あらすじ
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした──。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。
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頭が良く、研究熱心で、理屈っぽい。全然子供らしくないけど、どこか憎めない小学四年生のアオヤマ君。彼の町で起こる不思議な現象とミステリアスなお姉さんとのひと夏の研究と冒険の物語。
ペンギンの群れや「海」、シロナガスクジラやジャバウォックが次々と町に出現してくると思ったら、普通にいじめっことのケンカや探検、おっぱいに思いを馳せたりと、非日常と日常がうまく合わさっていて、あまりSFが得意じゃない人にもオススメです。
森見登美彦独特の、小学生とは思えないくどい言い回しは健在でありながら、表紙の絵のような淡い切なさが全体を通して感じられます。舞台が京都ではなく新興住宅地なのは森見作品にしては珍しいかも。
短い夏休みが終わってしまう、あの懐かしい切ない気分を思い出すのにぴったりな作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おっぱい。
初めて読みました。ペンギン達の可愛さ、夏の切なさ、そしてお姉さんと僕の読んでいて心地良い距離感。一行一行が愛おしく、もっと読んでいたいなと感じます。随所に含蓄のある言葉がありふれつつも、「僕」の子供ながらの視点の気づきにも自分がいつの間にか忘れていた大切なことが含まれており、ハッ…と色々な事に気づかされながら読み進めていきました。
「世界の果てに行けばそこは元の場所」
ここまで突飛な出来事は自分の子供時代にはありませんでしたが、それでもそうだよなと思わされます。
読みやすくそして面白かったです。夏の季節にぴったり。お勧めです。
おっぱい。
Posted by ブクログ
アオヤマくんは賢くて大人びている子供らしからぬ小学生だけど、川の探検とか子供らしいことにとても真面目に取り組んでいるところが良かった。
なんにでも好奇心がいっぱいなところは見習わないとなぁ。
ラストはなんともいえない気持ちになった。
爽やかで、ちょっと不思議で面白い話。
私もなにか研究してみたい。
Posted by ブクログ
『夜は短し歩けよ乙女』に続いて出会った森見作品。
SFファンタジーという形を借りた小学4年生の少年アオヤマくんと歯医者のお姉さんの物語だ。
少年の物語がこんなに胸を締めつけるのはなぜなんだろう。好奇心と探究心の塊のようなアオヤマくんは研究者であり理論家である。発見したことをノートにメモして、大人顔負けな研究をしている。いくつもいくつも。聡明な彼は強い意志と理屈で自分をコントロールしようとするが、コントロールできないものに出会ってしまう。それがお姉さんだ。
いじめっ子のスズキくんに対しても、屈せず渡り合うさまがかっこいい。あくまでも頭脳で割り出した行動で乗り越える。死について研究するウチダくんも、気づけばとなりにいるハマモトさんもすてきな仲間だ。
お姉さんとの別れは、世界の果てに連れてこられたように辛い。いや辛いはずだ。彼はお姉さんとの再会する日をイメージして生きていこうとする。でも、この別れが彼にとって初めての大きな試練であることにも気づいている。
少年の日の純粋な気持ちが、切なく輝く物語だった。
人生には理不尽なほど悲しくどうしようもないことがある。
Posted by ブクログ
アオヤマくんの正しさがだいすき
だいすきな人にだいすきだと伝えることの素敵さをハマモトさんが教えてくれた
ウチダくんの死の研究はいつか恋人が言っていた死は他人のためにあるという理論と通ずるところがあってハッとした
Posted by ブクログ
「ぼくは毎日、えらくなるために勉強しているのだ。」
これぞまさに森見登美彦さんワールド、で最高な本です!
小学四年生の「ぼく」が、ある日突然、街に現れたペンギンたちの謎を解き明かそうとする物語。
それはまるで、夏の日差しの下、氷がじわじわと溶けていくように、不思議で、美しく、少し切ない冒険の始まり。
科学的探究心にあふれる「ぼく」と、ミステリアスで魅力的な「お姉さん」。
現実とファンタジーがゆるやかに溶け合いながら、世界の秘密が少しずつ明かされていく展開は、まるで夏休みの自由研究のよう。
そして、読み終えたあとに残るのは、「世界にはまだまだ知らないことがたくさんある」というワクワク感と、ちょっぴりの切なさ。
子どもの頃に感じた「世界の果てまで行ってみたい」あの気持ちを、もう一度思い出させてくれる一冊です。
大人になった今だからこそ、改めてこの世界観を感じたい、読みたくなる本でした!!
