森見登美彦のレビュー一覧
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「熱帯」について
現代日本版の「千夜一夜物語」は、古川日出男の「アラビアの夜の種族」や星野智幸の「夜は終わらない」などの名作がありますが、森見登美彦の「熱帯」もその系譜に繋がる作品だと思う。
語り手は作者の分身である「モリミン」。小説が書けず、スランプ気味のある日、謎の本をめぐる物語を思いつく。
「汝にかかわりなきことを語るなかれ」という警句から始まる、「熱帯」という本の記憶が甦ったからだ。
見るからに、虚実の境があやしくなりそうな危ない設定だ。この本を最後まで読んだ者は一人もいない。
語り手は奇妙な「沈黙読書会」で本に再会し、「学団」がその内容の全貌をつかもうと研究を重ねている事を知るが、「熱帯」にはどうしても切り抜けられない「無風帯」がある。
謎の追求は、アラビアンナイト風の入れ子構造をもって、とんでもない展開になっていく。
因みに、作中に出てくる「虎」は作者に言わせると、自分が頭でコントロールできない何かだとか。
本は幾多の本を呼び込む。書物とは一体、誰が書くものなのか? 作者ではないかもしれません。
このモリミーの「熱帯」は、壮大な本の冒険であり、創作論でもあり、時を超える蠱惑の語りにゆったりと身を任せられるのです。
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Posted by ブクログ
森見先生だなぁっていうのが第一声です。
森見登美彦作品は「四畳半神話大系」と「夜は短し、歩けよ乙女」だけしか読んだことないのだけど…。
四畳半のアニメから入ったので、その印象が強くて、あの制作陣でこの「新釈走れメロス」もアニメ化してほしいなと思った。
と思いながら読み進めてたら「藪の中」がめちゃくちゃ面白かった。
すごく「わかる」っていうか。一つの出来事でも、見る人が違うとまったく別のものになる。
それは現実でも往々にしてあることで、しかも、男性の捉え方と女性の捉え方の違いも「あ~~、あるある」ってなった。
これは原作の「藪の中」がそうなのか、森見先生の解釈から生まれた差異なのか。とても興味深いので、原作を読みたくなった。
「走れメロス」以外は原作を読んだことがない。「走れメロス」もストーリー展開が全然違うので、他の作品もそうなのかもとも思うので…。
あとがきを読むと「この作品のここが肝」と森見先生が思うエッセンスを抽出して再構築したのかな?と。
なので、他の作品も元ネタの方を読みたくなった。