森見登美彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレラブコメディの一言のみで、この作品を語ること勿れ。
作中の人物、皆摩訶不思議にて、その巻き起こしたる事件の数々もまた不思議なり。
黒髪の乙女の純朴たるや、未開の地に咲く一輪の花の如し。
先輩の愚鈍にして滑稽なるは、古の銀幕の喜劇の如し。
黒髪の乙女には可憐にして心奪われ、先輩には他人事ならず心寄せたり。
世に言う「非モテ」をくぐり抜けし同士たる諸君にとっては、胸を打ち、また胸の痛みを思い起こすこと請け合い。
最後の場面に微笑んだ後は、黒髪の乙女と先輩との間に幸多からんことを祈るのみである。
なむなむ。
最も驚いた章としては、第四章を挙げねばなりません。
令和の初頭を襲った、あの疫病のことを描 -
Posted by ブクログ
人によって好みが分かれるかもしれない、どこか古めかしいような独特の文体。
私は最初「なんだこりゃ」と面食らったものの、それにも数ページですぐに慣れ、やがてすっかり虜になってしまった。
物語の面白さももちろんあるけど、それ以上に、この愉快な文章を読むこと自体に楽しみを見出していた。
不思議の国のアリスの世界に迷い込んだような、夢を見ているような、不思議な世界観。
現代が舞台の物語のはずだけど、頭の中に浮かぶ映像はなぜか大正ロマンのようなイメージを纏っている。
黒髪の乙女のどこかズレた天然っぽい言動も好きだけど、何より先輩の頓狂な独白と恋の空回りぶりが本当に滑稽で面白い。
これま -
Posted by ブクログ
ネタバレ結局この物語は「今ある自分の人生を生きてみろ」という話だったのではないかと思う。
「もっと別の選択をしていれば」「あのとき別の道を選んでいれば」と考えることは、いかにも前向きな反省のように見える。しかし、この小説で「私」が四畳半を無限にやり直していく姿を見ていると、可能性というものは、必ずしも人生を豊かにしてくれるわけではない、むしろ「まだ別の人生がある」と思い続けることで、目の前の人生を生きることから逃げられてしまう。
樋口師匠の「可能性を無限に使ってはいけない」という趣旨の言葉が、この小説の核心なのだと思う。
これは妙に逆説的で、だからこそ好きだ。普通なら「可能性は無限大だ。何にで