフィクションの位置付けであれば、ロンドンの街が崩壊してしまったのは何故なのか、向こうの世界はどうなってしまったのか、、、。
謎はめちゃくちゃあるけど、でもホームズとワトソンたちにはずっとヴィクトリア朝京都で平和に暮らしていてほしい。
Posted by ブクログ
コナン・ドイルにシンパシーを寄せて書いたのかな、森見登美彦。
「シャーロック・ホームズの凱旋」は「恐怖の谷」の1つの解釈を提示する意味と、作家としてコナン・ドイルを慮った作品だと思った。
コナン・ドイルは本業の医師を営みながら、シャーロック・ホームズを生み出した。当時熱狂的なシャーロキアンに圧倒されてホームズを谷底に叩き落とした。5章のロンドンが崩れ落ちていく描写は、彼のもうこの世界を終わらせたいという気持ちがあったのではという、同じキャラクターが活躍する物語を生み出すことの苦痛が描かれていたように感じた。
Posted by ブクログ
自分の中でジャンル分けしづらい作品。
てっきりコミカルな話なのかなと思って読み進めて行くと、途中からホラーテイストになって、さらに読み進めるとテイストどころかどこが立ち位置なのかもよくわからなくなって。。という気持ちになる。
京都という舞台に、シャーロックホームズの登場人物や事件をレイヤーのように重ねた世界観の中で化学反応を楽しむお話なのかと思いきや、途中から普通にロンドンも出てきてしまう。
自分はシャーロックホームズに疎く、森見登美彦の過去作品を読んだ立場なので、100%楽しみきれたかは微妙なところ。ホームズ好きが読むと更にニヤリとさせられる描写が所々にあるのだろうか。
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思ってた本。
The 森見登美彦ワールド!!
10年振りくらいに森見登美彦さんの著書を読んだが、そうそう!これだ!!この時空の歪みこそ森見登美彦だ!!と声を出したくなる、さすがの世界観だった。
シャーロック・ホームズとワトソンという超有名なコンビを主人公とした新感覚の小説。
まさに「ワトソンなくしてホームズなし」のストーリー展開で面白かった。
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝京都。寺町通221Bに住むシャーロック・ホームズは天から与えられた探偵として才能が消えスランプに陥っていた。ホームズのスランプのために小説を書けなくなるワトソンと事件が解決できなくなったレストレード警部。同じくスランプになったモリアーティ教授。探偵としての活躍するアイリーン・アドラー。 シャーロック・ホームズなのでミステリって思って読むと…。途中で森見さんは推理作家じゃないって気が付いて頭を切り替えられたので、楽しく読めた。
Posted by ブクログ
《ワトソンなくしてホームズなし》p.5。
〔Ⅰ〕ヴィクトリア朝京都のホームズは極度のスランプに陥っており、彼に頼りきりだったワトソンやレストレードも同じ穴に落ちている。驚いたことにモリアーティも同じ穴にいた。
〔Ⅱ〕アイリーン・アドラーがホームズに挑戦してきた。その真意は?
〔Ⅲ〕十二年前にマスグレーヴ家で令嬢レイチェルが失踪した事件の謎は解けるのか?
〔Ⅳ〕マスグレーヴ家のハールストン館にある「東の東の間」と月と竹林と竹取物語。
〔Ⅴ〕ロンドンのベーカー街はどこに行った?
