森見登美彦のレビュー一覧

  • 新釈 走れメロス 他四篇

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    森見作品らしい登場人物達が登場する、京都を舞台とした名作っぽい物語(笑)
    気楽に読んでクスッとしたら、原作を読んでみたくなりました。
    あと、森見作品を読むと毎回京都に行きたくなります。

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    2026年02月04日
  • 有頂天家族 二代目の帰朝

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    狐は化かすけれども正体は現さない。狸は化けるけれども化けの皮がすぐに剥がれる。京都の町には、阿呆の血のしからしむところ、毛玉かわいい狸がうごうごしているが、闇に紛れて、人に紛れて、気がつかない人には気がつかない。

    さて、お立ち合い。
    (作品上では)昨年、下鴨家狸四兄弟と夷川家狸との、大晦日狸宗家襲名儀式のはちゃめちゃは、夷川早雲の逃遁でケリが付き、弁天の外国留学、金曜倶楽部の狸汁断念、で今年前半は京都の町も押し並べてことも無し。‥‥ところが、100年前に親子喧嘩で別れたきりの天狗赤玉先生の息子(二代目)が帰朝する。そこから、またもや大晦日の偽右衛門襲名、弁天二代目赤玉先生三巴の確執、夷川呉一郎の帰還、下鴨矢一郎と南禅寺玉蘭の恋、下鴨矢三郎と夷川海星の恋、そして金曜倶楽部忘年会狸汁を巡るはちゃめちゃに移るのではありました。

    実はこの間、宮島未奈女史の「成瀬は〜」の影響下、モリミー描く「京都」は俄かに耳目を集めているらしい。本書の何処を開いても京都の町は怪しげに舞台名を提供してるので、安心して要覧されるが宜しいかと思われる。例えば曰く。
    「打ち揃って糺ノ森を出て出町橋にさしかかったとき、母は「本当に良いお天気ねえ」と溜息をついて欄干にもたれかかり、高い秋空を舞う機を見上げた。」「西国三十三所第十八番札所、紫雲山頂法寺。ビルの谷間に忽然と姿を現すその寺の境内、枝を垂らした柳の下に六角形の不思議な石がある。これぞ京都の要石、またの名を「へそ石」という由緒正しい石ころである。」
    糺ノ森も出町橋も、頂法寺もへそ石も存在しているが、実存は不明だ。因みに、ここでチラリと出てきた倉敷小町温泉(379p)は存在していない。因みに、へそ石は長老狸の化けた姿とのこと。次回京都旅をした折には、阿闍梨餅を食すのと同等の最優先体験事項とすることを決めた。

    阿呆の血の然らしむ処、今や狐は大都会の傍らには棲んではないが、いまだに狸は堂々と棲んでいるのである。果たして賢かったのは何方やら。天狗族でもなく、金曜倶楽部の悪食集団でもない凡庸たる不祥・某(それがし)などは、彼等の右往左往をニヤけて見るのみなのである♪

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    2026年02月02日
  • 恋文の技術 新版

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    15年以上前の完全書簡体小説。
    時代背景に違和感の不安は、すぐに取り除けた、というか忘れたぐらいどっぷり森さんワールドへ没入。
    大学〜院生の時期を今しかできないことを、たっぷり時間をかけて楽しんでいる主人公守田一郎。なんて贅沢な。羨ましいぐらい。
    人生の在り方に迷い、人の考えや行動に惑わされ、でも前向きな気持ちは本来持ち合わせているから今の自分しかできないことはなんだ?と考えた結果の文通。
    嘘と本音を交えながら自分から親しい人達にどんどん書いて送る。すると、どんどん返ってくる、返ってくる前に書いて送る、相手もそうする‥ヤギさん状態である。

    手紙を書くことは、頭の中を整理し理論立てて表現しなければならないし、何より受け手の気持ちを考慮しなければならない、とても難しいこと。
    主人公は一番手紙を出したかった相手、想い人にやっと8ヶ月をかけてお誘いの大長編の手紙を送る(ここまでしても好きという気持ちは具体的に表現していない)で物語は終わる。「恋文の技術」のスキルアップの過程を往復書簡集として見れるのである。面白いしかでてこない。

    香ばしい気持ちを真剣に表現し、ジタバタする様は他人のことであれば面白い。
    もがいていた自分を思い出しながら是非読んでみてください。

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    2026年01月22日
  • 四畳半タイムマシンブルース【電子特典付き】

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    面白い!森見さん初読みでしたが言い回しや世界観が独特でとても新鮮でした。内容としては、とある問題を解決する為に、突如現れるタイムマシンを使って今日と昨日を行き来するというだけ、と言ってしまえばそれまでなのですが、その中に色々な要素(キャラの個性や人間関係、恋の行方など)が散りばめられれてて、エンタメ性が高い作品だと思います。割と短めで簡潔なのも良かった。シリーズもの?だったのかどうかも知らずに、成瀬の影響もあり、まずは本作を手にしてみましたわけですが、とても楽しめる作品に出会えたと思います。他の作品も読んでみたいと思います!