Posted by ブクログ
まちがいない事実、いや真理として男の子は小・中学生までに冒険と研究、そしておっぱいに胸を馳せる。例外はない。
本書は、小学生の男の子が上記3つに胸を馳せながら、まちでおこる不可思議な現象のなぞを解き明かしていくSF青春物語。
海辺のカフェで仲良くなったお姉さんは、コーラをペンギンに変えることができ、そして胸が大きかった。これだけで掴みは完璧。心が躍る。
主人公とその友だちは、山奥で浮遊するゼリー状の何かをみつけ、ペンギンやその秘密を共有しつつ、なぞの解明に挑む。
なぞの浮遊物の実態、まちに出没するペンギン、そしてお姉さんの体調不良の波。これらが1つ繋がる時、事態は思わぬ方向に進み、最後は「あぁ、青春ってこうだよな」とせつない気持ちが溢れます。
これだから男の子に生まれてよかった。少年時代の青い思い出をSFとして昇華してくれた著者の森見登美彦さんには、感謝しかありません。最高の1冊でした。
Posted by ブクログ
主人公は小学生。常にメモする習慣を持ち自分の能力に自信がある。こんなキャラクターを「世間知らずな子供」と安易にカテゴライズしない所が面白い。
不思議なお姉さんとの交流と世界の変化。
「熱帯」を彷彿とされる1冊
人生の軌跡
ペンギンハイウェイは人生の軌跡だ。少年が信念を抱いて、成長していく姿がとても素敵で、可愛らしく、切ない。素敵な物語です。
科学少年のおねショタ冒険記!
お姉さんの男勝りな口調と主人公の大人ぶった物言いが面白い。
児童文学的な平易な語り口だが味があり、内容は少しミステリアス。現代ファンタジーとして良作。
少年時代の夏、不思議なお姉さんとの冒険と別れ、こういうお話が好きな方にオススメ。そういえばアニメ映画化もしたとか。
海
小学生の語る比喩が心地良い。
「海」は子どもにしか見えないトトロみたいなものだと思ったけれど,そう簡単なものじゃなかった。
生活は取り戻せた。
お姉さんは行ってしまった。
謎は解けないままだ。
なんだか切ない。
いつの日にか少年の願いが叶いますように。
淡い初恋物語
独特の文体で定評のある森見氏ですが、今回も炸裂してます。
少年とおっぱいの大きなお姉さんとのちょっと不思議な物語。藤子F不二雄氏のSF短編集を思い起こさせるような、素敵なお話です。
Posted by ブクログ
数年前にアニメ映画で一度観ていたので、お姉さんがペンギンを生み出す場面であったり、〈海〉について想像しやすかった。ペンギンやお姉さんの正体とは何かがはっきりと示されていないので、想像力で補う系統の作品である。小学生のアオヤマ君は、論理的で純粋であるために問題を抱えながらも、自分にはない幼さがとても羨ましく思う。
Posted by ブクログ
物語に起伏がなくて、小学生と知り合いのお姉さんの絶妙な関係と小学生の日常の描写が続きます。何が面白いのかいまいち分からないまま読み進めます。
そう思いながら最後のページをめくると、まだ終わってほしくない。この子達の話がまだ続いて欲しい。と、思いました。
森見登美彦先生の作品の登場人物は癖のある人物が多いのに、最後にはみんな好きになってしまうのが不思議です。また読みます。
(海の描写からレムのソラリスを想像しました。あっちもこんな素敵なものだったら良いのにね)
Posted by ブクログ
普段SFは読まない為、ついていけないと思うところはあったものの、面白いストーリーだった。後半のスピード感はドキドキしたし、アオヤマ君のキャラが良かった。結末は、アオヤマ君の気持ちを想像して、胸が痛くなった。私は、小学校中学年の頃、毎日何をしていたかな?この本を読んでから、ずっと思い出そうとしている。
Posted by ブクログ
久しぶりの再読。
少年たちとお姉さんのひと夏の物語。
遠い昔の子供の頃のきらめきを思い出させてくれるような小説。
まるで、いつかの夏の風や木のざわめきがふっと眼前にたちあがってくるようだった。
ラストがせつなく、夏の終わりにふさわしい読後感だった。
Posted by ブクログ
少年とお姉さん、友人達とのやり取りが会話調で軽妙に進んでいき、風や水の音の表現により目を閉じると情景が頭に浮かんでくるようで読みやすい内容だった。
