森見登美彦のレビュー一覧
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森見登美彦の難解さとそれに伴う不気味さを煮詰めたような本作。短編であり四作入っているが、特徴的なのはそのどれもがホラーテイストであることだ。
森見登美彦の世界は繋がっている、しかし同じ京都ではない。それぞれが違う世界線の京都でただ筆者のファンである者からすればにくい繋がりが存在するのだ。今作で言えば、樋口直次郎と四畳半シリーズ、夜は短しに登場する樋口師匠の関係性がその代表である。
また四作を通じて登場するナツメさんと狐の面。これも四作それぞれで違う世界のナツメさんなのかなと思うこともあるし、はたまたやっぱり繋がってる?と思うこともある。そのこそばゆさが面白い。
表題作の「きつねのはなし」は、ホ -
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ネタバレ「捲土重来!」「くたばれ!」
洛中での狸と天狗と人間の、笑って、呆れて、ちょっと心温まる物語。ラストは疾風怒濤のごとくストーリーが駆けめぐる。飛び回る。
人間は街に暮らし、狸は地を這い、天狗は天空を飛行する。
人間と狸と天狗の三つ巴。それがこの街の大きな車輪を回している。
天狗は狸に説教をたれ、狸は人間を化かし、人は天狗を恐れ敬う。天狗は人間を拐かし、人間は狸を鍋にして、狸は天狗を罠にかける。そうやってぐるぐる車輪は回る。
もうみんな可愛い!狸の4兄弟はもちろんだけれども、金角・銀角兄弟も、赤玉先生も弁天も、わがまま放題やりたい放題。でも、憎めない。
狸の父の器の大きさ母の愛。家族の絆に -
Posted by ブクログ
映画になっていることは知っていて、それの予告の映像の、本当に断片だけ、それだけが前情報の状態で読み始めた。
なので読みはじめてすぐ『思ってたんとちがう』でした。自身の勝手な想像のひとり歩きでした。ペンギン、めっちゃ出てくると思ってました。(確かにたくさんでますが)
日頃から身のまわりの不思議を複数かけ持ちで研究する主人公こと「アオヤマくん」。
ある日、突如住宅街に現れた「ペンギン」。
ひそかに気になっている歯科医の「おねえさん」がそのペンギンに関係していることを知り、「おねえさん」を研究対象に巻き起こる小学生日常ファンタジー。
どんなときも、どこまでも冷静沈着なアオヤマくんに、こんな強い -
Posted by ブクログ
★4.1
鞍馬山の火祭りの日、彼女は失踪した。
彼女の不在を抱えたまま、五人の男女は五つの土地で、それぞれ“夜の物語”に出会う。
「この話はどこまでが現実で、どこからが夢だったのか」
読後、胸の奥に残ったのは、説明のつかないざわめき。怪談とも幻想譚ともつかない物語が、どこか自分の記憶や夢の奥底と響き合うような感覚。
『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』で見られるような軽妙さとは異なり、森見登美彦がこんな静謐で不穏な語りを書ける作家だということに、素直に驚いた。
この短編集の魅力は、“断片がゆるやかに円を描いていく構成”にある。
それぞれ異なる「失踪の物語」、そのひとつひとつに違和感 -
Posted by ブクログ
推しの昆虫学者さんの愛読書だそうです。
わたしが思うに、この物語の主役は「洛中」というか「京都」ですね。懐が深いです。
そこで狸と天狗と人間が、おもしろおかしくかけずり回るお話です。「ファンタジー」だそうです。
準主役は狸一家のお父さん「下鴨総一郎」さん。作者の森見登美彦さんも楽しんで書かれているみたいで、おもしろかったです!
冒頭の説明だと狐たちも京都に相当数いるはずだけど、物語にはぜんぜん出てこないです。狸たちみたいな下世話な世界ではなく、狐たちはもうちょっと高貴な世界に、すみ分けしているのかもしれません。
他人の愛読書ですし、若い昆虫学者さんは、何がおもしろいんだろうと考え