森見登美彦のレビュー一覧
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面白かったーーーーーーー!
不思議な作品だった。
これみたいにパラレルワールド的話は、他にも沢山あるけれど、どれもロジック的な脳汁が出るドーパミン系の作品が多かったように思える。それは、平行世界には現世界と決定的に違う改変が行なわれているからだと思う。この時この選択肢を取ったから、ゆくゆくはこんな最悪な世界に、、!的な。
そういう意味では今作は全くそんなことはなく、自堕落な学生生活を送る主人公が入学時にどの選択を取っていたにせよ未来はさほど変わってはいない。
斬新だなと思った。
というか、残酷だなあと思った。
どのように動いたにせよ、運命論的に人生の結末は決まっている。2本目に樋口が「人の人生は可能性ではなく不可能性で語られるべきだ」的なことを言っていたように、要は自らを「しなかったこと、出来なかった今の自分」でのみ客観視するべきだということ。
ほぼ主人公のように、有り得たはずの他の大学生活を夢想する自分にとってはまじで凹む内容。
凹んで読んでいたが、最後数ページ本作は僅かな希望を見せる。
四畳半平行世界を横断し、沢山の不可能性と永い孤独を感じた主人公は初めて自分の今の世界を客観視する。自堕落な学生生活の責任を転嫁し、失敗を恐れて行動しない自らを自覚し、そこから生まれる孤独を実感する。そして意外と自分の周りには人間が多かったことに気がつく。
そして自らとは対照的に、単一世界で八面六臂に動き回り、多くの人に囲まれ、良くも悪くも濃密な学生生活を送る小津の存在を初めて理解する。
最後の小津へのことばには少なからず尊敬の念があったんじゃないかなーとか思う。
そして環境を変え、他人のための行動を始めた主人公はいつか小津のように実りある学生生活を手にできるのではないか。そうであって欲しいなと思う。 -
Posted by ブクログ
有名作品のパロディ的短編小説集。
表題の「走れメロス」だけでも読むべき!
-----藪の中
人の認識には結構相違があるのかもしれないと思う。自分の中に解釈としての物語が生まれる。
-----走れメロス
あらすじの期待など優に超えた。
友のあり方に一石を投じる、ズギャーンと響く言葉があった。
著者の「夜は短し〜」のネタというか設定も自然に応用されていてファンには嬉しい内容。
(「四畳半〜」は未読のため不明)
原典を読む時は、これを横に置いて読んでみたい。
「山月記」「走れメロス」は大体の内容を知っていた自分からすると「藪の中」は原典を知らなくても面白かった。他二つは、よくわからなかった。
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理屈っぽいけど純粋な小4の少年アオヤマ君と、中性的でミステリアスなお姉さんが主人公。突然ペンギンの群れが出現する不思議な現象「ペンギン・ハイウェイ」や、森の奥で見つけた謎の球体〈海〉の調査を通し、アオヤマ君が成長していく姿を描くSF冒険譚。SFというよりはファンタジー要素強め。
途中の〈海〉の描写が自分の空間認識能力が無さすぎが問題なのか、なかなか映像としてうまくイメージ出来なくて、読むのに時間がかかったから先にアニメを見たらよかったのかも、、、^^;
だけど、最後はウルっときた。
研究は、知識が増えるというだけではなくでお父さんの言うように傷つくことでもあるけど、だけど確実にアオヤマ君を成長させてくれる。そして彼の周りにはたくさん素敵な人たちがいて彼の成長を優しく見守ってくれる。
アオヤマ君はどんな大人になるのだろう。いつの日か大好きなおねえさんと再会する日が来るといいな。
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Posted by ブクログ
私の知識不足で全ての作品をオリジナルと比較できたわけではないんだけど、それでもすごく読み応えがあって感動した。文体を見るだけでも、原作に対するリスペクトと愛がひしひしと伝わってきて、こうやって物語は後世に受け継がれていくのかなと感じた。
とはいえ、森見登美彦アレンジが強すぎて、原型を留めてない箇所もあるというか、もう別作品であることは間違いない。だが、それがよかった。
個人的には桜の森の満開の下が一番お気に入り。私の好みが安吾なのかもしれない。暗い青春も好きだったし。
とにかく森見登美彦作品を読み漁りたくなった。そして京都に行きたい。なんなら高校からやり直して京大行きたい。 -
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前に読んだ同じ森見登美彦の「四畳半タイムマシンブルース」における「四畳半神話大系」と「サマータイムマシン・ブルース」の悪魔合体もヤバかったが、へっぽこな青春と名作文学の悪魔合体も相当ヤバかった。
5編の内、坂口安吾「桜の森の満開の下」と森鴎外「百物語」は未読だが、それ以外は読んだことがあったため、原典の芯を捉えた換骨奪胎の見事さに舌を巻いた。
李徴が、多襄丸たちが、メロスが、阿呆な大学生に転生を果たすとこんなにも破廉恥な青春を謳歌し始めるのか。抱腹絶倒なんだけど、ちょっぴり切なかったりもして⋯
独特な世界観の中で、原典の魅力を損なわずパロディして、青春の阿呆さと儚さを心に染み渡らせてくる。見事な新釈だ。他の名作も森見色に染めてほしいなと思った。 -
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ネタバレ下鴨幽水荘に住む大学生の私は、仲間たちとモラトリアム真っ只中。
ひょんな事からタイムマシンを手に入れた彼らの2日間に渡るどたばた劇。その発端は、クーラーの故障から賑やかに始まって…。
後半に行くほど良い!
