あらすじ
あの名作が京都の街によみがえる!?「真の友情」を示すため、古都を全力で「逃走」する21世紀の大学生メロス(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)…馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。
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Posted by ブクログ
面白い!!
世界観が滅茶苦茶なのに、なんでこんなに森見登美彦は面白いんだろう。今まで読むのを避けていたことに後悔。
正直走れメロス以外はうろ覚えだったけど、全然行ける!面白い!
Posted by ブクログ
過去に学校の授業で学んだ作家の作品が、現代の腐れ大学生に置き換えられ、森見登美彦流に再編されている。
登場人物の性格や物語の舞台などすべてが現代に置き換えられて元々の作品とは大きく異なっている。
しかし、元々の作品の芯の部分、作者が訴えたいであろう本質にブレがなく物語が進んでいく。そのことに驚き、強く感銘を受けた。
タイトルにもある走れメロスは、気高く純粋なメロスが詭弁ばかりの大学生になっているのに、読み終わった時には登場人物の誠実さや人間同士の信頼の美しさが伝わってきた。
山月記の主人公は誰が見ても奇人で、大学を留年や休学を繰り返しながら、卒業して行く人たちを嘲笑いひと蹴りする。
それなのに、読後には李朝のような人間味のある繊細さや、それ故に生まれる葛藤を感じられた。
五篇全てにおいて、原作を読んだ時に感じるメッセージが伝わってくる。
文学の表現方法はこんなにも無限の可能性があるのかと感動した。
時代、環境、背景、登場人物、性格、何もかもが異なっていても、作品の芯をブレずに表現することができる。
そのことに感銘を受けた。
この作品が私の中でいちばん大好きな作品。
Posted by ブクログ
森見さんの作品も、収録されているほとんどの作品も、山月記と走れメロス以外読んだことの無い、本読みの端くれともいえる私なのだが、ちゃぁーんとそれでも楽しめる。
文庫を開くと最初に入ってくる「走れメロス 逃走図」。走れメロスで逃走…?読めばなるほど、そういうことか。
藪の中、百物語、桜の森の満開の下の3作は、前述の通り原作を読めていないのだ、それでも楽しめるのは森見登美彦の文才なのだろう。もっとも原作を読んだらまた違う楽しみがありそうだ。
短編で割とサクサク読めるので森見さんの作品を読み始めるならこの本でもいいのかもね。特に原作たちを知っている人ならば、「あー森見さんてこういう面白い文体で書く人なのね」とわかりそうなものである。もっとも、私は原作を読んでない罪深さで積読化しかけていたのだが、そんな遠慮は結果要らなかった。
いい本に出会えた。解説で神山監督が話している通り、こういうアイデアというか試みは既に試されているもので、、もっとこういう類の本は出てもいいかもね(などと、人の苦労を知らない顔で、それでも一抹の期待を胸に、私の願いをこのように、書き留めておく)。
Posted by ブクログ
著名な短編小説をオマージュして描かれた短編集。短編集だがそれぞれ登場人物や舞台背景は関連している。全く別の作家、作品をモチーフに描かれているが、柔軟にそれを使いこなし上手く自身の小説に落とし込んでいるところに感銘を受けた。シンプルに楽しんで読める作品。
最高
森見登美彦さんの本は言葉のチョイスが最高なんよな。原作を読んでみたくなるし、難しい言葉もいっぱいあるのにカジュアルな感じに仕上がっていてスルスル楽しく読めた。
Posted by ブクログ
森見さんの本を初めて読んだ。
既に原典があることで、その面影のためか、五篇とも雰囲気が違って表現の幅が広いことに驚いた。
こんなにも自在に書くにはどうすればいいだろう。またひとつ勉強になったように思う。
Posted by ブクログ
舞台は京都、人物は学生。
一種のパロディーではあるが、実に巧妙に細工している。
短編五作品で、主だったところで言えば、斎藤秀太郎が、幾つかの作品に顔を出す。作者、森見も登場する。
『山月記』と『藪の中』と『走れメロス』以外は元ネタを読んだことがないので、比較しようもないが、比較できる上記の三作品でいうと、『山月記』は中島敦のわざとらしい口調が少ない分、評価できる。『藪の中』は多視点からの形式を受け継いでいるところは評価できる。ただ、屈折した鵜山の感性は理解しづらかった。残る『走れメロス』は原作の友情が見事にぶち破られていて、新時代の友情が描かれている。もはや、何も言えない。
未読の原作『桜の森の満開の下』や『百物語』も、いずれ読んでみたいと思っている。
Posted by ブクログ