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    2026年01月21日
  • 有頂天家族

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    会社の尊敬する先輩に頂いた本。

    下鴨神社に暮らす狸の家族、そして、天狗と人間。京都の街の情景を思い浮かべながら、果たして、この物語はどこへ向かってゆくのだろうと、不思議な気持ちで読み進めました。

    いろいろな事が起きるのだけど、結局は、みんな同じ「阿呆の血」が流れる、そんな兄弟の有難さと、

    “とりあえずみんなが生きており、とりあえず楽しければよいだろう”

    という台詞に集約される気がします。
    ただ、ただ面白かった。


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    2026年01月10日
  • 恋文の技術 新版

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    手紙、文通!今時それか?
    でも、おもしろい。さすが森見氏(本人も登場)、個性的な登場人物たちも、うまくかみ合っている。楽しく拝読しました。

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    2026年01月09日
  • 有頂天家族

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    可愛い。登場人物(登場狸?)たち一匹一匹、一人一人がとてつもなく真剣でいて阿呆らしい。
    ホワホワ感満載!と思えば、「父は鍋に突き落とされた」という事実がいきなりバイオレンスでぎょっとしたり。
    主人公は狸だし、天狗も出てくるし、現実世界とは全く違うのに、要所要所でこんなに熱い気持ちになるんだと思いました。
    総じて変わったファンタジーを読みました。

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    2026年01月06日
  • 熱帯

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    部屋の中の部屋。物語の中の物語。箱の中の箱。いま自分はどの層にいるのか分からなくなる。ナンコメノハコ?この本を読みながらふとうたた寝をする。夢を見た。確かにその世界に生きていたように思うが自信はない。夢を見る前と後で私たちは同じ世界を生きているのか?自信はない。語られる=読まれることで物語が動き出す。そのなかの人物は読まれた回数だけ生を賜う。彼らは彼らであったことを知っている?分からない。私たちはあることないことを繋げて、ひとつの物語にする。それはちょうど星座みたいに。この物語は終わらない。終わることができない。ないがある?

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    2026年01月06日
  • きつねのはなし

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    森見登美彦の霊圧ゼロで読みやすかった。
    でも森見登美彦の霊圧ゼロなことに動揺してて内容理解度もほぼゼロ。森見登美彦の文章が好きなのでそれでもよい。沁みた。

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    2025年12月31日
  • 美女と竹林

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    くすっとできる文章で楽しかった
    妄想→現実をいったりきたり
    これ読んでると、心の中の声?がこの文体になって、それも楽しい笑

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    2025年12月28日
  • 太陽の塔(新潮文庫)

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    大阪が舞台かと思いきや、中心なのはやっぱり京都。この物語も捻くれた男子大学生が主人公で、これこれ!と嬉しくなった。


    偶々だけどちょうどクリスマスの時期の内容だった。クリスマスは恋人のいない私たちにとっては憎き日。その日が近づくにつれ恨めしくなる主人公たち。当日に起こしたええじゃないか騒動。

    仲間に入れて欲しいような、入れて欲しくないような。私にとっては似たもの同士、居心地の良い登場人物達だった。

    主人公と水尾さんの今後の関係も気になるところ。

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    2025年12月26日
  • 宵山万華鏡

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    こういう風に、短編でも微妙に繋がってる話が好き。
    でも宵山から娘が戻って来ない話は怖かった。
    華やかなお祭りの対称に底知れぬ怖さがあって。
    それを垣間見た時にはもう万華鏡から抜け出せないのかもしれない。

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    2025年12月25日
  • 奇想と微笑~太宰治傑作選~

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    太宰治の作品の中から、「ヘンテコで愉快である」ことに主眼置いて、森見登美彦氏が19篇選んだ太宰治傑作選。

