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Posted by ブクログ
過去に学校の授業で学んだ作家の作品が、現代の腐れ大学生に置き換えられ、森見登美彦流に再編されている。
登場人物の性格や物語の舞台などすべてが現代に置き換えられて元々の作品とは大きく異なっている。
しかし、元々の作品の芯の部分、作者が訴えたいであろう本質にブレがなく物語が進んでいく。そのことに驚き、強く感銘を受けた。
タイトルにもある走れメロスは、気高く純粋なメロスが詭弁ばかりの大学生になっているのに、読み終わった時には登場人物の誠実さや人間同士の信頼の美しさが伝わってきた。
山月記の主人公は誰が見ても奇人で、大学を留年や休学を繰り返しながら、卒業して行く人たちを嘲笑いひと蹴りする。
それなのに、読後には李朝のような人間味のある繊細さや、それ故に生まれる葛藤を感じられた。
五篇全てにおいて、原作を読んだ時に感じるメッセージが伝わってくる。
文学の表現方法はこんなにも無限の可能性があるのかと感動した。
時代、環境、背景、登場人物、性格、何もかもが異なっていても、作品の芯をブレずに表現することができる。
そのことに感銘を受けた。
この作品が私の中でいちばん大好きな作品。
Posted by ブクログ
森見さんの作品も、収録されているほとんどの作品も、山月記と走れメロス以外読んだことの無い、本読みの端くれともいえる私なのだが、ちゃぁーんとそれでも楽しめる。
文庫を開くと最初に入ってくる「走れメロス 逃走図」。走れメロスで逃走…?読めばなるほど、そういうことか。
藪の中、百物語、桜の森の満開の下の3作は、前述の通り原作を読めていないのだ、それでも楽しめるのは森見登美彦の文才なのだろう。もっとも原作を読んだらまた違う楽しみがありそうだ。
短編で割とサクサク読めるので森見さんの作品を読み始めるならこの本でもいいのかもね。特に原作たちを知っている人ならば、「あー森見さんてこういう面白い文体で書く人なのね」とわかりそうなものである。もっとも、私は原作を読んでない罪深さで積読化しかけていたのだが、そんな遠慮は結果要らなかった。
いい本に出会えた。解説で神山監督が話している通り、こういうアイデアというか試みは既に試されているもので、、もっとこういう類の本は出てもいいかもね(などと、人の苦労を知らない顔で、それでも一抹の期待を胸に、私の願いをこのように、書き留めておく)。
Posted by ブクログ
舞台は京都、人物は学生。
一種のパロディーではあるが、実に巧妙に細工している。
短編五作品で、主だったところで言えば、斎藤秀太郎が、幾つかの作品に顔を出す。作者、森見も登場する。
『山月記』と『藪の中』と『走れメロス』以外は元ネタを読んだことがないので、比較しようもないが、比較できる上記の三作品でいうと、『山月記』は中島敦のわざとらしい口調が少ない分、評価できる。『藪の中』は多視点からの形式を受け継いでいるところは評価できる。ただ、屈折した鵜山の感性は理解しづらかった。残る『走れメロス』は原作の友情が見事にぶち破られていて、新時代の友情が描かれている。もはや、何も言えない。
未読の原作『桜の森の満開の下』や『百物語』も、いずれ読んでみたいと思っている。
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