【感想・ネタバレ】新釈 走れメロス 他四篇のレビュー

あらすじ

芽野史郎は全力で京都を疾走していた――無二の親友との約束を守「らない」ために!(「走れメロス」) 表題作の他、近代文学の傑作四篇が、全く違う魅力をまとい現代京都で生まれ変わる! こじらせすぎた青春は、こんなにも阿呆らしく、そして気高い!! 滑稽の頂点をきわめた、歴史的短編集!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

近代文学の傑作である「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」、「桜の森の満開の下」、「百物語」を森見先生ワールド全開な感じの大学生たちに置き換えて新しい解釈のもと新しい物語として生まれさせた作品集。
どの話の主人公もみんなちゃんと腐っており、読んでいて阿呆と言いたくなるような人たち。
また、この短編だけでなく、過去作である「夜は短し歩けよ乙女」や、「四畳半神話体系」などの話・人物などが少しずつ登場しており、より楽しめる作品になっているところが良かった。

「山月記」は、斎藤秀太郎という天才文学者崩れの青年の物語。「藪の中」は、映画サークルみそぎの恋愛模様?がいろんな人の視点から描かれる物語。「走れメロス」は、拗らせ過ぎた大学生の最低な友情物語。「桜の森の満開の下」は、文学で成功した青年の物語。だか、なんとなく妄想なかんじがする。「百物語」は、怪談、と思いきや、コミュ障な主人公の物語。

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2025年06月22日

ネタバレ 購入済み

原作が読みたくなる

走れメロス意外は原作を読んだことはないが、思い返せば、走れメロスも結構、はちゃめちゃな内容だったかもしれない。大学生に置き換えて、中には他の話で出てきた登場人物などもあり、全体を通して楽しめました。

#笑える #切ない #シュール

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山月記
かた焼き煎餅のような中島敦の文体が、森見登美彦作品と非常に親和性が高いなと感じる。「その行方については、なんの手がかりもなかった。誰一人、彼を探そうとしなかったからである。」という山月記ではありえない阿呆らしくも悲しい一文に笑ってしまったり、「下宿を灰燼に帰せしめる」という森見登美彦作品でしか見られないザ京大生ワールドをしみじみ味わったりしていたが、
「今の俺は、万人を軽蔑する中身のない傲慢が、ただ人の形を成しているだけのものだ。だからこそ天狗なのだ」
という一文に、ただの天狗じゃなく「天狗になる」という意味もかけられているのか、と気づいてなるほどなと思わせられた。元ネタの山月記も「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」の末にその象徴として「虎」となるけれどそのモチーフがしっかり踏襲されているのは流石だなと思わせられる。
藪の中
原作と同様、一つの事象をさまざまな人間の視点から見ていく語り口となっている。原作と違い辻褄が合わない点こそないものの、最後には、なるほどな、と思わせるクスリと笑える展開があった。要するに、変態趣味の男に色んな人が付き合わされた話。
走れメロス
原作とは違い、「友を信じない」ことで友情を証明するというひねくれているけど、突き抜けていっそ感心すらさせられるザ森見登美彦ワールド的存在。桃色ブリーフはもちろん、人々に賞賛などもちろんされもせずやけっぱちの「美しく青きドナウ」で踊る姿がいかにもでとても好き。
桜の森の満開の下
原作の女は男を破滅に導くが、今作に登場する「女」は逆で、男を成功へと導く。その差はあれど、どこかそれに満足せず自ら女の元を離れていくというのが合い通じるところであり、そうリライトしたのかと思わされた。ひたすら物書きに邁進するというのが、原作とは違う点であるが、破滅的な原作とは違ってどこか救われる点がある最後に感じた。
百物語
唯一原作を読んでいないので、比較ができないものの、ぞくっとするような怖さを兼ね備えながらもどこかおかしみがあり、森見登美彦ワールド満載の短編であった。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

走れメロスや三月記など、昔の有名な作品たちを現代風にアレンジした1冊。
どれも笑えるし考えさせられるしで、印象的なものばかりだった。
藪の中と百物語は原作を読んだことがなかったけど、十二分に楽しめた。
でもやっぱり原作を知っていた方が面白いのかも。
照らし合わせながら読むのに醍醐味を感じた。
個人的に1番好きなのは走れメロス。
主人公が、囚われの身となっている友人のもとから意地でも遠ざかろうとするのが最高にぶっ飛んでて好き。

0
2025年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原典を読みたくなる改変さもあり、それぞれのストーリーを京都の街で繋げてるところがやはり森見登美彦さんという感じで良い。

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2024年09月30日

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