最後までこの世界観は何だったのか、疑問は残ったままで、少し腑に落ちないところもあったが、それは少年の研究のように読み手の感じ方や想像に任せるところなのかな…と。
夏の終わりと共に不思議な世界は終わり、日常を取り戻していくことで、最後は少し切なく寂しい思いもあったが、前を向く少年の姿に少年から大人へと成長していく力強さを感じた。
Posted by ブクログ
アオヤマ君、小4とは思えない冷静さと研究家で、本人が思っている通り大人になったらずいぶん偉くなっていると思う。
アオヤマ君・ウチダ君・ハマモトさんがすごく落ち着いているから、スズキ君がめちゃくちゃ子供っぽく感じたけど、これが一般的な小学生だよな〜って思った(笑)
アオヤマ君がたまに見せる子供っぽい一面がとてもかわいかった。最後めっちゃ切ない。
Posted by ブクログ
少年時代に色々なことに興味を持ち、外で遊ぶことにワクワクしてた懐かしい感覚が思い出せた。
自分の場合は虫を捕まえたり、釣りに行ったとき魚を触り倒してた経験を思い出しました。
あの時の感じを忘れて自分はつまらない人間になってしまったなと、切なくも感じました。
最後の主人公が海について何か知っているか聞かれた時意地になって教えない感じ好き。
Posted by ブクログ
映画になっていることは知っていて、それの予告の映像の、本当に断片だけ、それだけが前情報の状態で読み始めた。
なので読みはじめてすぐ『思ってたんとちがう』でした。自身の勝手な想像のひとり歩きでした。ペンギン、めっちゃ出てくると思ってました。(確かにたくさんでますが)
日頃から身のまわりの不思議を複数かけ持ちで研究する主人公こと「アオヤマくん」。
ある日、突如住宅街に現れた「ペンギン」。
ひそかに気になっている歯科医の「おねえさん」がそのペンギンに関係していることを知り、「おねえさん」を研究対象に巻き起こる小学生日常ファンタジー。
どんなときも、どこまでも冷静沈着なアオヤマくんに、こんな強い人(人間)がいたらカッコいいけど心配にもなる。だけどこの世界はまわりの人物も分別あるので成り立っていてそれが森見登美彦の作品である。と思う。
登場人物、やはりみな面白いですし、学ぶものもある、なにより世界の秘密も気なり一気読みできる作品でした。
大人も子どもも楽しめる、森見登美彦の小説は好きです。
Posted by ブクログ
少年たちのひと夏の大冒険。
哲学者ような研究者のような少年は、友人たちと不可思議な出来事を調べていく。
そこには、1人の女性がいる。
冒険の最後を見届けて、この少年はきっとやり遂げるだろうと確信した。
少年たちに、幸あれ。
最後に、ハマモトさんかわいい。
Posted by ブクログ
普段、あまり小説を読まない自分が387Pを一気に読破してしまった……。(個人的快挙)
主人公の小学四年生・アオヤマくんには学ぶところしかなかった……。
映画をもう一度観たくなった。
※過去のSNS投稿を修正のうえ、転載
Posted by ブクログ
読むのに物凄い時間がかかった。なんでだろう笑
アオヤマ君、一見私より絶対賢いしなんで頭の良い子なんだろう!と思ったけど、所々見られる子供っぽさが可愛かった。ハマモトさんと同じくスズキ君うざいと私は思ってしまったけど、アオヤマ君はやっぱり怒らなくてさすがだと思った。
SF系?はあまり読まないから、最後の方の不思議な現象はまず想像するのにいっぱいいっぱいだった。
想像力が乏しいからか、結局お姉さんはなんだったのかとか海はなんだったのかとかそんなことばかり考えてしまう‥あとでたくさん考察を見てみよう。
探究心って大切なんだなぁと思った。あとは、学べば学ぶほど人生がより豊かになりそうだと改めて思った。
Posted by ブクログ
子供のある種純粋な部分がいくつか印象に残った。
過程は自分に合わなかったが、風呂敷を畳む部分はおもしろかった。
意外としっとり終わったのが意外でよかった。
小説は面白くなるまで読む根気が必要だなと感じた。
Posted by 読むコレ
初森見作品です。
かなり胸がざわついてます。
ちょっと僕の狭い読書経験では得られなかった凄いものを体験してしまったようです。
読んでいる最中は、これはどんな物語なのかと自問し頭を抱えていました。