    「カチカチ山」が痛烈すぎて面白かった。
    『晩年』にも入っていた「ロマネスク」は、森見さんも評するように傑作だと感じた。
    「令嬢アユ」は、令嬢について、田舎の緑の中を白いワンピースで麦わら帽子で、みたいなそんな清潔でジブリの『風立ちぬ』的なイメージを抱いて、最後にやりきれない思いになった。令嬢アユ、君は…。となる。
    「畜犬談」も面白い。犬を恐れるが故に犬に好かれるが、断じて犬は嫌いであると強情を張る、が、である。

    森見さんの編集後記が興味深い。「太宰治なんて、『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ?」という読者がこの本を手に取って、違う目で太宰を見るきっかけになればいい、と最後に書いていた。でも、この本からでも、太宰の「自意識」を見つめて表現にして差し出す、人間の体臭が感じられるから、太宰はハマる人ハマらない人がいるのだと思う。
    私はハマっている。『人間失格』も読み直したいな。

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    太宰を読んだ読者が「この作者のことを一番分かっているのは俺だ」と感じてしまうのは、太宰が「自意識」の一番みっともないところを痛々しいほどあからさまに書くからである。正直だからである。

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    2025年12月21日
  • 恋文の技術 新版

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    書簡体小説。森見登美彦節が炸裂してたけど、今までで1番するする読めた。さすがに森見登美彦作品に慣れてきたのかも。
    守田一郎1人が書いた手紙で文通相手の返事はまったく書かれてないのに、起きている出来事やキャラクターの人物造形が立体的に思い浮かぶから不思議だ。
    恋文の技術と言いながら、結局手紙では告白しないところが芸術点高くて好き。
    ずっとくだらないけど、このくだらない日々がずっと続け!と思わずにはいられなかった。

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    2025年12月17日
  • 恋文の技術 新版

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    書簡体小説ですが、各キャラクターの個性が強く表現されていてすごいです。
    主人公の守田は研究室の友人や先輩、妹などいろんな人たちにひたすら手紙を書き続けています。
    本来、物語は主人公と主人公以外の人物や環境による影響によって成り立つと思うのですが、この物語はただひたすら守田からの手紙だけで展開されます。彼の書く手紙の内容から友人たちからの返信があったと推測されるのですが、それを踏まえてさらにまた守田が手紙を書くことで彼らの関係性や人間性がどんどん浮き彫りになります。
    物語の最後にしてようやく守田が恋する相手への手紙が出てきますが、結果がどうなったのかを想像できるのもまた楽しみのひとつです。

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    2025年12月10日
  • 宵山万華鏡

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    祇園祭の宵山を芯に据えた6つの連作短編集。『夜行』のような幽玄な幻想譚かと身構えれば、『四畳半〜』のようにいつもの悪ふざけが炸裂する話もあったり。森見さんの要素がぎゅっと凝縮されていて、この本を開くたびに無限に模様を作り出す万華鏡を覗く時さながらのワクワクした気持ちになれた。特に「宵山劇場」にも登場する、意味のないところに意義を見出そうと踠く徒労で愛らしい人物たちがとっても好き。

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    2025年12月09日
  • 夜行

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    ネタバレ

    著者に多いポップな作風とは対照的に深い影を帯びた作品だった。京都を基盤にしつつ、尾道や奥飛騨、津軽で広がる物語は異界への誘いのように幻想的でホラーチック。「夜行」と「曙光」、表と裏の境界が溶け合い鮮やかに反転していく描写が見事だった。

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    2025年12月09日
  • 熱帯

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    ネタバレ

    様々な世界線が入れ子になって交わっている不思議な感覚。途中までなかなか話に入り込めなかったのに、ラストの50ページくらいから一気に引き込まれた。読み終わって、え?どういうこと?となって、すぐにもう一度読みたくなる作品だった。

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    2025年12月07日
  • 夜行

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    なんてったって難しい。
    自分の中での「こういうことかな?」がほんの少しだけあるけれど、言語化するのが難しい。

    でも最後の最後に、ほんの少しだけ曙光を感じられてほんの少し嬉しかった。
    知りたいことたくさんありまくりだけど。

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    2025年12月05日
  • 恋文の技術 新版

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    森見登美彦節全開で最高だった。
    森見登美彦といえば京都で主人公が捻くれているが、今回の舞台は主に石川で、主人公の捻くれ具合は今まで読んできた作品の中で過去最高だったと思う。読んでいてずっとクスクス笑いが止まらなかった。「夜行」「夜は短し歩けよ乙女」などと違いファンタジー要素が全くなかったため容易に想像することができたし、作者のおっぱいの好きさ加減も知ることが出来た。
    個人的に森見登美彦作品で1番好きかもしれない。

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    2025年12月05日