森見登美彦のレビュー一覧

  • 太陽と乙女(新潮文庫)

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    前半は軽妙で、それこそニヤリと笑ってしまうところもあったのに、後半に行くほど引きつった顔しかできなくなってしまった。
    特に、台湾の雑誌に掲載していたというエッセイ集、読むほどに気持ちが重くなっていく。
    小説家のスランプほどつらいものはないんじゃないだろうか。
    迫る締め切り、埋まらない空白、動かない頭、先走る心、寄せられる期待の目、いっそ隠れたい。
    自分や周囲を切り取って小説に書く人ならなおさら、小説が書けないということは、自分自身を見失うことでもある。ような気がする。
    不調も3年続けば実力、という境地に至るまでに、どんなにぐるぐるしただろう。
    想像するほどに、つらい。
    けれど、ここで書き終えて

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    2020年10月22日
  • 太陽と乙女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    まえがきにある、「眠る前に読むべき本」という解説がぴったりくるエッセイ集でした。

    森見さんの作品はいくつか読みましたが、好きだと思えるものもあれば、自分には合わなかったものもあり。それらがどんな風に生まれてきたか、いくつかの作品については当時の様子も書かれていて興味深いです。

    14年分の文章が集められていて、その主張が一貫しているところがすごいと感じました。
    ・とりあえず書いてみて、妄想がどう膨らんでいくかに委ねる
    ・構想の範囲におさまるなら書かなくていい
    ・物語のかけらは日常の端に転がっている
    ・奈良
    ・四畳半
    ・京都を描いているけれど京都が好きで好きでたまらないわけではない

    「四畳半

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    2020年10月17日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    古典文学を訳すにあたり、作家たちがどう読み取って現代語訳に落とし込んだか、その思考の一端に触れることができる。
    訳された作品だけでも面白いが、本書も合わせることでより読み易くなったと感じる。
    是非一緒に読んでもらいたい。

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    2020年10月07日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    教科書、それも抜粋でしか触れたことがなく、苦手意識もあった古典文学が、現代語訳と更に訳者の個性も加わったことで、とても読み易く物語に入り込めた。
    また、この全集には対となる「作家と楽しむ古典」という本がある。
    訳者自身による解説で、原典への解釈やそこから感じた思いなどを知ることができて、物語への理解がより深まったように思う。
    是非合わせて読んでもらいたい。

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    2020年10月07日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    竹取物語・森見登美彦/伊勢物語・川上弘美/堤中納言物語・中島京子/土左日記・堀江敏幸/更級日記・江國香織。現代語訳で読みやすいが、例えば森見ならもっともっと森見節で書いて欲しかった。伊勢は元が好きでないが、歌の訳が流石。堤中納は初見。虫愛ずる姫君のみ知ってた。他に図々しい坊主など。土佐日記初見、愚痴じゃん。ひらがな辛い。更級日記。猫に宿った姫君の話。「焦がれた物語を読む楽しさといったら妃の位も及ばない」そうそう!

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    2020年10月05日
  • 太陽と乙女(新潮文庫)

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    単行本は読んでいたので、増補された部分を目的に再度手に取った。
    特に西東三鬼『神戸・続神戸』の解説と、追加されたあとがきでより最近の登美彦氏の心情が読み取れる。
    苦心されて居られるようだけど、それでも新作も出たことだし、これからも末永く楽しませていただければと心から願うばかり。

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    2020年09月05日
  • 太陽と乙女(新潮文庫)

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    くすくす読んでるうちに、思いがけず真面目な内容にはまり込み、結局最後まで読みきってしまった。それなのにあとがきに「一気に読むのはオススメしない」とある。そういうことは最初に言ってください。言われてもやめないけど。著者と自分の経歴は微妙に重なったり交差したりする部分があるので、個人的にはとても読みやすく理解しやすい。でもだからこそ他の多くの人がこの本をどう読むのかさっぱりわからない。読書はごく個人的な行為だと思うので、それでいいと思うけど。

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    2020年07月19日
  • 夜行 下

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    勝手なイメージかも知らんけど、モリミーの世界観と少女漫画の画風が相容れない。だからこそ、原作とは違った趣があるという見方もできるけど。本作に関しては、漫画化によって、原作よりもホラー要素が強まっている印象。原作の時にはあまり感じなかったけど、そこかしこで恐怖感が感じられる仕上がりになっている。それはそれでアリかもね。

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    2020年06月17日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    学生のときに古文をかじっていたから楽しく読めた。勉強していて良かった。
    古文を古文のままで理解できない自分としては、現代語訳に頼ったり自分なりに訳したりしながら読むわけだけれど、どうしても型にはまった蓄語訳は分かるのやら分からないやらはっきりとしないと言うことが起こる。そこが楽しむことを目的として古典を読む際の障りとなってしまうので、こういう訳者のカラーが表れている現代語訳は面白い。
    古文って行間を読む楽しさが詰まっているのだと分かる。町田康はやりすぎの感もあったが。
    自分は森見登美彦、妻は町田康が好きなので、両者の需要が一致した一冊だった。
    両作家が現代語訳を手がけた作品の方はまだ買ってない

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    2020年05月03日
  • 奇想と微笑~太宰治傑作選~

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    太宰治というと、新潮文庫版の「人間失格」の真っ黒い表紙からの連想で、なんだかとにかく真っ黒い印象でしたが、こんなにユーモラスな文章も書く人だと知って嬉しくなりました。
    本書の中では「畜犬談」が好きです。
    「犬の心理を計りかねて、ただ行き当たりばったり、無闇矢鱈に御機嫌をとっているうちに、ここに意外の現象が現れた。私は、犬に好かれてしまったのである。」なんて、絶妙のリズムでおもわず笑ってしまいました。