ファンタジー的であり、SF的であり、ミステリ的であり。ジュブナイルの様な、世界の真理を求める難しい問いかけの様な。おふざけなのか、真面目腐っているのか…。
しかし読み終えた今は、これが少年の大冒険の物語(しかもかなり良質な!)だったと解釈でき、その素晴らしい体験の余韻に心を震わせている訳です。
これはまた読みたくなるなぁ…。
Posted by ブクログ
森見登美彦初めて読んだ。SF耐性があまりないからというのもあるけど、ずっと置いてきぼり感がある。でもお姉さんの魅力は理解できるし、少年がお姉さんに思いを馳せながら成長していくのも微笑ましい。
地図とか付いてても面白かったかもなあ、、。
Posted by ブクログ
小学生のアオヤマくんとお姉さんを巡る不思議な体験の物語。解釈が追いついてないが、おそらくパラレルワールド的な思考の物語で、〈海〉と呼ばれる時空の裂け目的なものを修復するためになんやかんやあってお姉さんが消失…みたいな感じ。
ませた小学生の語り口で進むこの物語は児童書的な側面がありながらわりと小難しいことを言ってたり。
でも、森見登美彦の新たな一面を見せられつつも、期待してるのはこう言う感じじゃ無いんだよな〜、もっとふざけてほしいなあってのが本音。「四畳半神話大系」にも「夜行」にも似つかぬ新領域。
Posted by ブクログ
2011年本屋大賞
ご存じ『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦作品。
四畳半神話神話シリーズに続き森見作品を手に取った。
私の廻りにはいなかった、将来名を残す天才は子供のころはこんな感じなんだろうなと思わせる主人公のアオヤマくんと、歯科助手の不思議なお姉さんとの物語。
アニメ映画化されているようだ。機会があれば見て見てみようかな。
色々研究熱心な主人公の街にペンギンの大群が現れる。嗚呼、森見ファンタジーの真骨頂。
このペンギンは何?どこから現れたのか?研究し明らかにする主人公なのであった。
研究熱心な主人公が地頭の良いパパから習い実践している問題解決のための3つのアプローチ。
1. 問題を分けて小さくする
2. 問題を見る角度を変えてみる
3. 似ている問題を探す
実生活にも参考になるので感想部に残す。
Posted by ブクログ
森見登美彦さんの小説は文章が難しく、なかなか頭に入ってこなくて読むのが遅くなってしまうのですが、
いつも終わり方が綺麗なので、読後はそんなに悪い印象を抱かないんですよね。
今回印象に残ったのは、避難勧告が出た後にみんなで学校を抜け出すシーンです。こういう逃走劇は大好きです(o^^o)
その後アオヤマくんが捕まった時に、スズキくんが逃がしてくれたシーンもいいなぁと思います。
スズキくん、大人たちに色々話してしまったのが後ろめたかったんでしょうね…。
騒動の後、ハマモトさんも含めてみんな仲良く過ごせていることを願います。
Posted by ブクログ
ファンタジーでした!
様々な研究は自分が小学生だった時のことを思い出した。スズキくんやハマモトさんもクラスに絶対いるキャラだった。
懐かしい感じもしつつ、海やペンギンなどの不思議な世界も味わえて素敵な作品。
Posted by ブクログ
子ども目線で書かれた小説。子どもの頃の頭のなかって、こんな感じだったかも。秘密の基地をつくったりして。題名だけで予備知識なく読んでみたら、これは子ども目線のSFファンタジー。
Posted by ブクログ
オーディオブックで聞いた。早熟で研究ノートを欠かさずつけ立派な大人になることを目標に「昨日よりも賢く」なるよう常に研究熱心な小学生男子が、歯科医院のお姉さんがコーラの缶をペンギンに変化させた不思議を友達と一緒に研究する様を描いたSF小説。
細々とした地理地形の話と小学生の村社会の話が中心でスケールが小さく聞いていて途中かなり退屈であった。終盤一気に加速するが、謎解きは「仮説」の段階で正解は明かされない。
読後、少年のひと夏の思い出の話だったんだな、という感想を抱いた。出会いと別れで、これからも少年の人生は続いていく。
終盤の超自然現象は森見登美彦らしい。今の所作者の本は3冊のみ既読だがどれも終盤に不思議なことが起こるのは同じ。