葉真中顕のレビュー一覧
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絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。
カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、
『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。
各章に登場するそれぞれの登場人物たちが見る闇と地獄。そして幕間に登場するある女性の壮絶な人生。葉真中さんの筆力はますます乗ってきているというか、光無き世界とその運命に翻弄される人物たちを、容赦なく描きます。どれもシリアスで暗い話ばかりですが、ついつい引き込まれます。
そして、第4章を読み始めたとき「ん?」と思う人もいる -
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葉真中顕『コクーン』光文社文庫。
平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。
東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。
タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なの -
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人は孤独が一番の恐怖なのか、と考えさせられました。
つくづく人間って弱い生き物だし、間違っているとわかっていながら自分の保身の為に多数派に身を置くんだと思った。
その辺の心理を上手く操って、洗脳していく瑠璃子。
瑠璃子に限らずこういう人間はどこにでも存在するんだと思うとぞっとする。
洗脳、マインドコントロール、人間の弱みにつけ入って抜け出せなくさせる。
怪しい人には近づかない、関わらない、スキを与えない、環境の大切さや正しい判断、自分の弱さに負けない強さ。
結局こういう犯罪者も自分の弱さからきているものなので、負の連鎖が行き着く先はとんでもない所にまで発展するんだと思う。
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ネタバレめちゃくちゃ興味深い作品だった。
2011年に表面化した「尼崎連続変死事件」をモチーフにした本作。
全てフィクションらしいけれど、同じような事件が実際あったと思うと、身震いするぐらい怖い。
作中では、家族をどんどん増やしていく。
血のつながりは関係ない。
関係性の中に「愛」があるかどうか。
ただそれだけの観点で歪んだ家族がどんどん肥大していく感じ。
「家族なんだから」という言葉が頻繁に使われている。
たとえ血の繋がりがなくても、愛情さえあれば家族なんだと。
しかし、暴力で支配することは家族とはいえない。
自分の思うように世界を作ってくれる存在を家族とは言えない。
「愛」とは一体なん -
Posted by ブクログ
読みたくないのに、読まないともっと不安になる。そんな感覚にさせられる作品だった。メンタルが強い人にしか勧められない本になります。
家族へ入り込み、乗っ取り、相互に暴力を振るわせながら支配していく構造が描かれる。読んでいて何度も息が詰まりそうになった。特に序盤で印象に残ったのは、主犯の妹が語る「考えてはダメ」「自分で決断してはダメ」「人は自分で考えると孤独になる」という言葉だ。“家族”への依存を植え付け、実社会へ戻れなくさせる支配の論理が垣間見えた。
自分が同じ状況に置かれたら、どう抗えるのか。
簡単に「自分は大丈夫」とは言えない怖さがある。
登場人物は多く相関も複雑で、巻末の相関図を何度 -
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もう苦しくなるのわかってたから、この本買う時も相当迷って、でもこういう事件起こる度にどうしてなんだろう、なんでこんなにも他人に征服されて、家族を死に追いやるまでになるんだろう。
その心理はなんなんだろう。って気持ちがあって、読み始めて、でもやっぱり苦しくて苦しくて、途中でやめるのもできなくて、結局、2日くらいで一気に読んでしまった。
これはあくまでフィクションで、実際の事件の当事者たちの心境はわからないけど、あくまでこの小説に対する感想なんだけど、人間は順応してしまう、学習してしまう、そして慣れてしまう。異常な状況にも。
そして本当にちょっとした心の隙間や、寂しさに、寄り添われた感じた時に、受 -
Posted by ブクログ
2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフに書かれた小説。当時もなぜ、こんな不可解な事件が起きたのか恐ろしくも興味深く感じ、週刊誌を読みましたが、小説となりより追体験感を増した本作は最悪の読み心地をもたらしてくれます。恐ろしくて嫌な気持ちになるのに、面白くて、夜中に一気読みしました。事件を知っているからこそ、新しい犠牲者のエピソード来たりすると、逃げて逃げて逃げてと思いながら読む。有間稔の「いつどの時点なら、食い止められたのだろう。」という自問は読みながら、自分だったらどうするだろう?どうやったらこの地獄から逃れられるのかと考えながら読み進めました。
暴力で精神的に支配される恐ろしさ、そ