葉真中顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
湊かなえさんの新刊を読む前に読みたいな、と読みたいリストから手に取った。
戦後最多の大量殺人事件を起こした犯人に死刑判決が下された。事件の被害者にはある共通点があった。犯人の真の目的とはー…?
物語の構成に序盤から引き込まれた。
誰しもが逃れられない、他人事ではいられない、「介護」。
認知症患者の介護の過酷さ、悲惨さ、介護業界に携わる人たちの苦悩…分かっているようで、分かっていなかった。
自分が当事者にならない限りは、本当の意味で分かることはできないのだろう。
10年以上前に執筆された作品だが、今の日本に重なる部分がたくさんあって興味深かったし、怖くも感じた。
超高齢化社会どころか、超超超!高齢化社会になっていく日本。
実際、私が住んでいる地域は周りが高齢者ばっかりで、私たち世代の人も少ないし、子どもが本当にいない…!
既にこういう状況なのに、私が高齢者になる頃には日本の人口の40%以上が高齢者という計算になる。
その頃の日本は一体どうなっているのだろう?
犯人の言葉の一つ一つがすごく胸に響いた。
「人殺しは決してしてはいけない」という自分の中の概念が揺らいでしまいそうになった。
「やるべきことをやる」、「分かっていたはずだった」という言葉が胸に重たくのしかかってくるようだった。
「分かっていたはずだった」と、将来絶望することにならないように、私たちが「やるべきこと」とは?
問いかけてくるような作品だった。 -
Posted by ブクログ
日本社会の闇に迫っている。
認知症が進んだ親や義理の親を介護せざるを得ない人たちが、人間の尊厳すら保つことができす、苦しみながら生きなければならない現実をつきつけられた。
私は姑に結婚以来10年以上いびられ、実家の家族までも蔑まれている。湧き上がる憎悪に蓋をして、自分を騙し騙し生きている。この上、認知症になり、介護が必要になり、私が面倒を見ることになったとき、持ち堪える自信がない。こうなるとロストケアが本当に罪なのか、わからなくなる。ロストケアなど不必要な社会をつくらねばならない。
政治家は、介護を必要とする人と介護する人を仲介するとき中抜きする事実を洗い出し、まずこの悪事を正すべき。そして、我々もこの社会の闇に関心をもつべき。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ良い意味で期待を裏切られた作品です。
葉真中作品はデビュー作である「ロストケア」でドハマりし、続く「絶叫」、「Blue」と高評価をつけ読み終えました。
「ロストケア」は社会派の最高傑作だと思っていますが、だからこそ私が葉真中作品に求めるのも社会派作品。
手元で積読となっている著者の2作品「凍てつく太陽」、「灼熱」もブク友さんのレビューを読めばそっち側の作品。
でも、本作は違うんだよなぁー。
前面に出てくるのは所謂パニック小説。
わずか数時間の出来事を651Pの作品にすると、リアルに伝わってきますよね。
恐怖、パニック、悲鳴、絶望...
閉鎖された空間でまさに狩りが始まりますが、狩られるのは「人」、獣達に襲われ、食い殺されていきます。
※本書は「ロストケア」と違い映像化しちゃダメなヤツです。
本作の主人公って...
当初は隆平かと思いきや、早々に...
結愛?拓人?栞?シンって見方も出来るけど、アイを中心にって考えても面白い…
ウーン...?(*_*)?
単なるパニック小説としても読み応え十分な作品なのですが、やはり考えさせられんですよねー「種差別の克服」。
ここまでの感想、きっと未読の方にはチンプンカンプンですよね^^;
でも読み終えた読者の方ならきっと共感頂けるのではないかと...(苦笑)
目的のためには殺人も辞さない過激な動物愛護団体、『DOG』。遺棄動物の譲渡会が行われる会場に集まった隆平、栞、結愛と拓人たちは、『DOG』によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。獣から逃げるため、逃走を開始する人間たち。「ヒト」と「ケモノ」を隔てるのは何か。
内容(「BOOK」データベースより)
殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!
著者について
葉真中 顕
1976年東京都生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。2011年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。2012年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー。『絶叫』が第36回、『コクーン』が第38回吉川英治文学新人賞候補となる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
葉真中/顕
1976年東京都生まれ。2009年『ライバル』で第1回角川学芸児童文学賞優秀賞を受賞。’12年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Posted by ブクログ
葉真中顕『W県警の悲劇』徳間文庫。
架空のW県警を舞台に描かれた連作短編警察小説。
今に始まったことではないが、正義の使徒であるべき警察の腐敗。テレビの『警察24時』などでは警察の手柄ばかりを取り上げているが、その裏ではかなり良からぬことを行っているのは間違いない。
連作短編の形式を取り、1つ1つの短編に様々な伏線や仕掛けを巧みに入れて、各々の短編が読み切りかと思いながら読み進んだのだが、実は1つの壮大な物語として構成されていたという驚きの作品。
県警初の女性警視昇進の野望を抱く監察官の松永菜穂子と父親の警部・熊倉哲を失った娘の熊倉清巡査の二人の女性警察官の物語なのだ。なかなか面白い。
『洞の奥』。事件の真相の意外性と犯人の罪深さに驚かされる。県警初の女性警視昇進の野望を抱く監察官の松永菜穂子は警部の熊倉哲に指定暴力団の若頭に捜査情報を漏洩している署内の人物の捜査を指示する。しかし、熊倉は遺体となって発見される。そして、事件はそれだけでは終わらず……
『交換日記』。読者にミスリードを誘うような叙述トリックが光る短編。まさか第1話とパターンを変えてくるとは。最悪の結末を予測したのだが……
『ガサ入れの朝』。こちらも叙述トリック。内容的にはかなりライトである。冒頭に熊倉警部の話題が出てくるのは、この後の伏線なのか。まさか警察の鑑識の千春が……
『私の戦い』。痴漢を巡る捜査。なるほど、そういう仕掛けがあったのか。
『破戒』。神父の犯した殺人の真相は……誰もが怪しく、誰にもアリバイが……
『消えた少女』。遠足の最中に失踪した少女の捜索に警視正に昇進した松永菜穂子が加わり、恐るべき明快な推理力を発揮する。少女の失踪はあっさりと解決するかと思えば……
この結末からすると、やはり熊倉清は……
確かに『W県警の悲劇』である。
本体価格690円
★★★★★