あらすじ
芽野史郎は全力で京都を疾走していた――無二の親友との約束を守「らない」ために!(「走れメロス」) 表題作の他、近代文学の傑作四篇が、全く違う魅力をまとい現代京都で生まれ変わる! こじらせすぎた青春は、こんなにも阿呆らしく、そして気高い!! 滑稽の頂点をきわめた、歴史的短編集!
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森見先生だなぁっていうのが第一声です。
森見登美彦作品は「四畳半神話大系」と「夜は短し、歩けよ乙女」だけしか読んだことないのだけど…。
四畳半のアニメから入ったので、その印象が強くて、あの制作陣でこの「新釈走れメロス」もアニメ化してほしいなと思った。
と思いながら読み進めてたら「藪の中」がめちゃくちゃ面白かった。
すごく「わかる」っていうか。一つの出来事でも、見る人が違うとまったく別のものになる。
それは現実でも往々にしてあることで、しかも、男性の捉え方と女性の捉え方の違いも「あ~~、あるある」ってなった。
これは原作の「藪の中」がそうなのか、森見先生の解釈から生まれた差異なのか。とても興味深いので、原作を読みたくなった。
「走れメロス」以外は原作を読んだことがない。「走れメロス」もストーリー展開が全然違うので、他の作品もそうなのかもとも思うので…。
あとがきを読むと「この作品のここが肝」と森見先生が思うエッセンスを抽出して再構築したのかな?と。
なので、他の作品も元ネタの方を読みたくなった。
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近代文学の傑作である「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」、「桜の森の満開の下」、「百物語」を森見先生ワールド全開な感じの大学生たちに置き換えて新しい解釈のもと新しい物語として生まれさせた作品集。
どの話の主人公もみんなちゃんと腐っており、読んでいて阿呆と言いたくなるような人たち。
また、この短編だけでなく、過去作である「夜は短し歩けよ乙女」や、「四畳半神話体系」などの話・人物などが少しずつ登場しており、より楽しめる作品になっているところが良かった。
「山月記」は、斎藤秀太郎という天才文学者崩れの青年の物語。「藪の中」は、映画サークルみそぎの恋愛模様?がいろんな人の視点から描かれる物語。「走れメロス」は、拗らせ過ぎた大学生の最低な友情物語。「桜の森の満開の下」は、文学で成功した青年の物語。だか、なんとなく妄想なかんじがする。「百物語」は、怪談、と思いきや、コミュ障な主人公の物語。
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自分だけではない、関わりのない誰かの人生もを考えたくなる本
良かった。本編はもちろんのこと、あとがきも解説者の書いた夢十夜も良かった。出だしから終わりまで余すことなく楽しめる本だった。
原典を知っているものも知らないものもあったが、知らない話はもちろん知ってる話さえも全てが新鮮で新しい話を見ている気がした。山月記をトップバッターに持ってきたのが自分には良かった。この本全体の世界観がスッと掴めた気がする。
原典を読みたくさせる本だが、たぶん本書の方が読みやすい。純粋に楽しんで、ちょっとだけ内容浸って人生を考えたくなる。
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森見登美彦さんが描く
いびつでこじれて歪んで、
でも純粋な大学生の描写は味わい深く、
一見変人に思うけど、大学生ってそうだったよな、とも思う。
昔この本が出た頃読んだ時は、走れメロスのバカっぷりに面白がって読んだ記憶があるが、
今は「桜の森の満開の下」や「藪の中」がとても美しく感じて
原作も読んでみようかなと思えた。
原作が読みたくなる
走れメロス意外は原作を読んだことはないが、思い返せば、走れメロスも結構、はちゃめちゃな内容だったかもしれない。大学生に置き換えて、中には他の話で出てきた登場人物などもあり、全体を通して楽しめました。
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山月記
かた焼き煎餅のような中島敦の文体が、森見登美彦作品と非常に親和性が高いなと感じる。「その行方については、なんの手がかりもなかった。誰一人、彼を探そうとしなかったからである。」という山月記ではありえない阿呆らしくも悲しい一文に笑ってしまったり、「下宿を灰燼に帰せしめる」という森見登美彦作品でしか見られないザ京大生ワールドをしみじみ味わったりしていたが、
「今の俺は、万人を軽蔑する中身のない傲慢が、ただ人の形を成しているだけのものだ。だからこそ天狗なのだ」
という一文に、ただの天狗じゃなく「天狗になる」という意味もかけられているのか、と気づいてなるほどなと思わせられた。元ネタの山月記も「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」の末にその象徴として「虎」となるけれどそのモチーフがしっかり踏襲されているのは流石だなと思わせられる。
藪の中
原作と同様、一つの事象をさまざまな人間の視点から見ていく語り口となっている。原作と違い辻褄が合わない点こそないものの、最後には、なるほどな、と思わせるクスリと笑える展開があった。要するに、変態趣味の男に色んな人が付き合わされた話。
