森見登美彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小学四年生ながら老成したアオヤマ君の研究熱心な態度に感心して「私も頑張ろう」と思ったり、優秀なハマモトさんやアオヤマ君に引け目を感じながらも、自分の心や考えたことを粗末に扱わないウチダ君に「この態度は見習いたいな」と思ったり。
本筋と全然関係ないところで、なぜか励まされました。
登場人物はいずれも魅力的なのですが、アオヤマ君のことをじっと見守るお父さんが、これまたいい。口数は少ないけど、愛情の深さが端々に表れています。
そういうキャラクターを描ける森見氏自身が愛情深い人なのでしょうね。
そんなことを思いながら読んだこの作品、奇抜な発想のSFながら文章がとても味わい深くて、一文一文噛みしめながら読みました。
最後がとてもせつなくて、そこだけ何度も読み返してしまった…。 -
Posted by ブクログ
四畳半神話大系を読み返すたび、(過去に自分も大学生でありそれなりに楽しんだり苦しんだりしているにも関わらず)とても大学生活に憧れてしまうというか戻りたくなるというか……ノスタルジーのような気持ちでいっぱいになってしまう。
のだけれど、今回、四畳半タイムマシンブルースも勿論そうだった!しかも夏。過去に過ごしたあの夏が恋しく、これからやってくる夏がなんだか待ち遠しくもなってしまった。
ちょっと京都に旅行することになり、行き帰りの電車で読むものが欲しくなった。京都と言えば森見さんの作品かなと思い本屋へ。そうして「四畳半タイムマシンブルース」を発見。好きな映画である「サマータイムマシン・ブルース」のストーリーの中で四畳半の面々がてんやわんやになる?!読みたい!と勢いで会計を済ませていた。
「四畳半神話大系」は春、「四畳半タイムマシンブルース」は夏の物語だそう。秋、そして冬の物語も読みたい!!!と思っている。焼き芋をしたり、いまいち効きの悪い炬燵(もしくはストーブ)で暖をとっている四畳半の面々が目に浮かぶ!
これだけでも、もちろん楽しめると思う。けど、四畳半神話大系を読みサマータイムマシン・ブルースを観ていると二倍にも三倍にも楽しめておいしい作品なので、気になった人はチェックしてみて欲しい……!
"二度と取り戻せない人生のサマータイムが、日なたに置かれたかき氷のように溶けていく。"
-
Posted by ブクログ
すんごい発想!
笑える部分が多くてサクサクと読み進められ、設定から惹き込まれて面白かった!良くできてると思う。
「四畳半神話体系」を先に読むことで文体にも慣れて、なにより人物たちの関係性もハッキリしてて、すぐに物語の中に入り込めた。
暑い猛暑の夏、突如目の前に現れたタイムマシンを使って、クーラーのリモコンを取り戻すために今日から昨日へと過去に戻る。
タイムマシンの使い道がクーラーのリモコンだけでなく、いろいろと混在しててハチャメチャなのに、過去を変えてはいけないという大きな縛りの中で、天才的に過去と現在が噛み合ってるのが面白すぎる!
森見節は効きつつも、2作目ということで四畳半メンバーの相変わらずのドタバタ劇が、タイムトラベルという設定の上に程よいスパイスとして、うまく馴染んでいて楽しく読むことができた。
張られた伏線が後半にかけて、どんどん辻褄が合っていくのが気持ちいい!そして最高のオチにして、最後の一文には震えた(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ小学4年生の主人公が、街に突如現れたペンギンとお姉さんの謎を解き明かしていく物語。
ペンギンは何処から現れたのか。
お姉さんは何故ペンギンを作ることが出来るのか。
空中に浮かぶ"海"は一体何なのか。
主人公達は上記を含む沢山の謎を解くために、観察と研究を重ねる。
読んでいると小学生の頃を思い出すような、とてもワクワクする小説だと思った。
少年と(少年が通う歯医者で働いている)お姉さんの関係が読んでいて心地良い。年の差はあるけど対等な感じ。
少年は真面目で探究心があって、起こった出来事や考えをせっせとノートにまとめる研究熱心な男の子。年の割に落ち着いていて、いじめられっ子に理不尽なことをされても全く怒らない。「たいへん(◯◯だ)」が口癖で何度も出てくるから癖になる。早く大人になりたいと思っているから、大人ぶった態度をとっているのが可愛らしい。遅くまで起きていたいと思っている所とか、コーヒーを砂糖なしで飲めるように練習している所とか。
包容力のあるお父さんの存在も良い。少年にメモを取る習慣を教えて、困っている時は助言をしつつもヒントだけ出してちゃんと自分で考えさせている。総じてキャラクターが良い。
子供向けの物語のような雰囲気を出しつつも謎の部分はやや難しかった。ペンギンもお姉さんもジャバウォックも海も全部繋がっている。壊れかかった世界(海)を修理するためにお姉さんはペンギンを生み出す。だけど世界が治るとお姉さんの元気は無くなって、ジャバウォックを作り出してペンギンを減らす。ペンギンがいなくなるとまた世界の破壊が進んで海が広がってしまう。
世界を修復するか、お姉さんがいなくなるか、難しい。お姉さん自身も自分のこと、自分の存在理由が分かっていないからこそ、より難しくなっていた感じがする(そこが大事な謎の部分ではあるんだけど)。
そもそも何で世界は壊れかかっていたんだろう?誰がお姉さんを生み出したんだろう?って思ったけど、そんなことは重要じゃないのかも。
温かみのある物語でとても良かった。