葉真中顕のレビュー一覧

  • W県警の悲劇

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    葉真中顕『W県警の悲劇』徳間文庫。

    架空のW県警を舞台に描かれた連作短編警察小説。

    今に始まったことではないが、正義の使徒であるべき警察の腐敗。テレビの『警察24時』などでは警察の手柄ばかりを取り上げているが、その裏ではかなり良からぬことを行っているのは間違いない。

    連作短編の形式を取り、1つ1つの短編に様々な伏線や仕掛けを巧みに入れて、各々の短編が読み切りかと思いながら読み進んだのだが、実は1つの壮大な物語として構成されていたという驚きの作品。

    県警初の女性警視昇進の野望を抱く監察官の松永菜穂子と父親の警部・熊倉哲を失った娘の熊倉清巡査の二人の女性警察官の物語なのだ。なかなか面白い。

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    2021年01月17日
  • シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~

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    綾辻行人対談集。ミステリの話題がいっぱい。面白そうな本の話題もいっぱい。それぞれの作家さんのこだわりなども知ることができて、とにかく楽しい一冊です。
    だいたい読んでいる作家さんが多かったので、読みたい本が爆発的に増えるということは幸いにしてありませんでしたが。積んでいる本が多いのでそれらをさらに読みたい気分になったのと、読んだ本でもここで語られたことを念頭に置いて読みなおしたくなったり。読書の沼はどこまでも深いようです。幸せ。

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    2020年12月30日
  • 政治的に正しい警察小説

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    葉真中作品2作品目。前回の『ロスト・ケア』の本格長編とは異なるブラックユーモア短編集。

    タイトルの「政治的に正しい警察小説」は内容がどうというよりも本作品のコンセプトにぴったりの社会への皮肉たっぷりの作品。少し星新一テイストも感じる。ポリティカルコネクティスを突き詰めていくと何も書けなくなるというのは非常に理解できる。直接的な批判ではなく、苛烈な価値観が破綻をもたらすことを、ユーモアに表せるのが小説の魅力だと改めて思った。

    また4作目の『リヴィング・ウィル』は安楽死をテーマにしており、『ロスト・ケア』と同じく高齢化社会における社会問題に切り込む作者らしい作品だと思った。『ロスト・ケア』とは

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    2020年11月14日
  • 凍てつく太陽

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    ネタバレ

    終戦直前の日本を舞台としたサスペンス小説。
    特高警官が主人公という異色。
    朝鮮人、アイヌ、国内の異民族、大東亜共栄圏に内在する問題点など、凄くバランスの取れた視点で書かれていると思った。
    物語も面白く「謎」の牽引力はそこそこある。
    太陽=あの兵器ってのは、序盤で分かる人には分かるけど、でもって震洋が出てきた時点で?だったけど、なるほど分ってらっしゃったのだなーという感じ。
    はっきりいって面白いし、勉強になった。

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    2020年09月21日
  • 凍てつく太陽

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    メッチャオモロイ。今年読んだ中で1番や。
    悲惨な話しの展開だが、人間の温かさが随所に見られホッとする。
    エンディングの3人のやり取りが最高でした。思わずニヤリ。

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    2020年09月20日
  • ブラック・ドッグ

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    ネタバレ

    評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!

    狂っとる・・・ペットの無駄な繁殖や殺処分の問題にメスをいれたい作品だろうが・・・この人は主人公か?と思われる人も次々あっさりとしかも残酷に殺されちゃうし。
    ここまでせんでも・・・。
    最後ははぁ~んあんたが黒幕だったのね。で終了。

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    2020年09月07日
  • 凍てつく太陽

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    葉真中顕『凍てつく太陽』幻冬舎文庫。

    以前から気になっていて、文庫化されるのを待っていた作品。

    アイヌという日本のマイノリティを一つのテーマに、アイヌの血を受け継ぎながら日本人よりも日本人らしく生きようとした主人公・日崎八尋の過酷な運命が描かれる。室蘭市に隠された3つ目の太陽の正体は何か、カンナカムイの秘密を握る陸軍関係者の連続殺人事件の犯人は誰か、といったミステリー要素もあり、非常に読み応えのある長編小説だった。

    時代は終戦間際の昭和20年。序章に描かれたエピソードだけでも十分に読み応えがあった。アイヌ人の母親を持つ特高刑事の日崎八尋は室蘭市の飯場に人夫として潜入し、飯場からの脱走事件

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    2020年08月09日
  • 絶叫

    購入済み

    虚しさと哀しさと人間

    長編でしたが、すーっと読めた印象です。家族とは、愛とは、色々と考えさせられる内容です。フラットな気持ちで読んで下さい。

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    2020年07月28日
  • 夜更けのおつまみ

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    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
    人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
    さらに、一編ずつが短いのもポイント。
    ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰

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    2020年07月14日
  • コクーン

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     絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。

     カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、

     『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。

     各章に登場するそれぞれの登場人物たちが見る闇と地獄。そして幕間に登場するある女性の壮絶な人生。葉真中さんの筆力はますます乗ってきているというか、光無き世界とその運命に翻弄される人物たちを、容赦なく描きます。どれもシリアスで暗い話ばかりですが、ついつい引き込まれます。

