葉真中顕のレビュー一覧

  • コクーン

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     絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。

     カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、

     『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。

     各章に登場するそれぞれの登場人物たちが見る闇と地獄。そして幕間に登場するある女性の壮絶な人生。葉真中さんの筆力はますます乗ってきているというか、光無き世界とその運命に翻弄される人物たちを、容赦なく描きます。どれもシリアスで暗い話ばかりですが、ついつい引き込まれます。

     そして、第4章を読み始めたとき「ん?」と思う人もいる

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    2019年09月30日
  • コクーン

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    1匹の黄金蝶が導く、数多の人たちの過去、そして現在。
    全ての人の運命は、1995年にカルト教団「シンラ智慧の会」が起こした銃乱射事件で繋がっている。
    それぞれの人が各々の考えで行動し、生きていると思うことは当然なのか、それともこの世界の全ては巨大な装置に牛耳られ決まったルートをあたかも運命かのように選ばされているだけなのか…。

    さすが葉真中顕さん、今回もめちゃくちゃ深かったです。
    本書のキーワードであるバタフライ効果の着地点、なるほど!面白い!
    「社会小説」「ミステリー」だけでは到底表現し尽くせない緻密さに酔いしれる作品でした。

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    2019年09月24日
  • コクーン

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    葉真中顕『コクーン』光文社文庫。

    平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。

    東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。

    タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なの

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    2019年04月14日
  • ブラック・ドッグ

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    葉真中顕『ブラック・ドッグ』講談社文庫。

    『ロスト・ケア』『絶叫』などの傑作とは全く違ったテイストの600ページを超えるパニック小説大作。凄いの一言に尽きる。過激な動物愛護団体DOGが仕掛けた予想外のテロ……スプラッター映画を観るかのような凄惨な描写の連続。教授の正体とは一体……

    人間のエゴにより売り買いされる動物。動物が苦手な人も居るのに辺り構わず、動物の気持ちなど永遠に解るはずかまないのにまるでモノのように連れ回す馬鹿者ども。もしも、犬と人間の立場が逆だったら……

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    2018年06月20日
  • Jミステリー2025~FALL~

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    短編集なので、少し前からチマチマ隙間時間に読んでた。
    短編のミステリーで読み応えがすごいです!作家さんの書き方文体を少し味わうのにピッタリです。好きな作家さんが見つけられそうな本です。

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    2026年03月22日
  • Blue(ブルー)

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    おすすめに出てきたため、読んでみた作品だったが、面白くて一気に読んでしまった。
    懐かしい平成の空気を感じられる一冊。
    読み進める毎にキャラクターへの愛着が湧き、エピローグの彼女の様に、「彼」の幸せを願わずにはいられなかった。
    様々な社会問題についても書かれており、物語に出てくる子供たちや大人達はすぐそばにいる他人かも知れないと考えさせられた。何かしてあげたいけど、現実は簡単ではないということ、最悪な結末が毎日どこかで起こっていることを忘れてはいけないと思った。

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    2026年03月21日
  • 政治的に正しい警察小説

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    世にも奇妙な物語みたいな感じです。
    短編だけれどもどれもクオリティが高くて考えさせられるものが多いです。
    これから読む方は表題作以外も期待して良いと思います。

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    2026年03月20日
  • 家族

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    尼崎事件を忠実にモチーフにしているので、色々と慎重に読まざるを得なかったですが、それでもラストまで一気に読んでしまった。「真実は闇の中」だからこそ、ラストの展開には小説だからこその救いのようなものが込められていて、揺さぶられた。『家族喰い』も読まなくては。

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    2026年03月20日
  • 家族

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    人は孤独が一番の恐怖なのか、と考えさせられました。
    つくづく人間って弱い生き物だし、間違っているとわかっていながら自分の保身の為に多数派に身を置くんだと思った。
    その辺の心理を上手く操って、洗脳していく瑠璃子。
    瑠璃子に限らずこういう人間はどこにでも存在するんだと思うとぞっとする。
    洗脳、マインドコントロール、人間の弱みにつけ入って抜け出せなくさせる。
    怪しい人には近づかない、関わらない、スキを与えない、環境の大切さや正しい判断、自分の弱さに負けない強さ。
    結局こういう犯罪者も自分の弱さからきているものなので、負の連鎖が行き着く先はとんでもない所にまで発展するんだと思う。

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    2026年03月19日
  • コクーン

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    ネタバレ

    さすが葉真中顕さん作品という感じでした。

    バタフライエフェクト。
    どこかのだれかの小さな行動が、遠いどこかのだれかの大きな影響になる。
    この世の森羅万象、全てが繋がっているんだな。

    自分の意思というのは、結局はどこかのだれかとつながってつながって、自分になっているんだなと。

    堕ちてくのも、昇っていくのも、結局は人が人をつくっているんだなと。

    面白かったけど、後半になるにつれて登場人物が頭の中でごちゃごちゃしてしまった。

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    2026年03月17日
  • 家族

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ興味深い作品だった。

    2011年に表面化した「尼崎連続変死事件」をモチーフにした本作。
    全てフィクションらしいけれど、同じような事件が実際あったと思うと、身震いするぐらい怖い。



    作中では、家族をどんどん増やしていく。
    血のつながりは関係ない。
    関係性の中に「愛」があるかどうか。
    ただそれだけの観点で歪んだ家族がどんどん肥大していく感じ。

