森見登美彦のレビュー一覧
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前半は軽妙で、それこそニヤリと笑ってしまうところもあったのに、後半に行くほど引きつった顔しかできなくなってしまった。
特に、台湾の雑誌に掲載していたというエッセイ集、読むほどに気持ちが重くなっていく。
小説家のスランプほどつらいものはないんじゃないだろうか。
迫る締め切り、埋まらない空白、動かない頭、先走る心、寄せられる期待の目、いっそ隠れたい。
自分や周囲を切り取って小説に書く人ならなおさら、小説が書けないということは、自分自身を見失うことでもある。ような気がする。
不調も3年続けば実力、という境地に至るまでに、どんなにぐるぐるしただろう。
想像するほどに、つらい。
けれど、ここで書き終えて -
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ネタバレまえがきにある、「眠る前に読むべき本」という解説がぴったりくるエッセイ集でした。
森見さんの作品はいくつか読みましたが、好きだと思えるものもあれば、自分には合わなかったものもあり。それらがどんな風に生まれてきたか、いくつかの作品については当時の様子も書かれていて興味深いです。
14年分の文章が集められていて、その主張が一貫しているところがすごいと感じました。
・とりあえず書いてみて、妄想がどう膨らんでいくかに委ねる
・構想の範囲におさまるなら書かなくていい
・物語のかけらは日常の端に転がっている
・奈良
・四畳半
・京都を描いているけれど京都が好きで好きでたまらないわけではない
「四畳半 -
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学生のときに古文をかじっていたから楽しく読めた。勉強していて良かった。
古文を古文のままで理解できない自分としては、現代語訳に頼ったり自分なりに訳したりしながら読むわけだけれど、どうしても型にはまった蓄語訳は分かるのやら分からないやらはっきりとしないと言うことが起こる。そこが楽しむことを目的として古典を読む際の障りとなってしまうので、こういう訳者のカラーが表れている現代語訳は面白い。
古文って行間を読む楽しさが詰まっているのだと分かる。町田康はやりすぎの感もあったが。
自分は森見登美彦、妻は町田康が好きなので、両者の需要が一致した一冊だった。
両作家が現代語訳を手がけた作品の方はまだ買ってない -
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京都を舞台とした、狸と天狗と人間(そして半天狗と)の物語です。
大人物だった親父を亡くした四兄弟の狸。
かれらのうち一匹とて親父のような豪傑然とした狸はいない。
堅物で詰めの甘い長男、
やる気のない次男、
遊び人の阿呆者である三男。
まだまだ子どもの半人前、四男。
そんな彼らのうちの三男、矢三郎を主人公として、
天狗の赤玉先生やその弟子である弁天などとの関わりが
すなわちそのまま物語になっています。
いやあ、面白いですよ。
愉快なエンターテイメントです。
こんなにおもしろいのってあるんだ!というくらいに想像を超えておもしろい。
そして、七章あるうちのひとつひとつがそれぞれでおもしろいのに、
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眠くなってきたので手短に。
去年、池澤夏樹さん個人編集の「日本文学全集08」を読みました。
ほかでもない、十数年追いかけている作家、町田康さんの「宇治拾遺物語」が読みたかったから。
いや、爆笑しました。
古典を読んでこんなに笑ったのは初めて。
中学、高校時代に出合っていたら、古典が好きになっていたに違いありません。
本当は古典って面白いものだと思うんです。
それを恐らく研究者や学者たちが、無用に格調高いものにしてきたんでしょうなぁ(恨み節)。
あ、で、本書はその日本文学全集で各作品の新訳を手がけた作家たちによる講義集。
もちろん、町田康さんの「宇治拾遺物語」の講義も含まれています。
私は、町田 -
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太宰治の短編をまとめた『傑作選』。まとめたのは走れメロスを聞いて「恥ずかしくて耳をふさ」いだ、という森見登美彦氏。
最初に収められた「失敗園」を読んで思い出したのは「宮沢賢治」で、最後に収められた「走れメロス」を読んで思い出したのは「雨ニモマケズ」だった、というのが個人的な感想。
「失敗園」は【農作物の擬人化】作品。田舎に住んでいる人間の「あるあるネタ」を読ませるものにした一作。田舎の津軽出身であることをコンプレックスにしている作品が多い太宰治が、こうも生き生きした農作物を書けるのか、と驚きを感じる一作。
「走れメロス」は教科書に載せたくなる【己の弱みに打ち勝った美談】。しかし、この『傑 -
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池澤夏樹編集の日本文学全集を何冊か読んだので、気になって買いました。
『古事記』『日本霊異記』辺りは、男女の……とレビューでは言えないようなワード満載で、初っ端からこの勢いか!とビックリする。
でも、そんな赤裸々な『古事記』が日本のどこか源に流れているような気がして、ちょっと好き。
森見登美彦『竹取物語』も、読んだけれど、後から考えるとまだ大人しい。
かぐや姫の「地球に対するツン」発言は笑った。
どんな業を背負っているかは、地球人ごときが知る由もないこと、という解釈の仕方(ごめん、ごときとは仰ってませんが)は割とマトモで好き。
輪廻転生、盲点でした。
からの、町田康『宇治拾遺物語』!
そ -
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竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
なものを除いて)
初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
要因だろうと思います。
中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
が垣間見える部分。
堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
土佐日記の紀行文としての情