〔感想〕まあ、なんというか…
■ヴィクトリア朝京都のシャーロック・ホームズについての簡単な単語集
【アイリーン・アドラー】南座の大劇場に出ていた元女優。ハドソン夫人が221Bの向かいに新たに手に入れた下宿の住人。今は探偵をやっていてホームズに挑戦したがどうもホームズのファンっぽいフシがある。メアリとは旧知の間柄。
【赤毛連盟事件】ホームズが大失敗してスランプのきっかけになった事件。
【ヴァイオリン】ホームズが東寺のガラクタ市で掘り出したストラディバリウス(?)。ホームズの腕によって酒呑童子の歯ぎしりのような音を立てる。
【ウィリアム】竹林の専門家。現在はマスグレーヴ家の有名な竹林を管理している。二十代くらいの若者。
【カートライト】ウォルター・カートライト。モリアーティの弟子。二十歳そこそこの青年。髪は淡い栗色、金縁眼鏡、ほっそり。
【詭弁論部】ホームズやレジナルドが学生時代に所属していた。無益な議論を重ねて相手を煙に巻くという実社会で非常に役立つ活動をしていた。
【サーストン】ワトソンの医大時代からの友人。仲間内で最も成功している。
【スタンフォード】医師。ワトソンとホームズを引き合わせた。
【ストランド・マガジン】ワトソンが書いたホームズ譚の出版社。そのおかげでビジネス街である四条烏丸に移転できた。
【スミス嬢】ヴァイオレット・スミス。〈ストランド・マガジン〉でワトソンの担当編集者をしていたようだ。
【セント・サイモン卿】リッチボロウ夫人を後援し甘い汁を吸っていた人物。
【探偵】モリアーティ《探偵の役割とは、この世界に秩序をもたらすことだ。》p.209。ホームズ《謎を生みだしているのは、僕たち探偵の側なのだ。》p.228。
【竹林】ホームズはマスグレーヴ家の竹林に庵を結んで引きこもろうとした。どうやら著者は竹林になんらかの思い入れがあるようだ。竹林の管理人ウィリアムはなんだか聖人のようでもある。
【妻の遍在】ワトソンに現れている症状。少しでも心惹かれるものがあるとそれにメアリを感じてしまう。柴犬でもきびだんごでも。
【デイリー・クロニクル】ホームズやレストレードの不調を面白おかしく書き立てている新聞。
【ハドソン夫人】ホームズの下宿の大家。不動産投資で稼いでいるらしい。
【東の東の間】ハールストン館にある。リッチボロウ夫人によると竹取物語の月(心霊世界)への扉がある。レイチェルはそこから心霊世界に旅立ったそうだ。
【ホームズ】シャーロック・ホームズ。名探偵。寺町通221Bに事務所を構える。しかし、ここ一年ばかり極度のスランプ中。《僕は「自分自身」という難事件に取り組んでいるのだ。》p.19。かつては《ホームズが事件の真相を見抜くのではなく、ホームズの見抜いた真相だけが真相たり得る――》p.298。そんな状態だった。
【負け犬同盟】スランプの人々が集まっている。ホームズ、モリアーティ、レストレード、そしてもちろんワトソンも。
【メアリ】ワトソンの妻。左京区と上京区を合わせても並びなき美人(ワトソン評)。独身のメアリ・モースタン嬢のときホームズの依頼人としてやってきたが、最近、彼女のホームズに対する評価は地に落ちている。アイリーンは、新聞委員だった寄宿学校時代の同窓生。
【モリアーティ教授】ジェイムズ・モリアーティ教授。応用物理学研究所の教授だったが最近辞職した。国家的プロジェクトに名を連ね、『魂の二項定理』という通俗的な自己啓発本をベストセラーにした。ホームズの下宿の上の階の住人。ホームズの立てるヴァイオリンの演奏という名の騒音には腹を据えかねているが、ホームズ同様極度のスランプに喘いでおり後に友人となった。
【リッチボロウ夫人】霊媒。南禅寺界隈に豪邸「ボンディシェリ・ロッジ」を構える。
【レイチェル・マスグレーヴ】十二年前疾走したマスグレーヴ家の令嬢。レジナルドがホームズに捜索を依頼したが失敗した。現在のホームズのスランプの原因である可能性もある。
【レジナルド・マスグレーヴ】洛西の名家マスグレーヴ家の現当主。ホームズとは学生時代の友人でレイチェル失踪事件を依頼した。
【レストレード警部】京都警視庁(スコットランド・ヤード)の警部。最近強度のスランプに陥っている。
【ロバート・マスグレーヴ】洛西の名家マスグレーヴ家の先代当主。辣腕実業家だったが、因果関係は不明だがレイチェル失踪後ロケットで月に行こうと血道を上げるもなせず、失意のうちに死亡。
【ロンドン】モリアーティが密かに模型を作っていた架空の街。ワトソンはそれを見て文筆意欲がわき上がった。
【ワトソン】ジョン・H・ワトソン。ホームズの相棒。下鴨神社界隈に診療所を開設した医師。元軍医。妻はメアリ。《ワトソンなくしてホームズなし》p.5。《シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。》p.8。あるいはホームズが夜店で手に入れ飼っている金魚の名前。
