葉真中顕のレビュー一覧
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葉真中作品2作品目。前回の『ロスト・ケア』の本格長編とは異なるブラックユーモア短編集。
タイトルの「政治的に正しい警察小説」は内容がどうというよりも本作品のコンセプトにぴったりの社会への皮肉たっぷりの作品。少し星新一テイストも感じる。ポリティカルコネクティスを突き詰めていくと何も書けなくなるというのは非常に理解できる。直接的な批判ではなく、苛烈な価値観が破綻をもたらすことを、ユーモアに表せるのが小説の魅力だと改めて思った。
また4作目の『リヴィング・ウィル』は安楽死をテーマにしており、『ロスト・ケア』と同じく高齢化社会における社会問題に切り込む作者らしい作品だと思った。『ロスト・ケア』とは違う軽いテイストだが、脳死状態の人の感情はその時にしか分からないという非常に難しい問題を上手く捉えれていると思った。 -
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ネタバレ評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!
狂っとる・・・ペットの無駄な繁殖や殺処分の問題にメスをいれたい作品だろうが・・・この人は主人公か?と思われる人も次々あっさりとしかも残酷に殺されちゃうし。
ここまでせんでも・・・。
最後ははぁ~んあんたが黒幕だったのね。で終了。 -
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葉真中顕『凍てつく太陽』幻冬舎文庫。
以前から気になっていて、文庫化されるのを待っていた作品。
アイヌという日本のマイノリティを一つのテーマに、アイヌの血を受け継ぎながら日本人よりも日本人らしく生きようとした主人公・日崎八尋の過酷な運命が描かれる。室蘭市に隠された3つ目の太陽の正体は何か、カンナカムイの秘密を握る陸軍関係者の連続殺人事件の犯人は誰か、といったミステリー要素もあり、非常に読み応えのある長編小説だった。
時代は終戦間際の昭和20年。序章に描かれたエピソードだけでも十分に読み応えがあった。アイヌ人の母親を持つ特高刑事の日崎八尋は室蘭市の飯場に人夫として潜入し、飯場からの脱走事件の真相を突き止めるのだ。
本編に入ると、八尋が潜入した飯場に関係する陸軍少佐の金田と飯場の棒頭の伊藤が何者かに刺殺され、八尋は『拷問王』の異名を持つ先輩刑事の三影らと共に犯人の捜査にあたる。その後、刺殺事件は連続殺人の様相を示すが、八尋は三影と三影を操る陸軍の憲兵らにより嵌められ、事件の犯人に仕立てあげられる……
網走刑務所に収監された八尋を待ち受けていたのはさらなる過酷な運命だった……
一連の事件の意外な真相と結末……
本体価格930円
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このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰️ -
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絶望の世界の物語なのに、なぜか神々しい世界へ連れて行かされる。今まで経験のしたことがない物語体験でした。
カルト教団、診療報酬、自殺サイト、震災、戦争、性的虐待……、
『ロストケア』『絶叫』と同様に今回も葉真中さんは社会の闇、人間の闇に容赦なく光を当てます。
各章に登場するそれぞれの登場人物たちが見る闇と地獄。そして幕間に登場するある女性の壮絶な人生。葉真中さんの筆力はますます乗ってきているというか、光無き世界とその運命に翻弄される人物たちを、容赦なく描きます。どれもシリアスで暗い話ばかりですが、ついつい引き込まれます。
そして、第4章を読み始めたとき「ん?」と思う人もいるのではないかと思います。 なんとも意味深な夢から始まり、そして4章の語り手の幼少時代も、人によっては「ん?」と勘ぐる人もいるかもしれません。
そしてその意味は最後に明らかになります。そして4章以外にもところどころで描かれていた、引っかかりたちにも、途方もない意味があったことが分かるのです。矛盾を最後に意味を持たせるということに置いては、これはミステリーなのかもしれません。しかし、そこから導き出される世界の真実は、ミステリという概念を大きく飛び越えてしまうのです。
介護、貧困……自分の世界も運命も、ふとしたきっかけで容易に反転しうることを、これまで読んできた葉真中作品では描いてきたように思います。それは個人ではどうしようもない、社会がそして世界が個人の上に乗っかり、押さえつけているからのようにも感じます。
しかし、その社会や世界を相対化するような光景を葉真中さんは用意します。それはある意味このどうしようもない世界の、一つの究極の真理なのかもしれません。
多分この種明かしに納得できない人もいると思います。ただこの物語の到達点は、おそらくそんじょそこらの作品では、決して描ききれないものだと僕は強く思うのです。 -
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葉真中顕『コクーン』光文社文庫。
平成という時代に起きた大事件と関係者の人生とをコラージュしたような幻想的な小説。金色の翅を持つ蝶が時代を超えてもたらす『バタフライ・エフェクト』。何が正解で何が間違いだったのか今となっては誰にも解らないが、少なくとも善と悪だけは明確である。
東京丸の内で無差別銃乱射事件を引き起こしたカルト教団『シンラ知慧の会』の教祖・天堂光翅と彼に関わった人たちの因果応報の人生を描く。カルト教団『シンラ知慧の会』は『オウム真理教』がモデルであろう。
タイトルの『コクーン』……繭は、物語全体を象徴する存在であり、金色の翅の蝶が引き起こすバタフライ・エフェクトの根源は繭なのだという事なのかも知れない。
本体価格640円
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ネタバレ「犬を飼う」が村田沙耶香さん過ぎて、
おもろい(((o(*゚▽゚*)o)))♡となったがあくまで作中作で、こういう話で進んでいくわけではなかった。けども続きが気になってどんどん読める本だった。
多恵の夫と息子のクソさ、クズさ(とにかくイラついた)
ありさのようなバリキャリ強め女子、風宮のようなメンヘラ女子、
男性作家がここまで女性目線でリアルに書けるのすごすぎるぅぅ
多恵の人生が可哀想すぎて。
ありさが生きていけなかった世界なら、私も生きていけなくて当然だ、って。狭い世界で生きてきちゃったから、自分とありさでしか比較できないのが切なすぎる。
私は多恵のパートの印象が強過ぎて、
梨帆のことを「同じように苦しみをかかえた女性」としては見れなかったんだよなあ。
子どもを堕してまで産まない選択をしたのに、のちに元夫が再婚して子どもが産まれたと聞いたらダメージ受けてるの、なんだかなあって。
それ、あなたが選択したんじゃん?
