森見登美彦のレビュー一覧
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古典文学の腐れ大学生バージョン。
面白かった。
原作で既読なのが山月記と走れメロスのみなので、他の作品も読んでみようと思います。
特に印象に残ったのは山月記。元の現作より主人公が身近に感じて、その分心も痛みました。自分の語る夢に自分で苦しめられる経験は誰にでもある。諦めきれず、才能がない自分を認めたくなくて、人知れず消えたくなる。私もそんな思いになることがあります。でも袁傪(今作では夏目)目線で見ると「夢なんて生活の片手間で見たらいいのに、わざわざ人間を辞めることない」って言いたくなる。他人からしたら良くも悪くも人の夢なんてそんな物だなーと再認識しました。
千野帽子さんの解説で語られていた、「今作の主題は自意識の空回り」という言葉が腑に落ちました。森見先生の描く自意識に翻弄されながらも必死でもがく若者の姿が大好きです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ昔(2022/12/27)に一回読んだことがあって、そのときめっちゃ面白かった記憶があり、カバーが可愛くなっていたので、買ってしまった…!
やっぱり面白い。
森見さんの作品は夜は短し歩けよ乙女とか、四畳半神話大系が好きだけど、この本はふざけが全くない。
森見さんがふざけなしで本気で書いたらこういう感じの話になるんや…!と感動
珍しく、京都だけに焦点を絞らず、尾道や、東北など、各所での儚くて摩訶不思議な物語が描かれていた。
書く物語も、オチが本当に切なくてロマンチックで素敵
1番メインの場所は、貴船口駅周辺
以前京都に住んでいたこともあり、貴船のあの有名観光地なのに飾りすぎない京都らしい雰囲気で、いかにも起こりそうな物語だなと思った。
みたことある場所だから、この世界観がすっとはいってきて本当に良かった。
良き作品だった…!
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Posted by ブクログ
モリミーが『竹取物語』の現代語訳・・だと・・?
これは読まずにはいられないでしょ!
思えば“かぐや姫の物語”って、小さい頃読んだ昔話の絵本だったり紙芝居だったりの内容のまま止まっていて、『竹取物語』をちゃんと読んだことなかったかも。
そんな訳で、竹林といえばモリミー、黒髪の乙女に翻弄されて右往左往する殿方といえばモリミー・・つまり、竹取物語×森見氏というまさにナイスマッチングな本書をワクワクしながら読ませて頂いた次第です~。
うむ!読みやすくて良き!
『新釈 走れメロス 他四篇』のような、モリミーワールド全開というのではなく、さすがに“ちゃんと訳して”いるので、所謂“森見節”的なものは控えめでございます。
とはいえ、所々に薄っすら出てくる“モリミー・エッセンス”が、五人の求婚者たちのトホホな感じを説妙に表現していて、“さすが、アホな男たちを描かせたらモリミーの右に出る者はなし!(ええ、贔屓してますとも)”って感じです。
あと、物語の中で
(例えば求婚者の一人が「燕の子安貝」をゲットできなかったエピソードの後に)
“・・この出来事から、思い通りにいかない事を「貝がない」すなわち「甲斐がない」と言うようになったのである・・”
てな感じで、ダジャレっぽい「語源」ネタ(?)が度々投下されていて、訳を読んでいるときはモリミーのアドリブかと思ったのですが、本書の後半に収録されている「講義」によると、原文でホンマに“ダジャレ語源”が描かれているとのこと。
そう、『竹取物語』って、五人の求婚者のお間抜けぶりも含めてユーモラス且つ遊び心あふれた物語だったのですね~。
ところで、かぐや姫って罪人として月から地球に島流しされていたらしいですが、月の都で何をやらかしたんでしょうね?ちょっと気になった私です。
ということで、森見版『竹取物語』を大いに楽しませて頂きました。
さらに、あとがき&講義も森見氏がどのような思いで訳に臨んだのか等々・・こちらも興味深く読ませて頂いた次第です~。
因みに、巻末で紹介されている河出文庫さんの「古典新訳コレクション」のラインナップを見ると、様々な作家さんが現代語訳されていて、他の古典作品も是非読んでみたくなりました♪ -
Posted by ブクログ
精神的に来る恐怖体験を描いた連作集。とくに最初の3話がよかった。文章もいい。
1話目、妻の得体のしれなさが怖い。配偶者って家族だけど他人でもある。その距離感が得体の知れない不気味さにつながるのだろうか。
2話目は語り手が気持ち悪い。登場人物全員しょうもない。ミシマさんは存在感がある。
3話目の語り手も怖い。幼ななじみの少女ってそういうことだろうなと思ったら案の定。
終わりの2話は話に収拾をつけようとして説明的になり尻すぼみ感。その説明も微妙だし、オチのない悪夢のような連作集でよかった気がする。
あと表紙の女性はこちらに背中を向けていた方が雰囲気あったと思う。 -
Posted by ブクログ
どこかふざけておちゃらけている森見節が鳴りを潜めている作品。
不気味で不思議な、ホラーとも言える物語。
正直あまり期待してなかったのだけど、思ったよりも面白かった。
全4篇の作品集で、それぞれ語り手は違うのだけど、どこか繋がっているようないないような不可思議さ。
最初の「きつねのはなし」が一番面白かったし怖かった。
どの話も読み終わってなんだかもやもや、疑問の残る感じ。でもそれが不快ではなくて、こういう読み心地は初めてかもしれない。
読み終わってすぐにまた最初のページに戻って読み返すと、また違ったものが見えてきそう。
森見さんはあのおふざけ節が面白いのだけど、たまにこういう雰囲気のものもあって予期せず驚かされる。
この本は「夜行」とか「宵山万華鏡」の部類かも。
読書って予想外に面白いとすごい嬉しいな。
まだまだ森見作品読みたくなった。