森見登美彦のレビュー一覧
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ネタバレ「捲土重来!」「くたばれ!」
洛中での狸と天狗と人間の、笑って、呆れて、ちょっと心温まる物語。ラストは疾風怒濤のごとくストーリーが駆けめぐる。飛び回る。
人間は街に暮らし、狸は地を這い、天狗は天空を飛行する。
人間と狸と天狗の三つ巴。それがこの街の大きな車輪を回している。
天狗は狸に説教をたれ、狸は人間を化かし、人は天狗を恐れ敬う。天狗は人間を拐かし、人間は狸を鍋にして、狸は天狗を罠にかける。そうやってぐるぐる車輪は回る。
もうみんな可愛い!狸の4兄弟はもちろんだけれども、金角・銀角兄弟も、赤玉先生も弁天も、わがまま放題やりたい放題。でも、憎めない。
狸の父の器の大きさ母の愛。家族の絆に -
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映画になっていることは知っていて、それの予告の映像の、本当に断片だけ、それだけが前情報の状態で読み始めた。
なので読みはじめてすぐ『思ってたんとちがう』でした。自身の勝手な想像のひとり歩きでした。ペンギン、めっちゃ出てくると思ってました。(確かにたくさんでますが)
日頃から身のまわりの不思議を複数かけ持ちで研究する主人公こと「アオヤマくん」。
ある日、突如住宅街に現れた「ペンギン」。
ひそかに気になっている歯科医の「おねえさん」がそのペンギンに関係していることを知り、「おねえさん」を研究対象に巻き起こる小学生日常ファンタジー。
どんなときも、どこまでも冷静沈着なアオヤマくんに、こんな強い -
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★4.1
鞍馬山の火祭りの日、彼女は失踪した。
彼女の不在を抱えたまま、五人の男女は五つの土地で、それぞれ“夜の物語”に出会う。
「この話はどこまでが現実で、どこからが夢だったのか」
読後、胸の奥に残ったのは、説明のつかないざわめき。怪談とも幻想譚ともつかない物語が、どこか自分の記憶や夢の奥底と響き合うような感覚。
『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』で見られるような軽妙さとは異なり、森見登美彦がこんな静謐で不穏な語りを書ける作家だということに、素直に驚いた。
この短編集の魅力は、“断片がゆるやかに円を描いていく構成”にある。
それぞれ異なる「失踪の物語」、そのひとつひとつに違和感 -
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推しの昆虫学者さんの愛読書だそうです。
わたしが思うに、この物語の主役は「洛中」というか「京都」ですね。懐が深いです。
そこで狸と天狗と人間が、おもしろおかしくかけずり回るお話です。「ファンタジー」だそうです。
準主役は狸一家のお父さん「下鴨総一郎」さん。作者の森見登美彦さんも楽しんで書かれているみたいで、おもしろかったです!
冒頭の説明だと狐たちも京都に相当数いるはずだけど、物語にはぜんぜん出てこないです。狸たちみたいな下世話な世界ではなく、狐たちはもうちょっと高貴な世界に、すみ分けしているのかもしれません。
他人の愛読書ですし、若い昆虫学者さんは、何がおもしろいんだろうと考え -
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ネタバレファンタジー。すごく不思議な物語だった。
物語の中で物語が始まるという構成が至るところで観られて読み進めることが楽しかった。
前半は「熱帯」と、その作者である佐山尚一の謎を追っていく話。後半は佐山尚一の物語。
個人的には前半のような謎を追っていく中で不思議な現象に巻き込まれたり、個性強めなキャラクターに振り回されたり、と言った展開が好き。池内氏と白石さんのやりとりがもっと読みたかったが、後半も南の島の描写が美しくて良かった。暑いシーンは暑いし、雨が降ると寒かった。熱帯、南の島の空気感や色がありありと感じられて気持ちよかった。
物語を創作することについても触れている。何もないからこそ何でもあ -
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ネタバレ京都を舞台にした、下鴨家の狸たちの物語。糺の森や詭弁論部、偽電気ブランなどが登場すると、思わずニヤけてしまう。「夜は短し歩けよ乙女」の李白らしき人物も現れる。
可哀想だけれど、食べちゃいたいほど狸が好きというのは、さすがに引いてしまった。さすが詭弁論部だ。この人も酔っ払うと詭弁踊りを始めるのだろうか。まあ、それでも、鳥が好きなのにからあげを食べる自分のことを考えると、人のことは言えないか。
金閣・銀閣の阿呆っぷりが最高だ。「捲土重来、捲土重来」からの「呉越同舟、呉越同舟」には、笑わずにはいられなかった。
下鴨家の兄弟になりたい。雷が鳴ったら母上や兄弟と一緒にくっついていたい。ちょっとした