走れメロス
原作とは違い、「友を信じない」ことで友情を証明するというひねくれているけど、突き抜けていっそ感心すらさせられるザ森見登美彦ワールド的存在。桃色ブリーフはもちろん、人々に賞賛などもちろんされもせずやけっぱちの「美しく青きドナウ」で踊る姿がいかにもでとても好き。
桜の森の満開の下
原作の女は男を破滅に導くが、今作に登場する「女」は逆で、男を成功へと導く。その差はあれど、どこかそれに満足せず自ら女の元を離れていくというのが合い通じるところであり、そうリライトしたのかと思わされた。ひたすら物書きに邁進するというのが、原作とは違う点であるが、破滅的な原作とは違ってどこか救われる点がある最後に感じた。
百物語
唯一原作を読んでいないので、比較ができないものの、ぞくっとするような怖さを兼ね備えながらもどこかおかしみがあり、森見登美彦ワールド満載の短編であった。
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古典文学の腐れ大学生バージョン。
面白かった。
原作で既読なのが山月記と走れメロスのみなので、他の作品も読んでみようと思います。
特に印象に残ったのは山月記。元の現作より主人公が身近に感じて、その分心も痛みました。自分の語る夢に自分で苦しめられる経験は誰にでもある。諦めきれず、才能がない自分を認めたくなくて、人知れず消えたくなる。私もそんな思いになることがあります。でも袁傪(今作では夏目)目線で見ると「夢なんて生活の片手間で見たらいいのに、わざわざ人間を辞めることない」って言いたくなる。他人からしたら良くも悪くも人の夢なんてそんな物だなーと再認識しました。
千野帽子さんの解説で語られていた、「今作の主題は自意識の空回り」という言葉が腑に落ちました。森見先生の描く自意識に翻弄されながらも必死でもがく若者の姿が大好きです。
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一時期、京都に暮らした人間としては、京都の大学生たちの生活を描いた小説は非常に懐かしく、読みながらストリートビューを見たりすると、まさに自分の学生時代が蘇るようでした。
森見登美彦フレーバーたっぷりの古典作品。
ただ、自分の読書体験が走れメロスしかないことが悔やまれます。
他の作品も知っていれば、もっと楽しめたかなぁと思いつつも、楽しかったです。
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実は原作は山月記しか読んだことが無かったが、とても楽しめた。
読み終えた後自分の口調が本に寄ってしまいそうなくらい面白かった。
登場人物たちが5つの作品で共通なので
5つ別々の作品だけれども、通しで1つのお話のようにも読める。
すべて面白かったけど特に山月記、走れメロス、桜の森の満開の下がお気に入り。
山月記の斎藤くん、本当に李徴を人間にしたような人で。
走れメロスの阿呆大学生っぷり。楽しい。
桜の森の満開の下は、小説を書いて成功するが、女の言うままにしてきて何かを失った男の切なさ。
原作も読まねばと思った。
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森見登美彦さんらしい、京都を舞台にした大学生を主役にした古典作品をリブートした物語でした。
中でも、本の主題にもなっている走れメロスは、阿呆な青春時代を強く感じられた。
他の作品では、少し怖さも感じられるバラエティに富んだものになっているように思えます。
面白かったです。
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名作文学を新釈で描き直した連作集。単なる新釈だけでなく、異なる作者の異なる先品群が、同じ京都の大学という舞台に乗っかっていて、そのつながりもまた面白い。元作品を知らなかったものはまずそちらから読んだので、二重に楽しかった。
いつもの森見ワールドでありながら、よく知った名作でもあるという、見事な調和だった。解説まで徹底して”新釈”であったのも素晴らしかった。
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走れメロスや三月記など、昔の有名な作品たちを現代風にアレンジした1冊。
どれも笑えるし考えさせられるしで、印象的なものばかりだった。
藪の中と百物語は原作を読んだことがなかったけど、十二分に楽しめた。
でもやっぱり原作を知っていた方が面白いのかも。
照らし合わせながら読むのに醍醐味を感じた。
個人的に1番好きなのは走れメロス。
主人公が、囚われの身となっている友人のもとから意地でも遠ざかろうとするのが最高にぶっ飛んでて好き。
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森見登美彦風近代文学名作5篇。
『走れメロス』が想像を超えるバカバカしさになっていて、おもしろかったです。
『桜の森の満開の下』は桜の美しさと息苦しくなるようなストーリーが合わさって、なんだか不思議な感覚でした。
どの作品も京都が舞台で、これまでの森見作品とリンクしているところがあったりで、楽しめました!