     そして、第4章を読み始めたとき「ん?」と思う人もいる

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    2019年09月30日
  • コクーン

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    1匹の黄金蝶が導く、数多の人たちの過去、そして現在。
    全ての人の運命は、1995年にカルト教団「シンラ智慧の会」が起こした銃乱射事件で繋がっている。
    それぞれの人が各々の考えで行動し、生きていると思うことは当然なのか、それともこの世界の全ては巨大な装置に牛耳られ決まったルートをあたかも運命かのように選ばされているだけなのか…。

    さすが葉真中顕さん、今回もめちゃくちゃ深かったです。
    本書のキーワードであるバタフライ効果の着地点、なるほど!面白い!
    「社会小説」「ミステリー」だけでは到底表現し尽くせない緻密さに酔いしれる作品でした。

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    2019年09月24日
  • コクーン

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    葉真中顕『コクーン』光文社文庫。

    平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。

    東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。

    タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なの

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    2019年04月14日
  • ブラック・ドッグ

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    葉真中顕『ブラック・ドッグ』講談社文庫。

    『ロスト・ケア』『絶叫』などの傑作とは全く違ったテイストの600ページを超えるパニック小説大作。凄いの一言に尽きる。過激な動物愛護団体DOGが仕掛けた予想外のテロ……スプラッター映画を観るかのような凄惨な描写の連続。教授の正体とは一体……

    人間のエゴにより売り買いされる動物。動物が苦手な人も居るのに辺り構わず、動物の気持ちなど永遠に解るはずかまないのにまるでモノのように連れ回す馬鹿者ども。もしも、犬と人間の立場が逆だったら……

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    2018年06月20日
  • 家族

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    ネタバレ

    恐ろしい。実際に起こったことだと思うと本当に怖い。
    もしこんな人に出会ってしまったら逃げられるだろうか、どうやって逃げようかと考えながら読んだ。
    特に"あちら側"にいたはずの有間家と宗太の話は辛かった。
    暴力は正義だと思い込むようになるまで追い詰められてしまう。

    「追い詰められた人間に究極の選択なんてない。ただ状況に服従するだけ。きっとこれは人間の本性なんて上等なものではない。腐った木の実が地面に落ちる、そういう自然現象に近いなにかだ。」

    ダーヤマさんはあんまり話に出てこなかったけどどうなったんだろう。
    凸凹の男は?
    一番怖いのは朱鷺子さんだったのだろうか。
    蛇のペンダ

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    2026年08月16日
  • 家族

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    酷い、惨い。
    これが現実に起こったことって信じたくない。

    マインドコントロールの恐ろしさを痛感した。
    読んでる途中で自分がちょっと洗脳されてる感覚になったくらいで
    途中リタイアしようかとも思った。

    人間が怖い。
    洗脳する方も洗脳される方も両方怖い。

    しばらく引きずりそう。
    メンタル弱い方は気をつけて。

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    2026年08月15日
  • 家族

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    尼崎連続変死事件がモチーフ。なぜ逃げない、なぜ逆らわない、と憤りの連続。人間の醜さ、弱さ、恐ろしさが凝縮され、「家族」という存在まで怖くなる。

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    2026年08月15日
  • 家族

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    尼崎の事件をモデルにした作品だということはすぐにわかったが、それにしても、恐ろしい。
    人はこうやって、『自分』を手放してしまうのかと実感した気がした。
    怖くて、少しずつしか読めず、相関関係がなかなかわからなかったが、最後に相関図が書いてあった。
    見ながら読めば良かったと反省。
    でも、すごい小説だった。
    そして、まだ、終わってない。というか、謎な全く解き明かされてないことですっきりしない、後味を残してる。
    あー怖かった!

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    2026年08月14日
  • 鼓動

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    氷河期世代、8050の引きこもり問題、ネグレクトや高齢化社会などを背景に起きる殺人事件を捜査する中年男女の刑事コンビ。震災、コロナも含めてここ何十年かの世相全部盛り。この2人の味わい深いやり取りもありテンポよく進む。前に読んだ「ひきこもり家族」よりよっぽどリアリティがあり、考えさせられた。時代と言ってしまえばそれまでだけど、引きこもりやその家族の苦しみが本当に重い。話の中にも何度か出てくるけど、やっぱ豊かなんだろうなぁ、なんだかんだ言っても。生命や生活の危機がある社会で引きこもりなんてたぶんいないだろうし。食べること、生きることに必死でなりふり構ってられないだろうから。甘さとかゆるさで済ますの

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    2026年08月13日
  • 家族

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    話の内容的には「本当にそんなことあるのか」と思わせる内容だったが、実際にその立場になれば洗脳されても仕方がないような心持ちになってしまうのだと考えさせられた。
    人間は極限状態になれば判断力が鈍るし、そういう状況を作らないようにすることが何よりの対策だと感じた。
    実際に起こった話なだけに、注意しすぎてもしすぎることはないと思った。

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    2026年08月11日
  • 家族

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    実際に起きた事件をモチーフにしているとあって、「真実は小説より奇なり」を体現している小説。

    登場人物が多くて何度も相関図を確認しながら読み進めました。

    はじめは「嫌なら逃げればいいじゃん」と思ってたけど、圧倒的恐怖に支配されると逃げることもできなくなるんだなと妙に納得させられました。

    胸糞悪い内容だけど読むのがやめられない小説でした。

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    2026年08月11日