「首がきれいなター坊」、梨帆によると多恵はそこまで首綺麗じゃなさそうだったから、
本当にすべてガチでフィクションでした〜。って可能性もあるのよな。
いろんな読み方ができる。よい。
全部読み終わった後、もう一度「犬を飼う」を読んだら、(旧姓の)中林→林→リン?というプチ発見をした。(気付く人は気付くか。)
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こういう作品は好きです
実際の事件をモデルに描く社会派小説は読み応えがあるので普段から好んで手に取ります
本作も大変興味深く拝読しました
面白いという表現だと語弊があるかもしれませんが、とても面白かったです
普通の家庭だったのに、いつの間にか余計な異物が紛れ込み家族が侵蝕されていた
そういう物語です
これが実際に起こった事件なのだからリアルに驚愕と脅威を覚えます
どうすれば良かったんでしょうかね…今ならあの時代とは違ってSNSがあるので外に助けを求めやすいかもしれません
とても面白かったのですが登場人物みんなクソ野郎なので読むのにストレスがかかります笑
正義であるはずの警察も検察も最低です
特に途中で出てくるモラハラ夫の検察がクソ野郎すぎます
今どき有り得ないほどの男尊女卑思考でめっちゃイラつきます
てかおまえ誰だよって思いながら読みました笑
あとラストがスピリチュアル的展開だったのが違和感…なんでこんな終わり方にしたのか謎でした -
Posted by ブクログ
保険営業時代、人に安心を与える仕事だと「魔法」をかけられ、人間関係を使い捨てていくシステムに飲み込まれていく、「あなた」。
「頑張れば頑張るほど他人の立場を想像できなくなる」という思考の麻痺が、静かに彼女の心を削っていく。
そして後年、神代と出会い足を踏み入れた闇の世界では、偽装結婚した相手がまるで心太のように押し出されて消されてゆく……。営業時代に培われてしまった歪んだ合理性が、冷酷な保険金詐欺のシステムへと地続きで繋がっていく展開に背筋が凍りつく。
陽子の人生は、私たちが歩んでいる道とそれほど変わりがないように思える。
一歩選択を間違えれば、頼れるクッションがなければ、誰もが陽子と同じ暗闇に落ちていたかもしれない。最初の夫、公平が見せた陽子の「思いっきりの笑顔」の写真が、その残酷さを物語っている。
作中、幽霊となった弟の純が言った「人間なんて、ただの自然現象だよ」という言葉。
生も死も、人の心も、髪の毛一本の行く末さえ自分で選ぶことなんてできない。人はいつだって裏切るし、自分すら自分を裏切る。すべては雨や風と同じ不可抗力なのかもしれない。
けれど、二人称の「あなた」で進む不穏な語り口の理由がラストで明かされたとき、全身の鳥肌が立った。
そして、あの一瞬響き渡った「絶叫」。
あれは綺麗な再生や希望の叫びなどではない。「こうするしか生きられない」「もうどうでもいい、でもまだ死ねない」という、泥水をすすってでも生き抜くための開き直りであり、狂気混じりの宣誓だ。
他者を犠牲にしてでも、罪を背負ってでも「わたし」は生き抜く。
どれだけ過去を振り払おうとしても、これからも「あなた」は「わたし」であり続けるのだから。
読み終えたあと、ただただ人間の底なしのエゴと執念の毒に当てられ、重い後味とともに本を閉じるしかなかった。 -
Posted by ブクログ
狂気の疑似家族集団での凄惨な日々。小説ではあるが、これが実際の2011年に発覚した尼崎連続変死事件をそのままのように描いた作品であり、ほとんど事実の姿なのか?舞台は八王子市に変更されているが、64歳の夜戸瑠璃子(事実のモデルは角田千代子)が共同生活のなかで暴力と恐怖によるマインドコントロールにより10数人に及ぶ関係者を死に至らしめ、親族同士での暴力を強制していたという毎日。小説では時系列がバラバラにされているが、これがまた如何に長期にわたって続いていたかを暗に示している。警察の「親族間のトラブルには不介入」という方針が度々語られ、これは最近でもストーカー事件の頻発を想起させる。この中でも瑠璃子の息子と結婚したという有馬家の妹娘が両親・姉を追い込んでいった場面が詳細に説明されており、かなり重要な存在になっている。彼らのなぜ逃げ出せなかったのか、被害者が加害側になったのかなど、心理状態を読み解く大きな謎解き解釈を示している。