登場人物がちょっと地味なのか、中盤過ぎても顔のイメージがつかない人がいる。更に、これはいけないそれはダメと、未来を変えない為に奔走するシーンが続く。把握しきれない登場人物が、状況整理を要求してきているという状況は、私には少々難易度が高く、半ば飽きてきていた。
それが、終盤に差し掛かって幽水荘の犬が庭から100年前に落としたエアコンのリモコンを掘り出す。このシーンが実に馬鹿馬鹿しくてくだらなくて(褒めてる)一気に森見登美彦の世界に入れた。この意味のないくだらなさを追求するのが、モラトリアムって感じですごく良いんだよなあ。むしろ、これを読みたくて森見作品を読むまである。
明石さんの時間の捉え方、好きだな。
もう物事は、ずっと先まで全部起きてしまっていて、私たちはそれを1頁ずつなぞっているという考え方。結構しっくりくる。全ては必然で、それを覆す為にする努力すらも折り込み済みの一冊の大きな本の中の出来事…みたいな。私は、その考えを聞くとちょっとほっとするな。未来を一から切り開いていく必要はなくて、既にレールがあるような安心感がある。誰かが作ったシナリオをその通りにプレイできているという感じ、元々嫌いじゃないもんなあ。 -
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拝啓。
桜は散り、ナガミヒナゲシは咲き乱れ、百花繚乱の季節に、ひとりジョイフルに引き籠もるこの頃、如何お過ごしでしょうか。
『恋文の技術』刊行15周年を記念して2024年11月5日に発行されたポプラ文庫新版であります。書影には出てないようですが、高松美咲さんが記念版のカバーを描いています。彼女が漫画「スキップとローファー」で、石川県能登半島珠洲市を一部舞台にしているために起用されたのだと推察致します。さすがプロ!登場人物たちを見事に創造しております。
後輩、先輩、友人、教え子、妹に手紙を書きまくる主人公守田一郎くんは、唯一片想い彼女にはラブレターが書けないのです。理系ヘタレらしく、シワシワシャツのボサボサ頭の眼鏡美男子として描かれました。
森見登美彦作品では王道、片想いされる伊吹夏子女史は、すらりとした変人気配の一切ない美女で、本作ではほんの一瞬しか登場しません。でも、彼女の手には赤い風船。うん、深い。深いぞ。
S気質の先輩女史やマシマロ男後輩なども描かれます。森見登美彦という新人作家も京都在住、実名で登場します。というか、比較的大活躍するのですが、もっと変人にして欲しかった。常識人なのがイヤ!
思えば、昨年10月1日、わたくしkuma0504は石川県能登半島を愛車軽四で走っておりました。左手親指を軽く曲げれば能登半島です。第一関節の辺りにある、守田一郎が島流しにされた能登鹿島駅前にあるという実験所を、「あゝ此処が彼の‥‥」などとは思わずに走り去り、七尾の街中にも寄らずに、関節の東側から西側に移ってひたすら岡山に戻ったのであります。まさか本書の舞台が七尾と知っていたならば、帰りが真夜中になるのも厭わず、七尾駅前のミスタードーナツに寄って、埒もないあれやこれやを妄想していたのに。
一つ分かったのは、本書を隅々まで熟読しても「いかなる女性も手紙1本で籠絡できる技術」などは身につかない、ということなのでしょう。
草々
文系ヘタレ男子くま
籠絡ご教示お願い奉る皆さまへ