すごすぎた。森見登美彦の作品は2作目だけど明らかに刺さったかも。特に山月記、藪の中がすごい良かった。名作のオマージュ、短編同士が少し繋がってる、など最悪な作品に多い特徴があるにも関わらず、それを全てひっくり返すほど面白い。
いい作品はさらに本を読みたくなる。この本を読んだ時に、やっぱりそれぞれの古典作品を読みたくなった。間違いなくいい作品なのだろう。
Posted by ブクログ
いやぁ、面白い。興味深く読めました。私は『藪の中』が1番好きかな。原典も読んでみたくなりました。森見さんの作品を読んでいつも思うのは、小説に出てくるところを見て回りたい。茶色い電車(と本文に記載)に乗り回して生活してる割には行ったことがないなあ…って。
Posted by ブクログ
森見さんのエッセイを読むと小説のわくわく感が増してゆく。五作すべて雰囲気が異なるけれど、繋がっていく。山月記はおもわず切ない気持ちになり、メロスは阿呆たちに笑い、桜の森のは泣けてきさえする…… とくに、桜の森のは原作がどんな感じだったか忘れちゃっているので、読み返したいなと思う。
青空文庫で読み直そう
元になった小説はすべて以前読んでいたけれど、もう一度読み返したくなりました。背景が「四畳半神話体系」や「夜は短し歩けよ乙女」と同じなので、グッと親近感を持ちました。走れメロスは大笑いしました。藪の中は原作の妖艶さを残しつつ、森見テイストもありで、良かったです。
Posted by ブクログ
走れメロスが面白かった
追いかけけてくる人も助けようとしてくれる人もみんな敵で、こんな映画あったような、バイオハザードとはちょっと違うけど笑
訳のわからない友情だけど、友情を型にはめるな、
クッキーではないんだぞ!みたいなシーンがあって、詭弁じゃんと思ったけど、詭弁論サークルだから別にいいや、、感じなユーモアたっぷり
Posted by ブクログ
ここまで各短編が森見登美彦色になるとは。
やはり京都×知的で偏屈で冴えない大学生の組み合わせを書かせたら天下一品。
初めの山月記が1番お気に入り。
中島敦の山月記自体が好きというのもあるが、主人公の設定が四畳半の樋口師匠と私を混ぜたような個性的なキャラクターで読んでいて満足感が高かった。
Posted by ブクログ
走れメロスは原作が原作なだけに森見節に合っていて面白かった。パンツ番長などなど。
ほかのエピソードは逆に原作が原作なだけにハッピーエンドとは言い難いため、少し物悲しかった。同時に昔の文豪の作品はハッピーエンドというのをあまり意識していなかったんだなと思い知らされた。
Posted by ブクログ
名作をオマージュした短編集。
百物語以外は原作を読んだことがあったので、より楽しめた気がします。この本きっかけで百物語も読んでみたいなぁと思わせてくれましたね。
登場人物が各作品でリンクしてるのが、なんともいい。連作短編集とでも言うのでしょうか。好きですね。
Posted by ブクログ
日本の名作をオマージュした短編集。
原著を読んだことあるのは「山月記」と「走れメロス」の二作のみだったが、森見さんのエッセンスは全開ながら、原作の芯の部分の世界観を再構築している感覚で、作品へのリスペクトも感じられたところが良かった。
あとがきの中で、この本を通して原作にも興味を持ってもらえたら嬉しいという事が書かれていたが、読み終わってみればその言葉の通り興味が湧いている自分がいる。
原作と本作両方読んでさらに楽しめると思うと2倍お得な作品かもしれません。
オマージュ作品でいうと先に「シャーロックホームズの凱旋」を読んでいたのでこちらの方が好みかな。
「桜の森の満開の下」は後の「夜行」に通じる美しさと怖さが感じられて、著者の色んな魅力が各章で発揮されていて大満足の一冊でした。
Posted by ブクログ
森見作品の独特な言葉選びと京都の大学生たちが本当に好きでたまらない。山月記と走れメロスしか元を知らないから他作品の原作を読んで森見作品の面白さをより楽しむ必要有り…
Posted by ブクログ
全五篇だが、登場人物は繋がっていた。
「藪の中」好きだった。
原作もこんな感じなのだろうか。
2人の証言の間にあるズレは原作通りらしいが。
「走れメロス」これはおもしろい。
この笑いながら読む感じ。やはり彼の描く大学生はこうでないと始まらない。
「桜の森の満開の下」これも好きだ。
ここで出る斎藤秀太郎がイイ。
やはり魅力的な男だと思った。
Posted by ブクログ
2024年
鑑賞作品 No.7
《感想》
走れメロスをこんなにパロディーにしていいのかと思いながらも、お腹を抱えて笑ってしまうほど痛快かつ奇天烈な森見ワールドに脱帽。
他にも様々な超有名古典文学を新解釈して森見ワールドに引き込んでいる。
原作を知らないものも多々あり、原作を読みたくなった。
まんまと森見登美彦氏の策略にハマっているような…?