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    2020年03月08日
  • 夜は短し歩けよ乙女 新装版 上

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    夜は短し歩けよ乙女のマンガ版
    原作の世界観がしっかりと再現されています。
    なにより乙女がかわいい

    偽電気ブラン
    古本市は原作にあり、
    占い、雨宿り、ペンはオリジナルストーリー

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    2019年12月21日
  • 太陽の塔(1)

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    森見登美彦氏原作、太陽の塔コミカライズ。
    絵が可愛い。可愛すぎて原作を読んだときの想像とは違う気がするが、とりあえず次巻を待つ。

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    2019年05月19日
  • 有頂天家族

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    京都を舞台とした、狸と天狗と人間(そして半天狗と)の物語です。
    大人物だった親父を亡くした四兄弟の狸。
    かれらのうち一匹とて親父のような豪傑然とした狸はいない。
    堅物で詰めの甘い長男、
    やる気のない次男、
    遊び人の阿呆者である三男。
    まだまだ子どもの半人前、四男。
    そんな彼らのうちの三男、矢三郎を主人公として、
    天狗の赤玉先生やその弟子である弁天などとの関わりが
    すなわちそのまま物語になっています。

    いやあ、面白いですよ。
    愉快なエンターテイメントです。
    こんなにおもしろいのってあるんだ!というくらいに想像を超えておもしろい。
    そして、七章あるうちのひとつひとつがそれぞれでおもしろいのに、

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    2025年07月17日
  • 宵山万華鏡

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    森見節と少しホラー 宵山の祭を巡る群像劇。

    半分はいつもの森見さんらしく、青春と不思議が交わった感じ。残りは少しホラーチックの、最近だと「夜行」のようなスタイル。

    登場人物が少しずつ関係し合い、物語の裏側、関係が明かされていくのが非常に心地よかった。

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    2025年12月28日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    眠くなってきたので手短に。
    去年、池澤夏樹さん個人編集の「日本文学全集08」を読みました。
    ほかでもない、十数年追いかけている作家、町田康さんの「宇治拾遺物語」が読みたかったから。
    いや、爆笑しました。
    古典を読んでこんなに笑ったのは初めて。
    中学、高校時代に出合っていたら、古典が好きになっていたに違いありません。
    本当は古典って面白いものだと思うんです。
    それを恐らく研究者や学者たちが、無用に格調高いものにしてきたんでしょうなぁ(恨み節)。
    あ、で、本書はその日本文学全集で各作品の新訳を手がけた作家たちによる講義集。
    もちろん、町田康さんの「宇治拾遺物語」の講義も含まれています。
    私は、町田

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    2017年11月19日
  • 奇想と微笑~太宰治傑作選~

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    太宰治の短編をまとめた『傑作選』。まとめたのは走れメロスを聞いて「恥ずかしくて耳をふさ」いだ、という森見登美彦氏。

    最初に収められた「失敗園」を読んで思い出したのは「宮沢賢治」で、最後に収められた「走れメロス」を読んで思い出したのは「雨ニモマケズ」だった、というのが個人的な感想。

    「失敗園」は【農作物の擬人化】作品。田舎に住んでいる人間の「あるあるネタ」を読ませるものにした一作。田舎の津軽出身であることをコンプレックスにしている作品が多い太宰治が、こうも生き生きした農作物を書けるのか、と驚きを感じる一作。

    「走れメロス」は教科書に載せたくなる【己の弱みに打ち勝った美談】。しかし、この『傑

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    2017年08月31日
  • 聖なる怠け者の冒険

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    主人公、小和田君は怠け者。と言っても、平日はしっかり働いているので、週末くらい怠けてもいいと思う。週末に遊び倒そうという恩田先輩、桃木さんのカップルの気持ちもわからないではないけど、体力があるなとうらやましい。四畳半ヒーロー、ぽんぽこ仮面は純粋に偉い。ぐうたらな浦本探偵は天才で大物。迷子の玉川さんは宵山万華鏡に登場してた?有頂天家族にも登場する土曜倶楽部の謎が少し明らかに。思わせぶりな結末は続編を匂わせる?やっぱり楽しい森見ワールド。

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    2026年01月12日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    池澤夏樹編集の日本文学全集を何冊か読んだので、気になって買いました。

    『古事記』『日本霊異記』辺りは、男女の……とレビューでは言えないようなワード満載で、初っ端からこの勢いか!とビックリする。
    でも、そんな赤裸々な『古事記』が日本のどこか源に流れているような気がして、ちょっと好き。

    森見登美彦『竹取物語』も、読んだけれど、後から考えるとまだ大人しい。
    かぐや姫の「地球に対するツン」発言は笑った。
    どんな業を背負っているかは、地球人ごときが知る由もないこと、という解釈の仕方(ごめん、ごときとは仰ってませんが)は割とマトモで好き。
    輪廻転生、盲点でした。

    からの、町田康『宇治拾遺物語』!

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    2017年03月06日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
    どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
    読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
    なものを除いて)
    初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
    もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
    多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
    要因だろうと思います。
    中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
    恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
    が垣間見える部分。
    堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
    家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
    土佐日記の紀行文としての情

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    2016年10月02日
  • 奇想と微笑~太宰治傑作選~

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    「ヘンテコ」で「愉快」な太宰治傑作集。まさにその通り。いい意味で太宰のイメージが壊れた気がします。やっぱり文体は読みにくいのだけど、太宰ってこんなに楽しい話も書くのか、という感じ。太宰の他の話も読んでみたい。

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    2016年02月11日