    「家族なんだから」という言葉が頻繁に使われている。
    たとえ血の繋がりがなくても、愛情さえあれば家族なんだと。
    しかし、暴力で支配することは家族とはいえない。
    自分の思うように世界を作ってくれる存在を家族とは言えない。

    「愛」とは一体なん

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    2026年03月16日
  • 家族

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    物語のモチーフになった事件のことはよく覚えている。不思議だった。
    何故こんな派手に傷ついている人がいるのに警察は動かなかったのか。
    民事不介入…
    警察は不思議だ
    相談事をしても「何か起きたら言って下さい」と、
    そこで話を終わらせれてしまう。
    何か起きたら?
    ひとが死んだら?殴られたら?
    殺されてしまったらなにも言えない。
    こんなことが周りで起きていても誰も気づかない?
    気づかないふりをする?
    だって巻き込まれたら私も大変な目にあう
    救いが見つからなかった
    でも、知らないといけない。

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    2026年03月16日
  • 家族

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    怖い、実際にあった事件を基にしているだなんて。
    ちょっとした言葉のかけ方で相手のことを好きになったりあれ?と感じたりすることはあるけれど、それをたくみに操り支配する瑠璃子の能力が怖い。
    余韻の残る結末であばたの男と清司朗は同じことを繰り返すのだろうか。
    それにしても、読むにあたり巻末の相関図のページを何度開いたことか…。

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    2026年03月10日
  • 警官の標 警察小説アンソロジー

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    7人の作家さんによる警察短編集。
    それぞれの作家さんが趣向を凝らした個性を感じさせる作品。
    初読みの作家さんが5人もいたのでどんなテイストなのかなと楽しく読めた。
    実務修習生の視点と指導係の視点を描いた吉川氏の作品と、初めて上司となった警部補の視点で描いた松嶋氏の作品が特に印象に残った。

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    2026年03月10日
  • 家族

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    読みたくないのに、読まないともっと不安になる。そんな感覚にさせられる作品だった。メンタルが強い人にしか勧められない本になります。

    家族へ入り込み、乗っ取り、相互に暴力を振るわせながら支配していく構造が描かれる。読んでいて何度も息が詰まりそうになった。特に序盤で印象に残ったのは、主犯の妹が語る「考えてはダメ」「自分で決断してはダメ」「人は自分で考えると孤独になる」という言葉だ。“家族”への依存を植え付け、実社会へ戻れなくさせる支配の論理が垣間見えた。

    自分が同じ状況に置かれたら、どう抗えるのか。
    簡単に「自分は大丈夫」とは言えない怖さがある。

    登場人物は多く相関も複雑で、巻末の相関図を何度

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    2026年03月08日
  • 家族

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    もう苦しくなるのわかってたから、この本買う時も相当迷って、でもこういう事件起こる度にどうしてなんだろう、なんでこんなにも他人に征服されて、家族を死に追いやるまでになるんだろう。
    その心理はなんなんだろう。って気持ちがあって、読み始めて、でもやっぱり苦しくて苦しくて、途中でやめるのもできなくて、結局、2日くらいで一気に読んでしまった。
    これはあくまでフィクションで、実際の事件の当事者たちの心境はわからないけど、あくまでこの小説に対する感想なんだけど、人間は順応してしまう、学習してしまう、そして慣れてしまう。異常な状況にも。
    そして本当にちょっとした心の隙間や、寂しさに、寄り添われた感じた時に、受

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    2026年03月08日
  • 家族

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    2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフに書かれた小説。当時もなぜ、こんな不可解な事件が起きたのか恐ろしくも興味深く感じ、週刊誌を読みましたが、小説となりより追体験感を増した本作は最悪の読み心地をもたらしてくれます。恐ろしくて嫌な気持ちになるのに、面白くて、夜中に一気読みしました。事件を知っているからこそ、新しい犠牲者のエピソード来たりすると、逃げて逃げて逃げてと思いながら読む。有間稔の「いつどの時点なら、食い止められたのだろう。」という自問は読みながら、自分だったらどうするだろう?どうやったらこの地獄から逃れられるのかと考えながら読み進めました。
    暴力で精神的に支配される恐ろしさ、そ

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    2026年03月08日
  • 作家 超サバイバル術!

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    出版界の現状や、新人作家が生き残るための術を、3人の著名な作家陣がそれぞれの視点で描いた内容。
    作家としてのスタイルや、デビューからの経緯がバラバラな3人なので、独りよがりにならず、より立体的に作家論が組み上げられている。
    中山さんを筆頭に、ユーモアたっぷりに語られていくので読みものとしても秀逸だったと思う。

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    2026年03月08日
  • 家族

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    実際にあった連続変死事件をモチーフとした、洗脳・監禁・拷問がこれでもかと出てくるフィクション。
    「家族」という脆い部分をつけこんだ人間の卑しい部分と生々しい描写、群集劇の展開で恐ろしくもページを捲る手は止まらなかった。
    物語としては良い意味で胸糞悪かった

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    2026年03月08日
  • 家族

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    2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしたフィクション。主犯とされる女性が獄死した為に真実は闇の中だが、今作は「家族」と言う聞こえの良い言葉に翻弄される被害者が描かれる。そう言えばリアルに、「家族」に命を奪われた幼い子がスーツケースに遺棄された事件もあって、胸が痛んだ。

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    2026年03月08日