《印象に残った作品》
▼ 山月記
世俗に馴染めず自己の本意を達せられず自分に絶望した山月記の主人公をよくもまあ見事に新解釈したものだと唸ってしまう。
名作と呼ばれるものの構造の普遍性に感嘆してしまう
《MVPキャラクター》
▼ 斉藤秀太郎
見事なまでの孤高の作家。
ここまできたら拍手を送るしかない笑
Posted by ブクログ
山月記、藪の中、走れメロス、桜の森の満開の下、百物語。
これら5つの作品を森見さん風に書き換えた本作。
面白かった!! まず走れメロス以外の作品はちゃんと読んだこと無かったから、原作との違いがどれくらいあるか分からないけども、それでも面白かったと思う。
有名な作品を骨組みに、そこからキャラや内容を上手くいじっていて、構造を使うっていうのがどういうことか分かった。
そして個人的にはやっぱり森見登美彦は、ホラーが上手いというか、怖い。ハチャメチャにぶっ飛んだ話も面白く読めるけど、その分ホラーはめちゃめちゃ怖いなと思ったり。笑
山月記、齋藤秀太郎の僅かな人だけが認める天才感が面白い。話のやり取りも見事。
藪の中、それぞれ違った視点から同じ出来事を語る話。ちょくちょく小説で見られるけどこれが元なのかな?(芥川さんの方)、森見さんverも面白かった。
走れメロス、めちゃくちゃ笑った。登場人物たちの友情というもの、感じました。はい。
桜の森の満開の下、いやぁ、なんか怖かった笑
けどなんというんだか、女によって変わっていく主人公の評価が難しい人生に考えさせられた。
百物語、うん、なんだかね、怖い。今までの作品のキャラ達が総出で出てくるし、そういう意味では熱い話なんだけど、怖い。文字からただよう雰囲気が怖い。
ここまで明るい雰囲気と怖い雰囲気を切り替えられる人は少ないなぁと思ったり思わなかったりの読書でした。
Posted by ブクログ
日本の古典文学をパロディ化した新釈。登場人物や舞台が既読の話しが、その深みにはまっていく。森見作品は超好きか・超嫌いかの2極化したが理由が分かった!奇抜な女性の登場があるかどうかだった。走れメロスのパロディでは須磨女史が超インパクトで出てくる(詭弁論部に在籍することわずか二ヵ月でほぼ全員の男を悩殺)。森見さんの独特な雰囲気には奇抜の女性が嵌る;黒髪の乙女(恋は短し)、須磨女史(この本)、大塚女史(恋文の技術)。友人を裏切ろうと逃走し、ブリーフ姿で踊った男性のロマン、悲哀、熱き思いが爆発し、爆笑した。④
Posted by ブクログ
再読4回目。
いつもにも増して、それぞれのお話の絡み合い方がすごい。理系脳やなぁ。「名作」を腐れ大学生に置き換える、っていうアイデアも面白かったです。
Posted by ブクログ
新鮮味に欠ける。
つまらないわけではないが、特に面白いものではなかった。
使い古しを読まされたような感覚。
同じところをぐるぐる回っている。
もっと、新しいものが読みたい。
Posted by ブクログ
ザ森見さん
メロス、山月記しか知らないから、
他の2つも原作を読みたくなった。特に藪の中
百物語は、ちょっときつねのはなしを思わせた
自分が書くならどうするか、って考えながら読むのも楽しそうだなと思った
Posted by ブクログ
大好きな森見登美彦さんの作品
ラジオで新訳 走れメロスの話をしていて
読んでみようと思った
本を読み始めたのは最近のことで
この代表的な作品も一部は知らないものもあり…
原作を読んでみよう、と思えた
京都を題材とするので
やはり京都が恋しくなる。鬱鬱とした大学生
何者でもないのに、自分を一級品と思っている
ありふれた大学生…懐かしく心くすぐられました
Posted by ブクログ
森見さんらしく京都の大学生を題材にした歴史的な文学作品のオマージュ。
夜は短し〜…も読んだし、この作品も読んだがそこまで自分には刺さらなかった。ユーモアのセンスもわかって愉快なのだがそこまでな感じがしてしまう。
この作品も面白かった。走れメロスの詭弁論部のアレコレは笑ってしまいました。
Posted by ブクログ
森見ワールド全開!
表題の走れメロスが一番好き。なるほどこれは新釈。キレイでスバラシイ友情なんて証明してやるもんかと京都中を逃げまくる主人公、原作とは真逆の関係のままお話がきれいにまとまっていてすてき。
他の小説とも世界が繋がっているので森見さんが好きな人は好き、入り込めない人は入り込めないのかなと思ったりした。
Posted by ブクログ
不朽の名作を現代版にアップデート。
とはいえ、そこはやはり森見登美彦。勉強以外の生きることが苦手な登場人物の哀愁漂う展開になぜかニヤニヤ。わたしの中で京都大学のイメージはもうこの人の作品で形作られています。でも知り合いの京大の人ってまあだいたいこんな感じなんだよな。
Posted by ブクログ
小説のなかでも、その評価が大きく異なるであろう作品。
原作を知らないまま読んでも?な箇所がちらほらある青春小説としか思えない。
ただ、本作を書こうとした作者の思考はとても面白いと思う。