森見登美彦のレビュー一覧
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「四畳半王国建国史」
『四畳半王国見聞録』は短編集ではあるのだが、各短編は舞台を同じくしており、「阿呆神」という神様が共通して登場する。
この構成は『宵山万華鏡』と同じだ。
「四畳半王国建国史」は全体としてみるとプロローグにあたる。
「蝸牛の角」
『四畳半神話体系』の「私」や樋口師匠が登場する。
『熱帯』の物語の入れ子構造に近い構成。
「真夏のブリーフ」
柊と楓さんの寝言は、作中の雰囲気からすると面白く聞こえるかもしれない。
しかし、『夜行』などの作品に通ずる、はっきりと正体のわからないホラーっぽさを少しだけ感じた。
「大日本凡人會」
他作品でもよく描かれる阿保な大学生の話というジャンル -
購入済み
誰もが通る青春に想いを馳せる
森見登美彦さんの独特の文体を楽しめる作品。
自分の大学生活を思い返して、あの頃の焦がれるようなもどかしい記憶の断片がちくり、と。
ファンタジー要素も満載ながら、甘酸っぱい青春に想いを馳せずにはいられない。
この物語の登場人物全員に会いたくなった。 -
購入済み
雰囲気は出ているが
現代を舞台にしたファンタジー小説。
特にこれと言ったオチも無く、何がなんだかわからない作品。
何かテーマがあるのかも知れないか、私には分からなかった。
ただ、ミステリアスでホラーな雰囲気はよく出ている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【気になった言葉】
「小説を読むということは別世界への「旅」である。」 (P 198)
「俺は恥ずべきことは何もしていない」 (P 221)
【感想】 森見登美彦先生の背景がふんだんに盛り込まれており、今まで読んできた数々の森見登美彦先生の小説の別の見方を教えてくれる。何よりもうらやましいのが先生が処女作(本内では童貞作)『太陽の塔』のモデルとなった友人の姿である。「君の恥ずべき行状が暴露されてしまうがいいのか?」という問いかけに「かまわん」「俺は恥ずべきことは何もしていない」という一言が印象的だ。
こんな素晴らしい友人に出会ってみたい。 -
Posted by ブクログ
森見登美彦氏の日常と非日常がここに。
様々なところに掲載されたエッセイを集めたもので、色々な著者の面が描かれている。スランプだったんだ、とか。書くことに対する姿勢とか。
「まえがき」にもあるが、確かにこれは眠る前に読むべき本かもしれない。どこからでも読み始められ、どこでも終われる。そして暗い気持ちにはならない。ぽかぽかした気持ちで本を閉じられるのだ。
著者はどうも「京都」を書く作家というポジションを与えられがちだ。でも、この本を読んで、どちらかというと「奈良」かな、と思った。あくまで、私のイメージの「奈良」だけど。本にもあったが、「奈良的静寂」「古事記時間」ということばがしっくりくる、緩 -
Posted by ブクログ
大学生か高校生くらいの頃に凄く話題になっていた本で、当時数ページ読んで文体が好きじゃないなぁと思って読むのを諦めてしまっていた。
おすすめの恋愛小説にウェブで上がっていたので改めて読んでみた。
癖のある文体だけれど、作者のこだわりでここまで徹底的にされているのであればむしろ美しく思った。
主人公の先輩は失敗したくないからなかなか一歩が出ないというあたりが、ゆとり世代のようで共感する人は多いだろうなと思った。
ストーリーはライトノベルのように分かりやすいが、ライトノベルよりもボキャブラリーが段違いに多い。
どこかちぐはぐな感じがして、それがまた面白い。