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走れメロスと桜の森の満開の下が好きです。
馬鹿馬鹿しさ×新しい発想の新釈メロスと、綺麗で儚さのある桜の話。没頭して読むことができた!他の作品も読んでみます。
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古典の名作を森見登美彦ナイズした短編集で面白かった。坂口安吾の『桜の森の満開の下』は原作をそもそも読んだことないので読んでみようと思う。他も子どもの頃に読んだものばかりなので再読したくなった。芽野史郎にはちょっと笑ってしまった。
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過去の名作を現代に置き換えて書かれた小説5篇
原作を知っていても知っていなくても楽しい。元が名作ということもあるが、それだけではここまでにはならないはず。
著者の小説は初めてであったが、どうしても「四畳半神話体系」や「夜は短し歩けよ乙女」のアニメ的なものが頭の中で再生されてしまうのは致し方がない。
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山月記を読んで、森見登美彦だなあ!と思って、走れメロスで色々だめだった。電車で読むものじゃない笑 この生真面目なのにユーモアがある文章と内容とのギャップが素晴らしくて、毎回すごいなと思う。走れメロスが一番好きです、
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表題「走れメロス」が、ザ・森見登美彦といった感じで面白かった。
後の話に前の話の登場人物の名前が出てくるとニヤッとしてしまった。
こういう、直接は関係ないけど舞台を同じくしている感じの話が好き。
最後の「百物語」は少しあっけない感じがしたけど、原作もそうなのだろうか。
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「山月記」「走れメロス」など、有名な文学をオマージュした短編集。
走れメロス以外は知らないor覚えてない作品だったので、実際の話を調べて比較しながら読んだ。
しっかり森見登美彦節が効いているが、普段通りのくだらない内容の中に切なさが感じられてよかった。
最終話でみんな出てくるので、登場人物を覚えておかないとごっちゃになる。
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面白いけど、言葉遣いが独特だったり古風で読むのに苦労する。
名作とされる文学のオマージュで、原典を読みたくなった。
でも、この本の何倍も読みづらいんだろうな。
この四畳半神話体系の世界観は、アニメがあるから想像しやすくて楽しめてる部分があると思う。
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文豪の名作を腐れ大学生に当てはめたもの。
【山月記】李徴役の斎藤秀太郎の変人っぷりがメイン(に見える)。李徴の時に感じた共感や同情が、なぜだろう、あまりわかない。
【藪の中】いろいろな角度から同じ事件を見る話のはず。
【走れメロス】身代わりとなった友のため走る話のはずが…
笑ってしまうので、公共の場で読むときは注意。
【桜の森の満開の下】
心理描写や情景描写が丁寧。
原作未読。読んでみよう。
【百物語】
暑苦しさは伝わってくる。
原作未読。読んでみよう。
全体を通して元ネタを知っていた方が面白いと思う。
森見さん凄いわ
過去の人気作品がこれ程までに残心にかわるとわ、まぁ走れメロスしか読んだ事は無いけども。
めちゃくちゃ面白い改良、他の四編は少し物悲しい感じでありそこも良かった。
一話のオモロイ話と、他四編の虚しい様な話とバランス取れているのが凄い。
Posted by ブクログ
山月記
藪の中
走れメロス
桜の森の満開の下
百物語
現代版に新釈。恥ずかしながら、走れメロス以外は読んだことがありませんでした。走れメロスも詳細なあらすじを覚えていません。
元々の話の内容が分かっていたら、楽しめたのでしょうか。
「山月記」
孤高の学生の斉藤秀太郎。孤高と孤独の狭間で、もがき苦しみ、最後は皆んなの前から姿を消してしまう
「薮の中」
役者同士で元恋人同士。その女性の今の彼が映画監督という三角関係の中で映画を撮る。三者の気持ちのあり方が、それぞれ違うのが不思議な感覚
「走れメロス」
人質となった親友を見捨てることが美徳と考える学生と、それを守らせようとする大学内の暴君の追いかけっこ。
「桜の森の満開の下」
恋した女の事を書くことで、売れる作家となった男のお話。
自分が描きたいものと、女から求められるものとのジレンマに迷う
「百物語」
知り合いに誘われて向かった先で行われる百物語。
途中で、会を抜け出すことになる主人公たが、帰りがけにあった人物は、本当に実在するのか。