葉真中顕のレビュー一覧
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葉真中顕『コクーン』光文社文庫。
平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。
東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。
タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なの -
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「尼崎事件」をモチーフとした小説。「尼崎事件」についてはノンフィクションの『家族喰い』を以前読んでいたので、人物相関と事件の全容はある程度頭に入っていた。本作はフィクションだが、人物相関はほぼオリジナルの事件を踏襲していると思う。だからこそリアリティがあるし、ノンフィクションでは想像するしかなかった被害者及び加害者側の心理描写があって面白い。面白いという形容は不謹慎かもしれないけど…ゾクゾクしながら一気読み。
事件当時も衝撃を受けたが、主犯格の女はなぜこんなに酷いことが出来るのか、全くもって理解不能。生い立ち次第で、こんな人格が形成されてしまうのか?倫理観や常識が欠如した人達に乗り込まれて、 -
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読みたい作品ではあったけど今の自分にはリアルすぎて敬遠してました。
ロスト・ケア…喪失の介護
たぶんもう内容はみなさんご存知ですね。
まずは介護に携わっているみなさんに
「ありがとうございます」と伝えたいm(_ _)m
私ごとですが
義母が認知症になったのが約10年前
義父との二人で暮らすいわゆる老々介護でした
義父から血便で救急車を呼ぶから至急家に来て欲しいと連絡が…この怒涛の1日から生活が一変。
義父は入院し義母はケアマネージャーの勧めで診療内科に入院。旦那52歳仕事もバリバリ忙しい。
両方の病院をハシゴしながら今後を考える。
猶予はない!義父は退院したら同居が暗黙の了解です。その -
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ネタバレ一気読みしました。
後半の犯人がどんでん返し。
↓あらすじ
その日、地方裁判所ではひとりの連続殺人犯に死刑判決が下されようとしていました。彼は、のべ43人もの人間を殺害し、そのうち十分に裏が取れた32件の殺害と1件の傷害致死の容疑で起訴されています。
彼は、死刑執行で自分の存在が消え去ったあとを想像し、微笑みを浮かべていました。「後悔はない、すべて予定通りだ」。
傍聴席から彼の姿を見ていた羽田洋子は、母を殺された被害者です。しかし、これまで洋子は彼に対して怒りも憎しみも湧くことはありませんでした。
検察官と一緒に作った調書には、理不尽に家族の命を奪われた遺族として怒りを表明したものの -
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いわゆる就職氷河期世代の引きこもりの男が犯人とされる殺人事件の話。引きこもりになってしまった彼の視点と、刑事の視点で展開される社会派ミステリー。
ロスト・ケアで葉真中顕の小説に出会ってから約11年の歳月が流れた。当時、小説内にあった“絆は絆し(ほだし)”という言葉がすごく心に残っている。煩わしくても、呪いでも、それでも人は誰かとつながなければ生きていけない、ならばせめて愛する人とつないで、生きていこう。という。
本作でも、いい意味で変わらないメッセージがあった。
“生きる”ただそれだけのことが辛い人がいて、社会問題に発展するほど沢山いるんだろうなと感じるし、その苦しさの描写もとても丁寧。