森見登美彦のレビュー一覧
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赤玉先生こと如意ヶ嶽薬師坊(天狗)の息子、二代目がイギリスから帰郷した!!
赤玉先生と二代目の軋轢から二代目はイギリスへ旅立って久しくしていたが帰朝し、その関係性へ弁天が割ってはいる形で三人の天狗(主にともに気に入らない二代目と弁天)がやりあう方向に。
狸界では偽右衛門は矢一郎に決まりかけるも、夷川早雲の思惑が炸裂し後継者争いの雲行きも怪しくなり…。
金曜倶楽部はあいもかわらず狸鍋を画策し幻術師天満屋が大暗躍。
最後はやっぱりタヌキ・天狗・金曜倶楽部が入りまじりはちゃめちゃになっちゃう。
わかりやすい&期待したい伏線もしっかり回収してくれてどのキャラクターも活躍してくれて嬉しい。矢三郎もついにあわやというところまでいくしでハラハラ、早雲もあいかわらずだし海星はというとついに…。
前作からけっこう間をおいたのでこの世界観を濃く感じずに楽しく拝読できました。(続けて読むとちょっと濃い)
そしてラストはなんだかしんみりと天狗の孤独さも感じていろんな楽しみかたのできる好きな作品です。 -
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宵山とは、祇園祭のメインとなる山鉾巡行(7月17日・24日)の3日前・前々日・前日の総称で、いわば前夜祭のようなもの。
京都に住んでいた頃は真面目な学生だったので、その頃は期末試験の勉強に勤しんでいた。だから宵山に行ったことが無いのは仕方がない。真面目な学生だったので。
6年間住んだけど1度も行ってない。
京都の思い出は色々ある。
特に家から近かった銀閣は格別で、悠久の侘び寂びを感じられ、苔の木陰道を歩くと涼しく、心が洗われる。
鞍馬は1番好きなところで、叡山鉄道に小一時間揺られると街の喧騒は遠く、すべての音が小さく、しかしはっきり聞こえる。踏んだ落ち葉が割れる音。踏んだ土がキュッと鳴る音。鳥の鳴き声、羽ばたき。吐息。鼓動。
京都はいいところ。他にも素敵な場所はたくさんある。北野天満宮の梅も永観堂の紅葉も小綺麗な小池通りもぶっとい五条通りもオシャレな白川通りも全部いい。人が少ない時を狙ってまた行きたい。
行った思い出もあれば行ってない思い出もある。京都はいいところ。
祇園祭は特にそう。祇園祭の思い出といえば、四条烏丸の塾講バイトの行き来、7月になるとめっちゃ暑い。そしてなにやら祭りの音頭が漂っていて、普段は大都会なのに洋服では無く、ハッピ野郎、ハッピガールが湧いてくる。
楽しそうな奴らや。
そんな思い出しかない。
この本を読むと自分の話をしたくなる。
読んだ感想もいいけど、読まなかった感想を述べたくなるのもいい本だと思う。思い出と同じ。
肝心の本の話をすると、この世界観はめっちゃ好き。この書き方も好き。ある宵山を別の人物から描いた6編やけど、それぞれ繋がっていて描き方も書き口も違って雰囲気も違って、喜怒哀楽も喜悲も違って、頑張り方も頑張らなさも違って、幼心もあり、兄弟愛もあり、青春もあり、親子愛もあり、老年の心もあり。
幻想的で異世界味のある宵山に、現実の世界の全てが詰め込まれた逸品。
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Posted by ブクログ
『有頂天家族』の第二部として、新しい狸や天狗や人間が出てきたり、関係が掘り下げられたりして、物語が膨らんでいっているのがワクワクした。
淀川教授扮する「ぽんぽこ仮面」が出てきたり、三階建電車が出てきたり、過去作での象徴的な人物・建造物が出てくるのも面白い。
下鴨家のやり取りは言わずもがな愛と阿呆の血に溢れていて、大好き。
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母と矢四郎はおでんを山盛り皿に取って見物席に上がった。長兄と私は次兄を座布団にのせ、将棋盤の王将の座へ運んだ。「リラックスしていこうぜ」と私は次兄の肩の力を抜こうとし、長兄は「下鴨家の名誉を守れ。気合いを入れろ」とプレッシャーをかけた。「兄さんも矢三郎も言うことがバラバラだからなあ」と次兄は苦笑した。
次兄は子狸の頃からボンヤリしていて、光り輝く才能を見せびらかすことなど皆無に等しく、ほとんど馬鹿だと思われていた。狸らしくもなくいつも淋しげで、熱血漢なところはカケラもなく、万事において漠然と頼りない。しかしそのやわらかな賢さのようなものを、どれほど私は好きだったことであろう。