Posted by ブクログ
作者らしいすっとぼけたキャラクター、シャーロックとワトソンが京都を舞台に…と聞いて楽しみに読みはじめましたが、推理小説ではなくて残念。
以前読んだ「熱帯」を思い出しました。ぶっ飛んだ展開は魅力的ですが、妄想や神秘みたいになってくると少し冷めてしまいました。
Posted by ブクログ
このシャーロック・ホームズは人類には早すぎたのではないだろうか―――。
そもそもヴィクトリア朝京都とは何ぞや?から入る。しかし、その疑問を小さなものにするぐらい、なめらかでしれっとした書きぶりが楽しい。京都とロンドンが溶け込んだ街に、ホームズやワトソン、アイリーン・アドラー、モリアーティ教授など、おなじみの登場人物が生き生きと出てくるのは不思議で面白い。しかし、冒頭からホームズもモリアーティ教授もスランプだったり、妙に親しくしていたりと、なんだかおかしな感じで、謎のむずむずした読み心地があった(私はシャーロキアンではないので、何か読み間違えていたら、ファンの皆様ごめんなさいなのだが;)。
ただ、物語の運び方が前半ゆったりとしていたので、読むのに実はちょっと苦戦した。
が、後半に行くにしたがって、広げるだけ広げた風呂敷が高速で畳まれていく美麗さは、なぜヴィクトリア朝京都ができたのかという疑問の解決とともに「こう来たか!」という感じで、最後はすっきりとした読み応えだった。
余談で、この本を読んで、京都もロンドンもどちらも古い都市かつ、霊的、魔術的な要素も強い印象があるから、作中のように何かの拍子に混ざり合ってひょっこりお互いの路地裏につながっていたら、怖いような面白いような、不思議な気持ちになるだろうな。
そんな路地裏を見つけたら、自分だったら、その先に進むだろうか。見なかったことにするだろうか。そんなことを夢想することができる、面白い本でした。
Posted by ブクログ
最初、登場人物はホームズの話に出てくる人たちばかりなのに、舞台が日本なところに脳がバグってしまった。
とても斬新なストーリーだった。
スランプでぐだぐだしているホームズを読むのは、何だか切なかった…。
Posted by ブクログ
2025.08.シャーロック・ホームズはスランプに陥り探偵業ができなくなっていた.その間,ワトソンはシャーロック・ホームズの凱旋を執筆していた.同じアパートの3階に住むモリアーティ教授も研究のスランプに陥っていた.以前にホームズが手がけたマスグレーヴ嬢の失踪事件があり,謎のままだった.マスグレーヴ家の東の東の間の謎を解くために心霊主義者のリッチボロウ夫人達が集まったが,怪奇現象が起きてモリアーティ教授が消えてマスグレーヴ嬢が戻ってきていた.そしてホームズも東の東の間に入り消えてしまい,ワトソンもホームズを助けるために東の東の間に入る.すると,ワトソンはロンドンでの不思議なホームズとモリアーティ教授を見る.目が覚めると京都の町にホームズもモリアーティ教授もいたが東の東の間について何も語ることはなかった.なんだか結局よくわからなかった.
Posted by ブクログ
ホームズとワトソンが京都に⁉︎
スランプ中のホームズが解決できなかった事件と再び向き合う時、摩訶不思議アドベンチャーが始まる。
京都がロンドンで、ロンドンが京都。
何が実在で、何が幻か。
なんだか煙に巻かれたような、狐につままれたような作品だった。
コナンドイルの作品を彷彿とさせるが、それとは全く別物の、森見登美彦氏のホームズとワトソンでした。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズの凱旋
ホームズの冒険譚が京都で・・・
森見氏と京都を切り離す方法はないのか?
京都で活躍していたホームズがスランプに。なんとかす乱舞を脱出させようと奔走するワトソンをよそに、ホームズは引退を決意してしまいます。
宿敵モリアーティ教授やメアリ・モースタン、アイリーン・アドラー、ハドソン夫人などホームズ譚の登場人物が数多く登場しますが、その役割は微妙に異なっているところも面白く読みました。コナン・ドイルが晩年にはまっていた心霊現象も物語の中心として描かれます。
森見氏の小説のいつものごとく、終盤は幻想と現実が入り交じり反転するドタバタとなりますが、その収め方が見事なので、期待通りの終わり方でした。
難を言えば、ホームズのスランプの様子が描かれる前半がちょっと間延びした感じでした。
最初にも書きましたが森見氏から京都をとったら何が残るのでしょうか?という謎も思わず浮かんでしまいました。
竹蔵
Posted by ブクログ
タイムリーにシャーロック・ホームズシリーズを読んでて、より登場人物が分かりやすかった✨
森見澄美彦さんだなーと言う節々を感じつつ。
読みやすい本だけど、世界観についていけない場面は読み返したり。
決着のつき方が、うーん。って感じで3点。